ここ数年、移動時間と家事をやっつけている時間はほぼPodcastを聴いている。
コロナ禍中に気分転換のために散歩を始めて、その時間に心地よく聴ける何かを探していたのがきっかけ。音楽も色々探したけれど、どうしても頭の中がガチャガチャしてしまって心が休まらなかった。
そんなときに、Twitterで昔からフォローしていたジェーン・スーさんがPodcastのことをよく話しているのを思い出した。Podcastってどんな感じなんだろう、試しに聴いてみるかと最初に開いたのが、スーさんと堀井美香さんの番組「over the sun」。
そこから「北欧、暮らしの道具店 チャポンと行こう!」と平野紗季子さんの「味な副音声」といった有名番組に手を広げていった。女性の話し声が耳心地的にも、気分にも合っていたんだと思う。
そんな日常の一部になっているものは語っておかないと気がすまないので、好きな番組を10個挙げてみた。みんなも聴こうPodcast。
Podcastにハマったきっかけのうちの一つ。同じ会社で働いている女性二人の雑談番組。
トーク内容は雑談中の雑談。トップオブ雑談だから、こちらがどんな気分のときにも聴けてありがたい。二人とも酒豪なのでよくお酒の話になるんだけど、リスナーからのお悩み相談では「お酒が苦手なので”酒を飲んで忘れる”以外の解決策でお願いします」と言われててめちゃくちゃ笑ったのが印象に残っている。
あとジングルのセンスが神。でこでこ~。
https://open.spotify.com/show/1QV2OV9Layv8QgliQdcaJl?si=d521eeb9c5b04870
昨年9月にでこぽんFM、ドングリFM、上京ボーイズ、いきぬき給湯室の4番組が合同で開催したイベントに行ったときの。
男性二人の雑談番組。一つのテーマを「改めて考えると一体なんなんだろうね?」という観点から徹底的に言語化していく。他人の頭の中を安全圏から覗き見させてもらってる気分になる。パーソナリティのぶんけいさんはポケダンスの振付家です。
https://open.spotify.com/episode/3S8pK0LT2PT61xq3ttyqmu?si=65c344dfb4f246ee
女性二人の雑談番組。パフェやおいしいおやつの話から恋愛、最近見たエンタメの話まで幅広い。声のタイプがマコさんとばーなさんで全く違うので、聞き分けやすくて心地良い。
番組名を決めた経緯を話してくれた回がかなり好き。
https://open.spotify.com/episode/1XfHEZg9SaiiVgkgmicT0g?si=d7367cc0c16b49fe
男性二人、女性一人のお料理系雑談番組。おいしいものへのこだわりは超強いし知識もあるお三方なのに、言葉遣いや好きなものが庶民的で親近感がわく。誰もが話しやすいけど、強烈なマイルールを持ってる人もいそうなテーマ設定が毎回絶妙で楽しい。
印象に残っているのはパテ・ド・カンパーニュの回。あずあずさんの想像上のパテ・ド・カンパーニュがだんだん具体性を帯びてくる会話がジワジワくる。
https://open.spotify.com/episode/6rqw0ILB8dTTcoxnrCLrlQ?si=902194e2d0504fc4
「炊き込みご飯わくわく舎」のおすすめ番組に表示されたのがきっかけで聴き始めた。料理研究家さんと合いの手役(公式表記)さんの、料理に関するお悩み解決系番組。ポップコーンがぽんぽんと弾けるような関西弁のトークが小気味よい。
「揚げ物は実は衣の中で蒸されるから蒸し料理」の話がめちゃくちゃ面白かった。
https://open.spotify.com/episode/7cu5VROndZLx86XRhwRTFj?si=be2893991a014b0f
言わずとしれた雑談系Podcastの大御所…と言っていいぐらいの人気なんだけど、ずっと肩肘張らずに配信されているところがすごい。
https://open.spotify.com/show/3V3GvV9tyIhcvCubmc5alb?si=f755d52c34a640e5
哲学者の永井玲衣さんがパーソナリティをされているからたどり着いた番組。どんな日常の疑問も哲学対話の形で探っていくとこんなに示唆に富むんだなと驚かされる。
