
フジテレビの日枝久という人が、物凄い権力を握っているらしい(ホリエモンの買収を阻止するべく暗躍したのもこの人らしい)…という話は聞いた事あるかと思いますが、なぜそうなってるのか知らない人も多いと思うので、この辺りの事情が物凄く深くわかる「決定版」と言って良い本を紹介させてください。「フジテレビの歴史」や「日枝久という人がなぜこんな強大な権力を持っているのか」について物凄く深くわかる決定版みたいな本は以下です。●『メディアの支配者』 中川一徳(リプ欄にアマゾンリンク吊るしときます)今、フジテレビ問題の当事者wとして堀江貴文さんがNewspicksとかで長い動画出してますが、その「関係者」である出演してる人たちですら「なぜここはこうなってるのかな?」と疑問のままだった部分とかも、この本を読めば細部の細部までメチャクチャわかります。すごい本。すごい調査力で書かれてるだけじゃなくて、単純にメチャクチャ面白いんで、このポストでは少しその「面白いあらすじ」を要約して紹介します。(マニアックな話ですが、この本の中には当時存命中だった産経新聞OBの作家・司馬遼太郎がしゃしゃり出てきてかなり無茶なことをいう面白いシーンもあります。)・1●「フジテレビのクーデター」に繋がる前史のあらすじまず、フジテレビを同族支配していた『鹿内家』というのがいて、それに対して日枝氏はクーデターを起こして鹿内家のボスを解任し、その後も権力闘争を続けて鹿内家の影響を排除するために、無理な資本政策を行った事が後に堀江氏につけ込まれるスキを与えてしまうというのが「メインストーリー」です。メインの登場人物を紹介すると…以下の『鹿内家の三人』がいるんですね。初代の「信隆」の息子で後継者になるはずだった「春雄」氏が若死にしてしまった事で、娘婿の「宏明」氏に譲ることになって・・・というのがあらましです。>>>・初代・鹿内信隆戦前は陸軍の経理担当官で、大日本再生製紙(今の日本製紙)設立などに関わる。戦後は財界繋がりからの反共団体のボスからニッポン放送・フジテレビの創業に参加し、初代社長の水野成夫を追い出して実権を握る。その後、箱根の「彫刻の森美術館」に関する”怪しげな金融技術”によって資本的にもかなりの支配力をフジサンケイグループ全体に持つようになる。息子、春雄にグループを譲るつもりで画策していたが春雄の方が先に若死にしてしまい、娘婿の宏明への移譲を画策するがその後本人も亡くなってしまい、混乱の源泉となる。・二代目・鹿内春雄鹿内信隆の息子。若い頃放蕩三昧のドラ息子タイプだったが、フジサンケイグループに入社後、父譲りの権力を利用しつつ色々な改革を行って、いわゆる「軽チャー路線」を主導しフジテレビの視聴率黄金期のキッカケを作る。日枝久を抜擢したのもこの春雄。しかし急性肝不全で42歳の若さで急死。・三代目・鹿内宏明初代信隆の「娘婿」=次女厚子さんの夫。日本興業銀行のエリート行員だったが、春雄が亡くなった直後に信隆から突然後継者に指名され、婿入りして後継者になる事を決意。国際金融マンとしての力量はかなりあり、フジサンケイグループの国際展開を目指して改革を行ったが、社内からのクーデターを起こされて失脚。<<<まず初代の信隆じいさんは、最初は特に株式を持って実質的な支配力を持ってるわけではなかったんですが、箱根の「彫刻の森美術館」というのを自分の牙城にしていて、そこからグループ全体を支配する構造を作っていたんですね。箱根の「彫刻の森美術館」は有名なので言ったことがある人もいると思いますが、初代の信隆じいさんは半分趣味であそこをグループのカネで作り上げ、自分はその隣に邸宅を建てて住んでいて、そしてその「美術館の運営財団」が、「フジサンケイグループ本社」の株の47.3%も持っている構造を築き上げる事に成功します。