角川文庫 1971年 直木賞受賞作品 串田と言う不思議な目をした男に魅入られ、寺石は保証人になり、串田は次々にお金を借りていく。法廷内での串田に耐えられなくなり、訣別……そして、にっちもさっちも寺石はいかなくなる。教師の仕事もできなくなり……そし…
Adjustment team. 1954.浅倉久志・訳(「悪夢機械」所収) 世界が砂のように崩壊するのを体験したエド・フレッチャー。 それは、世界を機能させるための調整だった。その後の世界は 微妙に違っていたのだ。それを司る調整班に、説明され、口外 しないとフレ…
1945年~1948年 新潮文庫。 (薄明、苦悩の年鑑、十五年間、メリイクリスマス、眉山、女類、 グッド・バイ 他) 太宰の後期の作品16編が収められている。晩年よりもさらに鋭利に、 シャ-プになっている。それだけ、歳をとったということだが、感 性は衰えて…
藁を用意して、一本一本丁寧に仕分けして、編み込みます。 松は見立山でとりましたが、今年最後でしょう、全部枯れ ていました。ウラジロはありました。藁も今年で最後かも しれないということなので、もう来年は作れないかもしれ ませんね。
1917年 大正六年 25歳の時の作品。 今まで読んだ中では羅生門に次いで好きな作品。やっぱり、全体が 引き締まっていて、肉の匂いと血の匂い、息遣い、嘆きや怖れ、無 頼漢の非情さが克明に描かれている。この世界観はどこから生まれい 出るのだろう。その死…
ジェリー・ビーン(のらくら)と呼ばれる青年ジム。ナンシー に恋心を抱いているがパーティーでのガムが鞜にくっついたの をクルマのガソリンを抜いたのを使って取ってやっただけ。そ して、ナンシーはカミソリ会社の息子と結婚してしまう。 フィッツジェラ…
今年も大変たくさんの方々にお世話になりました。 ご愛顧ありがとうございます。 年末年始のお休みですが12・28(月)から1・4(月) までとさせていただきます。 27日(㈰)まで通常通り営業いたしますのでよろしく お願いいたします(^^)/。
精神分析医ハンフリーズと患者ポール・シャープ。 シャープは高所恐怖症で、その原因を探りに分析 を依頼する。荒廃する世界を再建する仕事をシャ ープはしている。想起装置によると、それは過去 に起因するものではなく、未来から来るらしいこ とが分かる。…
Planet for transients(1953). 核兵器で破壊されて300年経った地球。そこで唯一 と思われる人間が部品を求めて人間を探す旅に出る。 そこにはアリ人間や、放射線でミュータントになっ た生物がいっぱい生きている。人間は人間と会うが それは、ほかの惑星か…
The Matese falcon。 探偵サム・スペードの元にワンダリーと名乗る若い女が、妹の 駆け落ち相手ザーズビーを尾行して、妹の居所を突き止めてほ しいと依頼してくる。しかし、尾行したサムの相棒、マイルズ・ アーチャーは殺されサーズビーも殺される。この殺…
同性愛者と政治犯が同じ監房に入れられ、映画を通して、愛を 深めてゆく。僕は六つある映画の中でヒョウ女の話が一番好き だった。常に抑圧に晒されている現代の中で、監房の中という のは常に抑圧の対象となり得る。その中で、発芽としての同性 愛は必然な…
”僕”がドミニックと猟に出ていて、出会い、親しくなって 行くうちに語られる。ドミニックの若き日の人妻に恋する告 白を小説としたもの。マドレーヌとドミニックは幼いうちから サロンでカードをするよプな家族ぐるみの付き合いだったが、 18歳で結婚してし…
この作品はコレットの自伝的要素の強い作品らしい。 元作家の33歳の舞台パントマイマーが、仕事もして いないような資産家の同じ年の男と恋に落ちて、彼 を捨てる、という話だ。女は哀しみによって死ぬこ とはないそうだ。より強くなってゆく。そうなんだ ろ…
旅行者が流刑地で精密な機械で処刑される視察 に行く。精密な機械は文字を体に刻む。何か、 社会から隔絶された地で行なわれる残虐性。 処刑人のこのうえもない恍惚の表情を浮かべ ながらも6時間もかけて殺されるという将校 の話し。それは、体を切り刻み、…
(1906年 明治39年) 圭さんと碌さんの会話からほとんど成る。阿蘇の 旅行のことだが、阿蘇の噴火はとてつもなく手の 付けられない自然だ。その自然に真っ向から立ち 向かうことの困難さ、えてして、噴火は近代化の 文明の暗喩のようにもとれる。この文明に…
