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観劇の感想、旅行、日常など

稽古場の哲学者たち - 劇団イキウメのワークショップに参加して -

大好きな劇団、イキウメのワークショップに参加してきた感想です。

初めてイキウメの作品を見たのは、2017年、シアタートラムの「散歩する侵略者」だったと思う。衝撃的に面白かった。それまで私にとっての演劇って小学校の池ぐらいの大きさだったのが、観劇後には琵琶湖ぐらいにまで広さも深さも拡大した気がした。

それから都合がつく作品はほぼ全て劇場で見た。「よく分かんない」で終わってしまった作品もあったけど、唯一無二のその世界観に触れることがまず楽しかった。
劇団の役者たちのこともどんどん好きになるし、前川さんが作品のテーマとしてまなざすものには知的好奇心を掻き立てられた。
公演を見たあと、劇場から1時間ほど歩きながら興奮する気持ちを落ち着かせ、感想を頭の中でまとめる時間が至福だった。

そんな思い入れのある劇団が本公演をいったん休止するとの発表を目にしたときは結構ショックだった。
休止前の本公演「ずれる」は、出演者が劇団の役者5人のみとミニマムな体制ながらめちゃくちゃに濃密で、洗練されていた。イキウメは無敵だと思った。

充実感と寂しさから、過去のお気に入り作品のDVDをAmazonで注文し、受け取った頃だったと思う。イキウメの公式アカウントからこんなお知らせが来た。

【イキウメのRe:Creationワークショップ】
演劇創作に興味のある方(演劇に携わっている方もそうでない方も)を対象に実施します。
6/21(土)と22(日)いずれか1日、13時~18時頃、場所は都内スタジオで。
概要・詳細とお申込みについては、こちらからになります。↓https://t.co/s5kYx1dKMKpic.twitter.com/dqZqJkfm4z

— イキウメ/カタルシツ (@ikiume_kataru)2025年5月27日

 

よく分かんないけど、とりあえずめちゃくちゃ面白そうな企画だというのは分かった。

「ワークショップ」という言葉にひるんだけど、演劇に対して「見る」という関わり方しかしていなくても参加OKとなれば、行かない選択肢はなかった。申し込みに添付する文章を数日かけて練り、祈る思いで送信ボタンを押した。

可否案内が来る期日近くの平日の夜、そわそわしていたら一通のメール通知が来た。開いて読みすすめると、どうやら私は参加できることになったらしい。驚きと嬉しさで何度もメールを読み返した。

どんなことをやるのかな、当日何を聞こうかな、持ち物の内履きってスリッパでもいいのかな……などと考えていたら、あっという間に当日を迎えた。

 


場所は都内某スタジオ。まずこうした建物に入るのも初めてなので、かなり緊張した。空気感や造りは地域の児童館を思い出した。
入ってすぐ受付と、その横に掲示板がある。真っ直ぐ廊下を進むとソファや自販機があって、その奥に稽古場が広がっていた。

キョロキョロしながら歩いていると、開始前の休憩中だった浜田さんと思いっきり目があった。頭が真っ白になりながらも、「こんにちは…」と挨拶の声だけは絞り出せた。とても失礼な発言だが、私はイキウメの役者たちのことを「ヒトならざるもの」と思っている節があるので、普通に挨拶を交わしたことにやや面食らってしまった。

稽古場に入って料金を支払ったら領収証がもらえた。好きな劇団から領収証がもらえるなんて、そうあることじゃない。宝物だ。

開始時刻まで余裕があったので、並べられた椅子に座って周囲を眺めた。まず驚いたのは、受付中から稽古が始まるまでの間、ラジオが流れていたこと。箱馬の上に置かれたポータブルスピーカーからは、休日の午後のゆったりした空気感たっぷりなTOKYO FMが聞こえていた。

なんでラジオなんだろうという疑問には、企画が始まってすぐに前川さんが答えてくれた。「ラジオが止まると、なんとなく勝手に始まる雰囲気になって『始めるよー』とわざわざ言わなくていいから」だそう。イキウメの稽古場ではいつもの光景とのことだった。
何度目かの休憩中にリリー・フランキーのラジオ番組が流れていたのだけど、まあまあ激しい下ネタが静かな空間に流れていて若干気まずさを感じたのは笑い話だ。

 

ラジオが止まり、前川さんが言っていたように自然と「始まる空気感」になったところでスタート。

企画の意図や稽古の設定(一週間後に架空の九州公演があるため、その思い出し稽古という設定)、スケジュールなどの説明のあと、イキウメの創作哲学について前川さんがたっぷり話してくれた。
私がイキウメに惹かれる理由だけでなく、イキウメがこれほど多くの人に支持される理由がこのパートの随所から感じられたので、私の感想を挟んだうえだが、できる範囲で記録したい。

 

イキウメ的哲学のキーワードは3つ。「不便さ」「不自由さ」、そして「ネガティブケイパビリティ」だ。

まず不便さと不自由さに関することでは、稽古場に準備される美術装置の話をしてくれた。

劇場プロデュース公演だと、劇場側の美術部さんがプランに沿ったセット的なものを張り切って稽古初日から置いてくれようとするが、そこはあえて「とてもありがたいが、初めは無の方がいいので何も置かないでください」とお願いするそうだ。

何もない稽古場は不便で、どうしたらシーンを成立させられるか、自然と試行錯誤し続けることになる。不自由さを乗り越えるために自然と俳優の体から立ち上がったものを美術家のプランと掛け合わせることで、最終的に思いもよらないものができあがる。
公演まで余裕がある段階できれいな結論にたどり着いてしまったら、一度壊してなかったことにするという大胆な選択肢を取ることもあるそうだ。

「簡単には綺麗な答えにたどり着けないからこそ面白くなる」との前川さんの言葉には実感がこもっていたし、「すぐに成立させない」「答えを出さずに考え続ける」と何度も繰り返していたのも印象に残っている。

この「答えを出さずに考え続ける」という信条から私が連想したのは、まさにこのあと前川さんが口にする「ネガティブケイパビリティ」というワードで、思考が重なった気がしてかなりときめいた。

 

ネガティブケイパビリティとは、だいたい「答えの出ない事態に耐える能力」と説明される、最近よく聞くようになった言葉だ。

これの具体的なエピソードとして上がったのは、台本が全編できあがっていない段階での稽古について。

イキウメの役者陣の特徴として、台本が未完成の状態で稽古しても「自分の役は最終的にどうなるのか?」と前川さんに聞いてこないのだそうだ(気にはなっているかもしれないが、あえて聞いてこないという言い方をしていた)。
「自身の役の今を、その後の展開から逆算して考えるタイプの役者や、結末が分かっていないことを不安に感じる役者もいる。しかしイキウメの役者は違う。自分はむしろ結末が分からないとワクワクする」と朗らかに語る安井さん、かっこよかった…。

演劇経験がない身からすると、一貫性を重視して逆算的に役を立ち上げるというのは非常に効率的で、観客目線でも解釈しやすい仕上がりになると思う。しかしそれだと、早い段階から道が一本に絞られてしまう。つまり、多くの可能性を「分かりやすさ」のために犠牲にしている。
「そういうのはイキウメ的ではない」というのは、過去のイキウメ作品の観劇経験から感じ取ってきたことと合致する。

イキウメには、曖昧さを受容しながら考え続けることを楽しめる人が集まっているし、不便な道を歩む困難(困難とさえ思っていないかもしれない)を共に乗り越えてきた劇団だから、こんなに強く美しいのだと思った。

 

休憩を挟み、いよいよ思い出し稽古が始まった。

企画の告知ページにはこう書いてあった。

上演中の『ずれる』を公演終了後に劇場から、何も無い空間(稽古場初日)に戻します。

美術、小道具、衣装、照明、音響などは稽古を重ねる中で吟味され、作品世界を作り上げる具体です。

それらは稽古と公演を重ねることで俳優の身体に馴染み、染み込んでいきます。

その具体が身体記憶された状態で、何も無い空間で演じてもらう。

それは観察者にどういう想像力を喚起し、どのような発見をもたらすのか。

参加者の皆さんと考えたいと思います。

引用元:ワークショップ募集(イキウメ)

 

「その具体が身体記憶された状態で、何も無い空間で演じてもらう」とはどういうことかというと、ソファやテーブルは箱馬を重ねたものになり、小道具はなく、照明と衣装ももちろんなし。音響は前川さんやシーンに出ていない役者陣が口でやる、という形態だった。

完成した公演をすでに見ているので、小道具などの見えないものを自然と頭の中で補いながら稽古を見るのだが、普段の観劇では使わない脳みその部位を刺激された。ここで佐久間(盛さん)はボーリングのピンを並べていたな、この人はこんな衣装を着ていたな、あそこにお酒の瓶が並んでいたな、などなど。

できあがった公演では、五感の情報の中でも特に視覚情報が観客の反応に色濃く反映されるが、思い出し稽古だと、視覚+見る側の脳内補完によってリアクションが十人十色になるのがとても面白かった。

例えば、佐久間が輝(安井さん)の家のリビングでマリファナを吸う場面は、劇場では「明らかにヤバそうな葉っぱを紙で巻く怪しい男」という絵面がジワジワ面白さを作り、「それは何だ?」「マリファナだ」という会話が分かりやすくウケていた。

思い出し稽古では、「やたら慣れた手付きで熱心に細かい作業をする稽古着の盛さん」という絵面と、すでに展開を知っているために「たしか、このシーンではマリファナの葉っぱを取り出していた」という記憶が並行して存在した。劇場で見たときとは違う文脈の、面白さを享受する特殊なルートが生まれたように感じた。