最近だと俵万智さんの「サラダ記念日」から好きな句を3つ選んで発表する回(全4回)がめちゃくちゃ面白かった。
https://open.spotify.com/episode/19YdUNASmzXZ9C1fiIqNW1?si=ba5792853ab64fc4
歌人の上坂あゆみさんと、僧侶の鵜飼ヨシキさんの番組。リスナーのお悩みに答える回がほとんどだけど、お悩み解決系番組ではない(重要)。スパッとした切れ味の上坂さんと、鈍器で殴るような衝撃を与えてくる鵜飼さん。異なるトークパワーの化学反応が最高。
最近だと鈴木ジェロニモさんをゲストに迎えた「愛って一体なんやねん!」の回がすごかった。
https://open.spotify.com/episode/3hByQKG2tUEgCZtyjFPL4C?si=1855a678cd2e4d64
最近見つけた女性医師お二人の雑談番組。医者という知らない世界の仕事の話が聴けて楽しい。最近だと麻酔の話が面白かった。
https://open.spotify.com/episode/34khx0RrSdZcR4MubaRdLW?si=4d858ea7b5fc43f9
一時休止されているけれど、ずっとずっと大好きな番組。どうやったらこんなに飾らない言葉で話せるんだろう。「労働によってヒトの形になっている」話は仕事が大変な時期に聴いて深く共感した。
https://open.spotify.com/episode/55hyfFgJWhu7hercjXVkDQ?si=a7c630d4afc44e6b
最新話がアップされたら必ず聴いてる番組を書き出すコーナー
おすすめの番組があったらぜひ教えてください。
飽きずに聴き続けて数年、なんでPodcastが好きなのか考えていたら、平野さんがTaiTanさんとの対談で言っていたことに思わず膝を打ったので引用する。
平野:なんか「すこやか&バトル感」っていうか。「なるべく健全にいきたいんだけど、でも別にリングから降りたいとは思ってない」みたいな人たちの表現する場所として適切だなと思っています。
TaiTan×平野紗季子 ポッドキャストの魅力は「すこやか&バトル感」? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)https://forbesjapan.com/articles/detail/77002
癒やされたいし、くだらないことで笑いたいけど、それはのらりくらりと生きていくための暇つぶしじゃない。待ち構えている明日と向き合う勇気や、つらい戦いから自分の時間に戻る切り替えのきっかけが欲しいから。
定期的に録音して編集の手間かけて、こんなに面白いコンテンツをアップしてくれる人たちが、人生を投げ出してるわけないじゃないかって話なんですよね(生々しい話だと配信活動による収益は基本ゼロなのに)。
より良く生きたい情熱が、言葉や声色や思考に乗ってまろやかに伝わってくるところがPodcastの魅力だと思う。これからもお世話になります。
今年の1月、スケジュール帳のフリースペースに箇条書きしていたやりたいこと。個数は決めず、あまり具体的にも書かずでほんのメモ程度だけど、こうして振り返ってみるとざっくりでも決めておいて良かったと思う。
2月に行った。観劇と古着と小麦まみれの1週間。私にも建築に萌える感性があったのは嬉しい発見だった。振り返ると、インテリアにハマりそうな今の流れはこのときから始まってたかも。
社会人になってから多分一番仕事で悩んだ年だった。めちゃくちゃ苦しかったし大変だった。きっと頑張った。
完全には折れてしまわないように必死に働いてたら、不安に向き合うときの考え方が一年前とはガラッと変わった。これを会社の評価制度だと成長と呼ぶのかもしれないけど、その言葉は嫌いなので使わない。ただ仕事してるときの人格は前と確実に変わった。引っ越しは無事にできそう。
NHKのラジオ英会話を3カ月。TOEICの勉強は過去問解いてテキストを2週間やってそのあと放置してる。やったようでやってない中途半端な結果。
でもラジオ英会話でディクテーションとシャドーイングを重点的にやっていたせいか、学生時代よりリスニングが得意になっていて驚いた。2025年はTOEIC受けたい。
