
3.7
ダルバは小児性愛者の父親によって立場的にも性的にも妻として扱われていた12歳の少女。
そのグルーミング(=未成年が精神的・肉体的に手なずけられ、アイデンティティが歪むこと)を解いていくのが映画の骨子。
母親は当時5歳だったダルバの共同親権を約束して父親と別れたが、反故にされ父親とダルバは行方不明になる。母親が探している7年のあいだに父親は自分の娘であるダルバを洗脳し捕食した。結果、ダルバは12歳でありながら大人のような化粧・服装をしている。
父親は通報でつかまり、ダルバは虐待児のシェルターに入って学校へも行くようになった。が、グルーミングは容易には解けず、思春期も重なって幼いエルザの心は千千に乱れる。
話はおぞましいが映画はドラマチックな描写一切なしでつくられている。が、じょじょに子供らしいあどけなさ、無邪気さを取り戻していくダルバを演じたZelda Samsonの変化と、その表情を捉えたEmmanuelle Nicot監督の技量はドラマチックだった。
グルーミングからの解放とは、友達をもつことと、自分に起きたことが自分のせいではないのを知ることだ。しかし解放されたとて、父親からされたことはダルバの心を一生涯蝕むだろう。それがダルデンヌ兄弟風の坦坦としたタッチで描かれている。
映画は2022年のカンヌ映画祭でFIPRESCI賞をとった。FIPRESCIは国際批評家連盟と訳されるそうだ。
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ハリウッドがこぞって民主党押しだったのはトランプ大統領がエプスタインの顧客リストを公開すると示唆したからだとも言われている。ハリウッドにはそれが公開されると失墜する小児性愛者がいて、かれらが自身で、また周囲を焚きつけて、トランプ排斥の構図をつくったが、結果は及ばなかった。
民主党と共和党という名前なので解りづらいが、アメリカの既得権益者サイドは民主党である。少なくない既得権益側の著名人がエプスタイン島でひとときを過ごした、と言われている。アンドリュー王子は氷山の一角に過ぎない。
今話題はエプスタインからディディに移っている。彼が何度となく主催したフリークオフ(未成年者との乱交パーティ)に呼ばれ乱交に参加した者、またその実態を知っていながら、それを黙認している者がいるとされ、再びハリウッドは戦々恐々としている。ジャニー喜多川しかり、鑑みれば芸能界全体が小児性愛者の温床であるという見方は決して飛躍しすぎではない。その影には何人ものダルバがいるに違いない。
imdb7.3、RottenTomatoes95%と100%。
unextで見た。邦題:小さなレディ。
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