✅この記事では、macOS 26 “Tahoe”で報告されていたElectronアプリが原因のカクつき・重さ問題と、それをmacOS 26.2でAppleがシステム側から修正した経緯を整理します。難しそうに見える話ですが、Macの画面描画で何が起きていたのかを、できるだけ日常感覚に近い言葉で見ていきましょう。

• 今回のポイントまとめ
• 何が起きていたのか：ElectronとTahoeの相性問題
  • Electronアプリを開くと、なぜMac全体が重くなったのか
  • 「Electronアプリだけが重い」のではなく、Mac全体が重くなっていた理由
• macOS 26.2でAppleが入れた「土台側」の修正
• 注目したいポイント：ユーザー・開発者・今後のTahoe
  • ① ユーザー目線：とりあえずは「26.2を待つ」が一つの答え
  • ② 開発者目線：非公開APIとどう付き合うか
  • ③ 今後のTahoeアップデートとEdge Lightなどの新機能
• ひとこと：裏で動いている“調整役”としてのアップデート
• まとめ：Tahoe時代のMacを支える“影のアップデート”

どうも、となりです。

Tahoeにしてから「スクロールがカクつく」「Mac全体がなんだか重い…」と感じていた人もいるかもしれません。じつはそれ、特定のElectron製アプリを起動しているだけで、他のアプリまで巻き込まれていたという、なかなかややこしい現象だったんですよね。

この問題は、これまでElectronアプリごとのアップデートで対応してきましたが、9to5Macのレポートによると、最新のmacOS Tahoe 26.2ベータではAppleがOSの土台側から根本対策を入れたとのこと。Electronアプリを使う人にとって、かなり安心材料になるアップデートです。

今回のポイントまとめ

まずは9to5Macの記事の内容を、ざっくり整理しておきます。

• macOS 26 “Tahoe”では、一部のElectron製アプリを開いているだけで、Mac全体のスクロールがカクつく・描画が重くなる不具合が報告されていた。
• 原因は、Electronがウィンドウの角丸を制御するために、AppKitの「非公開API」を独自の方法でいじっていたこと。
• この結果、Electronアプリのウィンドウが見えているあいだ、macOSの描画システム（画面を描くエンジン）が過負荷状態になり、他のアプリまで巻き込まれていた。
• SlackやDiscordなど、主要なElectronアプリはすでに自前のアップデートで回避策を出していたが、ユーザー側はアプリごとのアップデート待ちが必要だった。
• 最新のmacOS 26.2ベータでは、Appleがシステム側でこの互換性問題を解消し、今後はElectronアプリが同じやり方をしても描画システムが全体的に重くならないようにしたと報じられている。
• この不具合を追いかけていた開発者 @Normarayr 氏が、問題のあるElectronアプリ一覧をまとめていたが、26.2アップデート後はそのリストも「役目を終える」とされている。
• Appleは公式ルールでも非公開APIの利用を強く非推奨（iOS App Storeでは禁止）としており、今回の件はそのリスクが実際に表面化したケースと言える。
• macOS 26.2は12月ごろの一般公開が見込まれており、Edge LightによるWebカメラ照明機能やThunderbolt 5クラスタの強化など、他の新機能も含まれている。

macOS 26 “Tahoe”自体の全体像については、すでにまとめたレビュー記事（macOS 26 Tahoeレビュー）もあるので、合わせて見てもらうと流れがつかみやすいと思います。

何が起きていたのか：ElectronとTahoeの相性問題

では、そもそもなぜ「Electronアプリを1つ開いているだけで、ほかのアプリまで重くなったのか？」という話から整理してみます。

Electronアプリを開くと、なぜMac全体が重くなったのか

今回の不具合は、電子レンジにたとえると「1台誤作動しただけで、家じゅうのブレーカーがギリギリの状態になる」ようなものでした。Electronアプリは、見た目は普通のMacアプリですが、中身はWebブラウザをラップしたアプリフレームワークです。

Slack、Discord、Notion、Figma、Visual Studio Code など、多くのメジャーアプリがElectronベースですよね。以前の記事（macOS TahoeでMacが重くなる？原因はElectronアプリ──開発者が修正版を配信開始）でも触れましたが、同じ「エンジン」を共有している分、ひとつのバグが広い範囲に波及しやすい構造になっているんです。

macOS Tahoeでは、Electronアプリがウィンドウの角丸やマスク処理をカスタムするために、AppKitの非公開APIをこっそり触っていたことが問題の出発点でした。Tahoe側が内部仕様を更新した結果、Electronのやり方と噛み合わなくなり、画面描画のパイプラインが異常に重くなる状態が続いてしまった、というわけです。

「Electronアプリだけが重い」のではなく、Mac全体が重くなっていた理由

やっかいだったのは、「そのElectronアプリだけが重い」のではなく、ほかのネイティブアプリまで巻き込まれてしまう点でした。Electronのウィンドウが1枚でもデスクトップ上に見えていると、macOSの描画システム全体に負荷がかかり、SafariやMail、Finderなど、関係のないアプリまでスクロールがカクつくような状態になっていたと報告されています。

