発言自粛求められた市議「声上げ続ける」 共産は謝罪 埼玉・鶴ケ島

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木下ちがやさん
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会見する福島恵美・埼玉県鶴ケ島市議(左)=2025年8月5日、東京・霞が関、黒田早織撮影
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 埼玉県鶴ケ島市議会(定数18)が、「外国人差別反対」などと発信している福島恵美市議(44)=無会派=に対し、市議の肩書を使った発信の自粛を求める決議を可決したことを受け、福島市議は会見した東京都内で5日、「(決議は)とても残念。私は差別に屈せず声を上げ続けていきます」と話した。

 2023年に初当選した福島市議は、クルド人をはじめとする外国人差別に反対し、SNSで積極的に発信してきた。市や市議会事務局によると、福島市議に関して「議員を辞めさせてほしい」「議員としての品位がない」といった電話やメールなどが、7月の参院選前後を中心に150件ほど寄せられた。

 7月22日には福島市議の殺害と市役所爆破の予告も届き、議場を利用した子ども向けのイベントが中止に追い込まれた。市議会は今月4日、福島市議が「鶴ケ島市議会議員」の肩書を使って発信することで、市などの業務に支障をきたしているとして、決議を賛成多数で可決。採決に参加した15人中14人が賛成した。内野嘉広議長は5日、取材に対し「政治的な発言を制約する意味は全くない。少し配慮してもらえないかという趣旨だ」と説明した。

 一方、市議会の共産党市議団(2人)は、決議案の提出に賛同したことを「誤り」だとする謝罪声明を出した。太田忠芳市議は「当初は爆破予告などを早く収束させたいと決議案に賛成したが、議員活動の制限につながりかねないと判断した」。議長に決議案の撤回、提案者から名前の削除、反対討論などを求めたが、認められなかったといい、採決は欠席した。もう一人の市議は反対に回った。謝罪声明では「当初の決議(案)に賛同してきたことは明らかな誤りであり、深く反省しおわびいたします」としている。

     ◇

 「テロ組織の女性要員」などと非難する投稿で名誉を傷つけられたとして、福島市議は、投稿したフリージャーナリストの石井孝明氏に対して、220万円の賠償を求める訴訟を5日付で起こした。

 提訴を受けて石井氏は「福島氏は私の活動に対して敵意を抱き、継続的に妨害的行動に及んできた。訴訟の背景にも、かかる事情があると推察される」などとコメントした。

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    木下ちがや
    (政治社会学者)
    2025年8月6日17時4分 投稿
    【視点】

    この件の焦点は共産党の対応ではない。「市議の肩書を使った発信の自粛を求める決議を可決したこと」そのものにある。こうした決議が議員の言論抑制につながるのは当然批判されるべきだが、あわせてこのような対応は問題解決にはつながらないことも指摘したい

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