
スマブラの話で必ず思い出すのが、小学生の時に不登校だったT君。小2から不登校になって一度も学校に来ず、俺は顔すら見たことなかったのだけど、小4の時に「プリントを渡しに行ってくれ」って先生から頼まれて、たまたま俺が行ったら、お母さんが出てきて、その時スマブラの音が聞こえた。
2018-06-14 18:32:46
「お、スマブラだー」って呟いたらお母さんが「あ。知ってるの?遊んでく?」と聞かれて、俺が快諾すると、お母さんが嬉しそうにT君に話しに行く。10分ぐらいして家に上がる許可が出て、靴を脱いで中へ。初対面のT君にコントローラーを渡されて、ろくに会話もしないままゲームスタート。
2018-06-14 18:38:23
「アイテムなし、ストック3で良い?」奇しくもT君が提案したルールは、いつも俺が友達と遊んでるものと同じだった。そしてキャラ選択。俺が選んだのはカービィ。色ももちろん青に変更した。大してT君は…プリン!?当時、罰ゲームでなければ誰も使っていなかったキャラだった。
2018-06-14 18:41:54
「場所は?」「ハイラルで」俺のお気に入りのステージ。そして始まる俺とT君の戦い。結果はT君の圧勝。一度も機を減らすことすらできず、それどころか58%ぐらいしかダメージを蓄積できずに、俺は敗北した。こんなにボコボコにされたのは初めてだった。「もう1回!」俺がそう言うと、T君は頷いた。
2018-06-14 18:46:33
結局、3時間は遊んでいた。一度も勝てなかったどころか、一機すら削ることができなかった。19時前になり、お母さんがT君を食事に呼ぶ。「食べてく?」と聞かれたが、断った。今日は家でちらし寿司だから、給食もほどほどにしろと親父に言われていたのだ。だが、こう言った。「また来ます」
2018-06-14 18:49:51
次の日、学校でT君の家でスマブラをしたことをクラスで話しまくった。「3時間で一回も吹っ飛ばせなかった。しかも使用キャラはプリン」その言葉にクラスの友達は興味津々だった。早速その日の放課後、6人でT君の家に行った。お母さんは少し驚いていたが、6人を迎え入れてくれた。
2018-06-14 18:53:03
俺以外の一人ずつがT君に挑戦する。まずは藤原君。使用キャラはネス。結果はもちろん、T君の圧勝だった。「もう1回やらせて!」藤原君が言う。だが2回目の結果も、0-3。ここで全員に火がついた。「俺家からコントローラー持ってくる」吉田君がそう言って、家から出た。
2018-06-14 18:56:16
戦いを見ているのが、みんな我慢できなかったのだ。早くT君と遊びたかったのだ。間も無くして、吉田君がコントローラーを2つ持ってきて、4人対戦ができる状態になった。その間、菅原君があっという間に2回負けていた。吉田君が「チーム戦をやろう!」と言って、T君俺vs吉田君近藤君の戦いに。
2018-06-14 18:59:18
チーム戦でも、T君は凄まじい強さだった。俺なんていてもいなくても同じ。二人ともT君を倒すのに夢中で、実際俺は相手にされていなかった。結局二人を同時に相手しても、T君は1ストックも減らすことはなかった。そこからは、1:2の戦いが続く。だが3時間で、誰もT君の機を減らすことはできなかった。
2018-06-14 19:04:34
この日も、ゲームの終わりはT君のお母さんの一言。「そろそろご飯よ。みんなも食べてく?」だった。全員が頷いた。良いカレーの匂いに誘われたからではない。みんな、T君に興味があったのだ。「こんなたくさんでご飯食べないから、狭くてごめんね」と言われたが、気にならなかった。それよりも。
2018-06-14 19:08:39
「なんでそんな上手いの!?」「あれどうやってやんの?吹っ飛ばすやつ」みんなそれぞれ、聞きたいことが山ほどあったのだ。結局、ご飯の後にも1時間ほどゲームをやって、家に着いたのは21時だった。親父にしこたま怒られた。翌日から、T君はプリン師匠と呼ばれるようになった。
2018-06-14 19:10:37
それから、放課後はプリン師匠の家に行くのが決まりになっていた。毎日遊びに行ってもT君のお母さんは笑顔で迎え入れてくれた。T君に聞いた方法で、攻撃を避ける。攻撃するタイミングをしっかりと見極め、無駄な隙を与えない。ジャンプの大きさも考える。そして数日後、ようやくその時は訪れた。
2018-06-14 19:14:37
ついに、T君から一機奪うことに成功したのだ。誰が奪ったかは正直覚えていない。その瞬間、俺はゲーム画面よりも、脳裏に焼き付いた映像があったからだ。T君が、その時初めて悔しそうな表情をした。それが嬉しかったのだ。結局、T君の家には毎日通っていた。ある日が来るまで。
2018-06-14 19:18:49
その日の朝、いつものように俺は「プリン師匠の家、今日誰が行く?」なんて話をしていた。朝礼の時に、先生が言った。「今日から、T君が登校を再開します」そう言うと、T君が扉を開け、教室に入ってきた。家で見るT君より少し小さく見えた。だが、それは紛れもなくT君、いやプリン師匠だった。
2018-06-14 19:22:22
「あ!プリン師匠!」「師匠!」俺たちがそう言うと、師匠は少し笑った。T君が学校に来たことで、他のクラスのスマブラ勢の家にもT君を連れていけるようにもなった。だが、結局T君よりスマブラが強い人は、一人も学年にいなかった。T君は卒業する頃には、学年で有名人だった。
2018-06-14 19:30:40
俺があの時T君と仲良くなれたのは間違いなくスマブラのおかげだ。口下手でも無口でも関係ない。「ゲームが強い」という事実は、すべてを吹き飛ばせる。ゲームが勉強に役立つか、オリンピック種目に値するかはわからない。だがゲームには、無限の魅力がある。俺はT君との出会いでそれを知った。
2018-06-14 19:39:51
世間でよく言われているように、ゲームのせいで引きこもりになる可能性は確かにあるけど、T君がゲームのおかげで学校に来られたのもまた事実。ゲームって色んな意味で特殊だから、負の要素やニュースが散見するけど、素晴らしい話がもっとたくさん出てきて、拡散されて欲しいな、と思った。
2018-06-14 21:10:23
@N_youyouma 中学が違ったのでその後はわからないのですが、卒業まではずっと遊んでました。あの頃携帯を持ってれば、中学からも繋がれたのになぁ、と今は後悔してますね。
2018-06-14 21:29:28その後こんな面白い展開に


桜井さんに届いたの、さすがにびっくりした。プリン師匠以外にも、スマブラで出来た他校の友達もいたり、思い出はたくさんあります。こんな素晴らしいゲームを作ってくださって、本当にありがとうございます。twitter.com/sora_sakurai/s…
2018-06-14 23:31:32掲載ポストについて
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