三日坊主ではないんだけど数週間〜半年ほど続けられて習慣化しかけたものをぱったり止めてしまう傾向が昔からある。なぜだろう。
一度行ってみたかった。好きな本をおすすめしあうスタイルで間口が広そうなものを探して参加した。刺激的だった。大学4年生の女の子が「就職に向けて読むべき本はありますか?」と聞いてくれたんだけど、同じグループの社会人みんな「そんなものいつでも読めるから、大学の図書館でないとなかなか読めない本を今のうちに読み尽くして!」と意見が一致したのが面白かった。
次は課題図書があるタイプの読書会に参加したい。
これはできなかった。読書は割とできたけど、小説や舞台関連の本を優先して読んでいた。哲学に興味を持ったのは永井玲衣さんや谷川嘉浩さんの記事をネットで読んだことがきっかけだからこのお二方の本を読めばいいんだろうけど、こういう概論っぽいのも気になってる。
2025年にやりたいこともすでにいくつか決めているけど、表に出すとプレッシャーでしんどくなるだろうから、やっぱりスケジュール帳のメモ書き程度がちょうど良さそう。
気付いたら今年書いたブログはロンドン旅行の2本だけでした、ひどい。
一応観劇を趣味とするオタクとして、今年見てよかった作品を振り返ります。演劇のほかに「現地で見たもの」として、音楽ライブとスポーツも入れました。
とにかく面白かった。何から何まで「巧い」。三谷幸喜さんと役者の手のひらの上で転がされ、スリルと興奮に存分に溺れることができた。この手の作品は複数回見て2回目以降は伏線探しをするのも面白いだろうけど、個人的には余計なことを考えなくて済む1回だけの観劇で良かったと思ってる。
三谷幸喜さんから柿澤さんへの愛と信頼が深すぎる。英語を話す柿澤さん、雨に濡れた子犬のような柿澤さん、調子に乗ってヘラヘラする柿澤さんなどなど、みんな好きだよね!って柿澤さんの詰め合わせセット。宮澤エマさん、迫田孝也さんも素晴らしく、この3人だからこその作品だったんじゃないかな。
演出で特筆したいのは字幕。英語、日本語、方言と複数の言葉が入り乱れるのでセットに翻訳字幕が投影されていたんだけど、早すぎるとネタバレになるし、遅いと会話のテンポに影響してしまう。でも役者の芝居と投影タイミングがぴったり合っていて最後までノーストレスだった。オペレーターのスタッフさんにボーナス出てほしい。
5月末に閉館した駒場アゴラ劇場の企画「サンキューアゴラ」での上演。今の玉置玲央さんで「いまキス」が見れるなんて貴重すぎて、観劇当日は朝からドキドキしてた。30分という上演時間の短さだけど、短距離走のような一瞬の緊迫感と、長距離走のようなじわじわとした重い息苦しさが同居する。急停車、急発進の繰り返しに置いていかれないように、しがみつくような気持ちで見ていた。
過去の上演と違って最低限の音響と照明で、ひよりの執念、暴走、痛みが声と身体にのって一層くっきり浮かび上がったように感じた。爆発的なパワーを放ちながらも緻密で丁寧で、玉置さんは世界一美しい役者だなあと惚れ惚れした。
「武知海青さんプロレス出るんだ、見たいなー」とポロッとつぶやいたところ、海青さんのオタクのフォロワーに声をかけてもらい、チケ取りに勝ち、行ってきました人生初プロレス。研ぎ澄まされた人間の身体を見るのが好きな私にはぴったりのエンタメだった。
上野勇希さんとMAOさん、ベルトを掲げる自信がみなぎっててカッコよかった。海青さんもとんでもなくきれいな身体で、運動神経の良さが動きに表れていて、格闘ゲームで一番人気のキャラクターみたいだった。派手な技をかましたと思ったら、何度殴打されて膝をついても立ち上がって相手に向かっていく泥臭い見せ場もあって一粒で何度もおいしい。
目の前でバンバンかまされるアクロバットな技たち、お互いに命を預ける信頼関係が築かれてないとできないよな。飛ぶ側も、受け止めて倒れる側も美しかった。
今年ベスト5に間違いなく入る作品。すごかった。同じプロコフィエフの音楽でもKバレエは重厚でザ・バレエって印象だったのに対して、MB版はコンテンポラリーダンスも多く折り混ぜられ、情熱的でスタイリッシュ。生き生きと愛を踊る場面と、抑圧され無感情で軍隊行進のようにキチキチと踊る場面のギャップに胸が苦しくなった。
登場人物のセクシュアリティが様々だったりヴェローナは矯正施設でティボルトが看守だったり、大胆な改変があっても違和感なく見やすかった。