 

衣装の有無による役の印象の変化も、とても分かりやすかった。

引用元:https://x.com/ikiume_kataru/status/1922139741723435204

浜田さん演じる超有能な秘書兼家事使用人の山鳥(写真右)は、劇場ではカチッと固めた髪にスーツというビジュアルで、「ちゃんとしている風」に見えた。しかし、稽古着の浜田さんだとやはりどこか地球外生命体的な存在感があって、山鳥の底知れない怖さがより強く印象に残った。

また、大窪さん演じる春(写真左)は、やんちゃな衣装をまとっていると触ったらこちらがケガをしそうなトゲトゲしさを感じた。しかし稽古着だと幼さが強調され、世界に馴染めず、壊れそうだから必死に虚勢を張っているように見え、印象が真逆になった。

一方で、時枝役の森下さんは何を着ていても仙人的なオーラが健在で、稽古着でも圧倒的に「伝説の整体師」だった。森下さんは、イキウメでこれまで演じてきたヘンすぎる役柄のイメージが私の中であまりに強く、日常と異世界を自由に行き来していた。

また、衣装や美術がないと、大企業の社長である輝の社会的地位が侵入者(佐久間、時枝)に全く通用しないことが浮き彫りになった。広々としたソファ、高級そうな大量のウィスキー、アートな置物、間接照明などがないただの稽古場で、家という安全なはずの領域が脅かされる。ここでは金も権力も、社長という立場も輝を守ってくれない。まるで輝の抱える本質的な虚しさを表しているようだった。

今回、「ずれる」の千秋楽から一週間近く経っていたが、大窪さん以外は台本を一度も開かずに思い出し稽古を迎えたそうだ(これに関しては大窪さんがイジられて大焦りしていた笑)。けれど皆さんセリフはほぼ完璧だし、「ここで犬の遠吠えが入る」といった音響のキュー出しも細かく覚えている。タバコや鞄やタブレットといった小道具がなくても、まるで手元にあるかのように自然に動作するから驚かされた。体に染み込んだ役者の技の尊さよ。

 

稽古のあとは、前川さんと役者5人、ドラマターグの谷澤さんを囲んでの座談会と、参加者からの質疑応答の時間が設けられた。
参加者は、演劇との関わり方に多様性が出るように選ばれていて、この日は3分の2が創作に関わりのある人たち、3分の1は観客という割合だったそう。それぞれの立場からの質問が飛び交った。

劇団で活動している人からの相談に、イキウメの皆さんが「あるあるだねえ」と笑い合いながらも真剣にアドバイスしていたのがなんだか良かった。演劇を志す若者にとって、イキウメは人気の面でも作品面でも憧れの存在なのだろうなと思った。

最期にもう一つ、印象的だったことを書いておきたい。

冒頭の前川さんの説明パートでは、座席は講義形式で、正面に前川さんがいて、椅子に座った参加者たちがそれを聞くという形だった。

稽古が始まると、360度どこからでも見てOK、まわりの邪魔にならない程度で移動OK、床に座って見てもOK(スタジオの倉庫から座布団を出してくれた)と、参加者は思い思いのスタイルで見ることができた。私も、はじめは椅子で正面から、途中から床に移動し、あぐらをかいて横から見させてもらった。

個人的に、この自由さが参加者の緊張をほぐすのにめちゃくちゃ効果的だった。せっかくのワークショップだから劇場とは違う距離感で見てほしいという意図だったのかと想像するが、おかげで「2時間劇場の椅子に座りっぱなしの観客」な自意識から逃れて、私自身も考え続けながら見学できたと思っている。


休憩を挟みながらの6時間、あっという間だった。休止前のイキウメにこういう関わり方をさせてもらえて、本当に幸せだった。

歴代作品のDVDを見て、メンバーそれぞれの活躍を見守りつつ、いつか来る次の公演を待ちます。

大窪くんのインスタの写真が素敵すぎた。

 

www.instagram.com

ミュージカル「キンキーブーツ」感想



 

全体の感想

2016年、2019年とこの作品を見てきて、今年やっと「『キンキーブーツ』の主人公はチャーリー・プライスだ!」というのを理解した。この物語を引っ張るのはチャーリーだと捉え直したおかげで、彼が突然まわりを拒絶する2幕の展開に、私なりに納得感のある答えを出すことができた。

というのも、これまでは「焦って追い詰められた結果、まわりを傷つけてしまう」みたいなテンプレ的理解しかできなくてイライラしてた。アンタいくらなんでも2幕から人格変わりすぎやろと。
でも今年は、「Step One」からチャーリーの歯車が回り出し、ここが全ての起点だったのだと分かったおかげで、2幕の展開も腹落ちすることができた。

有澤くんは「ただの工場じゃない僕のファミリー」「(自分がいる限り)閉鎖させないぞ」のエネルギーが爆発していて、宇宙誕生してた。家族を守る責任感に燃えるチャーリーだった。
東くんはプライス&サンというブランドの伝統と重みを誰より分かっていて、継承する誇りが原動力になるチャーリーだった。

こうした燃える熱い気持ちがある一方で、父親が工場を売却しようとしていた事実を聞かされた。さらにニコラから伝統的な靴工場がドラァグクイーン用ブーツを作る無謀さと、世間一般がそれをどう受け取るか、現実を突きつけられた。それで絶対失敗したくない、失敗できない焦りが噴出して、結果的に無闇にまわりを傷つけるああいう形になってしまったんだな…。

それに、有澤くんも東くんもチャーリーの絶妙に捻くれたところを上手く芝居に落とし込んでくれていたおかげで、攻撃的なチャーリーでさえ素直に受け止めることができた。「Step One」の熱血な猪突猛進さと、ボンボンであるがゆえの甘えと冷笑的な態度、3つのバランスが面倒くささを生んでいてとても良かった。だから「それからサイモン。そうだ、サイモン」の意地の悪い言葉選びにも納得できた。言葉のナイフそのものは全く許せないけど。

それから曲の解釈も今期でかなり深まった。例えば「Hold Me in Your Heart」はローラから見た父親だけじゃなく、チャーリーのことも言っているのかなと思った。

「手を握り教えてくれた 強くなることの意味」は、「Not My Father's Son」でチャーリーと痛みを共有して立ち上がったときのことを彷彿とさせるし、「過ちさえI love you」は、チャーリーから向けられた言葉の刃の理由をローラは分かっていると思わせる深みがあった。

チャーリーを許せたのはローラの心が海のように広いからだけじゃなくて、チャーリーが見つけてくれた勇気を大切に思っているからだったんだ。Wローラのどちらも、愛さずにいられない相手に受け入れてもらえない痛みと、それでも諦めない強さをものすごい絶唱で届けてくれた。毎公演心が大きく揺さぶられた。

世の中には素晴らしいミュージカルがたくさんあるけれど、「キンキーブーツ」は見た人だけがたどり着ける特別な場所へ連れて行ってくれる作品だと思う。それは弾けるような多幸感だったり興奮だったり色々ある中で、今回特に感じたのは「世界がどれだけ変わっても、普遍的で大事にしたいことってあるよね」というメッセージだった。

今は何もかもが目まぐるしく変化していく時代で、曖昧さを受け入れながらなんとか生きていかなきゃいけない。「自分が変われば世界も変わる」「あるがままの他人を受け入れる」といった言葉たちには、いつ聞いてもハッとさせられる。まるでヒールを履くと背筋が伸びるように、自分が嫌な人間になりそうなときに立ち返れば、私を支えてくれる気がする。

 

 

キャスト感想

※Wキャストで見た回数にかなり差があるので書ける人だけ書いてます


チャーリー/有澤樟太郎

「キンキーブーツ」の主人公はチャーリーなんだと最初に気付けたのは、逆境に燃えるタイプな有澤チャーリーのおかげだった。「Take What You Got」は、だるだるのスウェットから仕事着に着替えるように「やるしかないさ」に気持ちを持っていく切り替えが鮮やか。「みんなが言うんだ 自分を探せ」の所在のなさから「今度こそtake the chance」に繋がるのも説得力があった。

一番好きだったのは「Step One」。本当~~~に良い。最初の「靴だ」のひと言で目にバチバチと火花が散って、直後のギターをチャーリーの鼓動が鳴らしているかのようで、物語が大きく動く予感にドキドキさせられた。
「閉鎖させないぞ チャーリー・プライスがいる以上」は、自分に言い聞かせるというよりまわりへの宣言だった。工場がHomeで工員たちはFamilyだから、自分にはそれらを守る責務がある!できる!って燃えている。「僕が来たからには大丈夫だぞ!」って無根拠な自信でギラギラしているチャーリーにつられて、最初は訝しげな工員たちが段々明るい表情に変わっていく。まわりの期待感から有澤チャーリーの特別な求心力を感じられた。

「Soul of a Man」も毎回ものすごいパフォーマンスだった。2幕のフラストレーションが溜まっていくところから謝罪の電話まで出ずっぱりで、全てを自分でぶっ壊して挫折し、また立ち上がって物語を引っ張っていく力学には不思議な爽快感があった。観客として巻き込まれていく気持ち良さっていうのかな。「何やってんだよ」とか「ひどいよ」って気持ちもなくはないんだけど、もっと遠くまで私たちを連れて行ってくれ!と心を委ねたくなる。泥臭いドラマチックさを生み出せるのが、有澤チャーリーの主人公力なんだと思う。