絵画(ペン、水彩)、糸つむぎ、の生徒さん を募集しています。 鶴岡たか、が子供から大人まで、初心者から また始めたいな、と思っている方まで、親切 にお教えします。教室の時間はいつ来られて も大丈夫ですよ。(月曜定休)。(通うことができる 方が対…
ムルソーは、母の死でも涙を見せず、次の日、女と関係し、 好きでもない、と言いながら結婚を約束しコメディー映画を観て 人を殺した。悔恨を抱かず、神を信ぜず、神父を罵倒し、死刑 を受け入れ期待さえしている。 これはカミュの処女作だ。四年の歳月をか…
1994年作品。新潮文庫。 ベトナムの戦火の中でカチアートがパリを見たい、と言って 脱走する。それを追い、中尉はじめ、主人公、ポールバーリ ンらは追跡を開始する。脱走というのがひとつのモチーフに なっていて、それにつられて逃避行ということになる、…
「模造記憶」所収 囚われのマーケット 浅倉久志・訳 おばあさんがトラックを運転しているときに見つけた 、未来への扉の入り口。おばあさんは雑貨店をしていて その未来の世界は放射能に汚染されている。そこに物 資を売りつけ、大金をせしめている。未来世…
土曜の夜と日曜の朝 アラン・シリトー 永川玲二訳 新潮文庫 1958 Saturday night and Sunday morning 「人生はきびしいへこたれるもんか」と意気込むアーサー 。アーサーは自転車の部品の旋盤工。人妻二人と独身女 性の間で行ったり来たり、酒を飲み、背骨が…
冬の夢……Winter Dreams 1922年メトロポリタン・マガジン 12月号……野崎孝・訳 デクスターが少年の頃、売れっ子のキャディーだったこと から話しは始まる。そして、青年になりジョディ・ジョーンズ という美女に夢中になる。身上もクリーニングで大成功して い…
トキともという青年がフランスにロベール・ ウーダンについて調査しにフランスに訪れる。 そこで魔術による暴動鎮圧やらが描かれる。 その自伝的な話し、酒を飲むシーンも多い。 らもさんは、薬を飲んでいたのでドイヒーな 作品も多い中(まあ、亡くなった人…
恒例となりつつあります、瀬田但さんの 苔玉とつるの作品展と鶴岡たかの生藍・ にじ色マフラー展を昨年に引き続き、今 年も29日(㈰までやりたいと思います。 瀬田さんが丹念に育てた苔玉と、丁寧に 作った蔓作品です。 緑の風合いと蔓のランプシェードで柔…
蛇を踏む……川上弘美……平成八年…… 蛇を踏んだことで、中年のヒワ子ちゃんの母と名乗る 女性が現れた……。日常の中に潜む、不条理を明確に 描写する。そして格闘しどうなるのか、分からない。 そもそもこの話しは分からないことが多い……でも、 不思議な空気に包…
醍醐の桜……水上勉……91年……新潮文庫 七編からなる私小説。この冬、では、三好 達治さんの墓を訪問。目の見えない森田と いう灸治療をやっている教え子に突然会い に行く。この人はいつも、突然人に会いた くなるらしい。表題作、醍醐の桜では、太閤 秀吉の花…
いま、楽文(がくもん)カフェをやっています。 ヲシテ文字の勉強会で、印屋さんの藤原さんなど を中心に、色々な情報の交換や、議論など、勉強 の場になっています。 今日も、七名ほど集まって、行われています。 興味のある方は、ぜひ参加してみてください…
苦役列車……西村賢太……2011年……新潮 文庫。 父親が性的犯罪者で中卒の賢太は人足をして 暮らしている。そこへ一人の友人らしきもの までできる様が描かれるが、一様に暗く、肉 体的だ。そこには生の十九歳のもんもんむん むんとした臭気が立ち込め、私小説の…
人でなしの恋、恐怖王……江戸川乱歩。 人でなしの恋、は三十二歳、1926年の時の作品 乱歩さんが恐怖と語る、人形への愛を描いたもの。 人形を毀してしまうと、旦那になった人はとうとう ……という。 恐怖王は、三十七歳、1931年の時の作品。 「気の抜けた文章…
盗難……1925年大正14年……江戸川乱歩…… 「白髪鬼」に所収。 どんでん返しに次ぐどんでん返し……。ボクは 江戸川乱歩は、初心者なのだが、十分楽しめた。 クライムノベルは苦手なのだが、なんとはなしに のんびりとした風情みたいなものが感じられて、 多分時代…
白髪鬼……1931年……江戸川乱歩、37歳の時の作品 世にも美しい瑠璃子と結婚した大牟田子爵。しかし、 ある日、親友だと思っていた河村に殺されて、墓場 で生き返り……。とんでもない仕掛けが幾つも用意 されていて、こんなに昔の小説になのに、飽きるこ とがあり…
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