私が過去に見てきたバレエではアンサンブルの男女ペアもリフトが何度もあったけど、MB版はそれがほぼなく、リフトはロミオとジュリエットペアに限っていたのが印象的。意図的なのか分からないけど、リフトが二人の結びつきの強さを象徴する、ロマンチックでとても特別なものに思えた。それに私が見た回の主演ダンサー二人の化学反応が素晴らしかった!お互いの感性に響かせ合って、一人じゃ到達できない山の頂点に登っていくようなパドドゥ。作品で描かれる分断や暴力を飛び越えたダンスだった。
劇団朱雀の客入れBGMでいい曲だなと思ったのをきっかけに聴き始めたイエローモンキー。吉井さんの病気休養もあったから、次行けそうなライブがあれば絶対逃したくなかった。
とにかくカッコよかった。ありえないぐらいカッコよかった。バンドって人間が作るグループの中で一番カッコいい形態なんじゃないか。ステージに写るシルエットでさえカッコいい。本当にカッコいい人はどんなに遠くから見てもカッコいいんだな。
1曲目が「バラ色の日々」で、そんなのアリかよと…。「一緒に歌ってください!」の呼びかけ通りに私も歌った。初ライブのド頭でこんな幸せになっていいんだろうか。
このライブで披露された「ホテルニュートリノ」の歌詞、「人生の7割は予告編で残りの命数えたときに本編が始まる」を、このあとの観劇で何度も思い出すことになる。
チェロクを演じてくれてありがとう三浦宏規くん。三浦くんがスッと腕を上げると、ターンをすると、空間が切り裂かれてそこに新鮮な空気がぶわっと吹き込むような不思議な感覚になる。バレエを知らなかったドクチュルも、チェロクを初めて見たときこういう輝きに心動かされたんだろうな。
プロのバレエの世界は「正しい美しさ」が明確に決まっているけど、チェロクがドクチュルには「正解なんてない」と歌うのがすごく好きだった。
ゆっくん(早乙女友貴さん)の沖田総司がヤベーとTwitter(X)で見て、初刀ステですが行ってきた。ヤベー!!!!だった。
沖田さんが扇子を持って舞い始めたときは血がぐわーっと逆流しておかしくなりそうだった。黒いだんだらも目の赤いアンダーラインも心臓に悪い。自分の無力さを恨み、血を吐きながら床を這う姿はとてもとても良かった。
松田凌の清光とうえちゃんの安定も良かった。うえちゃんはペダステやKステぶりに見たかもしれない。ずーっと泣いてるのにちゃんとセリフが聞き取れる話し方ですごい。まつりょの清光は、近付いたら離れるくせにふとした横顔とかひとつ吐く息に揺らぎが混ざってるのが可愛くて可愛くて、魔性だった。私が一番大事にして可愛くしてあげるからうちに来な〜!
2018年のキャラメルボックス版は私の観劇人生でトップレベルに特別な作品だし、原作の小説ももう何度も読んでいる。それがミュージカルとして生まれ変わる、しかも主演は平間壮一さんということでかなり期待していた。その期待をゆうに超えてきた。
人の心を動かす音楽をミュージカル観劇の実体験として浴びながら、音楽と断絶されたクリスチャンの物語が進行していく、なんて残酷できれいなんだ…。
キャラメル版でクリスチャンを演じた多田直人さんがミュージカルではウォッチャーを演じるというキャスティングのとんでもない業によって、ウォッチャー目線でも物語を見ることができた。ラストのクリスチャンにとっての喝采は、同じように全てを奪われ奪ってきたウォッチャーにとっても喝采であり、救いの音だったと思う。
役の人生そのままを生きるような平間さんの芝居も素晴らしかった。ディストピアでフィクション性の高い物語だけど、平間さんは出来事に対して感情をすごく普遍的なところに落とし込んでいる気がした。特にぶどう畑で作業員たちの歌う「人は幸せになるために生まれた 僕も歌うよ」のフレーズを聴いた瞬間、すごくシンプルなことに気付かされ、呪いが解けてふっと緩む変化の表現が大好きだった。
大好きビリー・エリオット。何度見てもいい。見るたびに違う感情が湧いてくる。
石黒瑛土くんのビリーは表情と目が生意気なガキンチョで良い。アングリーダンスの絶叫は胸が苦しくなるけど、燃え尽きろ!燃やし尽くせ!って拳を突き上げたくなる爆発力が清々しくて好きだった