有澤くんのチャーリーって、大学は遊びながらも地頭と人脈でそこそこの成績で卒業し、新卒で大手に入るもアラサーに近づいたところで突然キャリアに不安を感じて自己啓発やらコーチンセミナーやらに沼るタイプ(細かい)。情報商材に手を出して何万か無駄にしてそう。でも、これも勉強代だ!って言って折れないポジティブさも持ち合わせてる。

ニコラとショーケースに入った赤いハイヒールを見てるシーンは、靴への興味をすぐ失って明後日の方向見てて笑っちゃった。彼女と一緒に買い物行っても疲れて生返事しかしなくなる男だ。

などと勝手な想像をしてますが、前に見た出演作の「グリース」より歌がとんでもなく伸びやかで上手くなってて驚かされた。スタイルが良い若手俳優はたくさん見てきたけど、有澤くんはその中でも最上級でウソみたいな骨格してる。本気の小顔・脚長。

初代の激ダサブーツの色をローラに指摘されて反論する「小豆色も赤だよ!」は、マジでセクシーな赤と小豆色の区別がついてない言い訳でしかなくて爆笑でした。

 

ローラ/甲斐翔真

甲斐ローラは𝑽𝑬𝑵𝑼𝑺。

初日、「Land of Lola」で登場したとき理由も分からず泣いた。推しがローラやると泣く、世界の法則。デカいし、可愛いし、綺麗だし、ダンスあんな(オブラートに包む)だったのに本当にヒール履いて踊ってるし、感情が忙しくて全部が涙になって決壊した。

あまりに様々な文脈を引き継いでいる役だから、演じるにあたって難しさもたくさんあったんじゃないかと想像するけど、「みんなが思い描くローラってこうだよね」ではなくて、「甲斐翔真が演じるローラ」だった。

素の自分からかけ離れた役だからといって用意した別人格に飛び込んでいくんじゃなく、甲斐翔真のフィルターを通したローラとして確固たる存在になっていたと思う。この向き合い方が、私が甲斐翔真の芝居に惹かれる理由なんだなと再確認した。それをローラでも見られたことが嬉しかった。

サイモンに対してローラは、本体の弱い自分(サイモン)を覆い隠す一張羅の洋服のような存在なのかなと思った。ローラの自信は飾りでしかなく、その裏にはいつも怯えているサイモンがいる。
特に、男性の姿で現れたときの引きつった表情や、立てこもった工場のトイレから出てきてお腹の前で組んだ手を不安そうにこねている姿から、そういう印象を持った。

そこからの「Not My Father's Son」は、思いをいちから丁寧に紡いでいく歌声が胸に突き刺さった。歌声の感情の積載量の大きさを存分に食らった。悲しみの間に確かにあった、父親との愛おしい時間を抱きしめているような温かみ、愛情とそれゆえの痛みが全て同時に存在しているんだけど、入り乱れるんじゃなくむしろ整理されていて、でもそれが逆に悲しい、みたいな気持ちにさせられた。伝われ。

「Hold Me in Your Heart」はビルボードで聴いたことがあったから、いよいよ本役としてやってくれて感慨深かった。包容力とか愛情深さより、「こんなにもあなたを思っている」っていう思いの強さで射抜くような歌唱だった。愛するがゆえの痛みがあってもあなたの手を離さないっていう、清らかな覚悟が胸に迫った。

曲のあと、東京公演ではやってなかったことを大阪公演ではやっていて、その芝居にめちゃくちゃ泣かされた。
「会えて良かったわ、パパ」と声をかけて父親の肩に手を添えるところで、手を伸ばすけど一度ためらって引っ込めて、二度目でやっと手を置いた。チャーリーに会う前のローラだったら、手を引っ込めて触れずにさよならしていたかもしれない。触れる勇気を持てたのはチャーリーと出会ったからなんだろうな。パワフルで雄大な曲のあとにこんな繊細な芝居見せられたらさ、たまらないよね。

そうして心の引っ掛かりを乗り越えたローラがミラノのランウェイに登場する。この場面でローラが放つ輝きの種類は「Land of Lola」と違う。「Land of Lola」は磨き込まれた硬い鎧の反射光だったけど、「Raise You Up」は自分自身を信じる強さを見ている者に手渡してくれるような、健やかで柔らかな佇まいだった。
「キンキーブーツ」はチャーリーの成長物語であると同時に、ローラの成長も描いているんだと気付かされた。

あと、回を重ねるごとにコメディが上手くなっていくから驚いた。間合いや言い方ひとつで場の空気が変わるのを楽しんでいるようにさえ見えた。一番好きなのは、工場の売却計画をチャーリーとニコラが話している場にローラが乱入しちゃうシーン。「さよなら!」の退散まで全てローラの出方次第で、ヒリヒリするけど毎回楽しかった。

 

組み合わせ感想/有澤チャーリーと甲斐ローラ

東京公演だけで終わりにするつもりが、急遽大阪に行っておかわりした有澤×甲斐ペア。他の組み合わせと比べてここは、チャーリーとローラ二人の並列の結束を強く感じた。
父親に関する思い出はあくまで二人が心を通わせるきっかけにすぎなくて、相手を見つめるとき、父親は介在しない。チャーリーとローラ固有の結びつきが、展開に合わせてどんどん強くなっていく印象を受けた。

ローラって常にスーパーポジティブでチャレンジ精神にあふれているわけじゃないんだよね。ドラァグクイーン姿の先入観から、どんなことも豪快に笑い飛ばしてくれるパワフルな人に見える。一方で「サボテンさえも枯らす、こんな私」はブーツのデザインなんてできないと、自分自身で一度諦めている。

だからこそ「靴に対してあんなに熱くなれるのはすごい。めちゃくちゃ羨ましい」とチャーリーが言ってくれて、どれだけ嬉しかったか。キンキーなブーツへの思いを「情熱」という同じ目線でリスペクトしてくれたことが、どれだけローラの背中を押したか。「Not My Father's Son」では愛する人の期待に応えられない同じ傷を抱きしめ合った。きっかけはいつもチャーリーで、彼が困難に立ち向かう姿にローラは勇気をもらっていたんだと思う。

甲斐ローラに対して東チャーリーだと横に並んで肩を組み並走してる、二人三脚のイメージ。有澤チャーリーは、半歩前から甲斐ローラを巻き込みながら一緒に走っている感じ。

有澤・甲斐ペアは「怯えてた私の前 現れて勇気をくれた人」と「味気ない僕の人生 現れて全てを変えた君」そのままの関係で、人と人が互いに影響しあい人生を変える奇跡が最大化されるところが大好き。

ブログに残すほどまとめて語りたいのが有澤・甲斐ペアだからここまでしか書かないけど、W初日組の印象はそれぞれ、体育で「ペアを作って」って急に言われたとき緊張するのがチーム陰キャな東・甲斐・田村で、緊張しないのがチーム陽キャな有澤・松下・清水だと思った(雑)。

 

ローラ/松下優也

ゆーやローラは𝑫𝑰𝑽𝑨。

爆誕」という表現がふさわしい。パフォーマンスを見れば、ゲネプロの囲み取材の「渋谷が明るいのは私がいるから」や、パンフレットの個人ページの言葉が真実なのが分かる。

www.youtube.com

サムネにもなっててワロタ。

 

「Land of Lola」「Sex is in the Heel」をはじめ、ショーアップされたあらゆるシーンでアーティストとしての華が存分に発揮されていた。「EveryBody Say Yeah」で靴がスニーカーになった途端、水を得た魚のようにダンス(ジャンルでいうとソウル?)のステップを踏み始めるのも最高だった。音楽とパフォーマンスの親和性が神がかってる。
「What a WomanWants」でブーツに挿した鞭にガウンの裾が被ってしまっていたのを、音ハメで裾をバッと取り去って鞭を取り出す仕草に繋げたのとか、初日にできることじゃないんよ。一人だけ再演ですか?

会話している最中も頭・首・肩・腕・胴体を使ったリアクションが止まらず、でも極めてナチュラルで、ゆーやローラだけの個性になっていた。こういうの、身体性のない人がやったらただクネクネしてるだけになるんだろうな。
出せるものを惜しみなく出して、それらが自然とゆーやローラという人物の魅力に集約されていく。ゆーやさんだからこそできる芸当だった。Wキャスト初日に見て、幕間は「ゆーやローラやばい」しか言えなかった。

ローラが爆発的に輝いているのは、一見すると彼女が根っからポジティブなパワーにあふれているからに見えるけど、そうではない。傷つきやすくて怯えているからこそ、過剰に振る舞うことで敵を寄せ付けないようにしている。男性の姿で工場に登場したときの、ローラの人格で気丈に振る舞おうとしながらも世界に怯えたような表情から、彼女の抱えるアンビバレントな痛烈な叫びが伝わってきた。

「Not My Father's Son」は、誰にも明かさず墓場まで持っていくと決めていた思いを初めて人に言えたんじゃないかな。テクニカルなことを歌唱にたくさん盛り込んでいそうなのに、まるで心の一番柔らかいところがそのまま歌っているかのようで、呼吸ひとつにまで感情が宿っていた。

繊細さを隠しているのは甲斐ローラも同じだけど、甲斐ローラはメイクと衣装で覆い隠している。ゆーやローラは自分に暗示をかけて別人に変身しているようなイメージを持った。着飾れば自然と切り替わる甲斐ローラと、鏡の前で自分におまじないをかけて完成するゆーやローラ。個性が全く違う二人の新しいローラに出会えた。

 

