
日本推理作家協会所属。作家、ライター、漫画原作者。主な著作:『火の国、風の国物語』 『僕と彼女のゲーム戦争』 『無法の弁護人』等(既刊52冊)。ゲームシナリオ10作。PIXIV FONBOX:december.fanbox.cc/posts/323059ご依頼窓口↓

インボイス制度のお話。「こまけぇことはいいからフリーランスは結局どうなるの?」というのが分からず税理士さんに質問しまくってようやく理解。結論から言えば「年収の5%を消費税として納める」「報酬受け取り時に消費税分を加算してもらうのを諦める」の二択に。(消費税10%として)
2019-08-29 20:47:32
個人的にインボイス制度の解説でわけ分からんのは、自営業全般で話をしてるからだと思います。卸売業も小売業等もサービス業等も一緒にせず、作家・イラストレーター・漫画家などのフリーランスに限って話をするとだいぶ楽です。(正確には簡易課税制度の第五種事業に該当してる人)
2019-08-29 20:48:37
また、「フリーランスの報酬には消費税が加算されている」というのが大前提です。古事記にもそう書いてある。「俺フリーランスだけど消費税払われたことがない!」という人もいると思いますがその事例を混同するとやれ二重関税だのと大変話がややこしくなりますので。
2019-08-29 20:49:45
余談ですがフリーランスやってて消費税が支払われない場合は、消費税転嫁対策特別措置法などを持ち出して交渉しましょう。詳しくはこちらの本で!(宣伝)amazon.co.jp/dp/4800720621
2019-08-29 20:49:46免税事業者と課税事業者

さて、まず我々のようなフリーランスの場合、消費税については・免税事業者・課税事業者という二つがあります。前者の場合は文字通り消費税の納税を免除されるわけです。
2019-08-29 20:50:41
大体のフリーランスは自動的に免税事業者です。「前々年度の年収」が1000万以下なら免税事業者になるからです。余談ですが「消費税が辛いぜ」とこぼすフリーランスがいたら焼き肉をたかる風習があるのはそのため。古事記にもそう書いてある。
2019-08-29 20:50:41
※重要ただし、「前々年度の年収1000万以下」のフリーランスであっても、自分から申請して「課税事業者」になることができます。(消費税課税事業者届け出書の提出)
2019-08-29 20:51:43
自分から課税事業者になることに意味があるのか?一応あります。たとえば報酬としてもらった消費税以上の消費税を国に収めた年の場合、「課税事業者」なら消費税の還付を受けられます。ただし、毎年の仕入れもないフリーランスの場合、よっぽど設備投資したときぐらいしか生じない状況ですが。
2019-08-29 20:51:43
で、インボイス制度が始まる2023年10月からは結局どうなるか。まずフリーランスがクライアントから報酬を受け取る際、前述の「免税事業者」であればクライアントから報酬として消費税を受け取れなくなります。
2019-08-29 20:51:43
(言い換えると、「消費税は支払先が課税事業者に限り支払う」ことになるそうで。そのためインボイス制度開始後は、クライアント会社に対して「私は免税事業者です」という届け出をする必要が生じそう)
2019-08-29 20:56:27
たとえば本を出して100万円の印税を頂いたとしましょう(注:あくまで仮にです)。そこに消費税が加算されるので、8%として100万+8万が振り込まれます(源泉徴収は今は無視)。ですが「免税事業者」のままでインボイス制度が始まった場合、もらえるのは100万円だけになります。
2019-08-29 20:56:27
そこで「免税事業者」ではなく申請して「課税事業者」になれば、インボイス制度後もこれまでと同じように報酬に消費税が加算されます。前述の例で言えば報酬は100万+消費税10万円という形ですね。(面倒くさいんですがそのときには消費税10%になってるはずですので)
2019-08-29 20:56:28原則課税方式と簡易課税方式

とはいえ課税事業者になれば当然消費税を納める義務が生じます。一方で、この消費税を納める形には、・原則課税方式・簡易課税方式という二つがあります。
2019-08-29 20:56:28
本来、消費税を納付する場合、「報酬としてもらった消費税」から「経費にかかった消費税」を差し引いた上で計算できるんです。でも仕入れがあるわけでもない我々のようなフリーランスでこれをやるのはあまり利益もありません。
2019-08-29 20:56:28
そこで「簡易課税方式」を選ぶと、フリーランスの場合、受け取った消費税の50%を払えばOKということになるんです。(なお業種によって50%というパーセンテージは異なります。ここで触れてるフリーランスが簡易課税制度の第五種事業に該当するので50%というだけで)
2019-08-29 20:56:28
なのでインボイス制度適用後の簡易課税方式の場合、収入300万、消費税率10%とすると、報酬として加算される消費税は30万。そのうちの50%=15万を消費税として納める形になります。(厳密には消費税30万×(100%-50%)=15万)
2019-08-29 20:56:29導入後はこうなる

つまりインボイス制度導入後は、・免税事業者のままで300万の報酬を受け取るか・課税事業者となって300万+消費税30万を受け取り、あとで15万を消費税として納付するかの二択になります。当たり前ですが課税事業者になる方がお金が多いことになります。
2019-08-29 20:56:29
で、これで冒頭の結論に繋がるわけです。↓インボイス制度が始まると、「年収の5%を消費税として納める」か「報酬受け取り時に消費税分を加算してもらうのを諦める」の二択になると(消費税10%として)
2019-08-29 20:58:41