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ゲーム愛好者らが酵素の構造を解析、米研究

 発信地:ハノーバー/ドイツ [ヨーロッパドイツ ]

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ゲーム愛好者らが酵素の構造を解析、米研究
ドイツ・ハノーバー(Hannover)で開催された世界最大のIT見本市「CeBIT」で、オンラインゲームに興じる若者たち(2011年3月3日撮影、資料写真)。(c)AFP/JOHANNES EISELE
【9月19日 AFP】仮想空間「セカンドライフ(Second Life)」やオンラインゲーム「ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeons and Dragons)」の領土を越えてオンラインゲーマーたちが手柄を立てた――科学者たちを10年もの間悩ませてきたヒト免疫不全ウイルス(HIV)様ウイルスの酵素の構造を解析したのだ。

 18日の「Nature Structural & Molecular Biology」は、ゲーム愛好者たちの名前を研究者たちとともに論文の共同執筆者として掲載するという科学専門誌としては異例の対応で、その功績をたたえた。ゲーム愛好者らが長いあいだ未解決だった科学的問題を解決した初めての事例とみられる。

■アミノ酸の束を立体化するゲーム「Foldit」

 研究の対象は、HIVなどのレトロウイルスの複雑な分子を切断する役割を果たすプロテアーゼだった。

 タンパク質の構造を解明することは、多くの疾病を理解し、それを阻止するための薬剤を開発するために不可欠だが、顕微鏡では、一般の人ならばしわくちゃになった平板なスパゲティのようにしか見えない、平面的な図像しか得ることができない。薬理学者が薬剤の標的となり得る部分を探すには、3次元の図像に「展開(unfold)」し、それを回転させるなどして検討する必要がある。

 ここで「Foldit(フォールドイット)」が登場する。2008年に米ワシントン大(University of Washington)が開発したこのビデオゲームでは、ゲーマーたちはグループに分かれ、タンパク質の構成要素であるアミノ酸の鎖を、オンライン上のツールを使って展開することを競い合う。

■ゲーマーの恐るべき創意工夫能力

 科学者たちを驚かせたのは、ゲーマーたちが酵素の正確なモデルをたった3週間で作り上げたことだった。

 ワシントン大生化学研究室のファース・ハティーブ(Firas Khatib)氏は報道陣向けの発表で、「自動化による手法で解けなかった問題を、人間の直感が解決できるかを確かめたかった」と述べ、「ゲームプレーヤーの創意工夫の能力は恐るべきもので、適切に指導されれば、幅広い科学的問題の解決に用いることができるだろう」と語った。

 Foldit開発者の1人、セス・クーパー(Seth Cooper)氏は、コンピューターに解けなかった問題をゲーマーたちが解いたことについて、「コンピューターがまだ苦手にしている空間推論の能力が人間には備わっている」と語った。

「ゲームというものは、コンピューターと人間の力を結集するための枠組みを提供する。今週発表された論文に掲載された結果は、ゲームと科学、コンピューター使用を組み合わせることで、以前ならば不可能だったような進展を得ることが可能になるかもしれないことを示している」(クーパー氏)

(c)AFP
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