ローレン/田村芽実

ぴったりな役だと思っていたけれど期待を遥かに超えて良かった。芽実ちゃんが放つ言葉は言葉以上の力を持って観客に届く。

特に「Soul of a Man」のあとの、ローレンがチャーリーをフォローしにくる場面が好き。惨めさから閉じこもりかけていたチャーリーの心にそっと火を灯す、温かさと誠実さが伝わるセリフ回し。チャーリーなら絶対に立ち上がれると信じている力強い目。直接「頑張れ」とは言わないけれど、ここのローレンの存在そのものがチャーリーの背中を押していた。歌やコメディの部分も素敵だけど、芽実ちゃんのこうした地の芝居がすごく好き。

チャーリーに惹かれ始めるときの表情が可愛すぎるのに、「TheHistory of Wrong Guys」のあと工場のオフィスでチャーリーと話しながら歯に挟まったりんごを指で取っちゃうトンチキなところとか、めちゃくちゃに愛おしかった。

有澤チャーリーとだと大口開けてりんごを食べ続けたり、素が丸出しで腐れ縁な関係性が強く見えたけど、東チャーリーとは比較的甘い雰囲気が漂ってて、空気感が全く違うのが面白かった。

 

ドン/大山真志

ドンが作品の解像度をぐっと上げてくれていたことに、今回初めて気付かされた。

メインとなる芝居が真ん中で進行していても脇にいるドンを見ることが度々あったんだけど、「注目して良かった」と思わせてくれる芝居をいつもしている。

例えば、完成に近い靴をチェックする姿は真剣そのもので、適当にやっているようには見えない。サボりもするけど、ドンも靴作りの仕事が好きなんだろうな。
チャーリーとニコラの破局の口論を聞いてしまっているときは、話の内容に気まずさを感じつつ、チャーリーの「みんなの生活がかかってる。一緒に育ってきたみんなのためにやっている」という真意を誠実に受け止めていた。ドンはここでチャーリーの思いに気付くんだね。

だから、チャーリーがサンプルの品質に満足いかずやり直しを指示してイライラしてるとき、ドンは何か声をかけようとしてた。多分、心配して「落ち着け」とか言ってくれようとしたんじゃないかな。後ずさったチャーリーと運悪くぶつかって警戒され、何も言えなくなったドンの表情がなんとも切ない。ここ、本当に良い芝居なの…。

真志の芝居を見て改めて、ドンは決して悪者やヒール役ではないと感じた。ローラへの言動は、何もかもが自分と違う存在に出会った人間の反応として自然で、過剰に防衛反応が出てしまっただけなんじゃないかな(それを相手にぶつけて傷つけるのは悪だけど)。

そんなドンがブーツを履いてミラノのランウェイに立ち、「困っているときは俺たちが解き放つ自由」と歌う。「キンキーブーツ」のメッセージを全身で表しているシーンのひとつだと思う。
「ドンよ、ドンがやってくれたの」の言葉通り、ありがとうドン。

 

エンジェルス

素晴らしく個性的で、ステージ上だけじゃなくSNSでも私たちを楽しませてくれたエンジェルス。みんな大好き!

#キンキーブーツ
本日もご来場、お手紙、プレゼントありがとうございました♪
Shazam動画Raise You Up衣装バージョン💟

東京残り4回だって!!#kinkyboots#Shazam#shazamchallengepic.twitter.com/KycMzyNMhg

— 佐久間雄生 (@YOUSAYSAY)2025年5月15日

 

佐久間雄生さん(アーモンド)は笑顔の表情の作り方が大好き。ザ・ゴージャス美人。ラウンドガールで披露されるスーパーボディは思わず感嘆の声が出る。

穴沢祐介さん(アンナ)は、たぬき顔で可愛い系担当に見えるけど、表情が豪快でただキュートなだけじゃないのが好き。お顔が内田理央さんに似てる。

シュート・チェンさん(エニシング)はボクシングの場面での金髪タイトミニのギャルがクレイジー&可愛くて大好き。青と黄色とシルバーが混ざったアイメイクのセンスが素敵。

大音智海さん(メロディ)はレフェリーのパフォーマンスが圧巻だった。「ヘアを乱しちゃダメよーw」の言い方めちゃくちゃ面白い。チャーリーとローレンがキスしたとき、下手の客席に向けて「みんな見た!?はあ~ん♥」ってリアクションしてるのも最高。

工藤広夢さん(エマ)はダンスの馬力が半端じゃない。「Sex is in the Heel」の「赤とネオンの」で肘先と膝下をぶん回す速度がエグい。ストーリー展開のメインじゃないところで芝居を続けてるとき、近くの人を笑わせようとしてて愛おしかった。

轟晃遥さん(キャンディ)は最推しエンジェルス。顔が好きすぎる。キャンディ爆美人ちゃんと呼ばせていただく。
目の横幅拡張至上主義なメイクが特に好き、孔雀の羽みたい。ホクロを書き分けたりもしていてこだわりがすごい。「Sex is in the Heel」で中山優心くんに連絡先を渡してたり、だれ彼構わずスカートをぴらっとめくってアピールしてたり、ビッチ仕草にめろめろです。金髪を肩の後ろにサッと払う仕草を音ハメで入れたり、公演が進むにつれてどんどん細かい技が増えていた気がする。

本田大河さん(ポルタ)は表情と仕草がナチュラルで、ドラァグクイーンの造形が他のエンジェルスたちと違う。ボクシングの場面で着ている脇腹がカットアウトされたY2Kなワンピースが似合ってた。

長澤仙明さん(ヴィヴィ)はダンスの最推し!ヒールなのにジャズダンス的な柔らかさを携えてて、キレと余裕が共存してるところが大好き。お顔が中谷美紀さんぽいのに表情の作り方が派手でギャップがあって良い。

最近の楽しかった現場(接触・フランケン・バスケ)

 

玉置玲央さん フォトエッセイ発売記念イベント

劇団柿喰う客の玉置玲央さん。劇団公演はもちろん、外部出演でも割と見に行くし、映像作品も意識して見るぐらいには好きな役者さん。

大河ドラマにも出演され、ここ2~3年で急激に名前が知られるようになってきたけど、私が普段オタクしているカレンダーイベントやったり個人イベントやったりする界隈とは別ジャンルの人だと認識してた。活動の軸足的に接触やらなさそうじゃないですか。

だからイベントの情報解禁時には、玉置さんが接触やることあるんだ!?とかなり驚いた。でもこんな機会めったにないだろうから、記念受験のつもりで一回分だけ参加枠を買った。

イベント当日、いつもの若手俳優のカレイベとは違う待機列の空気感にソワソワした。身内同士で固まったり喋ってる人がほぼいなくて、みんな静かに待っていた。

流れ的には一般的なカレイベと同じだけど時間は長めで、一冊で30秒は話せた気がする。聞きたいこと聞けたし、次の舞台(Take Me Out)行きますだとか、応援してます的なお決まりのことも伝えられて個人的には上出来だった。柿喰う客のアフタートークや、昨年末のロフトプラスワントークイベントで、役じゃなく話す姿を見ていたせいか、本人を目の前にしても緊張で固まらずに話すことができた。やはり接触は経験が物を言う。

サインをしながらお話ししてくれたんだけど、玉置さんの会話を打ち返すスピードと軽やかさに圧倒された。例えるなら卓球の素人に合わせてオリンピック選手がラリーを続けてくれてるみたいだった。

オープンマインドで壁を全く感じさせないけれどリスペクトを持ってくれる。あんな人近くにいたらみんな彼のこと好きになっちゃうよなーという気持ちがさらに強くなった接触だった。

 

 

ミュージカル「フランケンシュタイン」小林・島ペア

祝・新世代爆誕!「フランケンシュタイン」は祭事だと再認識した。

キャストが発表されたときはとても驚いた。小林くんは炭次郎や「キングアーサー」のガウェインなど、ダンス・アクション・芝居の印象が強い。それに顔もかわいい。

島くんは昨年の「GIRL FRIEND」で見ていて、面白くて歌の上手い人だなという印象。稽古場でのインスタライブや動画が本当に面白くて…。とても真面目で、作品に真摯に向き合っているのが伝わる。

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#フランケンシュタイン

加藤和樹お母様、今日もなんと、言ったらいいんでしょう。

本当に美味しいです😢😢🤤

迂闊に食べると、恋に落ちてしまうほどの

おいしさでございます。

血となり肉となります😢🔥

あ、ありがとうございます😭😢!!!pic.twitter.com/S9bdVsH0jE

— 島 太星・しま たいせい (@shimazaki0129)2025年3月19日

 

初日に近い日にちのチケットを取っていたし、ゲネの情報も見ないようにしていたので、興味と不安が入り混じったドキドキと一緒に客席に入った。

小林くんが期待以上に歌える!島くんの「君の夢の中で」が良い!「フランケンシュタイン」やっぱり楽しすぎる!!などなど大興奮の1幕だった。こういう、脳が痺れるような新しい刺激も観劇の醍醐味ですね。

2幕は体が効きまくるジャックに目を奪われ、ボロ雑巾のように疲弊していくビクターに引き込まれた。ひとつひとつの絶望をつぶさに拾って丁寧に、全身で表現していた。悪魔的な楽曲に流されることなく、あくまで役の心情を伝える増幅装置として歌が機能していた。苦しみって色にするならモノクロのイメージだけど、小林くんの芝居を通すとそれぞれの色が鮮やかに立ち上がる。

