『天頂より少し下って』川上弘美/小学館**奇妙な味とユーモア、そしてやわらかな幸福感 川上マジックが冴えわたる、極上の恋愛小説7篇。**(帯より)くっきり、はっきりなカバー装画はパウル・クレーの「人形劇場」。川上弘美の小説に相応しいのかどう…
『日本の建築遺産12選 語りなおし日本建築史』 磯崎新/新潮社 とんぼの本「磯崎流日本建築史」を読む。日本の建築は常に外部から技術を取り入れ、それをオリジナルとは違う形に独自に変形させてきた。磯崎さんはこの変化の過程を「和様化」と捉え、その歴史…
『映画空間 400選』 長島明夫+結城秀勇 編/INAX出版 「映画の建築・都市・場所・風景を読む 映画史115年×空間のタイポロジー」 ■ こんな本が出版されたことを知ると直ぐ注文してしまう。一気に通読する、という本ではない。書棚の取り出しやすいところに置…
166■ 今月読み続けている漱石の『吾輩は猫である』に次のようなくだりがある。**ますます神の全知全能を承認するように傾いた事実がある。それはほかでもない、人間もかようにうじゃうじゃいるが同じ顔をしている者は世界じゅうに一人もいない。顔の道具は…
■ この火の見櫓の見張り台の優雅なフォルム! 「リボンの騎士」の王女の服の短いスリーブのよう。 写真を撮ってきてくれたTさんに感謝。
■ 今月は毎日少しずつ『吾輩は猫である』を読んでいる。この小説を読むのはたぶん3回目。 名前のない猫の飼い主、苦紗弥先生は英語教師。モデルは漱石自身。そして猫は漱石を客体化して観察するもうひとりの漱石。ビートたけしを客観視する北野武と同じだ。…
■ 『神様』は川上弘美のデビュー作で、第一回パスカル短篇文学新人賞を受賞した。くまにさそわれて(小説では「くま」も「さそわれて」もひらがな表記)川原へ散歩に出かけるというごく短い物語だが、この作品に福島第1原発のトラブルの後、手を加えたのが『…
165 夏のフォトアルバム 奈良井宿 110619 早朝中山道奈良井宿。 木造2階建て平入りの建物が軒を連ねている。緩勾配の切妻屋根、出桁造りで軒が深い。軒下両端のうだつ壁がリズミカルに並ぶ。それぞれの火の見櫓にはそれぞれの歴史がある。宿場を後方からそっ…
■ 文字書き道祖神 諏訪市中洲 前稿に載せた火の見櫓の脚元に立つ道祖神。道祖神というと安曇野の路傍に立つ双体道祖神がよく知られているだろう。道祖神はもともと塞の神。邪悪なものをさえぎるとされ、江戸後期から盛んに立てられるようになった。やがて五…
164■ 所用で諏訪へ出かけた。初めてのところではないが、案内図を送ってもらった。案内図には火の見櫓が載っていた。それがこの火の見櫓。辻に立つ火の見櫓の脚元には道祖神があった。先日載せた火の見櫓のチェックポイント(改訂版)で観察すればいいのだが…
■ 建築家にしてエッセイストでもあったバーナード・ルドフスキーの『建築家なしの建築』。この本は1984年に鹿島出版会のSD選書として刊行されたものが一般によく知られているが、1975年に「都市住宅」別冊として出版されている(写真)。 ■ 今日(13日)、こ…
■ 建築デザイン。その主眼は美しい建築空間の創出から、建築空間を成立させるシステムの提案へと移りつつあるようだ。海外の事情には明るくないが、国内では伊東豊雄の「せんだいメディアテーク」がそのはしりだったかもしれない。独創的な空間構成システム…
白:昭和46年2月発行■ 庄司薫は若い人には馴染みのない作家だと思う。昭和44年(もう随分昔のことだけれど)、『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞を受賞している。作品はその後、薫くん(主人公の名前)シリーズ4部作としてまとまる。その第3作『白鳥の歌…
■ 建築家のミース、ミース・ファン・デル・ローエはル・コルビュジエとフランク・ロイド・ライトと共に近代建築の三大巨匠と呼ばれている。ミースは鉄とガラスという近代建築を代表する材料を用いて抽象的な「白」の建築を創りつづけた。代表作としてまず浮…
162 東筑摩郡筑北村本城の火の見櫓 163 松本市四賀の火の見櫓■ 火の見櫓観察のポイントを整理しておこう(100813の記事の改訂版)。 1 火の見櫓の立地、環境10 周辺の状況・環境、観察時の季節や天候、時間など 11 消防団詰所(屯所)、消防倉庫の有無1…
塩尻の「えんぱーく」にて■ 藤森さんは建築家を赤派と白派にスパッと分けてみせた。このことについては既に書いたが、再度取り上げておく。藤森さんの定義によれば物の実在性を求めるのが赤派で、コルビュジエを祖とする。抽象性を求めるのが白派でミース・…
161 塩尻市大門の火の見櫓■ 櫓の絞り込みのフォルム、柱の曲線がなめらかで美しい。 脚間寸法を実測すると約4.5メートル、写真にスケールをあてて総高/脚間寸法を求めると約3.3だった。同様の方法で逓減率を求めてみた。遠近効果を考慮していないが、約33%…
■ 松本駅の隣、北松本駅のすぐ近くに祀られている道祖神。 自然石にバランスよく納めている。男神は盃を手に持ち、女神は提子を下げ、反対の手を相手の肩にかけている。平安貴族の衣裳、スレンダーな立ち姿の抱肩祝言像。江戸時代にはこの地に藤沢周平が描き…
160 筑北村本城にて 撮影日110602■ 火の見櫓のプロポーションを総高/脚幅で示すことと、逓減率について最上段横架材長/初段横架材長を考えたことを数日前に書いたが、これはわが国の木塔に関する論考『五重塔はなぜ倒れないか』上田篤 編/新潮新書に紹介…
159 筑北村本城■ 信号表示板がなければ、これが火の見櫓だとは気がつかなかった、と思う。 筑北村で見かけた火の見櫓。半鐘はついているのかな・・・。近づいて見上げてみると、あった!梯子に控え柱を設置した型。見張り台まわりの納めはなかなか上手い。別…
158■ 火の見櫓の屋根といえば「とんがり帽子」だと思っていた・・・。この火の見櫓はなんと折板(せっぱん)葺きの屋根。櫓が傾いているようだが、妙な安定感がある。デザインはどことなく石山修武風。火の見櫓のデザインは千差万別だな~ぁ。 現存しない(1…
火の見ヤグラー一級建築士・・・・・信州の鄙里で暮らしています。なんでも見て、かんでも考え、なんでもかんでも書いてみよう。・・・・・ブログ開始2006年4月16日(GOOブログ)2025年4月29日(はてなブログ)
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