『週刊プレイボーイ』に登場する女性たちに「初グラビア」にまつわるエピソードや当時の想いを聞く連載、『初グラビア物語~My First Gravure Story~』。今回は女優・立野沙紀(たての・さき)さんによる前編。
立野さんは2017年に旗揚げされた劇団の創設メンバー31人に、4000人の応募者によるオーディションに合格し、入団。以降、劇団の公演に出演するほか、テレビ、ラジオ、webなどで活躍した。
2024年4月に退団し、フリーランスとして活躍。YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』の『罵倒村?もしも日本に住民全員が罵倒してくる村があったら」に、罵倒ナース役で出演。そのドSなキャラが大きな注目を集め、その後「罵倒ナース」「罵倒サウナ」などのシリーズ作品に出演している。
そんな彼女は『週刊プレイボーイ」2020年7号で、初グラビアを披露。端正な顔立ちと迫力満点のヒップが話題に。以降、週刊誌、マンガ誌などの誌面を飾った。今回はそんな彼女にデビューまでの経緯、また初グラビアに関するエピソードを語ってもらった。
ーー初グラビアの思い出を、デビュー時から振り返って語っていただく連載です。立野さんは学生時代から女優志望だったそうですね。
立野 もともと小学生の頃は浜崎あゆみさんに憧れがあって、歌手志望だったんです。でも中学生の時に「野ブタ。をプロデュース」の堀北真希さんを見て、自分も「お芝居をやりたい! 女優になりたい!」と思うようになりました。ただ、お母さんに反対されたので、オーディションなど受けるようなことはなかったですけどね。
ーーお母さんは厳しいんですか。
立野 かなり......。大人になるまでお泊まりもなかなか言いづらかったですし。うちは母子家庭で、4姉妹なんですよ。お母さんから、家のことも考えて、仕事しなさいとよく言われました。姉妹全員、高校生になるとアルバイトをして、ある時期からは家にもお金を入れていました。
ーーアルバイトというと、どんな?
立野 ファミレスのキッチン、回転寿司のホール、あとコンビニなどなどめっちゃしましたね。自分のケータイ代やお小遣いなどは全部自分でまかなっていました。でもそのおかげで自立心が芽生えた気します。
ーーそれがどういう経緯で芸能の道へ?
立野 高校卒業後、スターバックスで働いていたんです。4年が経ち、そろそろ正社員になろうかと思っていたら、お店のマネージャーに「沙紀ちゃんは夢を追うべきだ」と言われて。当時、サロンモデルもやってて、私が芸能志望だってことを知っていたんです。それで思い切って芸能事務所のオーディションを受けたところ、契約生としてレッスンなどを受けられるようになって。翌年は旗揚げする劇団のオーディションを受け、女優としてのスタートラインに立ちました。それが22歳のときです。
ーーその劇団には4000名ほどの応募があって、最終的な合格者は31名だったとか。受かった時の心境は?
立野 結果発表は、最終オーディション後にひとりひとり、名前を呼ばれる形だったんです。だからドキドキしっぱなし。呼ばれた瞬間、喜びが爆発しました。もう、人生で一番、嬉しかったです。
ーーその劇団は当初、9割が演技が未経験の方だったそうですね。それもあってか、初期の稽古はかなり過酷なものだったとか。
立野 めっちゃ厳しかったです。発声、筋トレなどの基本にはじまり、エチュード(即興劇)、脚本劇の稽古、さらに歌やダンスの練習もあって。さらにそれがほぼ毎日あるんです。
ーーまだチームワークもままならないからピリピリした雰囲気の中、泣く人も結構いたとか。女優というと華やかなイメージですけど、思い描いていたのとは違ったんじゃないですか?
立野 本当にそう。下積みはあるものだし、厳しいんだろうと予想していたけど、まさかここまでとは思っていなかったです。私自身はその時点で年齢的にものんびりしている暇はないと思っていたので、とにかく必死に食らいつきました。実際、厳しく指導していただいたことには感謝しています。お芝居の基礎を叩き込んでもらいましたし、精神的にも相当鍛えられましたから。どんなに辛くても当時を思い出せば耐えられます。
ーー立野さんはその劇団の中でも人気でしたね。旗揚げ早々、ゲームの広告に選抜メンバーとして選ばれたり、デビューした年にドラマにも出演したり。"驚異の顔面偏差値"とも呼ばれ、その後も公演に出続け、テレビ、ラジオ、webなどで幅広く活動されました。
立野 本当にありがたいですよね。ただ入団後、全公演に出演させていただいたものの、私、メインキャストをほとんど演じていないんです。オーディションに参加するんですけど、いつもダメで。とにかくサブの役ではあるけど主役を食ってやろう、目立ってやろうみたいな強い気持ちで臨んでいました。
ーー反骨心が立野さんの原動力だったと。ここからグラビアの話をしたいんですけど、立野さんは『週刊プレイボーイ』2020年7号(2月3日発売)で初めての水着姿を披露しています。これはどういう経緯で?