そして島くんは、素のナイーブさはどこへ行ったのか、ものすごくタフなアンリ/怪物を作り上げていて嬉しい誤算だった。冷徹な声の温度と表情に復讐心を隠した怪物。

アンリですごく好きだったのは、裁判でビクターが事実を証言しても取り合ってもらえない場面で、ビクターと目があったアンリがふわっと微笑んでいたこと。「これでいいんだ」と、ビクターを安心させるような笑顔。覚悟が決まっていて、自分の首が使われるべきだし、ビクターならそうすると信じているんだろうなと思わされた。

年齢差や体格差を感じない二人なこともあり、過去に見たどのペアより対等なビクター・アンリだった。

 

 

ミュージカル「フランケンシュタイン」小林・加藤ペア

この組み合わせの東京初日の幕間に、Twitterに「小林加藤、ヤバい」との感想がどんどん流れてきて、口コミの影響でチケットを足した。オタクの瞬間的な盛り上がりが一番信用できる。

今期の個人的ベストを選ぶならこのペア。
特別な光であるビクターを叱咤激励して一人先に逝くけれど、思いを断ち切れるほど強くはないアンリっていう関係がめちゃくちゃに好きだった。柿澤さんと組んでいた初演・再演の加藤アンリは、一度決めた覚悟が揺らがず、思い残すことなく断頭台への階段を上っていた記憶があるんだけど、小林くんが相手だと全く違った。

アンリは戦争で人間の醜悪さを目の当たりにして、世界に絶望しきっていた。すべてがどうでもよくなっていたところに、人類の可能性と希望を語るビクターが現れて、ビクターがいる限り、この世界は生きるに値すると思えたんだろうな。そういう二人の出会いだった。小林くんの爛々と輝く大きな目に惹きつけられた。

このシーンの曲、「ただ一つの未来」って、生命創造の研究から手を引いてむしろ嫌悪さえしているアンリが、ビクターの信念と勇気に魅了されて気持ちが真逆に変わることを示し、観客に納得させないといけない。展開的にかなり難しいと思う。

この曲のラスト、ビクターの手を片手で掴んだあと、そこにもう片方の手を添えて、自分の胸にトンと当てるアンリ。この手のモーションが入ることで、理屈じゃなくビクターにすべてを懸けようとまで思うアンリの深い親愛が伝わってきて、加藤和樹、アンリのプロだな……と思わされた。

酒場の場面でも、アンリに対してビクターがすべてをさらけ出して甘えているように見えた。意外に打たれ弱いビクターを、アンリがこうして何度も引っ張り上げてきたんだろうなと感じさせる空気感がとても良かった。

「君の夢の中で」は、ビクターの描く夢と未来をまだ一緒に追いかけたい未練がアンリの心の底にあるように感じた。ラストの「生きよう」の前、抑えていた本音が一気に溢れ出るところはたまらない気持ちになった。

なんというか、加藤和樹さんの中には確固たる理想のアンリ/怪物がいて、そこに自身を捧げているようだった。とてつもなく肉体的な役だけど精神は研ぎ澄まされて、神聖ささえ感じられた。ビクターに撃たれた怪物が放つ言葉「わかるかビクター、これが俺の復讐だ」の「ビクター」の部分だけアンリの声色に戻すのとか、名人芸の域ですよ。

 

Bリーグ観戦

横浜ビー・コルセアーズ vs.名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

今期観戦4試合目にして、やっとドルフィンズが勝つところを見れた。嬉しすぎる。勝って笑顔でロッカールームに戻っていく選手たちを見る瞬間が一番好き。負けるとさ、やっぱりテンションが全く違うから……。

この日は「できすぎでは?」と思うほどの試合内容だった。スリーポイントの確率がえげつないし(チームで48.6%)、リバウンドはオフェンスディフェンスどっちも取りまくるし、ゾーンディフェンスの連携が美しい。攻守の切り替えが速く、完璧に連携の取れた流れるようなパス回し。相手に与えたフリースローが0本っていうのもすごい。

私の好きなドルフィンズのバスケットが見られて本当に幸せだった。直感で「なんかこのチーム好きかも」って最初に感じた日のことを思い出した。

この日は応援はここから。コートサイドより、ちょっと遠めのアウェイエンドから見るのが好きという結論に落ち着いた。横浜BUNTAIはきれいだし交通アクセスも良い。また行きたい。

観劇で仲良くなったフォロワーと連番できたのも嬉しかった。オタクの勘の良さを発揮した数々の発言に爆笑させてもらいました。

 

好きなポッドキャスト番組10個

ここ数年、移動時間と家事をやっつけている時間はほぼPodcastを聴いている。

コロナ禍中に気分転換のために散歩を始めて、その時間に心地よく聴ける何かを探していたのがきっかけ。音楽も色々探したけれど、どうしても頭の中がガチャガチャしてしまって心が休まらなかった。

そんなときに、Twitterで昔からフォローしていたジェーン・スーさんがPodcastのことをよく話しているのを思い出した。Podcastってどんな感じなんだろう、試しに聴いてみるかと最初に開いたのが、スーさんと堀井美香さんの番組「over the sun」。

そこから「北欧、暮らしの道具店 チャポンと行こう!」と平野紗季子さんの「味な副音声」といった有名番組に手を広げていった。女性の話し声が耳心地的にも、気分にも合っていたんだと思う。

そんな日常の一部になっているものは語っておかないと気がすまないので、好きな番組を10個挙げてみた。みんなも聴こうPodcast

 

 

1.でこぽんFM

Podcastにハマったきっかけのうちの一つ。同じ会社で働いている女性二人の雑談番組。
トーク内容は雑談中の雑談。トップオブ雑談だから、こちらがどんな気分のときにも聴けてありがたい。二人とも酒豪なのでよくお酒の話になるんだけど、リスナーからのお悩み相談では「お酒が苦手なので”酒を飲んで忘れる”以外の解決策でお願いします」と言われててめちゃくちゃ笑ったのが印象に残っている。

あとジングルのセンスが神。でこでこ~。

https://open.spotify.com/show/1QV2OV9Layv8QgliQdcaJl?si=d521eeb9c5b04870

昨年9月にでこぽんFM、ドングリFM、上京ボーイズ、いきぬき給湯室の4番組が合同で開催したイベントに行ったときの。

 

 

2.分解中毒

男性二人の雑談番組。一つのテーマを「改めて考えると一体なんなんだろうね?」という観点から徹底的に言語化していく。他人の頭の中を安全圏から覗き見させてもらってる気分になる。パーソナリティのぶんけいさんはポケダンスの振付家です。

https://open.spotify.com/episode/3S8pK0LT2PT61xq3ttyqmu?si=65c344dfb4f246ee

 

 

3.マコとばーながおいしいとこあげるよ

女性二人の雑談番組。パフェやおいしいおやつの話から恋愛、最近見たエンタメの話まで幅広い。声のタイプがマコさんとばーなさんで全く違うので、聞き分けやすくて心地良い。

番組名を決めた経緯を話してくれた回がかなり好き。

https://open.spotify.com/episode/1XfHEZg9SaiiVgkgmicT0g?si=d7367cc0c16b49fe



4.炊き込みご飯わくわく舎

男性二人、女性一人のお料理系雑談番組。おいしいものへのこだわりは超強いし知識もあるお三方なのに、言葉遣いや好きなものが庶民的で親近感がわく。誰もが話しやすいけど、強烈なマイルールを持ってる人もいそうなテーマ設定が毎回絶妙で楽しい。

印象に残っているのはパテ・ド・カンパーニュの回。あずあずさんの想像上のパテ・ド・カンパーニュがだんだん具体性を帯びてくる会話がジワジワくる。

https://open.spotify.com/episode/6rqw0ILB8dTTcoxnrCLrlQ?si=902194e2d0504fc4

 

 

5.料理たのしくなる相談室

「炊き込みご飯わくわく舎」のおすすめ番組に表示されたのがきっかけで聴き始めた。料理研究家さんと合いの手役(公式表記)さんの、料理に関するお悩み解決系番組。ポップコーンがぽんぽんと弾けるような関西弁のトークが小気味よい。

「揚げ物は実は衣の中で蒸されるから蒸し料理」の話がめちゃくちゃ面白かった。

https://open.spotify.com/episode/7cu5VROndZLx86XRhwRTFj?si=be2893991a014b0f



6.ゆとりっ娘たちのたわごと

言わずとしれた雑談系Podcastの大御所…と言っていいぐらいの人気なんだけど、ずっと肩肘張らずに配信されているところがすごい。

https://open.spotify.com/show/3V3GvV9tyIhcvCubmc5alb?si=f755d52c34a640e5



7.夜ふかしの読み明かし

哲学者の永井玲衣さんがパーソナリティをされているからたどり着いた番組。どんな日常の疑問も哲学対話の形で探っていくとこんなに示唆に富むんだなと驚かされる。

最近だと俵万智さんの「サラダ記念日」から好きな句を3つ選んで発表する回(全4回)がめちゃくちゃ面白かった。

https://open.spotify.com/episode/19YdUNASmzXZ9C1fiIqNW1?si=ba5792853ab64fc4



8.私より先に丁寧に暮らすな

歌人の上坂あゆみさんと、僧侶の鵜飼ヨシキさんの番組。リスナーのお悩みに答える回がほとんどだけど、お悩み解決系番組ではない(重要)。スパッとした切れ味の上坂さんと、鈍器で殴るような衝撃を与えてくる鵜飼さん。異なるトークパワーの化学反応が最高。

