
令和6年産米の価格高騰により注目を集めている古米。
収穫から1年以上たった米を古米と呼ぶ。1年程度のものは味にほとんど変化はないというが、2年以上経過したものは、新米に比べて食感がカタくなりやすく、“古米臭”と呼ばれるニオイが出てくることも。
しかし、炊き方や調理法のひと工夫で新米に劣らずおいしく食べられるという。
米の品質管理のプロである全農パールライス品質管理部に伺った。
(米の鮮度の見極め方と保管のコツはこちらの記事で紹介)
水加減と浸水時間で調整
新米と比較すると「水を吸収しにくい」「カタめになりやすい」「パサつきやすい」といった傾向がある古米。炊飯にもコツがあるという。
「古米を普段通りに炊飯して、カタさやパサつきを感じられた場合は、『水加減を増やす』『浸水時間を長くする』という対策がお勧めです。
水加減については、1合当たり大さじ1杯(15mL)程度を目安に増やしていただくと、食感が改善しやすくなります。それでも改善が見られない場合は、次回の炊飯ではもう少し水分量を増やしてみるといいでしょう」

浸水時間も普段より長くすることで、食感のカタさなどが改善しやすくなるとのこと。
「浸水時間が組み込まれている炊飯器の場合は、米を水に浸けてから炊飯スイッチを入れるまでの時間をいつもより少し長くしてください。米は水に2時間浸けるとそれ以上は水分を吸収しなくなり、よりふっくら炊き上がります」
なお、長時間浸ける場合は雑菌の繁殖を防ぐために、冷蔵庫で浸水をした方が良いそうだ。
しっかりめに洗う
米の洗い方のコツはあるのだろうか。
「食感のカタさが気になる場合は、普段より少ししっかりめに洗っていただくと、食感がやわららかくなる傾向はあります。ただ、洗いすぎると米自体が割れることもあるので注意してください」
水加減を増やす目安が1合あたり大さじ1杯程度…という話からも分かるように、炊き方や洗い方の加減は“微調整”程度から試してみるのが良さそうだ。

「米を洗うときの力加減や、炊くときの水加減などは、個々人の感覚や、炊き上がりの好みによっても変わってくるでしょう。ですので『普段の自分のやり方よりも少し水加減を増やす、少し丁寧に洗う』といった調整をしてみて、ご自身で味の変化を検証していただければと思います」
なお、それでもカタさやパサつきが気になる場合は、米の量に対して1割程度のもち米を混ぜて炊くと、もちもちした食感になりおいしく食べられるとのこと。
カタめの食感が生きる料理に使う
炊き加減、洗い方の加減を工夫して古米のカタさやパサつきを軽減するのも一つの方法だが、むしろその特徴を生かす食べ方もあるという。
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