米ディズニーCEOのボブ・アイガーは、マーベル・スタジオ作品の本数を減らす方針を第2四半期決算説明会で明らかにした。ディズニー全体の戦略として、作品の“量”よりも“質”を重視する方針にシフトすることを延べ、「特にマーベルに当てはまる」と説明している。米Deadlineなどが伝えた。
アイガーはマーベル・シネマティック・ユニバース作品における今後の方針として「作品量を緩やかに減らしていく」と宣言。これまで年4本程度がリリースされていた(ディズニープラスの)ドラマシリーズは年2本ほどに減らすとし、同じく年4本程度だった映画も「2本に、多くとも3本に」抑えるとの意向を明らかにした。
「我々はこうした道のりについて懸命に取り組んでいます。2025年には素晴らしい映画が数本あり、それから更なる『アベンジャーズ』に向かっていきます。非常に楽しみにしている作品です」とアイガー。今後のアベンジャーズ作品としては、2026年と2027年にそれぞれ一本ずつ予定されている。
アイガーは、将来の作品群について「手応えを感じている」と自信。「私自身、さらに多くの時間を費やします。制作チームや、進めているIPについては絶大な信頼を寄せています。今進めている全ての続編を含め、どこにも負けないものになっています」と語っている。
アイガーがこう宣言する背景には、ボブ・チャペック前CEOによる方針からの振り戻しを図りたい思惑がある。2020年にアイガーの後任CEOに就任していたチャペックは、どちらかといえば質よりも量を重視したハイペースなコンテンツ戦略を展開。この結果として、2021年にはアニメ作品も含めて5本のTV作品と4本の劇場映画、2022年には6本のTV作品と3本の劇場映画、2023年には4本のTV作品と3本の劇場映画がリリースされた。
この頃より、供給量が先行するあまり作品の質が追いついていないとする指摘が増えるようになり、業界全体では「スーパーヒーロー疲れ」の懸念が叫ばれる事態となった。こうした因果からか、2023年の映画『マーベルズ』は、マーベル・スタジオ映画として初の赤字転落を招いている。
アイガーは2022年11月にディズニーCEOとして再登板し、立て直しを図っている。現在、マーベル・スタジオ作品から公開される2024年の劇場映画は『デッドプール&ウルヴァリン』(7月26日)のみで、実写ドラマシリーズは「エコー」と「ワンダヴィジョン」のスピンオフ作品「アガサ:ダークホールド・ダイアリーズ」の2作のみだ。
しかしながら2025年には『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2月)『サンダーボルツ*』(5月)『ファンタスティック・フォー』(7月)『ブレイド』(11月)と、既に4本の劇場映画が予定されている。これらはアイガーの再就任以前から予定されていた作品もある。一年のうちにこれだけの劇場映画が公開されるのは、しばらくは2025年が最後になるだろう。
以上でリリースのピークは終了し、現時点で2026年と2027年はそれぞれ『アベンジャーズ』劇場映画が1本ずつあるのみ。ドラマシリーズからは「アイアンハート」と「デアデビル:ボーン・アゲイン」2作の2025年配信予定が、現在の最後予定となっている。
Source:Deadline
THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。