最近だと鈴木ジェロニモさんをゲストに迎えた「愛って一体なんやねん!」の回がすごかった。

https://open.spotify.com/episode/3hByQKG2tUEgCZtyjFPL4C?si=1855a678cd2e4d64



9.yukaとfu-caの女医JOYライフ

最近見つけた女性医師お二人の雑談番組。医者という知らない世界の仕事の話が聴けて楽しい。最近だと麻酔の話が面白かった。

https://open.spotify.com/episode/34khx0RrSdZcR4MubaRdLW?si=4d858ea7b5fc43f9



10.あぶらうってこ

一時休止されているけれど、ずっとずっと大好きな番組。どうやったらこんなに飾らない言葉で話せるんだろう。「労働によってヒトの形になっている」話は仕事が大変な時期に聴いて深く共感した。

https://open.spotify.com/episode/55hyfFgJWhu7hercjXVkDQ?si=a7c630d4afc44e6b



最新話がアップされたら必ず聴いてる番組を書き出すコーナー

  • ポップしなないでの救わRadio
  • 同じ鍋のモツを食う
  • ドングリFM
  • アラサー女子の人間観察
  • まめまめキャスト
  • しそつよ放送局
  • おやつを片手にひとやすみ
  • お互いさまっす
  • ピーチフルの駅徒歩20分ラジオ
  • 甘くてしょっぱい壁打ち話
  • 今ファミレスに入るんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?(ファミジワ)

おすすめの番組があったらぜひ教えてください。



飽きずに聴き続けて数年、なんでPodcastが好きなのか考えていたら、平野さんがTaiTanさんとの対談で言っていたことに思わず膝を打ったので引用する。

平野:なんか「すこやか&バトル感」っていうか。「なるべく健全にいきたいんだけど、でも別にリングから降りたいとは思ってない」みたいな人たちの表現する場所として適切だなと思っています。

TaiTan×平野紗季子 ポッドキャストの魅力は「すこやか&バトル感」? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)https://forbesjapan.com/articles/detail/77002

 

癒やされたいし、くだらないことで笑いたいけど、それはのらりくらりと生きていくための暇つぶしじゃない。待ち構えている明日と向き合う勇気や、つらい戦いから自分の時間に戻る切り替えのきっかけが欲しいから。

定期的に録音して編集の手間かけて、こんなに面白いコンテンツをアップしてくれる人たちが、人生を投げ出してるわけないじゃないかって話なんですよね(生々しい話だと配信活動による収益は基本ゼロなのに)。

より良く生きたい情熱が、言葉や声色や思考に乗ってまろやかに伝わってくるところがPodcastの魅力だと思う。これからもお世話になります。

 

年始に書いたやりたいことを振り返る

今年の1月、スケジュール帳のフリースペースに箇条書きしていたやりたいこと。個数は決めず、あまり具体的にも書かずでほんのメモ程度だけど、こうして振り返ってみるとざっくりでも決めておいて良かったと思う。

 

1.ロンドンに行く

2月に行った。観劇と古着と小麦まみれの1週間。私にも建築に萌える感性があったのは嬉しい発見だった。振り返ると、インテリアにハマりそうな今の流れはこのときから始まってたかも。

thabu.hatenablog.com

 

2.引っ越しのために仕事を頑張る

社会人になってから多分一番仕事で悩んだ年だった。めちゃくちゃ苦しかったし大変だった。きっと頑張った。

完全には折れてしまわないように必死に働いてたら、不安に向き合うときの考え方が一年前とはガラッと変わった。これを会社の評価制度だと成長と呼ぶのかもしれないけど、その言葉は嫌いなので使わない。ただ仕事してるときの人格は前と確実に変わった。引っ越しは無事にできそう。

 

3.英語の勉強

NHKのラジオ英会話を3カ月。TOEICの勉強は過去問解いてテキストを2週間やってそのあと放置してる。やったようでやってない中途半端な結果。

でもラジオ英会話でディクテーションとシャドーイングを重点的にやっていたせいか、学生時代よりリスニングが得意になっていて驚いた。2025年はTOEIC受けたい。

三日坊主ではないんだけど数週間〜半年ほど続けられて習慣化しかけたものをぱったり止めてしまう傾向が昔からある。なぜだろう。

 

4.読書会に参加する

一度行ってみたかった。好きな本をおすすめしあうスタイルで間口が広そうなものを探して参加した。刺激的だった。大学4年生の女の子が「就職に向けて読むべき本はありますか?」と聞いてくれたんだけど、同じグループの社会人みんな「そんなものいつでも読めるから、大学の図書館でないとなかなか読めない本を今のうちに読み尽くして!」と意見が一致したのが面白かった。

次は課題図書があるタイプの読書会に参加したい。

 

5.哲学の本を読む

これはできなかった。読書は割とできたけど、小説や舞台関連の本を優先して読んでいた。哲学に興味を持ったのは永井玲衣さんや谷川嘉浩さんの記事をネットで読んだことがきっかけだからこのお二方の本を読めばいいんだろうけど、こういう概論っぽいのも気になってる。

 

2025年にやりたいこともすでにいくつか決めているけど、表に出すとプレッシャーでしんどくなるだろうから、やっぱりスケジュール帳のメモ書き程度がちょうど良さそう。

 

見てよかった2024

気付いたら今年書いたブログはロンドン旅行の2本だけでした、ひどい。
一応観劇を趣味とするオタクとして、今年見てよかった作品を振り返ります。演劇のほかに「現地で見たもの」として、音楽ライブとスポーツも入れました。

 

1月

オデッサ

とにかく面白かった。何から何まで「巧い」。三谷幸喜さんと役者の手のひらの上で転がされ、スリルと興奮に存分に溺れることができた。この手の作品は複数回見て2回目以降は伏線探しをするのも面白いだろうけど、個人的には余計なことを考えなくて済む1回だけの観劇で良かったと思ってる。

三谷幸喜さんから柿澤さんへの愛と信頼が深すぎる。英語を話す柿澤さん、雨に濡れた子犬のような柿澤さん、調子に乗ってヘラヘラする柿澤さんなどなど、みんな好きだよね!って柿澤さんの詰め合わせセット。宮澤エマさん、迫田孝也さんも素晴らしく、この3人だからこその作品だったんじゃないかな。

演出で特筆したいのは字幕。英語、日本語、方言と複数の言葉が入り乱れるのでセットに翻訳字幕が投影されていたんだけど、早すぎるとネタバレになるし、遅いと会話のテンポに影響してしまう。でも役者の芝居と投影タイミングがぴったり合っていて最後までノーストレスだった。オペレーターのスタッフさんにボーナス出てほしい。

 

いまさらキスシーン

5月末に閉館した駒場アゴラ劇場の企画「サンキューアゴラ」での上演。今の玉置玲央さんで「いまキス」が見れるなんて貴重すぎて、観劇当日は朝からドキドキしてた。30分という上演時間の短さだけど、短距離走のような一瞬の緊迫感と、長距離走のようなじわじわとした重い息苦しさが同居する。急停車、急発進の繰り返しに置いていかれないように、しがみつくような気持ちで見ていた。

過去の上演と違って最低限の音響と照明で、ひよりの執念、暴走、痛みが声と身体にのって一層くっきり浮かび上がったように感じた。爆発的なパワーを放ちながらも緻密で丁寧で、玉置さんは世界一美しい役者だなあと惚れ惚れした。

 


2月

「Into The Fight 2024」DDTプロレスリング

武知海青さんプロレス出るんだ、見たいなー」とポロッとつぶやいたところ、海青さんのオタクのフォロワーに声をかけてもらい、チケ取りに勝ち、行ってきました人生初プロレス。研ぎ澄まされた人間の身体を見るのが好きな私にはぴったりのエンタメだった。

上野勇希さんとMAOさん、ベルトを掲げる自信がみなぎっててカッコよかった。海青さんもとんでもなくきれいな身体で、運動神経の良さが動きに表れていて、格闘ゲームで一番人気のキャラクターみたいだった。派手な技をかましたと思ったら、何度殴打されて膝をついても立ち上がって相手に向かっていく泥臭い見せ場もあって一粒で何度もおいしい。

目の前でバンバンかまされるアクロバットな技たち、お互いに命を預ける信頼関係が築かれてないとできないよな。飛ぶ側も、受け止めて倒れる側も美しかった。

 

4月

マシュー・ボーンのロミオ+ジュリエット

今年ベスト5に間違いなく入る作品。すごかった。同じプロコフィエフの音楽でもKバレエは重厚でザ・バレエって印象だったのに対して、MB版はコンテンポラリーダンスも多く折り混ぜられ、情熱的でスタイリッシュ。生き生きと愛を踊る場面と、抑圧され無感情で軍隊行進のようにキチキチと踊る場面のギャップに胸が苦しくなった。

登場人物のセクシュアリティが様々だったりヴェローナは矯正施設でティボルトが看守だったり、大胆な改変があっても違和感なく見やすかった。

私が過去に見てきたバレエではアンサンブルの男女ペアもリフトが何度もあったけど、MB版はそれがほぼなく、リフトはロミオとジュリエットペアに限っていたのが印象的。意図的なのか分からないけど、リフトが二人の結びつきの強さを象徴する、ロマンチックでとても特別なものに思えた。それに私が見た回の主演ダンサー二人の化学反応が素晴らしかった!お互いの感性に響かせ合って、一人じゃ到達できない山の頂点に登っていくようなパドドゥ。作品で描かれる分断や暴力を飛び越えたダンスだった。

 

THE YELLOW MONKEY SUPERBIG EGG 2024 "SHINE ON"

劇団朱雀の客入れBGMでいい曲だなと思ったのをきっかけに聴き始めたイエローモンキー。吉井さんの病気休養もあったから、次行けそうなライブがあれば絶対逃したくなかった。

