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「N国党は反社会的カルト集団」と投稿 名誉毀損で訴えられたライター、控訴審でも勝訴 東京高裁
控訴審判決後に記者会見を開くちだい氏(左)と石森弁護士(2025年3月18日、東京・霞が関の司法記者クラブで、弁護士ドットコム撮影)

「N国党は反社会的カルト集団」と投稿 名誉毀損で訴えられたライター、控訴審でも勝訴 東京高裁

全国の選挙を取材している選挙ウォッチャーちだい(本名・石渡智大)氏(46)が、「NHKから国民を守る党」(代表・立花孝志氏)を「反社会的カルト集団」などと表現したことに対して同党が名誉を毀損されたとして損害賠償を求めた裁判の控訴審で、東京高裁(裁判長:鹿子木康)は3月18日、N国党の控訴を棄却した。

ちだい氏は「政治が過激な思想をしてるのは非常に危険。火事と同じで、小さなうちに火元を断たないと大きな火事になってしまう」と述べた。

●1審・東京地裁「違法性を欠く」と判断

判決文などによると、ちだい氏は2024年6月、東京都知事選で「NHKから国民を守る党(N国党)」が24人の候補者を擁立したことに関連して、X(旧ツイッター)や動画配信サイトで、以下のような発信をした。

<今日も反社会的カルト集団『NHKから国民を守る党』が展開しているポスター掲示板のショバ代ビジネスについて、無料で記事にしていきます。メディアや警察の皆さんに、背景などをしっかり理解していただきたいので、少なくとも、あと数日はポスターの話をしていきます。>

<尊師っていうのも、教団幹部とか言ってるけど、出家信者とか言ってるけど、だってこいつらもう、物の善悪の判断がつかないんだよ。サリンをまかないオウムと一緒なんだから、ほとんど。内容としては、サリンをまくほどの知識とか知能はないから、だからサリンをまかないオウムみたいなもん。危ない奴らの集団であることは間違いないですね、N国って>

これに対してN国党は、ちだい氏のこれらの発言や投稿が「社会的評価を低下させる」などとして160万円の損賠賠償を求めて提訴した。

1審の東京地裁は2024年11月に訴えを退け、N国党が控訴していた。

●東京高裁、ちだい氏の表現は「重要な部分の真実性を裏付けることは明らか」

N国党は控訴審で、ちだい氏の発信内容の多くが前身団体の時の出来事であり、現在の支持者らは関与していないという趣旨の補足的な主張を行ったという。

東京高裁はこの日の判決で、「控訴人代表者(立花氏)及びその支持者は、平成25年以降複数回にわたって、政治活動の過程において犯罪行為や不法行為と評価される行為に及んでおり、控訴人代表者において、法律を遵守しない意思を明確に表明して、テロや民族虐殺をする可能性すら口にし、不法行為や迷惑行為を一般市民にサービスとして提供したり促したりしていた」などと認定した事実を列挙したうえで、次のように判断しN国党の控訴を退けた。

「控訴人(N国党)が違法と評価される行為を平然と行う集団等に当たる旨をいう被控訴人(ちだい氏)の本件各表現行為における意見ないし論評の重要な部分について真実性を裏付けることは明らかというべきである」

「一般の読者等の普通の注意と読み方、視聴の仕方とを基準として判断すれば、本件政治団体、本件政党及び控訴人の活動は、その名称等のいかんにかかわらず、いずれも控訴人代表者(立花氏)を中心とし、相互に関連し合うものとして認識されていた」

●ちだい氏「小さなうちに断たないと大きな火事になる」

判決後に記者会見を開いたちだい氏は冒頭、3月14日に立花氏が路上で切り付けられる事件が起きたことについて、「軽傷で済んだのは本当に不幸中の幸い。お見舞い申し上げたい」と発言したうえで次のように述べた。

「改めて、N国党が反社会的カルト集団だという表現が名誉毀損に当たらないという判決をもらったので、今の立花氏らの行動については反省を促したい。立花氏には、どうしてこのような判決になったのかを感じてほしい」

「立花氏は法を悪用しているだけで、あたかもすごいことをしているかのような演出でN国党の支持者を広げている。政治が過激な思想をしてるのは非常に危険。火事と同じで、小さなうちに火元を断たないと大きな火事になってしまう」

●代理人弁護士「オウム真理教の時の反省が必要」

ちだい氏の代理人を務める石森雄一郎弁護士は、NHKの集金を行うスタッフを撃退するという立花氏の行動に同調した支持者が過去に多額の賠償命令を受けていたり、N国党が実施するNHK受信料の請求書を代理で受領するサービスが今回の裁判で不法行為と認定されたりしたとしたうえで、強い懸念を示した。

「これからもN国党は一般市民を不法行為に巻き込んでいく可能性がある。オウム真理教の時は、信教の自由があるからなかなか踏み込めずに大きな悲劇を招いた。

今度は政治活動の自由という憲法上の権利を傘にかぶったカルトが出てきた。もう一度オウム真理教の時にどうすべきだったのかという反省がここで大いに必要だと思います。

社会的な危機にどう対応していくかがマスコミや警察も問われている。その意味でこの判決は非常に大事です」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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