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商品の説明
著者について
●井上 荒野:1961年生まれ。成蹊大学卒。89年、「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞受賞。 2004年『潤一』で島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で直木賞、11年『そこへ行くな』で中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。著書多数。
登録情報
- ASIN : B01ASK4NLI
- 出版社 : KADOKAWA (2016/1/25)
- 発売日 : 2016/1/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1.0 MB
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 222ページ
- ページ番号ソース ISBN : 4041101409
- Amazon 売れ筋ランキング: - 55,185位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。1989年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞し、デビュー。2004年『潤一』(新潮文庫)で第11回島清恋愛文学賞、2008年『切羽へ』(新潮社)で第139回直木賞を受賞。『あなたがうまれたひ』(福音館書店)など絵本の翻訳も手掛けている。
上位レビュー、対象国: 日本
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- 2012年6月2日に日本でレビュー済みフォーマット: 単行本Amazonで購入普段新刊を読むことは滅多にないのだが、三週間ばかり前に出版された
井上荒野の「結婚」を読んだ。
僕は新刊を買うことは珍しいのだが、今回は諸事情があり購入。
知り合いにこの作家の最近の作品の感想を伝える、というたわいもない理由。
昨年の中央公論文芸賞の受賞作「そこに行くな」も図書館から借りていて、
次はこれも読んで感想を伝えなければいけない。
この小説のこと。
父親の井上光晴の同名小説のオマージュとのことだが、その作品を読んで
いないので、どんな関連があるのかは、僕にはわからない。
読み終えた後の印象は「面白い小説」。
結婚詐欺を業とする男と取り巻く女達の物語なのだが、陳腐な物語にならず
登場人物の一人一人のキャラクターが際立っている。
この作家の小説はずいぶん読んだ。
女→妻がいる男との恋愛・情事→そこから始まる物語、そんなパターンの展開が
得意な作家と勝手に思っていたが、この作品は良い意味でそうした期待を裏切る。
更に以前の作品と変わっているのは、作品の中の物理的な地域の広がり。
ひとつの作品の中で仙台から九州、果てはインドネシアまで登場人物が飛ぶ
のはこの作家の小説では相当珍しいと思う。
インドネシアまで飛んでしまったのは、ちょっと唐突感があったけれど。
それと登場人物の多さ。(結婚詐欺の話だから当然かも知れないが)
話は脱線するが、僕はインドネシアの都市名のフェチで「スラバヤ」とか
「バタビア」とか、行ったこともないくせに出てくるとワクワクしてしまう。
話を戻して、物語そのものが面白いので、帯の扇情的なキャッチ・コピー
「女が恨んでいるのはあなたよ」は逆に必要ないのでは、と思った。
本を手にした時、コピーを見てギョッとした感と読後の印象がかなり異なる。
面白い小説である、ということを再び強調しておく。 - 2017年3月23日に日本でレビュー済みフォーマット: Kindle版 (電子書籍)Amazonで購入一言で言えば、それでもいい、ということだ。
映画化されると知った日に電子版をダウンロードし、
二日とかからずに読み終えた。
登場人物が多く、時系列も時々整理して考える必要があるが、