とにかくカッコよかった。ありえないぐらいカッコよかった。バンドって人間が作るグループの中で一番カッコいい形態なんじゃないか。ステージに写るシルエットでさえカッコいい。本当にカッコいい人はどんなに遠くから見てもカッコいいんだな。

1曲目が「バラ色の日々」で、そんなのアリかよと…。「一緒に歌ってください!」の呼びかけ通りに私も歌った。初ライブのド頭でこんな幸せになっていいんだろうか。
このライブで披露された「ホテルニュートリノ」の歌詞、「人生の7割は予告編で残りの命数えたときに本編が始まる」を、このあとの観劇で何度も思い出すことになる。

 

5月

ナビレラ

チェロクを演じてくれてありがとう三浦宏規くん。三浦くんがスッと腕を上げると、ターンをすると、空間が切り裂かれてそこに新鮮な空気がぶわっと吹き込むような不思議な感覚になる。バレエを知らなかったドクチュルも、チェロクを初めて見たときこういう輝きに心動かされたんだろうな。

プロのバレエの世界は「正しい美しさ」が明確に決まっているけど、チェロクがドクチュルには「正解なんてない」と歌うのがすごく好きだった。

 

6月

舞台「刀剣乱舞」心伝 つけたり奇譚の走馬灯

ゆっくん(早乙女友貴さん)の沖田総司がヤベーとTwitter(X)で見て、初刀ステですが行ってきた。ヤベー!!!!だった。

沖田さんが扇子を持って舞い始めたときは血がぐわーっと逆流しておかしくなりそうだった。黒いだんだらも目の赤いアンダーラインも心臓に悪い。自分の無力さを恨み、血を吐きながら床を這う姿はとてもとても良かった。

松田凌の清光とうえちゃんの安定も良かった。うえちゃんはペダステやKステぶりに見たかもしれない。ずーっと泣いてるのにちゃんとセリフが聞き取れる話し方ですごい。まつりょの清光は、近付いたら離れるくせにふとした横顔とかひとつ吐く息に揺らぎが混ざってるのが可愛くて可愛くて、魔性だった。私が一番大事にして可愛くしてあげるからうちに来な〜!

 

7月

無伴奏ソナタ

2018年のキャラメルボックス版は私の観劇人生でトップレベルに特別な作品だし、原作の小説ももう何度も読んでいる。それがミュージカルとして生まれ変わる、しかも主演は平間壮一さんということでかなり期待していた。その期待をゆうに超えてきた。

人の心を動かす音楽をミュージカル観劇の実体験として浴びながら、音楽と断絶されたクリスチャンの物語が進行していく、なんて残酷できれいなんだ…。

キャラメル版でクリスチャンを演じた多田直人さんがミュージカルではウォッチャーを演じるというキャスティングのとんでもない業によって、ウォッチャー目線でも物語を見ることができた。ラストのクリスチャンにとっての喝采は、同じように全てを奪われ奪ってきたウォッチャーにとっても喝采であり、救いの音だったと思う。

役の人生そのままを生きるような平間さんの芝居も素晴らしかった。ディストピアでフィクション性の高い物語だけど、平間さんは出来事に対して感情をすごく普遍的なところに落とし込んでいる気がした。特にぶどう畑で作業員たちの歌う「人は幸せになるために生まれた 僕も歌うよ」のフレーズを聴いた瞬間、すごくシンプルなことに気付かされ、呪いが解けてふっと緩む変化の表現が大好きだった。

 

9月

ビリー・エリオット

大好きビリー・エリオット。何度見てもいい。見るたびに違う感情が湧いてくる。

石黒瑛土くんのビリーは表情と目が生意気なガキンチョで良い。アングリーダンスの絶叫は胸が苦しくなるけど、燃え尽きろ!燃やし尽くせ!って拳を突き上げたくなる爆発力が清々しくて好きだった

濱田めぐみさんのウィルキンソン先生が特に刺さった。諦めたものが山ほどあるけど、このくそったれな町でバレエを教えることが自分の闘いだと固く決めている人。弱いものを守るために強くなれる人。先生の新たな面をめぐさんに教えてもらった。ビリーが合格報告しに来たシーンの、引き結んだ唇から徐々に漏れてくる寂しさに私までたまらない気持ちになった。

 

12月

朧の森に棲む鬼

心の底から「面白かった!!!!」と叫べる。歌舞伎という武器を持った新感線、鬼に金棒だった。

幸四郎さんのライはなるべくして鬼になっていった。誰にも止められなかったし、別の道なんてなかった。キンタにとどめを刺さなかったのも迷いではなく、単純な失敗。幸四郎さん正統派ヒーローっぽいのに悪役もあんなに似合うのすごいよ…。
キンタは目が見えなくなったからこそ逆に人の心が以前より見えてしまう苦しみを背負ったけど、それを抱えたまま最後花道を駆け抜けるのがカッコよすぎた。
シキブの恋愛に生きる無鉄砲さとオオキミを利用しきれない素直さは愛おしいし、ツナ様は強さと弱さのバランスが絶妙だし設定盛られまくりで好きにならざるを得ない。

キャラクターひとりひとりが魅力的で、物語を押し進めるただの歯車ではなく、血が通っているのが中島脚本の好きなところだと改めて思った。

演出もエンタメ成分過多で楽しい。歌舞伎を普段見ないので水やLEDがどれぐらい使われるのか知らないけれど、新橋演舞場に滝を流して、奥にLEDをビカビカ光らせるのは最高。周りの髑髏や彼岸花の造形も美しかった。音楽が新感線らしくバキバキのロックなのも良かった。

主人公のライを松也で取ったつもりが勘違いしてて、松也まだかな、幸四郎さんの役が主人公っぽいけど松也はいつ来るんだろう~って一幕の半分までワクワクしてた愚かな私。

 

来年もマイペースに、興味のおもむくままに色々見るぞー!

2024年2月ロンドン観劇 感想

とんでもない時差が生じてますが、今年2月のロンドン旅行で観劇した作品の感想です。旅行本編のブログはこちら。

thabu.hatenablog.com

 

観劇は渡英の目的のひとつだったけど、やりたいことを他にも詰め込んだので厳選して4作品だけ見ました。チケットの話と、日程順に感想を書いていきます。

 

チケット確保

優先度は見やすい席≧事前に予約する安心感>>>価格と先に決めました。安く購入するルートはいろいろあるらしいけど、この優先度に沿って3作品は事前購入、1作品だけ当日購入としました。Lotteryは何度かチャレンジしたけど全部負けた。

基本的には旅程を先に決めて、劇場や作品の公式サイトとToday Tixなどのチケットサイトを見比べ、これぐらいかなと納得できるところを買っていきました。

 

神サイト「SeatPlan」

日本でさえ初めて行く劇場は席の傾斜や見切れなどステージの見え方が気になるのに、海外の劇場ならなおさら。
各劇場の見え方を調べるうちにたどりついたのが「SeatPlan
というサイトです。

各劇場の座席から観客が実際に撮った写真と、①視界 ②快適さ ③足元の空間の3点レビューが見られます。チケットを選んで買うときにこれと何十分にらめっこしたことか、めちゃくちゃお世話になりました。日本にもあればいいのに。
あくまで口コミなので、座高の差による視界の違いはあるし、位置を間違えてる投稿もありそうです。でも手すりが邪魔だとか袖幕や2階の天井が被って見切れるとかは把握できるから、劇場に行ってガッカリする確率はだいぶ低くなると思います。

このサイトから直接チケットを買うこともできるけど、他のチケットサイトと比較するとやや高めだったからそこは要確認で。

 

SIX

  • 20:00開演
  • Vaudeville Theatre 1階F列3番
  • 13,711円。劇場の公式サイトで購入。

ブロードウェイや韓国で見てきた人の感想が絶賛に次ぐ絶賛だったSIX!到着日のテンションそのままにソワレを見ました。
め〜ちゃくちゃ楽しかった!!!!ミュージカルというよりストーリーのあるライブ。セリフは少しだけで、ほとんど曲のみで物語が展開されました。

知識もリスニング力もゼロなので、6人のクイーンの名前と歴史をざっくり予習。初見の衝撃に期待して逆にサントラは聴かないようにしました。

1曲目「Ex-wives」の「ラーーーーーーーー!!!!」の爆風を浴びてぶっ飛びました。音楽が耳に流れ込んでくるたび、電流がビリビリと体に走る。どの曲もキャッチーでエモーショナルで、クイーンたちの表情が声が身体がパワフルで、客席に座っているだけで体温が上がる。最高到達点の見えないジェットコースターに乗って爆走したような80分間でした。

英語はほぼ分からなかったけど、物語が進むにつれてクイーンたちが連帯して「I Don't Need Your Love」の最後に向かっていく展開は激アツでした。

6人のクイーンそれぞれが全員主役で素敵だったけど、推しはアン・ブーリンです。演じるThao Therese Nguyenさんが私の憧れの女の子そのままだった。声がかわいくて表情が海外アニメのように豊かでダンスも超上手い。ダンス、えぐい上手かった。ソロ曲の「Don't Lose Ur Head」の豪快でちょけた魅せ方が最高。インスタ貼っておきます。

https://www.instagram.com/thaotheresenguyen/

電飾が一面に埋め込まれてビカビカ光る背景パネル、ドレスアーマーのようなデザインの、照明を反射するド派手な衣装も最高。ステージ上に組まれたバンドセットで演奏するメンバーもキャストと似たデザインの衣装で、もう全部にドキドキわくわくした。

来年上演の来日版と梅芸版もめちゃくちゃ楽しみです。

 