濱田めぐみさんのウィルキンソン先生が特に刺さった。諦めたものが山ほどあるけど、このくそったれな町でバレエを教えることが自分の闘いだと固く決めている人。弱いものを守るために強くなれる人。先生の新たな面をめぐさんに教えてもらった。ビリーが合格報告しに来たシーンの、引き結んだ唇から徐々に漏れてくる寂しさに私までたまらない気持ちになった。
心の底から「面白かった!!!!」と叫べる。歌舞伎という武器を持った新感線、鬼に金棒だった。
幸四郎さんのライはなるべくして鬼になっていった。誰にも止められなかったし、別の道なんてなかった。キンタにとどめを刺さなかったのも迷いではなく、単純な失敗。幸四郎さん正統派ヒーローっぽいのに悪役もあんなに似合うのすごいよ…。
キンタは目が見えなくなったからこそ逆に人の心が以前より見えてしまう苦しみを背負ったけど、それを抱えたまま最後花道を駆け抜けるのがカッコよすぎた。
シキブの恋愛に生きる無鉄砲さとオオキミを利用しきれない素直さは愛おしいし、ツナ様は強さと弱さのバランスが絶妙だし設定盛られまくりで好きにならざるを得ない。
キャラクターひとりひとりが魅力的で、物語を押し進めるただの歯車ではなく、血が通っているのが中島脚本の好きなところだと改めて思った。
演出もエンタメ成分過多で楽しい。歌舞伎を普段見ないので水やLEDがどれぐらい使われるのか知らないけれど、新橋演舞場に滝を流して、奥にLEDをビカビカ光らせるのは最高。周りの髑髏や彼岸花の造形も美しかった。音楽が新感線らしくバキバキのロックなのも良かった。
主人公のライを松也で取ったつもりが勘違いしてて、松也まだかな、幸四郎さんの役が主人公っぽいけど松也はいつ来るんだろう~って一幕の半分までワクワクしてた愚かな私。
来年もマイペースに、興味のおもむくままに色々見るぞー!
とんでもない時差が生じてますが、今年2月のロンドン旅行で観劇した作品の感想です。旅行本編のブログはこちら。
観劇は渡英の目的のひとつだったけど、やりたいことを他にも詰め込んだので厳選して4作品だけ見ました。チケットの話と、日程順に感想を書いていきます。
優先度は見やすい席≧事前に予約する安心感>>>価格と先に決めました。安く購入するルートはいろいろあるらしいけど、この優先度に沿って3作品は事前購入、1作品だけ当日購入としました。Lotteryは何度かチャレンジしたけど全部負けた。
基本的には旅程を先に決めて、劇場や作品の公式サイトとToday Tixなどのチケットサイトを見比べ、これぐらいかなと納得できるところを買っていきました。
日本でさえ初めて行く劇場は席の傾斜や見切れなどステージの見え方が気になるのに、海外の劇場ならなおさら。
各劇場の見え方を調べるうちにたどりついたのが「SeatPlan」というサイトです。
各劇場の座席から観客が実際に撮った写真と、①視界 ②快適さ ③足元の空間の3点レビューが見られます。チケットを選んで買うときにこれと何十分にらめっこしたことか、めちゃくちゃお世話になりました。日本にもあればいいのに。
あくまで口コミなので、座高の差による視界の違いはあるし、位置を間違えてる投稿もありそうです。でも手すりが邪魔だとか袖幕や2階の天井が被って見切れるとかは把握できるから、劇場に行ってガッカリする確率はだいぶ低くなると思います。
このサイトから直接チケットを買うこともできるけど、他のチケットサイトと比較するとやや高めだったからそこは要確認で。
ブロードウェイや韓国で見てきた人の感想が絶賛に次ぐ絶賛だったSIX!到着日のテンションそのままにソワレを見ました。
め〜ちゃくちゃ楽しかった!!!!ミュージカルというよりストーリーのあるライブ。セリフは少しだけで、ほとんど曲のみで物語が展開されました。
知識もリスニング力もゼロなので、6人のクイーンの名前と歴史をざっくり予習。初見の衝撃に期待して逆にサントラは聴かないようにしました。
1曲目「Ex-wives」の「ラーーーーーーーー!!!!」の爆風を浴びてぶっ飛びました。音楽が耳に流れ込んでくるたび、電流がビリビリと体に走る。どの曲もキャッチーでエモーショナルで、クイーンたちの表情が声が身体がパワフルで、客席に座っているだけで体温が上がる。最高到達点の見えないジェットコースターに乗って爆走したような80分間でした。
英語はほぼ分からなかったけど、物語が進むにつれてクイーンたちが連帯して「I Don't Need Your Love」の最後に向かっていく展開は激アツでした。
