
✅この記事では、ジャスティン・ビーバーが噛みついたiPhoneの音声入力ボタン問題と、その裏側にあるAppleのデザイン・AI戦略の揺れを整理します。どこがそんなにストレスなのか、そしてこの小さな不満が大きな流れとどうつながるのかを見ていきます。
どうも、となりです。
メッセージを送ったあと、つい誤タップして「ピッ」と鳴り、音楽が一瞬止まる──。日常のちょっとしたストレスですが、これに世界的アーティストのジャスティン・ビーバーが本気で怒り気味の投稿をしたことで、一気に注目が集まりました。「もう一回鳴ったらApple社員全員にリアネイキッドチョークをかける」とまで書いてしまうあたり、冗談半分とはいえ、かなりイラッとしているのが伝わりますよね。
しかもタイミング的には、AppleのAIトップやデザイン幹部の退任・移籍が相次いだ直後。OpenAIやMeta、そしてジョニー・アイブ氏らとの関係も含めて、「AppleのデザインとAIはどこへ向かうのか?」という大きなテーマとも重なってきます。
If I hit this dictation button after sending a text and it beeps and stops my music one more time,
— Justin Bieber (@justinbieber)December 6, 2025
I’m gonna find everyone at apple and put them in a rear naked choke hold
Even if I turn off dictation I somehow hit the voice note thing
The send button should not have multiple…pic.twitter.com/9R0oKw239L
ビーバーが問題視しているのは、大きく言うと3つのポイントです。
まずは、IT之家や海外メディアが伝えた内容を整理します。
見方を変えると、これは単なる芸能ニュースではなく、音声入力UIとメッセージアプリの設計に対する、かなり本質的なフィードバックとも言えます。以前から音声関連の設計を追っている人なら、ChatGPT広告とSiri経由の抜け道のような話とも地続きに感じられるかもしれません。
iOSのメッセージ入力欄では、キーボード右下付近にマイク由来のアイコンが並びます。ユーザーが素早く入力していると、送信ボタンのつもりで触った場所に、別の状態では音声入力ボタンが現れていることがあります。つまり、「同じ場所に別の機能が出たり消えたりする」設計なんですよね。
ビーバーはここを的確に刺していて、「送信ボタンと同じ場所に複数の機能を置くべきではない」と指摘しています。テキストを送って満足しているタイミングで、意図せず「ピッ」と鳴って音楽が止まる──。本人は冗談交じりの表現ですが、ユーザー体験としては確かにストレスの大きい動きです。
しかも彼は、以前にも同じ件で不満を述べていたことがあるとされており、一過性の不満ではなく、長年続いている「設計レベルの違和感」として捉えているようです。
IT之家は、このビーバーの批判がAppleにとって激動の一週間の終わりに出てきたことも指摘しています。具体的には、次のような人事が立て続けに明らかになりました。
AI戦略のトップと、人とデバイスの接点を設計してきたデザイン責任者。この2人の動きは、Appleがいま直面しているAI・UIの再構築フェーズを象徴しているようにも見えます。AI統合については、すでにApple Intelligenceのまとめ記事でも触れてきましたが、今後は「誰がその体験をデザインするのか」という視点もより重要になってきそうです。
同時に、AI分野ではOpenAIやGoogle、Metaなどの動きが加速しています。OpenAIは10月に独自のアプリストアを立ち上げ、AppleやGoogleのプラットフォーム支配に対する直接的な挑戦と見る向きもあります。また、Apple元CEOのジョン・スカリー氏は、OpenAIを「ここ数十年で初めての本当の競合相手」と評したとも報じられています。
そのOpenAIは、Appleからの人材引き抜きでも話題になりましたし、ジョニー・アイブ氏と協力して「iPhoneに対抗しうる新デバイス」を開発しているとも噂されています。こうした文脈の中で、AppleのUI設計に対する批判がバズる構図は、少し象徴的にも見えてきますよね。