立野 確か事務所から「やってみる?」と声をかけられたのかな。ただ、正直なところ、最初はあまり乗り気ではなくて。決してグラビア体型ではないし、それと大きいお尻が昔からすごいコンプレックスだったんですよ。なるべく目立たないようにしたいと思っていたくらい。だから自分が水着になるなんて想像がつかなかったです。
ーーそれが翻意できたのはどうして?
立野 有名な女優さんもグラビアをやっていたし、なにより劇団にグラビアをやっていたメンバーがいたし。グラビアをやることで少しでも多くの方に自分を知っていただきたいと思って、挑戦させていただきました。
ーーこの初グラビアは「25歳のツインテール」というタイトル。
立野 その前年、Twitter(現X)で、ツインテール姿を披露して、「今年25歳、ツインテールやらせて頂いてます」と半ば自虐的につぶやいたら、予想以上にバズったんです(笑)。それを受けてのグラビアだったと思います。
『週刊プレイボーイ」2020年7号(撮影/栗山秀作)より
『週刊プレイボーイ」2020年7号(撮影/栗山秀作)より
ーー週プレの発売も2月3日と、ツインテールの日(2月2日)から1日遅れですが、しっかり意識しています(笑)。
立野 そう! すごいこだわっていますよね(笑)。
ーー当時の週プレのインタビューを読むと、グラビア撮影が決まってから、パスポートを取りに行ったそうですね。
立野 あーそうそう。グラビア=海外ロケのイメージがあったんですよ。まだ具体的なお話は何も聞いていなかったものの、一応あったほうがいいかなと(笑)。とはいえ申請書を書いたものの、当時はコロナ禍の真っ只中で、結局、提出はしませんでした。実際は千葉でロケしましたし、無駄にならず済んでよかったです(笑)。
ーー撮影に向けて、ダイエットなど準備しました?
立野 少しでもスタイルが良くなればと走ったり、夕食はもやしだけにしたり。頑張りましたよ(笑)。
ーー実際の撮影は緊張しました?
立野 めっちゃしました。恥ずかしいこともあって、ずっとドキドキしていましたよ。現場ではカメラマンさんの指示に従うので精一杯で。体をひねるポーズも多くて、グラビアってこんなに筋肉使うのか、大変だなって思いましたね。あと撮影中はずっとお腹をへっこませていました(笑)。それも地味に大変でしたね。
ーー表情はうまく表現できました?
立野 撮影の少し前に歯の矯正をしたんですよ。歯並びを気にしないでいいし、いい感じにできるだろうとタカを括っていたんですけど、実際は難しかったです。特に笑顔は全然引き出しがないというか。撮影の合間に写真を見せていただきましたけど、もっと勉強しなきゃと思いましたね。
ーーコンプレックスのお尻は気にならなかったですか? バックショットも多く撮りましたよね。
立野 最初は抵抗があったんですけど、スタッフさんからめっちゃ褒めて頂いて(笑)。だんだんいいのかなと思うようになりました。あとバックショットってお腹を隠せるじゃないですか。ヘコませなくていいから、それも楽で。もともと撮影はツインテール推しだったんですけど、それよりお尻のカットがバズりました(笑)。自分的には嬉しい誤算でしたね。
ーーいずれにせよ楽しんで撮影できたと。掲載号は買いに行った?
立野 その頃、コンビニでアルバイトしていたんです。なので、出勤して棚に並んでいるのを見ました。嬉しい一方、やっぱり恥ずかしさもありましたね。あと私が出てるとお客さんにバレないかなって、レジの前に立ちながらひとりでドキドキしていました(笑)。
ーーあははは。かわいいですね。お母さんは何か言ってきました?
立野 この時もそうなんですけど、グラビアやカレンダーの水着撮影については話をしていないんです。でも私のグラビアのことを職場で嬉しそうに話をしてるって、人づてに聞きました。結構、ツンデレなんですよ(笑)。一方でおじいちゃん、おばあちゃんの家には週プレを持って行きました。よく理解できていなかったと思うけど、喜んでくれましたね。
●立野沙紀(たての・さき)
1994年11月13日生まれ 東京都出身 身長=154cm
2017年から女優活動を始め、テレビや舞台などで活躍。YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』に度々出演し、罵倒ナース役で話題に。
2026年2月3日(火)に開催される「NOBROCK FES 2026 ~夢を語ったら叶っちゃった夜~」(パシフィコ横浜 国立大ホール)に出演予定。
公式X【@tateno_saki1113】
公式Instagram【@tateno_saki_official】
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