(このプロセスも今じゃ絶対違法だろって感じの強引なものなのですが、知りたい方は複雑になるのでリプ欄にあるより詳しい記事をお読み下さい)・2●「娘婿には継がせたくない未亡人の執念」が大混乱に繋がっていくで、ここからが「本読み初めて10%ぐらいで既にクライマックス的に面白い」話が始まるんですが、初代の信隆じいさんの奥さんで英子さんという人が出てくるんですよ。この人がキョーレツで、西洋医学を一切認めない人で、毎年一億円とかいうレベルで漢方薬にお金使ったり、息子の春雄さんがB型肝炎にかかっても決して医者には見せないようにしていた事で無理がたたって、若くしての突然死に繋がってしまったと言われている人なんですが…先に息子の春雄さんが亡くなって、そして娘婿の宏明さんがグループの継承者になった後に初代の信隆じいさんが亡くなるわけですが、この英子さんからすると、自分の息子の春雄さんの忘れ形見の孫のHくん(ただし当時7歳)が可愛くてしかたなくて、血がつながってない娘婿の宏明さんなんかにグループを継がせたくないわけです。でも、初代の信隆じいさんは、これからのメディア経営には当時のジャパンマネーを利用した国際的なM&Aなどの素養が必要で、国内のメディア経営だけしてりゃいいわけじゃないんだ、という意見を持っていたので、興銀マンの中でも相当優秀だったとされる宏明さんにすごい期待してたんですね。だから、奥さんから「Hくんに継がせろ」と何度言われても無視して、先に公的な遺言書を作って、全部宏明くんに譲るって書いておいたりしたんですが・・・しかし英子さんは、信隆じいさんがガンで苦しんでる病床で看病しながら、「Hくんに譲るべきだ、宏明に譲るな」って言い続けて、で根負けした信隆さんは、死ぬ直前に「妻への感謝の手紙」みたいなのを書くんですが、その手紙の最後の三行ぐらいに、「Hくんが成長したら美術館を任せたい。年寄りのワガママとして許してくれ」っていう文章を書いちゃうんですよ。でも、その美術館ってただの美術館じゃなくて、その美術館運営会社がフジサンケイグループの親会社になって支配権を成立させてるんで、全くもって「ただの死にゆく老人の小さなワガママ」みたいな話では全然なくなって。で、死んだ次の日から葬式の喪主をどうするか、みたいな話で英子さんと宏明さんがガチでモメはじめ、「公的な遺言書」には「喪主は宏明」って書いてあったのに、英子さんはその「妻への感謝の手紙」の最後の数行を突きつけて「私が喪主です!」ってやりはじめるという(笑)普通に法律論議をすると、「公的な遺言書」の方が圧倒的にパワーがあって、「私的な手紙」とかは無力なはずなんですが、そういう正論をいう弁護士は徹底的に遠ざけられて、英子さんのまわりには英子さんのいうことを全面肯定する弁護士と一部の親族が集まって「反・宏明闘争」を開始するんですね。英子さんは「Hくんがさらわれるんじゃないか」と思って、Hくんを家(彫刻の森美術館の隣にある邸宅)から4年半の間一歩も出さないようにしてしまったとか、とにかくこの「昔の上流階級の女性が持ってる”自分は特別”的なエゴの暴発っぷり」がすごく印象的でした。で、日枝久さんのグループは、この「鹿内家の内紛」を背景として、宏明さんを追い出して「労働組合出身の幹部グループ」によるフジサンケイグループ全体の支配を確立することになるんですね。・3●「内輪の代表」か「国際的視野のある改革派」か?という定番の課題この事件を、別の角度から見てみると、春雄氏は「コンテンツ作り」に造詣の深いタイプで、日枝久氏を抜擢してフジテレビの「視聴率三冠王」時代を作った改革を行った人なんですね。