一見すると、ビーバーの投稿は「マイクボタンの位置が嫌だ」というだけの話にも思えます。ただ、Appleのプロダクトはこれまで「細部のストレスを徹底的に削る」ことで評価されてきました。だからこそ、世界中のユーザーが日常的に触るメッセージアプリで、こうした誤タップの話が繰り返し出てくるのは、Appleらしさとのギャップとして受け取られても仕方ない部分があります。
特にこれからは、SiriやApple Intelligence経由での音声操作が増えていくはずです。すでにiOS 26.1のSiri大型アップデートなどでも、音声とテキストの境界が少しずつ変わり始めています。その入り口となるボタン周りのUIが雑に感じられてしまうと、「音声インターフェイス全体への信頼」も少し下がってしまうんですよね。
今回面白いのは、OpenAIのデザイン責任者が「週次デザインレビューに招待したい」と反応した点です。これは単なるリップサービスというより、著名ユーザーの生の不満が、プロダクト改善のヒントとしてそのまま使える時代になった、という象徴のようにも見えます。
Appleにとっても、ビーバー級のアーティストが公にUIを批判するのはインパクトが大きい出来事です。一方で、こうした声をきっかけに、「音声UIとメッセージUIの重なり方」を見直すきっかけにもなり得ます。過去には、Siri刷新プロジェクト「AKI」や、MetaへのAI責任者引き抜きなどもありましたが、いまのAppleにとって一番重要なのは、「誰にとっても素直に使える音声体験」を再定義することかもしれません。
AI・法務・環境といったキーポジションの退任が重なったことで、「ティム・クックの次」をめぐる議論も熱くなっています。これは、ティム・クック退任報道否定の記事でも整理してきたテーマですが、トップが変われば「何を重視するか」も微妙に変わっていきます。
AI時代のAppleに必要なのは、豪華なデモでも派手なコピーでもなく、毎日何十回も触るボタンを「ちゃんと気持ちよく動かす」ことかもしれません。ビーバーの投稿は、そのごく一部を代弁しているだけですが、「小さいけれどみんなが感じている違和感」を象徴する事例として、今後のUI改善の材料になっていきそうです。
全体として、ビーバーの投稿をきっかけに「音声入力ボタンまわりの設計」と「iOSのUI/UXの迷走」への不満が一気に噴き出しており、海外でも賛同とツッコミが入り混じる盛り上がりになっている印象です。
今回の件を一言でまとめると、「声が主役になる時代だからこそ、マイクボタン周りの粗さは許されにくい」という話だと感じています。音声入力や音声メモは、本来ならユーザーの手間を減らしてくれるはずの機能です。それが誤タップを誘発し、音楽を止め、イラッとさせてしまうなら、本末転倒ですよね。
Appleはこれまで、見えないところの磨き込みで評価されてきた会社です。だからこそ、メッセージアプリのボタンひとつの話でも、「いまのAppleは細部までちゃんと見ているのか?」という問いに直結してしまいます。あなたは、いまのメッセージ画面のマイクボタン配置、どう感じていますか? 「ちょうどいい」と思うか、それともビーバー寄りの気持ちでしょうか。
ジャスティン・ビーバーの投稿は、一見すると「ちょっと過激な愚痴」にも見えます。ただ、そこには音声UIとメッセージUIが混線したまま放置されている現状と、AI競争の中でデザイン面の細部が置き去りになっていないかという不安も透けて見えます。
一方で、OpenAIやGoogle、Metaとの競争が激しくなるなかで、AppleはApple IntelligenceやSiriの刷新など、経営と人材の再編を進めながら「次の10年の体験づくり」を模索している最中です。そこで問われるのは、派手なAI機能よりもむしろ、「送信ボタンの隣に何を置くか」というレベルの判断かもしれません。
小さなマイクボタンをめぐる一件は、AI時代のAppleにとって、「細部から信頼を積み上げ直せるかどうかのテスト」と言えるのかもしれません。あなたなら、このボタンの配置をどう変えてほしいと感じますか?
ではまた!
Source: IT之家, Business Insider, HyperAI
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