概要
C# も .NET Framework (のライブラリ)も、ずいぶんと進歩してきました。その結果、一部の構文やライブラリは、別のもので置き換えられる/置き換えた方がいいものも出てきています。
過去の遺物
いくつかの構文は、もう完全に過去のものです(互換性のためだけに残されています)。
非ジェネリック コレクション
ポイント: 非ジェネリック版のコレクションは使ってはいけない。
C# 2.0 で 「ジェネリック」 が導入されると同時に、ジェネリック版のコレクションが導入されました。それ以前の、非ジェネリック版のコレクションを使うメリットは一切ないので、使わないようにしましょう。
非ジェネリック版からジェネリック版で、名称が変わっているものもあるので気を付けましょう。「ジェネリック版に、ArrayList 相当のものがない」という誤解もあったりしますが、List<T> がこれに相当します。
対比表を表1に示します。非ジェネリック版はSystem.Collections 名前空間、ジェネリック版はSystem.Collections.Generics 名前空間で定義されています。
| 非ジェネリック版 | ジェネリック版 | 概要 |
|---|---|---|
ArrayList | List<T> | 要素を配列で持っておいて、配列の長さが足りなくなったら配列を作りなおすリスト※1。 |
| なし | LinkedList<T> | 双方向連結リスト。 |
Stack | Stack<T> | 後入れ先出し(LIFO: Last In First Out)コレクション。 |
Queue | Queue<T> | 先入れ先出し(FIFO: First In First Out)コレクション。 |
Hashtable | Dictionary<TKey, TValue> | ハッシュテーブル方式で要素を管理する辞書※2。 |
| なし | SortedDictionary<TKey, TValue> | 二分探索木方式で要素を管理する辞書。 |
SortedList | SortedList<TKey, TValue> | 整列済み配列で要素を管理する辞書。 |
| なし | HashSet<T> | (.NET 4 以降) ハッシュテーブル方式で要素を管理するセット※3。 |
| なし | SortedSet<T> | (.NET 4 以降) 二分探索木方式で要素を管理するセット。 |
※1リスト: 要素の順序を保つコレクション。
※2辞書: キーで値を検索可能なコレクション
※3セット: 要素を含むか含まないかだけを管理するコレクション
System.Collections 名前空間にあるもので、いまだに使えるのは、BitArray クラスくらいでしょう。
実際、Silverlight など、後発のフレームワークの場合、BitArray 以外の非ジェネリック版のコレクションは削除されています。
匿名関数
ポイント: 匿名メソッド式にメリットはない。
C# では、いわゆる匿名関数を作るための構文として、2種類のものを持っています。
// 匿名メソッド式(C# 2.0~)Func<int,int> f1 =delegate(int x) {return x * x; };// ラムダ式(C# 3.0~)Func<int,int> f2 = x => x * x;匿名メソッド式でできることは、全てラムダ式でもできます。逆に、ラムダ式の方が高機能で、匿名メソッド式ではできないこともできます。しかも、ラムダ式の方が記法が簡素で使いやすいので、今となっては、匿名メソッド式を使うメリットは全くありません。(参考: 「匿名関数」 )
実際、もしもラムダ式の方を先に導入していたら、匿名メソッド式という構文は不要でした。匿名メソッド式は、過去との互換性のためだけに残されています。