Everybody's Talking About Jamie

  • 19:30開演
  • Peacock Theatre 1階J列23番
  • 18,776円。today tixにて購入。

絶対に本国で見たかった大好きな「ジェイミー」!好きなミュージカルを3つ選べと言われたら入ってくる「ジェイミー」!大好きな作品を原語で見られる幸せを噛み締めました。パンフレットと戯曲を買ったんだけど、帰国してから一度しか開いてない…。

なんでこんなに好きなのか改めて考えると、たぶん徹底的に自分と向き合うことが根底にある作品だからだと思う。
マジョリティから外れた主人公の物語って個性とか自己肯定感とか、好きなものは好きって言おうって自分らしさを表現することが主題になりがちですけど、「ジェイミー」はそこをもう一段掘って、まず根っこの自分を抱きしめてあげることから始めている。そこが私の考え方に合っていて共感するし、勇気をもらえるから好き。ジェイミーがドラァグネームであるMimi Meだけじゃなくジェイミー・ニュー自身を愛せるようになるまでの話なんですよね。

プリティの部屋で彼女がジェイミーに問いかける「なんでヒジャブを身につけるかって聞いてくれたことないよね?」から「It Means Beautiful」のシーンが特に大好きです。ジェイミー・ニューの美しさをプリティがそっと教えて背中を押してくれる。プラネタリウムのような光に包まれるのは、ジェイミー自身がこれから見つけていく小さな美しさや自分の輝きを表してるんだと思います。

キャストで特に印象に残ったのは、ジェイミーの母・マーガレット役のRebecca McKinnisさん。「He's My Boy」が本当~~に良かった。怒りも後悔も傷つけられた痛みも全部愛だと言わんばかりの、心の中身を全部吐き出すような表現でした。

ヒューゴ/ロコ・シャネル役のJohn Partridgeさんは、マッツ・ミケルセンさんと岡幸二郎さんを足して割ったような、バッチバチのイケオジ。日本版の石川禅さんのほんわかヒューゴじゃない、こっちのタイプもあったか!と衝撃でした。
調べたら「Cats」でラム・タム・タガーをやられてたようで…めちゃくちゃカッコいいじゃないか〜〜!

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劇場からTubeでホテルに戻る最中、自分と肌の色、目の色、体格、おそらく考え方も違う人に囲まれながら、「私に関係ない」と割り切れる強さについて自然と考えていました。周りの事象をいちいち自分と紐付けない、個としての独立心っていうのかな。

ディーン・パクストンは学校の出来事や人間関係の全てが自分に関係あると思っているから、ジェイミーやプリティのような生きている軸の違う存在が怖かったんだと思います。
そもそもディーンにはしっかりした軸や価値観はまだなくて、ジェイミーやプリティがいると必死に守っている世界が脅かされるような気持ちになったんだろうな。

「ディーンが自分をどう思おうと、どうでもいい。卒業したらなんの関係もなくなる。だから傷つかない」と最後に宣言するプリティの強さ。まあスカッとするけど、学校の狭い世界にこだわりながら焦るディーンの気持ちも分かるよ…。ちなみにロンドンの劇場ではここで爆笑が起きていて、観客の手厳しさを目の当たりにしました(笑)。
黙ってたら攻撃してくるやつは確かにどこにでもいて、「私たちなんの関係もないよ?」と教えることは確かに断絶する手段のひとつではあるんだろうな。

 

Hamilton

  • 19:30開演
  • Victoria Palace Theatre Royal Circle C10
  • 16,202円。tkts窓口にて購入。

「Cabaret」とどちらを見るか最後まで悩みました。というのも、「Hamilton」は残席も多いからチケットは当日買えばいいやと事前手配していなくて、ロンドンに着いてTubeの駅などでミュージカルの広告を見ているうちに「Cabaret」が急に気になってきたんです。
でも「Cabaret」はステージ上のテーブル席しか残っていなくて(5万円ぐらいだった気がする)、最後のLotteryも負けて、結果的に「Hamilton」を選びました。

ミュージカルのサントラでは一番多く聴いてる「Hamilton」。どの曲どのシーンでも本物だ!って気持ちがたかぶり、鳥肌が立ちっぱなしでした。

そして演出もキレッキレだった。
特に「Helpless」から「Satisfied」の流れは、私いま生でこれを見ている…という感動に打ち震えました。ピアノのエモーショナルな伴奏とともに時間の巻き戻しで盆が回る演出はYouTubeで見てたので知ってはいたんですけど、劇場で見ると一層天才的でした。抑えられない感情が溢れる様が美しく表現されていた…。アンジェリカ役のGeorgina Onuorahさんの歌も素晴らしかったです。

一応ストーリーを予習して臨んだんですけど、アレクサンダーとアーロン・バーの愛憎、嫉妬の話でもあってびっくりしました。そういう方向に行くと思ってなかった。

 

My Neighbour Totoro

  • 19:00開演
  • Barbican Theatre Row R列18番
  • 13,892円。tktsで購入。

4作品目は絶対に見たかった「トトロ」。帰国前日の観劇で、今回の旅行の締めでもありました。

私が見た回は、二宮愛さんがシンガーとして、市川洋二郎さんがパペッターとして出演されていた!アジア系のキャストが多く、この作品がロンドンのど真ん中で上演される意義を実感しました。

サツキとメイはどう演じるんだろうと興味津々だったんですが、身体性と声の表現が素晴らしく、大人の俳優でも全く違和感なかったです。

メイはロンドンの街で見かける子どもと同じ歩き方だし話し方も幼くて、役者ってすごいなと…。まっくろくろすけを驚かせる「わーーー!!」や、トトロのお腹にのって叫ぶ「ぐお~~~!!」は映画の声そのままで思わず笑ってしまった。

サツキの賢さや大人っぽさは、言語が違っても話し方から感じられました。その隙間から不安がこぼれ落ちるような芝居が良くて、胸が何度も苦しくなった。病院でお母さんと先にハグするメイの後ろで順番待ちしている姿が健気でさあ…。

美術もさすがとしか言いようがなくて、転換して新しいセットがステージに出てくるたび思わず息をのみました。トトロの森はうっそうとした木々の奥行きの表現が見事で、舞台の奥に向かってどこまでも森が続いていくようでした。サツキとメイの家の屋根裏部屋でまっくろくろすけがワサーッと暴れるシーンは映画そのままでめちゃくちゃ笑いました。

バンドが乗っている台の背景が円形にくり抜かれていて、それが黄色に照らされると大きな満月のように、暗くなるとトトロの森の入口の穴のように見える演出が特に良かったです。楽器の編成もオペラグラスでじっくり見たんですけど、パーカッションの数がとんでもなく多い。トトロの世界にある不思議な音を鳴らすためには、あれだけの数が必要なんだろうな。

森の緑の深さや大地に根付く大木の生命力、夜のざわめきなどが作品全体から漂ってきて、世界トップレベルの大都市のど真ん中にいるはずなのに森羅万象とのつながりを意識させられました。演劇ってほんとに総合芸術だなあ。作品内で描かれる故郷への懐かしさとか日本的な風景への親しみは正直ない私でも、心が柔らかく、温かくなりました。

以下、トトロなどパペットについてしっかり触れるので、いつか自分の目で見るまで情報を入れたくない方はご注意ください。

物販で積まれていたトトロたち

観客みんなトトロが大好きでトトロのパペットが出てくるたびに客席の空気が明らかに和むの、めちゃくちゃ楽しかった。みんな童心に帰ってました。

小トトロと中トトロは一人が操るパペット。大トトロは、もふもふの毛が生えた気球サイズの風船をイメージしてもらえると近いと思います。立ち上がると6~7人ぐらいはパペッターがいたかな…。

大トトロですごいのが、目や口だけじゃなくひげ、舌、爪も動くんです!だからあくびをするとアニメーションと同じように舌がブルブル動き、ひげも震える。爪で体を掻くこともできる。歯がちゃんとジブリ作画なのも地味に感動しました。トトロたちはあの作画のまま3次元に存在してました。

ネコバスは光が透ける風船のような軽い素材のパペット。電線の上を風と一緒に走れるふわふわと浮遊感のある動きがよく表現されていました。

カーテンコールでは、キャストがどんなふうにパペットや道具を動かしていたかのネタバレがあって、これがすごく楽しかった。バスの運転手は肩車をしていたし、大トトロがジャンプするシーンは、手足を動かすパペッターとは別に本体をジャンプさせるキャストがいたり、最後まで見どころしかなかった。

実はこの日、機構トラブルで中断があったんですよね。サツキを乗せたネコバスがメイを迎えに行くシーンで幕が降り、15分ほど待機。かなり不安だったんですけど再開のアナウンス直後に拍手が起こるのはどこも同じで、ちょっとほっこりできました。無事に最後まで見られて良かった。

最後に劇場の話を。
ロンドンに着いてからブルータリズム建築をいくつか巡って建築萌えに目覚めた私。会場のバービカン劇場は内装まで圧巻のカッコよさで、写真を撮る手が止まりませんでした。

直線的なコンクリートの階段の人工物っぽさと、オレンジ色の照明の温かみの絶妙なバランスよ。居心地が異常に良く、冷たすぎず温かすぎずな雰囲気で集中できる劇場でした。日本でいうとシアタートラムとちょっと似てるかも。無機的な劇場で自然に根付いた「トトロ」を見るギャップも良い体験でした。

 

以上でロンドン旅行関連の記事は終わりです。お付き合いありがとうございました。
S席1.5~1.7万円が国内の大劇場の標準になってるから、今回のチケット代がもはや安く感じられて恐ろしい。

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