「嫌中」動画の制作依頼を非公開に 仲介サイト「差別つながる」懸念

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平川仁
吹き出しアイコン本田由紀さんら4件のコメント
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クラウドワークスに掲載されていた仕事依頼。内容は、「嫌中系」のYouTube動画の台本作成と記載されていた(現在は非公開)=平川仁撮影
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 「中国批判系」「嫌中系」をうたう動画の制作を依頼する募集が、仕事仲介大手「クラウドワークス」(東京)のウェブサイト上に掲載され、同社が3日、仕事依頼を非公開にする措置をとった。同社によると、ガイドラインで禁止する「事実誤認や印象操作がおこなわれる恐れがある依頼」「差別や誹謗(ひぼう)中傷につながる依頼」などに該当する可能性が高いと判断したという。

 クラウドワークスは、企業や個人がインターネットを介して、登録会員に業務を委託できるサービスを提供している。

「天罰下る内容」フィクションも例示

 同社は、仕事依頼を非公開にする措置をとった発注者数や件数は明らかにしていない。だが、非公開措置を取ったと同社が認めたある発注者について朝日新聞が調べたところ、昨年11月~今年11月、「中国批判」「嫌中」などとうたう動画制作の依頼を、少なくとも14件募集。これらは3日夜までに全て非公開となっていた。

 朝日新聞は、この発注者の7件の詳細な依頼内容を非公開になる前やネット上に残っていた記録から確認した。依頼内容は、YouTubeに投稿する動画の台本作成や、AI(人工知能)画像などを使った編集作業。いずれの仕事依頼も、動画を「中国批判系」「日本称賛系」などと説明し、このうち2件は、「中国人の迷惑行為、モラルの欠如、その後自業自得の結末となったり天罰が下ったりするフィクション動画」と、創作を例示していた。

 報酬は、台本作成が1本1500~5千円で、編集作業が2千~7千円。「応募必要条件」として「日本が大好きな方、中国が嫌いな方」とあるものも複数あった。確認できた14件は、計31人と業務委託が成約したと記載されていた。

写真・図版
「中国や中国人の迷惑行為、モラルの欠如、その後、自業自得の結末となったり天罰が下ったりするフィクション動画」と、YouTube動画の台本作成を説明していたクラウドワークス上の投稿(現在は非公開)

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 仕事依頼にはいずれも、「参…

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    本田由紀
    (東京大学大学院教育学研究科教授)
    2025年12月6日8時22分 投稿
    【視点】

    きわめて弊害の大きい仕事依頼が掲載され続けていた。クラウドワークスはAIが見過ごしたせいにしているが、それが本当だとすれば(本当かどうかの真偽も不明だが)これほど典型的なヘイト奨励を見過ごすほどぽんこつで機能していない策に依存していたクラウ

    …続きを読む
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    津田正太郎
    (慶応義塾大学教授・メディアコム研究所)
    2025年12月6日11時3分 投稿
    【視点】

    現時点では誰が、どのような目的で動画製作を発注しているのかが分からないため、判断が難しいと思う部分があります。本記事でも言及されていますが、純粋な営利目的で行われている可能性と、何らかの政治的意図をもって行われている可能性の両方があるのでは

    …続きを読む