ウクライナの弱みを突いたトランプ氏 ゼレンスキー氏苦境、打開策は

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ワシントン=青山直篤 キーウ=藤原学思
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小谷哲男さん佐藤優さん
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ワシントンで2025年8月18日、停戦に向けて会談するウクライナのゼレンスキー大統領(左)とトランプ米大統領=ロイター
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 ロシアによるウクライナ侵攻について、米国のトランプ大統領が21日、ウクライナに対し、極めて不利な和平案を27日までに受け入れるよう迫った。ゼレンスキー大統領は汚職事件で内政が混乱するなか、2022年2月に全面侵攻を受け始めて以来、最も厳しい局面を迎えた。

 トランプ氏は侵攻を終わらせるための「仲介役」として、その姿勢を二転三転させてきた。10月下旬には、停戦を促すためとしてロシアの石油企業に制裁をかけ、プーチン大統領との首脳会談も中止したが、今回は一転してウクライナに強硬な案を突きつけた。場当たり的に映る一方、変わらないトランプ氏の思考・行動様式もうかがえる。

 「(ゼレンスキー氏は)いつかは何かを受け入れなければならない」。21日、トランプ氏がホワイトハウスで記者団にそう述べた後、言及したのは2月に訪米したゼレンスキー氏にトランプ氏が浴びせて有名になった「あなたには切り札(カード)がない」という言葉だった。

「かつてないほどの圧力」。苦境に立たされたゼレンスキー氏はこう漏らしました。汚職で揺れる内政、迫る決断の時。ゼレンスキー氏は打開策を見いだせるのか。記事後半でお伝えします。

 トランプ氏はディールにおい…

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この記事を書いた人
青山直篤
アメリカ総局員
専門・関心分野
米国、国際政治・経済、日米関係、近代史
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
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    小谷哲男
    (明海大学教授=外交・安全保障)
    2025年11月22日13時9分 投稿
    【視点】

    ウクライナにとって厳しい28項目からなる和平案だが、トランプ政権内ではガザの停戦に結びついた20項目の合意を元にする現実的な案だと評価されている。また、ウクライナ側に大幅な譲歩をせまる内容になっているが、国内のスキャンダルで足元が揺らぐゼレ

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  • commentatorHeader
    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2025年11月22日13時43分 投稿
    【視点】

     トランプ大統領の狙いは、同氏の野望の実現の障害となっているウクライナのゼレンスキー大統領を「無害化」することです。和平案を受け入れれば、ゼレンスキー氏は公約を一切実現できない無力な大統領であるという現実が可視化され、影響力がなくなります。

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