土用の丑の日といえば、「うなぎ!」ですよね。でも単にうなぎを食べる日だと思っている人が多いのではないでしょうか?よくよく考えてみると、なぜうなぎ?土用って?丑とは?と、色々わからないことがでてきます。そこでこの記事では、土用の丑の日をわかりやすく解説していきます。毎年うなぎを食べる習慣はあるけど、あまり深く考えることもなかった方には、行事食の由来や意味を知ることで、より土用の丑の日が待ち遠しくなるかもしれませんよ。ちなみに2024年の土用の丑の日は、一の丑が「7月24日(水)」、二の丑が「8月5日(月)」の2回なのでお忘れなく!
ここからは土用について解説していきます。土曜と同じく、“どよう”と読みますが、よく見ると漢字が違いますよね。昔は土曜日を土用日と書いたのでしょうか?それとも別の意味が?そうです、土用とは、曜日を指す土曜とは何の関係ありませんでした!
まず土曜は、古代中国の“七曜”という考え方からきた言葉だそうです。七曜は、1週間を7つに分けるという意味で、それに基づいてできる7つの曜日のうちの1つが土曜。皆さんもよく知る一週間の曜日のことですね。
一方で土用は、「土旺用事(どおうようじ)」を略した言葉です。土旺用事とは、“土(つち)が旺(さかんに)なり用事(働き・支配)をする”という意味で、土がもっとも働く時期を指していたそうです。時がたち、今では季節の変わり目の18日間を土旺用事=土用と呼ぶのが一般的です。
つまり、土曜はみなさんもよくご存じの曜日のことで、土用とは季節の変わり目。全然ちがう意味なので、今後は混同しないように注意しましょう。そして、季節の変わり目である土用は、四季と同じく年に4回あることもポイント。夏土用は7月下旬~立秋までを指します。
土用の意味はわかったと思いますが、まだ丑の日についてはさっぱりです。実は丑って、十二支の中の丑を指しているんですよ。十二支は干支のイメージから、“今年は丑年、来年は寅年”と、1年単位で変わる物と思われがちですが、実際は1日単位でも決められています(日めくりカレンダー等に小さく書かれている十二支を見たことありませんか?)。つまり、土用の丑の日というのは、“18日間の土用期間にある丑の日”という意味なんです。
ではなぜ、夏の土用の丑の日だけが一般的に広く浸透したのでしょうか?それは季節に関係しているとされています。土用は季節の変わり目なので、体調を崩しやすい時期。中でも夏は、暑さによる夏バテや食欲不振などにより体調を崩しやすくなります。それに昔は冷蔵庫もなかったので、雑菌などの繁殖により、夏は疫病が流行りやすい季節でもありました。だから夏の土用が重要視されるようになったと言われています。
古くから丑の日に、“う”のつく食べ物を食べると元気に過ごせると伝えられていて、例えば梅干しや瓜、うどん、牛肉、馬肉などが食べられていたそうです。土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのは江戸時代後期とされているので、それまでは“う”のつくものを選んで、色々食べていたんでしょうね。
うなぎを食べるきっかけには諸説ありますが、学者の平賀源内が広めたという説が最もよく知られています。それはうなぎ屋が夏にうなぎが売れないことを平賀源内に相談したところ、土用の丑の日に「今日は丑の日」と張り紙をして宣伝するようにアドバイスをもらったそうです。
うなぎは旬が冬であることや、暑い季節に脂ののったうなぎが好まれなかったこともあり、夏場は例年売れなかったそうです。ところが、土用の丑の日に張り紙をしたところ、お店は大盛況。これが丑の日におけるうなぎキャンぺーンのはじまりで、それ以降、今でもずっとうなぎを食べる習慣が残っているんです。
土用の丑の日に“う”のつく食べ物を食べる習慣は、平賀 源内によるうなぎのキャンペーンがはじまる以前からあったので、“う”のつく食べ物がうなぎじゃなくても問題はありません。また、“う”のつく食べ物以外でも、古くから伝わる土用の丑の日の行事食はあります。ここでそれら3つを紹介します。今年はうなぎにプラスして、一緒に楽しむのもアリかもしれませんね。
1つめは、土用シジミ。昔から土用シジミは“腹の薬”といわれ、体によい食べ物として知られています。食欲がないときは、シジミのみそ汁を飲んで栄養補給するとよいでしょう。2つめは、土用餅です。土用に食べるあんころ餅のことで、餅は力餅、あんこは厄除けになると信じられ、土用餅を食べることで無病息災で過ごせるとされています。
最後は、土用卵。これは土用の期間に産み落とされた卵を食べる習慣で、精がつき、疲労回復や夏バテ防止になるとされて食べられていたそうです。現在でも卵は完全栄養食と言われていますよね。土用は体調を崩しやすい季節の変わり目なので、うなぎでなくても今回紹介したような体に効果が期待できる食べ物がおすすめです。
春土用は戌の日なので、“い”のつく食べ物がおすすめです。この季節は、いちごやイカ(スルメイカ・アオリイカ)が旬で美味しいです。他にも、インゲン豆、芋、いなり寿司なんかもありますよね。献立に迷った日のヒントにしてもいいかもしれません。
春土用のころは、気温が変わりやすく、五月病や体調を崩すことが多い季節です。だからビタミンなどが多く含まれている食材や、良質なタンパク質を摂ることで、健康管理をしっかりおこなうことが重要なんです。
秋土用は辰の日なので、“た”のつく食べ物がおすすめ。大根、玉ねぎやたこなど、どれも気軽に食べられる食材ばかりです。また、青魚を食べると良いとも言われているんです。例えばサンマやいわし、サバなどは、10月頃に旬を迎えて栄養価も高くなる頃なので、美味しくいただけますよ。
秋土用の時期は、夏に溜まった疲れがあらわれやすいタイミングです。夏の疲れと気温の変化は体の不調の原因にもなるので、これから冬を迎える前に、少しここで休むように心がけましょう。冬に備えて健康管理をはじめるきかっけとなるのが、秋土用といえるかもしれません。
冬土用は未の日なので、“ひ”のつく食べ物がおすすめです。ヒラメや干物、ひじきが代表的だと思います。また、冬土用は赤い食べ物も縁起がよいとされているので、りんごやトマト、かにといった食べ物を冬土用に食べるのも◎。
さらに近年では、冬土用にうなぎを食べる方が増えているんです。本来、夏土用に食べるうなぎの旬は、夏ではなく晩秋から初冬にかけてです。そのため、冬土用に美味しいうなぎを食べようという取り組みが各所でおこなわれていて、盛り上がりをみせています。気になる方はチェックしてみてください。