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小説家の京極夏彦さんが
ミステリーの話でもなく、妖怪の話でもなく
「寝ない人」として「睡眠論」に登場してくれました!
どうして寝ないのか、ほんとに眠くはないのかと
いさんで話を聞きに行ったのですが‥‥。
糸井重里との対談は冒頭から脱線につぐ脱線。
とにかく、いろんな話が出てきます。
でも、それはそれで、たいへん愉快でしたので
どうぞそのまま、お楽しみください。
もちろん、京極さんの「寝ない」についても
そのうち、出てくることでしょう。
睡眠の話も、それとは関係ない話も
「ほぼ日の睡眠論。」外伝として
どうぞ気長に、お付き合いくださいませ。





第1回  くそじじいになりたい。       2007-12-17
第2回  なまけものになりなさい。2007-12-18
第3回  幸福の第一条件は金塊である。2007-12-19
第4回  今日のテーマは「睡眠」です。2007-12-20
第5回  寝ようが寝まいが、どっちでもいい。2007-12-21
番外編  映画『魍魎の匣』が公開されます!2007-12-22
第6回  こだわらない主義。2007-12-24
第7回  みょうにムリのきく体質。2007-12-25
第8回  寝ないから、なに? 2007-12-26
第9回  思い起こせば、6つのころから。2007-12-27
第10回 燃費はいいわ、耐久性はあるわで。2007-12-28
最終回  京極さんが、眠るとき。2007-12-31





京極あれは‥‥『プレイボーイ』で対談したのは
何年くらい前になるんですかね。

糸井ええと、10年とか?
京極経ちますか、そのくらい。
糸井だって青年だったもの、京極さん。
京極10年前だと‥‥30歳ちょいですね。
33〜34歳ってところかな。
糸井黒い手袋して(笑)。
京極ははは‥‥いまもしていますが(笑)。
糸井デビュー作の『姑獲鳥の夏』が‥‥。
京極31歳です。
糸井だとすると‥‥ぼくらが会ってるのは
たぶん、こんど映画になる
『魍魎の匣』のあとくらいでしょう。
京極そんなに、なりますか。
糸井うん、なりますよ。
京極それはそれは、おひさしぶりです。
あらためまして‥‥。
糸井いえいえ、こちらこそ。

今日は「睡眠」の話ということで、
よろしくお願いします。
京極お願いします。
糸井ところで、水木(しげる)さんは‥‥。

京極そっちですか(笑)。

糸井ええ、まぁ(笑)。
京極お元気ですよ、相変わらず。

ぼくは、小説にしても何にしても、
いろいろな作法を「水木しげる」から
学んでるんです。

だから、40年後には
ああいう老人になりたいなぁと、
ほんとうに、思ってる。

ぼくは、早く「くそじじい」とか
呼ばれたいと思ってて。
糸井ははぁ‥‥。
京極いや、水木さんは
そう呼ばれてないんですけど(笑)。

水木しげる作品のなかで、
いちばんの傑作は「水木しげる」本人です。
糸井ご本人をご存知のかたは、みんなそう言うよね。
京極 会えばわかります。
糸井いっしょにいるだけで、
なんだか「トロトロになる」って‥‥。
京極そうなんです。
なんか出てるんですよ、「シュー!」って(笑)。

糸井ご本人から(笑)。
京極作品を読んで「おもしろい!」と思ってても
書いた本人に会ったら
「あ、こんな人だったのね」って
多少なりともギャップを感じること、あるでしょ。
糸井うん。
京極ない。
糸井「ない」(笑)。

京極ほんと、作品そのまんま。
糸井いろんな人の話を聞いてると
そのまんま以上ですよね。
京極そうそう。で、最近、ずーっと
「水木さんは、ボケてる」って
おっしゃってるんですけど、
バラしちゃうと、ボケてないですよ、ぜんぜん。
※水木しげるさんはふだん、
 ご自分のことを「水木さん」と自称されます。
糸井そうなんですか。
京極うん、一時期は疑いましたが、
ちーっともね、ボケてない。聡明。
糸井「ボケたふり」なんですか。
京極もっともね、お齢ですから、
お耳が多少とおくなってたりはするんです。
糸井ああ‥‥。
京極だから、コミュニケーションが
スムーズにいかないときなんかに、
「ふり」をされるんです、きっと。
糸井あ、そうなんだ。
京極でもね、あれはどう考えたって、ゴマカシじゃなく
「ウケねらい」なんです(笑)。

‥‥ぼくたち、毎年、いろんなところで
「世界妖怪会議」って、やってるでしょう。
糸井ええ、水木さんが会長の。
京極壇上だと、音響の関係で
聞こえにくいんことがあるんです。

パネラーの発言が聞こえなかったり、
自分のしゃべってることが
まわりに聞こえてるかどうか
わかんなかったりすると‥‥「ふり」をされる。
糸井うん(笑)。
京極でもね、お客さんの反応のほうは、わかるわけですよ。
糸井うん、うん(笑)。
京極そこで、客がどかーんときそうなところでね、
また、「ボケてみる」わけですよ。
糸井ああ、別の意味で「ボケてる」。
京極それまで、饒舌にしゃべっていて、突然、
「そういえば、なんの話をしてたんだか
 わからなくなりましたねぇ‥‥」
みたいなことをおっしゃる。
糸井いいなぁ(笑)。
京極最初の一回は、
「これ、ほんとに忘れちゃったのかな?」なんて
ちょっと心配になるじゃないですか。

でもね、「よさそう」なところでね、
繰り返されるんですよ、それを。反復。
糸井ギャグの基本ですね。
京極だからね、あれはね、ネタなんです。
ぜったい
タイミング見計らってるんですよ。

横で見てると、わかるんです。
熱弁に「照れ」ちゃったときも、いきますから。

糸井それは、ぜったいボケてませんね‥‥というか、
「ボケてる」んですね、つまり(笑)。

<つづきます>









2007-12-17-MON



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