
美術館の入口に張られたポスター
■ 松本市美術館で開催中の「土門拳の昭和」を観てきました。展示作品数300点、これだけ充実した展覧会が地方の美術館で開催されていることは驚きです。
土門拳は26歳で報道写真家として活動を始めたそうですが、それから様々な対象にカメラを向けてひたすら昭和という時代を撮り続けました。昭和34年に撮った「筑豊のこどもたち」の中で、「るみえちゃん」という少女の写真(下)は私が特に強く印象づけられている作品です。これほど子どもの「悲しみや不安」を表現した作品を私は他に知りません。
高村光太郎は土門拳の作品を**土門拳はぶきみである。土門拳のレンズは人や物を底まであばく。レンズの非情性と、土門拳そのものの激情性とが、実によく同盟して被写体を襲撃する。この無機性の眼と有機性の眼との結合の強さに何だか異常なものを感ずる・・・・**(「日本名建築写真集1 室生寺」新潮社の解説文からの引用)と評したそうですが、この作品だけでこの指摘が正鵠を射ていることを示すに充分だと思います。
戦後間もない東京、子どもたちが無邪気に遊ぶ姿を写した動きのある写真や室生寺で撮った仏像の静かな写真など各作品の力強さに圧倒されました。
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