
「睡眠時間の不足は十分に寝ることでしか解消できない。日中の眠気で悩んでいる人は、とりあえず少しでも眠ること」
そう話すのは、覚醒をつかさどる物質「オレキシン」を発見した睡眠研究の第一人者で、筑波大学国際統合睡眠医学研究機構副機構長の櫻井武さん。著書『睡眠と覚醒をあやつる脳のメカニズム~快眠のためのヒント20~』(扶桑社新書)から、自分にとっての最適な睡眠時間の見つけ方を一部抜粋・再編集して紹介する。
本書では実践すれば睡眠が改善するかもしれない20のTipsも紹介している。
「7時間半」がベストではない
「睡眠」は個人差が大きく、最適な睡眠時間は人それぞれ違う。
多くの研究で「7時間半睡眠の人がもっとも長生き」といった調査結果が報告されているが、それはあくまで“平均”。
7時間半を基準に「足りない」 「寝すぎ」と気にする必要はまったくない。昼間、眠気に襲われることなく、必要な作業を問題なくこなせているのであれば、睡眠時間は足りていると考えていい。

逆に、たとえ7時間半寝ていたとしても日中、眠たくて仕方がないというのであれば睡眠不足の可能性が高い(あるいは、睡眠時無呼吸症候群や過眠症の可能性もある)。
自分自身が「何時間眠ると快適に過ごせるか?」を基準に、必要な睡眠時間を把握しておこう。ただ日々、その睡眠時間を確保しようと躍起になる必要もない。
必要な睡眠時間は年齢とともに短くなるが、同じ年齢であっても、2時間以上の個人差があると思ったほうがよい。睡眠時間にこだわりを生まないために、ざっくり自分の眠りを理解しておくのだ。
週末の「朝寝坊」は平日プラス90分
週末、たくさん寝ることを一般的に「寝だめ」というけれど、睡眠は預貯金のようにためておくことはできない。
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