
毎日新聞
コース外滑走など、整備されていない深雪を滑る「バックカントリースキー(BC)」による遭難や事故が増加傾向にあるのを受け、各地のスキー場が対策に頭を痛めている。こうした中、富良野市の富良野スキー場(伊賀裕治支配人)が本格的なスキーシーズンを前に周辺の宿泊施設やBC用品を扱う業者、ガイドらを対象に、安全管理などについて説明する会合を初めて開催した。【横田信行、坂本智尚】
BCはコース外を滑るため、本来はスキー場による規制や安全管理の範囲外。しかし最近は用具の進歩などで人気が出ており、安全が確保されていないコース外で雪崩や立ち木への衝突、雪穴への転落などによる負傷や遭難が増加。BCの滑った跡に惑わされて一般のスキーヤーがコース外に出てしまったり、安全管理上の理由で閉鎖されているコースに入り込んだりする危険も指摘されている。
富良野スキー場周辺でも、外国人スキーヤーがBCで立ち木に衝突し死亡するなど、過去3シーズンで5件の事故が発生したという。
このため同スキー場ではこれまで、ロープを張ったり危険を知らせる看板を設置したりして、スキー場とコース外の山の境界線を明確にしていた。今シーズンはさらに、増加する海外からのスキーヤーに対応するため、パンフレットなどで外国語での案内も充実させる一方、スキー場からコース外に出る際には、登山届を提出するよう呼びかけを徹底する。またコース外に出るゲートを5カ所に絞り込む対策も講じる。
20日に開かれた関係者への会合ではこうした対策を説明し、出席者にもBCの安全に関する周知徹底や装備の確認などを要請した。
ただ、質疑応答では「登山届を出せばBCをできるのか。どう説明すればいいのか」といった戸惑いの声も上がった。伊賀支配人は「コース外はスキー場の管理外で責任が持てない。BCをしてもいいともいけないとも言えない。コース外へ出るのはあくまで自己責任」と、スキー場としては推奨していない立場だと説明した。
全国のスキー場を対象にした安全対策講習会の講師を務め、同スキー場の安全管理アドバイザーでもある有元崇浩さんによると、ガイドなどをまじえたこうした啓発の取り組みは全国でも珍しいという。有元さんは「管理外に出るスキーヤーのために、スキー場がゲートの開閉を判断するのは問題が残る。事故を未然に防止し、できるだけ多くの人にスキーを楽しんでもらうため、スキーヤーと一緒になってさまざまな安全対策が他のスキー場にも広がってほしい」と話した。
道警は今年からバックカントリースキー中の遭難事故を山岳遭難に含め統計をとっている。それによると、1〜4月にあったBC中の遭難は計19件で、2人が死亡、10人が負傷している。救助された27人のうち、5人はオーストラリアやカナダなどの外国人だった。
札幌国際スキー場でコース区域外で高校生7人が沢筋に迷い込み救助要請(2月28日)▽赤井川村のキロロスキー場に来ていた神奈川県の40代の男性がコース外で雪崩に巻き込まれ死亡(3月11日)▽黒岳で60代男性が斜面を滑落し、立木に衝突し負傷、身動きが取れず凍死(4月7日)−−など、スキーやスノーボードで滑走中に雪崩や転落、道迷いなどによる事故が多発している。

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