一方で、宏明さんは元興銀マンで国際金融に詳しく、海外メディア企業のM&Aなどで手腕を発揮していた様子が、『メディアの支配者』の中に詳細にかかれていました。でも宏明さんは、ちょっと「社内政治」的な部分の配慮が弱いタイプで、結構強引に人事を行ったりして、また国際M&Aのために必要だからヘッドハントしてきた人材が「宏明の取り巻き」的な振る舞いをして反感を買ったりして、それが日枝久グループからの「反感」を買ってクーデターの原因になったところがある。実際、産経新聞OBで当時存命中だった司馬遼太郎は断然断然「春雄さん派」というか、宏明さんが嫌いで、日枝氏のクーデターが実現したあと興奮して「これで産経は良くなりますね!」っていうFAXを大量に送ってきたそうです(笑)単に傍観者として論評するだけじゃなくて、「これを機会に徹底して宏明さんを追い出すべき」と司馬遼太郎が言いまくって、結果として宏明さんは「末席の役員」みたいな影響力も完全にない状態ま徹底的に追い込まれることになります。ただ、宏明さんは結構大きな株式を持っていたにもかかわらず「完全に追い出す」ことをやろうとしたために、また物凄い無理のある資本政策をすることになるんですよね。(フジテレビの親会社状態になってるラジオ局のニッポン放送を上場させてしまって、そこを買収しさえすればグループ全体を支配できる状態にしてしまい、そこを堀江貴文氏に突かれて大問題に発展してしまった)そして、国際金融に詳しい「宏明派」を完全に排除してしまったがために、当時の溢れるようなジャパンマネーを利用した国際展開といったこともほとんどできずに、フジテレビは「国内だけの井の中の蛙」としてズルズルと衰退してきてしまった面は否めないと思います。・4●フジテレビ路線対立の「本質」とは?つまりこの問題は、堀江氏・宏明氏(グローバル視点での改革を求めるグループ)vs春雄氏・日枝氏(コンテンツ作りを担う現場の意志を代表するグループ)との綱引きなのだ・・・と考えるとわかりやすいと思います。じゃあ宏明さんが続投してたり、堀江氏の買収が成功していた方が良かったのか?というのはなかなか人によって意見が分かれるところですよね。リプ欄に吊るしてあるより詳しい記事で深く考察していますが、堀江氏型の「改革」から日本のメディアが距離をおいていた事が、昨今世界中で民主主義国家が分断に苦しんで混乱していく中で日本だけある程度の安定が実現しているという事実はやはりある。だからこそ、過去には「わかりあえない事情があった」のはもう仕方ないとして、大事なのは「これから」どうするかなのだと思います。つまり、今なら「コンテンツ制作の現場の思い」も引き受けながら国際展開もできるような道が生まれてきているのでは?という視点を持てるかどうかですね。Newspicksでの堀江さんの話も、昔と違って「コンテンツ制作のための文化」の重要性を認める発言などもするようになり、その上で「取り入れた方が良い改革」について述べるという構造になってはいた。両者の文化の間に相互理解が進み、「新しい連携のあり方」が見えてきたからこそ、今になって日枝氏の独裁支配をもう崩壊させても良いのでは?という流れが日本社会に本能的に巻き起こっているという理解もできるのかなと考えています。リプ欄には、そういう「今このタイミングでフジテレビ問題が紛糾する意味とは何か」の掘り下げや、他にも「美術館財団がフジテレビを支配する金融テクニックの詳細」などを掘り下げた、この要約ツイートの元記事へのリンクを張っておきますのでぜひお読み下さい。『メディアの支配者』のアマゾンリンクも吊るしておきます!
