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エレベーター「かご」なく転落死 大手の担当者、安全装置切り放置か

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原野百々恵
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現場となった商業ビルのエレベーター=2025年2月27日午前8時36分、神戸市中央区、原野百々恵撮影
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 神戸市中央区の繁華街・三宮にある商業ビルで今年2月、エレベーターの地下部分に男性が転落して死亡した。

 この事故の数カ月前、エレベーターの製造元で保守管理を担う業界大手の担当者が安全装置を切り、会社のマニュアルに反してそのまま放置していた疑いがあることが捜査関係者への取材でわかった。事故当時、各階の乗り場の扉が開いていても、人が乗る「かご」が動く状態だったという。

 兵庫県警はこうした対応が事故の大きな要因の一つになったとみて、業務上過失致死容疑を視野に、保守管理の担当者らから任意で話を聞くなどして捜査を進めている。

 県警などによると、事故は2月27日未明に発生した。

 死亡したのは兵庫県芦屋市の男性医師(31)で、ビル内のカラオケ店を訪れていた。死因は背中を強く打ったことによる血気胸だった。

 男性は、かごが上下する空間の一番下の地下1階部分で倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。

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エレベーター事故の状況

 県警は、男性が発見された際、ビル4階の乗り場の扉が開いた状態でかごがなかったため、男性がこの扉から何らかの原因で転落したとみている。

保守会社「捜査に全面的に協力」

 エレベーターの製造元は「三菱電機ビルソリューションズ」(東京都千代田区)で、保守管理も同社が行っている。

 同社のホームページによると、エレベーターの保守台数は約24万台で業界1位(2024年3月時点)。全世界では約100万台にのぼるという。

 広報担当者によると、事故のあったエレベーターは1977年に設置された。朝日新聞の取材に対し、3カ月に1度、訪問点検を行っており、昨年12月の点検時は問題がなかったとの報告を受けていたと説明した。

 広報担当者は「亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。関係当局の調査に全面的に協力しており、現時点で当社からお答えできることはありません」とコメントした。

不具合の際にマニュアル違反か

 県警によると、現場のエレベ…

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この記事を書いた人
原野百々恵
神戸総局|事件・事故担当
専門・関心分野
事件・事故、性暴力、虐待、人種差別、宗教