人事
人材開発の実態と今後の方向性に関する調査人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、この度、「人材開発の実態と今後の方向性に関する調査」を実施しました。本調査は、大きな転換期にある企業の人事・人材開発について、現状と今後の方向性を探るべく行ったものです。
【調査名】 2022年度 人材開発の実態と今後の方向性に関する調査
【調査対象】全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業から任意に抽出した3,000社
【調査時期】2022年2~3月
【回答状況】締切日までに回答のあった166社について集計
求める人材像を「定義している」企業は56.8%で、うち、過去5年以内に「見直した」企業は38.6%である。
教育体系について、過去5年以内に「見直した」企業は46.0%、「見直していない」26.4%、「現在見直している、検討中」は27.6%となっている。企業規模別にみると、1,000 人以上企業と300~999 人企業で「見直 した」「現在見直している、検討中」が高く、299 人以下企業で「見直していない」が高くなっている。
ISO 30414(人的資本に関する情報開示のガイドライン) に定める人的資本報告基準に基づいた人材開発分野の情報開示について、「何らかの情報開示を行っている」と回答した企業は13.3%で、1,000 人以上企業 では25.7%と4 分の1、300~999 人企業では1割以下、299 人以下企業では行っている企業はなかった。
自社の人事・人材開発における基本的なスタンスについて、1)キャリア開発の責任、2)組織上の育成責任者、3)教育のスタンス、4)キャリアパスの考え方、5)採用する人材、6)評価の対象、7)異動・配置の考え方の7項目について、現在と将来の姿を聞いた。教育のスタンスでは、「一律・底上げ」とする企業(A+どちらかというとA)が現在78.2%→将来47.4%と大きく減り、「選抜・手上げ」へ移行する割合が高くなっている。この傾 向は大企業・製造業で顕著だった。
人材開発スタッフの平均人数は、「部長クラス」1.2人、「課長クラス」1.5人、「係長・主任クラス」2.2人、「一般社員」3.1人、「契約社員などの非正規社員」1.4人となっている。部門の合計平均人数は5.9人であった。
人材開発部門スタッフが「人材開発業務のみを行っている」組織は全体で17.4%で、8 割以上が「一部、他 の業務も兼務している」状況である。兼務状況は、規模が小さくなるほど高い。
兼務している業務をみると(複数回答)、「採用」91.7%、「人事制度運用」57.1%、「人事企画」56.4%など が高かった。
新入社員が「一人前」になるまでの期間として想定しているのは、「入社3 年」が49.1%で約半数となった。 全体的に、1,000人以上企業は入社3年以内とする傾向が高く、300~999人企業、299人以下企業はもう少し長 い期間を設定しているようである。
同期入社者の昇進管理について、「入社から一定期間は差がつかないようにしている」企業は64.2%。差が つかないように定めている期間としては「入社3年まで」40.4%、「入社4~5年」33.7%が高い。
※ 詳細データは「企業と人材」2022年5月号にて掲載しています。
株式会社産労総合研究所 「企業と人材」編集部 担当:片上、原、片岡
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