江戸大奥
OOKU: WOMEN OF POWER IN EDO CASTLE
東京国立博物館 平成館
2025年

(本展リーフレット表紙)
江戸大奥を紐解くっていう趣旨のバラエティに富んだ展示。錦絵から大奥の女性達の着ていた着物から愛用品、お籠、江戸城の間取り図まで。
まず素晴らしかったのは上の画にある特別展メインビジュアルの元と思われる、ずらりと長~く展示されていた『千代田の大奥』等、第1章の錦絵の数々。(上画はいくつかの絵を重ね合わせていると思われます)
明治時代に入ってから描かれた、大奥をイメージした季節感溢れる錦絵が並んでいて、季節の行事を美しい着物の大奥女性達が楽しんでいるもの。羽根付きをしたりしているけど、実際には大奥ではやってはいない等と解説も読みながら楽しむ。
明治だからということがあると思う。とにかく色が鮮やかできれいなことにわくわくする。華やかな着物の色柄のこれでもか!これでもか!という描き込み。これはじっくりと観たいところ。ただ、なぜだか展示台が異様に低い。腰を屈めて観ることになるので、大変辛いっす。どうしてこんなに低いんでしょうか。。。
そして、第2会場の女達の持ち物シリーズが最高。
私は雛祭りの雛道具が大好きなので、それらのリアル最高位お姫様版が並んでいて、ぶっ飛んだ。豪華な蒔絵の調度品は揃いの模様が施され、引き出しの中の櫛やなんかも展示されて、ほんとにこのようなお道具で身支度をしていた姫や御台所(正室)がいたことにクラクラきてしまう。優雅過ぎる。長い黒髪に櫛入れてもらっていたんだね。。。なんて、もう夢幻か、とお道具の前でブルブルきますな。
さらにラッキーなことにお雛様用お道具一式も展示があり、その精巧さ、小ささにまた驚愕。ギヤマン製の食器ずらりもあり、小さいのに細かいカットが入って見応えたっぷり。
なんだか可愛いぞと思って親しみを感じたのが、和宮さんの宝物展示。極小の人形の焼き物とか、やっぱり小さいものは可愛いよね~なんて。その中に本物の自然物が交じっていて、貝殻ね~!という感じだけど、カラカラになってるタツノオトシゴとかそのままごろんと玉虫なんかが。ちょっとびっくりしたけど、形や色はきれいだから。
そして衣装。
1日5回着替えたという大奥での生活。その着物群が奥のスペースにずらーっと並んでおりました。とにかく刺繍。何日掛かるんだろう?という凄まじい刺繍っぷりの着物群が。立体的な日本刺繍で金糸が大量に使われている。しかも普段着だったりする。財、贅、技。ほおお~っと圧倒されますな。
大奥に入ったら外に出ることは禁じられているけど、歌舞伎をどうしても観たいので女歌舞伎役者に大奥に来てもらっていたそう。大奥の中に階層があって、上の方の人はそっと歌舞伎を観に行ったりしても黙認されていたということなんだが、ある側室は歌舞伎俳優に入れあげて逢瀬を重ねていたとの罪で大奥を追い出されていた!そこまでいくと、な。ということでしょうか。見張られ、食事も質素なものになってしまったようで、寂しい日々が記録帖から垣間見えたりして。たくさんの側室達の生涯が紹介されていたけど、この人が一番寂しい晩年。でも好きに遊んだから、それもありか。大奥に入ったら出られないんだから。
江戸城の建物の6割が大奥のスペースだったという。そんなに!と間取り図を見て驚く。そうだな、これだけの側室とお世話係がそれぞれいたら、そうなるんだなと。大奥出世すごろくなんかもあって、最下層はどんだけ地獄だろう、なんて。大奥の事を口外してはならないという契約をしていたというけど、それでも人の口は止められないので大奥で死んでいただく。ほお~怖いっす。
歌舞伎衣装コーナーは撮影可能でした。

袴のアップ。執念の刺繍がたっぷりと。金糸、銀糸もたっぷり。舞台映え必至。

背中に海老アップリケ。とても立体的。重そうですね。

もう一ヵ所の撮影可能は、入口すぐのNHKドラマ『大奥』関連コーナー。冨永愛らが着た衣装が畳敷き、襖絵の前に並んでいて、徳川吉宗が大奥に入る時に鈴を鳴らすという「御鈴廊下」が再現されていた。ドラマは見ていないのだけど、和のムードが素敵。

会場に橋が渡され、江戸城にいるみたいな気分をアップさせるセットも。後ろのディスプレイで江戸城の四季を映し出していて、やっぱり和っていいなと気分が盛り上がる。

会場を出ると1階左側の部屋で大奥VR体験をやっていた。大奥内部に行けるという。これは楽しそう。

順番を待つ間に読んでおいてくださいと、注意事項が書かれた紙を渡される。心臓の弱い方、骨折されている方、飲酒された方、体調がすぐれない方々はご遠慮くださいとの注意。体験中は転倒防止のため、立ち上がるなとも書かれている。逆にどんなめくるめく体験っすか?と期待感が高まってしまう。
VRゴーグルを頭に装着。鈴を鳴らして、いざ大奥へ。襖が次々パンパンと開いて、廊下を突き進む。側室と寝る部屋に入ったりして。「360度、VRの世界です。ご覧ください!」と案内の人が教えてくれたので、横を向いたり後ろを向いたりしてみるんだが、日本の部屋の作りは直線的。廊下や部屋の上下左右もそれほどの広がりが出にくい題材だな、なんて。でも殿気分で楽しかった。全く危険なことはなかったので注意事項はかなり慎重にしている模様。実際に興奮して歩き出す人がいたりするのかもしれない。怪我したら大変だからね。
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