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本はねころんで

就職先は自衛隊

 当方が高校時代を過ごしたのは、野呂邦暢さんが自衛官として勤務していた北海道の
基地の町であります。いまは自衛隊の基地があるのですが、野呂さんがいらした時代
には、占領から引き続いて米軍が駐在していました。
 当方は高校2年の時に下宿することになったのですが、その下宿には防衛大を卒業し
たばかりの幹部自衛官が数人下宿しているほか、年長の幹部自衛官も利用していました。
その頃、幹部ではない若い隊員たちは基地内に居住することを義務づけられていたはず
で、基地への出入りには制服を着用することとなっていたことから、若い隊員さんたち
は、休日の着替えをするために、町に部屋を借りていたと聞いたことがあります。
 高校のワルたちは、若い自衛隊員にちょっかいをだして小競り合いすることを楽しみ
としているようなのがいまして、数人して若い隊員の制帽をうばって、返してほしけれ
ばというようなことをいったとかいわなかったとかです。週末に町にでて、隊に戻るの
に、制帽をなくしたとすれば始末書ものでありますので、これは必死であったでしょう。
まったく弱い者いじめのような話であります。
 自衛隊というのは階級社会でありますので防衛大学を卒業したエリートと、野呂さん
のような下級兵士には歴然とした差があります。
 当方の高校には、親が幹部自衛官という人が多くいて、彼らは自衛官になるなら防衛
大学にいかなくてはという考えであったようです。一方、高校の定時制には、中卒で
自衛官となって、高卒の資格をとるために通っている方もいました。そうした方々に
とっては、自衛隊職業訓練の場所であり、将来へのチャンスを広げる場であったよう
です。
 そういえば、当方の知人の息子さんにも自衛隊に入隊し、働きながら勉強をして大学
進学を目指している方がいましたです。国を守るとかいうのではなく、就職先としての
自衛隊であります。

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