つまるところ、英語劇におけるディクションには、シェイクスピアがいるのだということを感じさせられた。それほどまでにここでは語られる言葉の圧倒的なまでの強度が全体を貫いていた。 stage.parco.jp 上演では9時間に及ぶものを3時間に圧縮した映画版は、…
未来を変えるには戦略的に動かなければならない。そのためには、実現不可能な遠大な目標ではなく、実現可能な直近の課題を掲げるべきであり、そのためにメンバーを募り、チームを広げていき、アプローチすべきところを見極め、ある程度の時間的スパンのなか…
李琴峰『彼岸花が咲く島』と朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』は、キャラクターが感じることや考えることが、彼女ら彼らの身体感覚を含めて、その生々しさが言語によって巧みに捉えられているという点で、テクストの手ざわりが似ているように思う。こま…
岡崎乾二郎は、名前こそ何となく幾度となく耳にしながら、実際の作品は見たことがない作家のひとりだった。というわけで、微妙にアクセスの悪い東京都現代美術館に会期終了直前に足を運ぶ。 会場に置かれてた図録の文章によれば、造形作家の岡崎乾二郎は、文…
「怒りの日」はいまここにある、戦争が死者を日々生み出している、わたしたちはこの現状に憤怒すべきではないのか――ジョナサン・ノットはそのような問いをわたしたちに突き付けていたように思えてならない。 tokyosymphony.jp 反戦主義者で平和主義者のベン…
永野英樹は和声を音響に脱構築している。彼のピアノによって、音楽は出来事になる。楽器の振動として、空間に放たれる音波として。旋律は運動する音群に変換され、蠢きや囁きとなる。譜面上の音のヒエラルキーは解体され、再構築される。 何かが付け足される…
20250708 読売交響楽団、第650回定期演奏会@サントリーホールメインはハンス・ツェンダ―の「シューマン・ファンタジー」、中プロは細川俊夫の「月夜の蓮 ―モーツァルトへのオマージュ―」、前プロがメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲。3曲中2曲が現代音…
看護にとってだいじなのは、憑依としてのケアなのだ。苦しんでいる相手をみたら、国家の命令なんてどうでもいい。自分の身がどうなろうとかまわない。相手のおもいすら関係ない。あなた以上のあなたになりきって、なんだってしてしまうのだ。(247頁) 栗原…
長年の友人が成田空港から出国するというので、そのついでに、沿線沿いでありながらまだ行ったことのなかった成田をぶらついてみた。前情報なしに駅に降りると、お祭りの雰囲気。金曜から日曜まで祇園祭なのだという。新勝寺までの道の両側に出店が立ち並び…
なぜあたしは普通に、生活できないのだろう。人間の最低限度の生活が、ままならないのだろう。初めから壊してやろうと、散らかしてやろうとしたんじゃない。生きていたら、老廃物のように溜まっていった。生きていたら、あたしの家が壊れていった。(123頁)…
20250702 ミロ展@東京都美術館 ジョアン・ミロの絵はわりと思い浮かべることができる。単色の背景に、象形文字のような記号が細い線を広げている。くぐもった暗いカラーと、鮮やだがくすみのあるカラーがコントラストをなしている。線が空間に広がっていく。…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。