嫌悪感を感じつつもどんどんとページをめくらせる、
そのじめじめした世界観に引き込まれてしまう、
でも突然、捨てられ取り残されたように終わり、
読後は鉛のように重く、どこに向けたら良いのか分からないような気持ちになる。
読んでいる間何度も胸を締めつけられるように感じるのに
どうしてか涙が出ないまま、吐き出せない苦しみが残る。
その後に読む西加奈子さんの解説が救いである。
読者の感じている苦しみを代弁してくれて、初めて涙を流すことができる。
自分が「自分はこういう人間」と思っていたところから、
恋は、驚くほどあっさりと自分を「」からはみ出させて無防備にして、
引きちぎられる痛みは生きている証のように、
苦しくて苦しくて苦しい、のに、美しくもあり失いたくない。
以下はネタバレ含む。
何の取り柄もない平凡な自分、
この先もきっと面白みのない日常が続いて行くのだろう、
いつか結婚はしたいけれど、きっとひとりなのだろう、
こんなつまらない自分を好きになってくれる人はいないだろう。
そんな風に思っていた自分の人生を
彼が異国に連れ出すように手をひいて、新しい景色を見せてくれて、
いや、世界はこんなに美しかったんだって気づかせてくれて、
自分の手汗さえも愛おしいと思ってくれるような優しさで包んでくれて、
彼の言葉が自分の心を救ってくれたように感じたら、
きっと命の恩人のように感じると思うし、
予想もしなかった幸せな未来を見させてくれたら、
もう他の何もいらないし、その夢を信じたいと思うし、
だから繰り返し浮かび上がる疑念を振り払って、
ただ彼を信じて生きていきたいと思ってしまう、
その心が痛いほど伝わってくる。
たとえそれが詐欺であっても、
お金や宝石を盗られていても、
もしかしたらもう彼が自分に愛を囁いてくれる日が来ないのかも知れないと、
それが分かっても、
それでもいい、そう言えるだけの幸せを彼が与えて残してくれたのだ。
あんなに幸せな気持ちにさせてくれた人はいない、
あんなに楽しかった日々はない、
その思い出だけはなくならない。
騙された女性たちは、詐欺に遭ったことに薄々気が付いても、
そして間違いないと思わせる事実を突きつけられても、
自分だけは特別だと、心のどこかで諦めきれないでいる。
そして、騙されたことに腹が立つとしても、自分が愚かだったのだと思い、
彼を憎むことができないでいる。
まだ心のどこかで愛しているし、愛されていると思っている。
実際、まだ愛し愛されているのかも知れない。
唯一お金を取り戻そうと行動し、あと一歩のところまでたどり着いた鳩子ですら、
復讐に向かう、その途中でも、薔薇色の風景を切り裂いて進まなければならない。
彼が見せてくれた夢はそれほどまでに美しく魅力的だから。
彼女は被害者同盟を作るつもりらしいが、女性たちはきっとそれに同意しないだろう。
彼を詐欺師として訴えたら、自分は結婚詐欺の被害者になってしまう。
彼は愛し愛してくれた人ではなく、犯罪者になってしまう。
もし法廷やその他の場所で彼と対峙することになったら、
それまで自分の心の中に残っていた彼との美しい思い出が、
悲しみや落胆や嫌悪感に塗り替えられてしまう。
もしかしたら彼の心の中に残っていてくれたかも知れない自分の顔、
幸せに満たされて愛していると言った、
もしかしたら「かわいい」と思ってくれたかも知れない自分の顔が、
彼の中で醜いものに塗り替えられてしまう、
そんなことは望まないからだ。
いつかもっと夢中にさせてくれる誰かに出逢うまで、
たとえそんな相手に出逢えたとしても、彼のことは忘れられないだろう。
もしかしたら死ぬまで。最期に思い出す人かも知れない。
女にとってはたとえそうだとしても
男にとってはどうなのだろうか。
彼が結婚詐欺師になったのは、
いや、女性を騙すことを繰り返すのは、
もしかしたら、自分を捨てた母親に対する復讐かも知れないと思う。
憎しみと同時に、深い悲しみ、愛を乞うこじれた感情が伝わってくる。
その痛みを共有できた妻との結婚は理解できる、
でもそれだけでは変われなかった。
母親の愛情は誰にも肩代わりできない、多分。
どれだけ詐欺を繰り返しても
果たされない復讐、満たされない心、老いていく自分、
