14日(日)。昨日の日経朝刊「読書」ページのコラム「半歩遅れの読書術」に翻訳家の岸本佐和子さんが「『女二人のニューギニア』の衝撃 50年前の語りが生む奇跡」というタイトルでエッセイを寄せていました。有吉佐和子の『女二人のニューギニア』については、12月9日付のtoraブログに書きましたが、私も岸本さんと同じような衝撃(笑劇!)を受けました。岸本さんは最後に「復刊してくれた出版社に心より感謝」と書いていますが、本当にそう思います。まだお読みになっていない方にお薦めします

ということで、わが家に来てから今日で3988日目を迎え、ロシア連邦捜査委員会は12日、モスクワの裁判所が国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長ら9人に対し、欠席裁判で懲役15年~3年6月の有罪判決を言い渡したと発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです🐇

ICCはプーチンに逮捕状を出してるからね 仕返しだろうが全く根拠ない
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昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第737回 定期演奏会」を聴きました。プログラムは①マルサリス「ヴァイオリン協奏曲 二長調」、コープランド「交響曲第3番」です。演奏は①のヴァイオリン独奏=大谷康子、指揮=ロス・ジェイミー・コリンズ です
ロス・ジェイミー・コリンズは英国生まれのフィンランド育ち。ロサンゼルス・フィルのドゥダメル・元フェロー、アイスランド響の常任指揮者などを歴任

1曲目はマルサリス「ヴァイオリン協奏曲 二長調」です。この曲はジャズ・トランペットの巨匠ウィントン・マルサリス(1961~)がスコットランド出身の二コラ・ベネデッティ(1987~)のために2015年に作曲、同年11月6日にロンドンで初演されました。第1楽章「ラプソディ」、第2楽章「ロンド・バーレスク」、第3楽章「ブルース」、第4楽章「フーテナニー」の4楽章から成ります
ヴァイオリン独奏の大谷康子は今年デビュー50周年を迎えた。1995年から東京交響楽団でコンサートマスター、ソロ・コンサートマスターを21年間務め、2016年退任時に名誉コンサートマスターの称号を贈られる。東京音楽大学教授として後進の指導にも当たる
オケは12型で 左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは景山昌太郎です
真っ赤なステージ衣装の大谷康子が華やかに登場します。いつ見ても若いですね
第1楽章では中盤で警笛が鳴らされ、ガーシュイン「パリのアメリカ人」を思い出させました。第2楽章は変化に富んだメロディーが奏でられ、第3楽章を経て、第4楽章では弦楽奏者が足踏みをして音頭を取ったり、トロンボーンとテューバが立奏したりと、見た目も楽しい音楽が奏でられました。オケとソロのやり取りの音がだんだん小さくなっていき、なぜか大谷は弱音でヴァイオリンを弾きながら、ステージから指揮台近くの階段を下りて、客席の通路を歩いて来ました。そして最後の音を弾き終えると、ステージの方を向いて両手を挙げ、指揮者に「終わった!」の合図しました。その瞬間、会場いっぱいの拍手が起こりました。大谷は再びステージに上がり、カーテンコールが繰り返されました。小室敬幸氏のプログラム・ノートによると、どうやらこの曲は、「観客を巻き込む即興的なパフォーマンス」が求められているようでした
大谷はアルベニス「アストゥリアス(伝説)」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました
さて、この日のコンサートは秋山和慶氏が指揮をする予定でした。しかし、今年1月初旬の大怪我が元で逝去したため、代役を立てることになりました。東響で秋山氏の指揮のもとコンマスとして長年演奏してきた大谷さんにとって、本当は秋山氏と共演したかったに違いありません。それでも悲しみを乗り越えて、最後まで渾身の演奏で弾き切った大谷さんの姿を見て、彼方の世界の秋山氏も、いつもの笑顔で大きな拍手を送っていることでしょう

プログラム後半はコープランド「交響曲第3番」です。この曲はアーロン・コープランド(1900-1990)が1944年から46年にかけて作曲、1946年10月18日にボストンで初演されました。第1楽章「モルト・モデラート」、第2楽章「アレグロ・モルト」、第3楽章「アンダンティーノ・クアジ・アレグレット」、第4楽章「モルト・デリベラート」の4楽章から成ります
オケは16型に拡大し、下手にはハープ2台、上手にはピアノが待機し、フルオーケストラ態勢になります
第1楽章は静かに始まり、次第に盛り上がっていきます。第2楽章はトランペット、トロンボーンなど金管楽器のファンファーレが心地よく鳴り響きます。第3楽章は冒頭、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが静かな対話を交わしますが、この箇所はヴァイオリン・セクションが左右に分かれる対抗配置が最も効果的に作用しました。第4楽章はコープランドの「市民のためのファンファーレ」の主題が支配します。トロンボーン、トランペットを中心とする金管楽器とティンパニとタムタム(銅鑼)のコラボによる迫力ある演奏が爽快です。オーケストラの総力を挙げてのフィナーレは圧巻でした
音楽を聴く限り、この作品が作曲された時代のアメリカは、現在よりもはるかに”良き時代”だったんだろうな、と思います。トランプ政権じゃないし・・・
満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました


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