
弁護士(東京弁護士会)、旬報法律事務所。労働者側で労働事件をやっています。日本労働弁護団幹事長(2022.11~)。ブラック企業被害対策弁護団顧問。不当懲戒請求事件原告。活動は東京近辺。なお、ここでの投稿は私の所属する弁護団や団体とは無関係であり、私的見解です。また、RTや「いいね」は常に賛同の意味とは限りません。

コロナ禍の中で解雇が起きてて、いくつか相談や受任をしているので、今言っておいた方がいいなという一般的な注意として言っておきますが、会社から「解雇」と言われたら、退職届にサインをしてはいけません。今さらそんなこと知ってるわ!と思う方もいると思いますが、意外に多いのです。
2020-06-03 09:17:37
自分から退職をすることと、会社に解雇されることでは、法的な争いやすさが月と鼈(スッポン)ほど違います。自分で退職するという意思を示してしまったら、それを覆すのは容易ではありません。だからこそ、会社は争われるリスクを避けるために、解雇なのに退職届にサインをさせようとするのです。
2020-06-03 09:19:42
もちろん、時系列的に、最初に解雇を言い渡していれば、そこで解雇となるので、後の退職届は効力はありません。しかし、口頭で解雇と言っておいて、「じゃ、これに書いて」と言われて、退職届にサインをしたら、紙として残るのは退職届だけです。そして、裁判所は紙が大好きなので、紙を信じます。
2020-06-03 09:21:24
解雇なのに退職届を書かされた、という例はコロナ禍の前からありましたが、コロナ禍における解雇で多めにみるようになったので、不思議に思ったのですが、おそらく労働者側の心理は、コロナ禍→会社が苦しい→解雇も仕方ないのかな→サインするか、というものだと思います。でも、落とし穴なのです。
2020-06-03 09:23:33
解雇は使用者による労働契約の一方的解約なので、コロナだろうと何だろうと、経営の都合による解雇は、労働者に非がない解雇なので、その有効性は慎重に判断されます。慎重に判断されると解雇無効となるかもしれないから、退職届にサインさせておこう、という落とし穴にはまらないようにしてください。
2020-06-03 09:26:49
日本の労働者は「会社も苦しいから」と言われると、つい解雇を受け入れがちです。その心理に乗じて退職届にサインをさせるというものですが、後でおかしいと思っても、争うのが難しくなります(争えないわけではありません)。とにかく解雇は解雇なので書面にサインするのは不要と覚えてください。
2020-06-03 09:30:43
また、下手すると失業等給付(いわゆる失業保険)がすぐにもらえないなどトラブルになることもあります。会社が何かの助成金などをもらっていて、解雇ができない場合(解雇すると助成金を返さなきゃいけないことがある)、自己都合退職扱いされることがあり、その場合によくみるトラブルです。
2020-06-03 09:35:29
労働契約を当事者の意思によって終了するパターンは、①使用者による解雇、②労働者が自分で退職(=辞職)、③労使の意思の合致による合意退職の3種類があることを覚えておいて、労働者側の意思が必要なのは後ろ二者だと思えば、変な書面にサインしないで済みます。
2020-06-03 09:39:18
解雇と言われてその気になって♪退職届は 大間違い♪あとで 争う たいへんよ♪twitter.com/ssk_ryo/status…
2020-06-03 10:27:19
自主退社と会社都合では退社後の雇用保険(手当)の取得開始日や取得日数に差がかなりでてしまうので注意。twitter.com/ssk_ryo/status…
2020-06-03 10:06:54
「解雇」ないしは「契約を更新しない」といわれたら、何かにサインするのではなく、逆に「解雇理由証明書」もしくは「雇止理由証明書」を請求するのも一つの方法です。ちなみに、雇止めの理由は「契約期間の満了」以外のものを記載する必要があります。twitter.com/ssk_ryo/status…
2020-06-03 10:03:52
全然違う話ですが、離婚届にも簡単に署名押印してはいけません。「親権は取り返せる」「財産分与も向こうから言ってくれるだろう」「養育費も大丈夫」という期待を勝手に抱いて離婚届に簡単に署名押印される方が多いですが、後が面倒くさい。ていうか、後から挽回できないことも多いです。twitter.com/ssk_ryo/status…
2020-06-03 09:40:36掲載ポストについて
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