「通訳が間に合わず不起訴」 高市氏の発言、捜査の現場はどうみたか

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自民党総裁選の所見発表演説会に臨む高市早苗前経済安保相=2025年9月22日午後1時54分、東京・永田町の党本部、岩下毅撮影
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 外国人を逮捕しても通訳の手配が間に合わず、不起訴にせざるを得ないと聞きます――。自民党総裁選に立候補した高市早苗前経済安全保障相が、所見発表演説会でそう発言した。言葉が通じないという理由で、容疑者の刑事責任を問わないという実態が本当にあるのか。高市氏側に発言の根拠を聞き、関係者にも取材した。

 高市氏の発言は9月22日にあった。外国人が増えたことで日本人との間で不公平が生じているという文脈で、「警察でも、通訳の手配が間に合わないから、逮捕はしても勾留期限が来て不起訴にせざるを得ないとか、よく聞きます」と述べた。

「国民の不安に向かい合う」思いを込めた

 高市氏の事務所に発言の根拠を問い合わせると、「実際に不起訴になる事例が頻発しており問題だということを言いたかったのではなく、そういう話が『人口に膾炙(かいしゃ)する』くらい、国民の間に不安が広がっている、ということを言いたかったもの」「国民の今の不安に率直に向き合う、そうした誠意と正義を貫く政治を行いたい、そういう思いを込めた演説だった」と文書で回答した。「人口に膾炙する」というのは、人々の間で盛んに話題になる、という意味だ。

 実際はどうなのか。

 警察庁によると、警察の通訳人は今年4月時点で民間の通訳人約9900人を含む約1万4100人。10年前と比べて約1千人多く、言語数も20ほど増えて約110言語に対応できる。容疑者の言語に対応できる通訳人が近くにいない事態も想定し、警察庁は7月から取り調べのルールを変えた。

 ルール変更前は取り調べで通訳人が容疑者に対面し、供述調書に署名と押印をする必要があった。変更後は、通訳人が遠方の場合は最寄りの警察署に出向いて電話で通訳できるようになった。

警察幹部、検察幹部ともに「聞いたことがない」

 容疑者が逮捕されてから起訴するまでは勾留期間を含めて最長で23日間だ。勾留しなくても任意の取り調べはできる。各地の捜査事情を知る警察幹部は「通訳は潤沢ではないが、取り調べができる期間中に通訳が接触できないという状況ではない」と話す。通訳不足で不起訴になった事例は「聞いたことがない」と言う。

 起訴するかしないかを決める権限を持つ検察内部でも同様の意見が聞かれた。地方の検事正経験がある幹部は「地方では希少言語の通訳確保に苦労することはある」としつつ、テレビ会議システムを使ったリモート通訳を活用するなどしており、通訳を確保できないという理由で「起訴すべき事案を不起訴にした事例は聞いたことがない」と言う。別の幹部も高市氏の発言は「あまりに根拠不明だ」と首をかしげた。

 事件捜査の通訳制度に詳しく、自身も通訳として警察や検察の捜査に20年以上協力している名古屋市立大学の毛利雅子教授(法言語学)は「通訳が数時間見つからないということはあっても、勾留期間中、誰も見つからないとは考えられない」と話す。

 毛利教授によると、例えば、容疑者が少数言語話者だとしても、英語やフランス語といった第2、第3言語の通訳を介して取り調べられる。少数言語の通訳が必要な場合も、東京など他地域から呼び寄せて対応しているという。

「質」の確保が課題に

 通訳が確保できずに不起訴に…

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    西岡研介
    (ノンフィクションライター)
    2025年10月3日11時0分 投稿
    【視点】

    これも的確なファクトチェックだが、できれば22日の演説会の直後に出してほしかった。「鹿発言」の時もそうだが、高市氏は、自らの排外的な発言の根拠もろくに示さないまま、「国民の間に不安が広がっている」ことを、その理由にする。 今後、彼女が同様

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    ダースレイダー
    (ラッパー)
    2025年10月3日11時37分 投稿
    【視点】

     高市さんは鹿の話の際は私が調べたと言っていましたが、翌日の東京新聞の現場取材で否定されています。今回も現場の警察からは否定されています。 どちらのケースでも高市さんは伝聞やネットで見た内容を語っているわけですが、これは高市さんの情報取得

    …続きを読む
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