斎藤元彦知事とPR会社長を不起訴 兵庫知事選巡る公選法違反容疑

根本快 新屋絵理
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兵庫県議会の6月定例会で発言する斎藤元彦知事=2025年6月3日午前、神戸市中央区、小林一茂撮影
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 昨秋の兵庫県知事選で、斎藤元彦知事側がPR会社に選挙運動の報酬として約70万円を支払った疑いがあるとして公職選挙法違反(買収)容疑で告発された問題で、神戸地検は12日、斎藤知事を不起訴にした。

 同法違反(被買収)容疑で告発されていたPR会社社長も不起訴とした。いずれも嫌疑不十分としている。

 不起訴となったことを受けて斎藤知事は同日、「捜査機関において十分な捜査を尽くされた結果、適切にご判断いただいたものと考えております」とのコメントを発表した。

 PR会社社長も「不正行為の事実も断じてございませんが、私の発信により誤解を招いてしまったことを深く反省しております」とのコメントをSNSに投稿した。

 問題のきっかけは、知事選の投開票から3日後の昨年11月20日、PR会社「メルチュ」(同県西宮市)の社長名で、斎藤陣営のSNS運用を含めた「広報全般を任せていただいた」などという内容が投稿サイトに書き込まれたことだった。

 元検事の郷原信郎弁護士らは、社長が選挙運動者としてSNSなどの「戦略的広報業務」を斎藤知事側から受託し、告示後に支払われた計71万5千円が選挙運動に対する報酬だったと指摘。兵庫県警と神戸地検に告発状を提出した。

 これに対し斎藤知事側は、メルチュへの支払いは、ポスターや選挙公報のデザイン制作など法的に認められたものへの対価で「選挙買収には当たらない」としていた。

 神戸地検と県警は今年2月、メルチュの関係先を家宅捜索して関連の資料やスマートフォンを押収した。

 県警が6月、斎藤知事とメルチュ社長を神戸地検に書類送検し、地検が捜査を進めていた。

 地検はこのほか、斎藤知事や知事選にからんで告訴・告発されていた6件についても、嫌疑不十分で不起訴とした。

 6件は次の通り。

 2023年にあったプロ野球の阪神・オリックスの優勝パレードで、不適切な税金投入によって県に約3億円の損失を与えたとする斎藤知事らの背任容疑▽県に贈られた兵庫県上郡町のワインを自宅に持ち帰って飲み、県に損害を与えたとする斎藤知事の背任容疑▽知事選に立候補していた稲村和美氏への支持を表明した県内22市長による公選法違反容疑▽稲村氏のXアカウントが凍結された偽計業務妨害容疑▽稲村氏に関する虚偽の事実をSNSに投稿した公選法違反容疑2件。

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この記事を書いた人
根本快
神戸総局|事件・司法担当
専門・関心分野
事件、政治資金
新屋絵理
神戸総局
専門・関心分野
裁判、人権、国際情勢、フランス
兵庫県知事選2024

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