「アプリ側の工夫で何とかする」だけでは限界があり、OSの内部とElectronの挙動がかみ合わないとこういう形で表面化する、という典型例だったとも言えます。Tahoeでは、Liquid Glass UIまわりでもメモリリークのような挙動が話題になりましたが、この件とは原因が別筋です（Liquid Glassの話は、別記事のLiquid Glass不具合まとめで詳しく整理しています）。

macOS 26.2でAppleが入れた「土台側」の修正

今回の9to5Macの記事によると、最新のmacOS Tahoe 26.2ベータでは、このElectron由来の負荷問題に対してOS側で互換性レイヤーを追加したようです。ざっくり言うと、「Electronが過去と同じように非公開APIを触っても、描画システムが暴走しないようにガードを入れた」と考えるとイメージしやすいと思います。

これまでは、Electron側が非公開APIの利用をやめるアップデートを配信し、それを各アプリが取り込むことで問題を解消していました。つまり、ユーザーとしてはアプリごとのアップデート待ちになっていたわけです。今回、OS本体に補正が入ったことで、まだ更新されていないElectronアプリでも、画面描画が全体的に重くなる現象は出にくくなると期待できます。

また、この修正は今後のElectronアップデートやTahoeのマイナーアップデートとの相性にも関わってきます。macOS 26.1のときにも、パブリックベータでの挙動や追加要素をまとめましたが（参考：macOS Tahoe 26.1パブリックベータ整理記事）、26.2ではより「土台の安定化」に重点が移ってきている印象です。

注目したいポイント：ユーザー・開発者・今後のTahoe

ここからは、今回の話で気になったポイントを3つに分けて整理してみます。

① ユーザー目線：とりあえずは「26.2を待つ」が一つの答え

ユーザー目線では、とてもシンプルで、「Electron製アプリを多用していてMacが重いなら、macOS 26.2へのアップデートがひとつのゴールになる」という話です。もちろん、それまでは各アプリを最新バージョンに保つことが大事ですが、最終的にはOS本体がガードを持つことで、根本的な安心感が高まります。

すでにTahoeの全体像や、Intel最終サポートなどをまとめた記事（macOS 26 Tahoeレビュー）でも触れましたが、26世代は見た目以上に「裏側」を大きく動かしている印象があります。今回の修正も、その延長線上にある動きと言えるかもしれません。

② 開発者目線：非公開APIとどう付き合うか

開発者側から見ると、今回の件は「非公開APIに頼ると、OSアップデートのたびに同じリスクを抱える」という教訓そのものです。Appleは昔から「Private APIの利用はやめましょう」と言い続けていましたが、実際に大きなパフォーマンス劣化として現れたケースはそう多くありませんでした。

Electronのように、多くのアプリの土台となるフレームワークが非公開APIに触れると、その影響範囲は一気に広がります。今回AppleがOS側でも防御策を入れたのは、「ユーザー体験を守るためには、アプリ側の自己責任論だけでは足りない」と判断した結果とも読めますし、今後のAPI設計にも影響してくるかもしれません。

③ 今後のTahoeアップデートとEdge Lightなどの新機能

macOS 26.2は、バグ修正だけでなく、Edge LightによるWebカメラの照明機能や、Thunderbolt 5を使ったMac同士のクラスタ構成の強化など、日常の使い勝手やプロ用途の伸びしろも含んだアップデートになると見られています。このあたりは別途まとめた26.2特集（macOS 26.2新機能まとめ）の内容ともつながってきます。

パフォーマンス面の不安が解消されることで、こうした新機能に意識を向けやすくなるのもポイントです。「Tahoeにしたいけど、挙動が重いって話も聞くし…」と様子見していた層にとって、26.2はひとつの安心材料になるアップデートだと感じます。

ひとこと：裏で動いている“調整役”としてのアップデート

今回の話は、派手な新機能というより、「OSとアプリのあいだで起きているズレを、そっと直すタイプのアップデート」です。ユーザーからすると、バージョン番号が変わっても見た目が劇的に変わるわけではないので、ついスルーしがちな領域かもしれません。

ただ、こうした調整が積み重なることで、「気づいたらMacが安定している」「トラブルの話をあまり聞かなくなった」という状態につながっていきます。Electronアプリを日常的に使っている人ほど、26.2の配信タイミングはぜひチェックしておきたいところです。

まとめ：Tahoe時代のMacを支える“影のアップデート”

最後に、今回の内容をかんたんに整理しておきます。

• macOS 26 “Tahoe”では、一部Electronアプリが原因でMac全体の描画が重くなる不具合が報告されていた。
• 原因は、Electronがウィンドウの角丸処理などでAppKitの非公開APIを独自に利用していたこととされている。
• これまではElectron側と各アプリのアップデートによる回避が中心だったが、macOS 26.2ではOS本体が互換性レイヤーを追加し、システム全体への悪影響を防ぐ方向に動いている。
• 非公開APIに頼る設計は、OSアップデート時に大きな副作用を生む可能性があり、今回の件はそのリスクが実際に表面化した例と言える。
• macOS 26.2は、Edge LightやThunderbolt 5クラスタなどの新機能も含んでおり、Tahoe世代の「安定性＋使い勝手」を底上げするアップデートになりそう。

表側で語られるのはどうしても派手な新機能が中心ですが、こうした「影のアップデート」こそ、毎日の使い心地を支えている部分でもあります。あなたのMacでもTahoeにまつわる違和感があったら、26.2の正式リリース後に、あらためて挙動をチェックしてみてください。

ではまた！

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Source: 9to5Mac

※本記事は開発者向けベータ版の情報をもとにしており、正式版では仕様が変わる可能性があります。