2025-01-31 20:00:56

上記要約ポストで紹介した、「フジテレビ問題の歴史」のコアの部分について掘り下げて考察した記事はこちらから→note.com/keizokuramoto/…『メディアの支配者(中川一徳)』のアマゾンリンクはこちらです→amzn.to/3PVKXqH
2025-01-31 20:03:32
過去20年日本よりよほど上手く行ってた国々が社会分断で混乱していく中、「薄っすら残る中道主義への共感」を捨てずにいたからこそグダグダになっていた我々日本こそが、これからの分断の時代に新しい希望を掲げられる…という私の渾身の新作が2月7日に出るのでぜひご予約を!amzn.to/4aqnKq5
2025-02-01 02:58:01
いまこの本を読んでます。鹿内家独裁を排除した人が独裁者になる。ミイラ取りがミイラになるとはまさにこのことです。x.com/keizokuramoto/…
2025-02-01 12:18:11
箱根彫刻の森美術館は当然何回も行った場所だが、あそこがフジテレビの経済的支配にとってそんな重要な場所だったとは。(フジテレビ手に入れたら、ここのピカソ作品も全部付いてくるのか〜いいな〜くらいに思ってた)x.com/keizokuramoto/…
2025-01-31 22:08:40
子供の頃に好きで見ていたポンキッキの合間に流れるCMで箱根彫刻の森美術館のやつが異彩を放っていたのをよく覚えてる。あれにはそういう意味があったのか。フジテレビの日枝久という人がなぜこんなに偉そうにしているのかがわかるすごい 倉本圭造@keizokuramoto#notenote.com/keizokuramoto/…
2025-02-01 10:59:46
1970年代日本は「人生を楽しむ」発想はまだ一般的でなく、真面目に生きていない人を叩くのが数少ない娯楽の一つだった気もするのですが(←朧げな記憶)、80年代は漫才ブーム等、人生は楽しんでいいんだ!という方向に大きく振れた時代、にも思われ。フジテレビはその方向への強力な牽引者でしたね…x.com/keizokuramoto/…
2025-02-01 14:10:06
なんだかようわからんが、分かるところはめちゃめちゃわかりやすい、面白い。 爺の元の実家も田舎の小金持ちで、結局、伯父だのバカ息子だのが争って消えてしまったが、まあ、なんだか似たようなところがいっぱいあって親しみを感じるw.x.com/keizokuramoto/…
2025-01-31 20:11:00
鹿内宏明さんって神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世みたいな早過ぎた国際派みたいな感じを受けました。(ホーウェンシュタウフェン朝最後の皇帝でほぼ交渉だけでエルサレムを奪還して文化に造詣が深く早過ぎたルネサンス人とか呼ばれる一方で教皇とは対立し続けてドイツの領邦国家化の種を蒔いた人でも)x.com/keizokuramoto/…
2025-02-01 14:17:47
映像k…🐻それ以上いけないともかく堀江氏の騒動以前の、前提となる背景は初めて知ったかも。んで、"過去には「わかりあえない事情があった」のはもう仕方ないとして、大事なのは「これから」どうするか"これよねーx.com/keizokuramoto/…
2025-01-31 20:25:05
ルパート・マードックの後継者爭いの愛憎劇を描いた『メディア王』という人気長編ドラマがあるんだけど(U-NEXT見放題)鹿内家を題材に木曜劇場でドラマ化したら視聴率13.1%はいけるのではないか。(エルピスの製作陣で頼む)x.com/keizokuramoto/…
2025-01-31 21:08:22
@fm0914112299 ありがとうございます!ついでに唐突に無理やり宣伝ですいませんがこちらもよろしくお願いします!(笑)amzn.to/4aqnKq5
2025-01-31 21:34:59
@keizokuramoto 日枝体制を語るためには鹿内家時代のことも理解しなきゃいけないとは以前から思ってました。まさか鹿内家支配の始まりが美術館からだとは思わなかったです。(フジサンケイグループが美術館運営にえらく肩入れしていたため)
2025-01-31 21:11:55
@GertrudeStrarf 美術館は半分信隆の趣味なんですが、金融技術的にグループ全体を支配するハコ法人に利用されたんですね。詳しくはリプ欄に吊るしてあるリンク先記事もどうぞ!
2025-01-31 21:31:37
@keizokuramoto 昔、夕方のアニメ再放送を見ていると、やたら「箱根、彫刻の森美術館」というCMが流れていたあそこがそんなきな臭い場所だったとは…
2025-02-01 09:37:44
@sn_lawyer 首都圏、特に神奈川育ちの人は子供の頃からすごく馴染みがあるみたいですね。金融技術用のハコとして使われはしましたが、信隆が美術館に入れあげていた気持ち自体は純粋なもので、世界的に評価も高いらしいですよ。コメントありがとうございます!
2025-02-01 09:41:30
@keizokuramoto わたしは福井で少年時代を過ごしたんですが、彫刻の森美術館は中学校の修学旅行で訪れたことがあります。あそこのCMでうちの中学校の生徒が映ってたとかなんとか…
2025-02-01 00:39:55
@shiina_t_876 おおーそこまでのオフィシャルな名所なんですね。僕は行ったことないのでぜひ行きたくなってきましたね。コメントありがとうございます!
2025-02-01 00:43:29掲載ポストについて
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