ずっとこのままではいられない、どこに向かっているのか分からない、
いつか全てを失うかもしれない不安、
むしろ全てを失って終わりにして解放されたいような疲れ切った心、
彼が幸せな時間はあったのだろうか。
嵐の前の静けさのようなたくさんの伏線と疑問を残して、
小説は終わる。
さて、映画化である。
主演の彼は妻を愛し、子どもを愛し、神に信仰を持ち、慈愛の心を尊び、
人を傷つけたり騙すことだけは決してしてはいけないと
心に決めている人である。
その彼がどんな思いでこの役のために気持ちを作ったのだろう、
そう思うと、撮影期間中ただただ辛かった。
どんな役でもその役の気持ちに理解できるところがなければ演じられない、
悪い男だけど憎めない、古海というキャラクターを好きになり、
役を引き受けるからには全力で、この映画に尋常でない愛を注いだという。
そして、彼の魅力を引き出して世に出してくれた監督との3回目のタッグである。
悪いようにはしないだろう。むしろ、最高!にしてくれるのだろう。
古海の声や表情は、温かいお湯のよう、という描写が何度か出て来る、
それが彼が愛されてしまう大きな理由のひとつではないだろうか。
詐欺師と主演の彼を同じにしたくないという抵抗を感じつつも、
その声やその笑顔を理由なしに好きになってしまう気持ちが重なる。
そんな表情が大きなスクリーンに映し出されるのだろう、
そして女性たちとの関係がどんな風に表現されるのだろう。
それを直視する勇気はない。
彼の一生懸命演じた役を観たい気持ちと、
それを観てしまったら、今度こそ心が壊れて、
もうそれ以前には戻れないような気さえする怖さがぶつかる。
これは通過点で、この先もっと重い気持ちを演じていくだろう、
世間が彼にもっときわどいものを求めていくとしたら…
求められるから成り立つ職業、それに応えていくのだろう。
彼は果たして幸せだろうか、
それが一番気がかりである。
それでも彼はいつも幸せな方を選択する、そう信じている。
読むと苦しくなるから
それでも読ませる文章だから
星3つ - 2012年9月29日に日本でレビュー済みフォーマット: 単行本Amazonで購入『野生時代』2010年08月号から11年05月号掲載
掲載誌を見て、なるほどだからこうなったのかと納得。井上荒野らしさと非らしさの同居がサクサクとページを捲らせる。ここまで内省的なダメ男は初めてかもしれない。実は強かで哀れな女はいつも通りだ。第一エピソードは完結した短編としても十分に楽しめる。じわじわと身体に染み渡る怖さが崩壊の跫なのか? - 2024年11月11日に日本でレビュー済みフォーマット: 単行本結婚詐欺が全体を貫くテーマだと思うが、主人公古海の性格面での突っ込みが今一だし、プロット展開も平板である。もう少し読者を引っ張る展開や性格描写があれば、いい作品になったであろう。
- 2017年2月26日に日本でレビュー済みフォーマット: 文庫Amazonで購入読んで、満足です。読んだ感想は、人ぞれぞレ、私は女心の切なさ、可愛いさを、描いた一冊なのかなと。
- 2017年3月2日に日本でレビュー済みフォーマット: 文庫Amazonで購入もう少し、古海自身を掘り下げて欲しかった。女性が虜になる毒を掘り下げて欲しかった
少し物足りない。 - 2012年6月3日に日本でレビュー済みフォーマット: 単行本登場人物が次々と出てきて少し頭が混乱しますが、面白くて「続きはどうなる!?」と、どんどん引きつけられ、どんどん読み進めました。
しかしラスト…というより最後。
話が終わらないまま終わった感があります。
読む側の想像にお任せなのかもしれませんが、何一つ解決しないまま終わってしまったのは、私にはとても残念でした。
結局、るり子はどうなったの?
結局、初音はどうなったの?
結局、真木はどうなったの?
結局、鳩子はどうなったの?
私の想像力が無いせいかもしれませんが、謎謎なぞ…。。
続編はないのでしょうけど、続きが読みたいよお。 - 2017年3月5日に日本でレビュー済みフォーマット: 文庫Amazonで購入期待が大きすぎたので、こんなもんかな?という感じでした。サラッと読めます。