6人のクイーンそれぞれが全員主役で素敵だったけど、推しはアン・ブーリンです。演じるThao Therese Nguyenさんが私の憧れの女の子そのままだった。声がかわいくて表情が海外アニメのように豊かでダンスも超上手い。ダンス、えぐい上手かった。ソロ曲の「Don't Lose Ur Head」の豪快でちょけた魅せ方が最高。インスタ貼っておきます。
https://www.instagram.com/thaotheresenguyen/
電飾が一面に埋め込まれてビカビカ光る背景パネル、ドレスアーマーのようなデザインの、照明を反射するド派手な衣装も最高。ステージ上に組まれたバンドセットで演奏するメンバーもキャストと似たデザインの衣装で、もう全部にドキドキわくわくした。
来年上演の来日版と梅芸版もめちゃくちゃ楽しみです。
絶対に本国で見たかった大好きな「ジェイミー」!好きなミュージカルを3つ選べと言われたら入ってくる「ジェイミー」!大好きな作品を原語で見られる幸せを噛み締めました。パンフレットと戯曲を買ったんだけど、帰国してから一度しか開いてない…。
なんでこんなに好きなのか改めて考えると、たぶん徹底的に自分と向き合うことが根底にある作品だからだと思う。
マジョリティから外れた主人公の物語って個性とか自己肯定感とか、好きなものは好きって言おうって自分らしさを表現することが主題になりがちですけど、「ジェイミー」はそこをもう一段掘って、まず根っこの自分を抱きしめてあげることから始めている。そこが私の考え方に合っていて共感するし、勇気をもらえるから好き。ジェイミーがドラァグネームであるMimi Meだけじゃなくジェイミー・ニュー自身を愛せるようになるまでの話なんですよね。
プリティの部屋で彼女がジェイミーに問いかける「なんでヒジャブを身につけるかって聞いてくれたことないよね?」から「It Means Beautiful」のシーンが特に大好きです。ジェイミー・ニューの美しさをプリティがそっと教えて背中を押してくれる。プラネタリウムのような光に包まれるのは、ジェイミー自身がこれから見つけていく小さな美しさや自分の輝きを表してるんだと思います。
キャストで特に印象に残ったのは、ジェイミーの母・マーガレット役のRebecca McKinnisさん。「He's My Boy」が本当~~に良かった。怒りも後悔も傷つけられた痛みも全部愛だと言わんばかりの、心の中身を全部吐き出すような表現でした。
ヒューゴ/ロコ・シャネル役のJohn Partridgeさんは、マッツ・ミケルセンさんと岡幸二郎さんを足して割ったような、バッチバチのイケオジ。日本版の石川禅さんのほんわかヒューゴじゃない、こっちのタイプもあったか!と衝撃でした。
調べたら「Cats」でラム・タム・タガーをやられてたようで…めちゃくちゃカッコいいじゃないか〜〜!
劇場からTubeでホテルに戻る最中、自分と肌の色、目の色、体格、おそらく考え方も違う人に囲まれながら、「私に関係ない」と割り切れる強さについて自然と考えていました。周りの事象をいちいち自分と紐付けない、個としての独立心っていうのかな。
ディーン・パクストンは学校の出来事や人間関係の全てが自分に関係あると思っているから、ジェイミーやプリティのような生きている軸の違う存在が怖かったんだと思います。
そもそもディーンにはしっかりした軸や価値観はまだなくて、ジェイミーやプリティがいると必死に守っている世界が脅かされるような気持ちになったんだろうな。
「ディーンが自分をどう思おうと、どうでもいい。卒業したらなんの関係もなくなる。だから傷つかない」と最後に宣言するプリティの強さ。まあスカッとするけど、学校の狭い世界にこだわりながら焦るディーンの気持ちも分かるよ…。ちなみにロンドンの劇場ではここで爆笑が起きていて、観客の手厳しさを目の当たりにしました(笑)。
黙ってたら攻撃してくるやつは確かにどこにでもいて、「私たちなんの関係もないよ?」と教えることは確かに断絶する手段のひとつではあるんだろうな。
「Cabaret」とどちらを見るか最後まで悩みました。というのも、「Hamilton」は残席も多いからチケットは当日買えばいいやと事前手配していなくて、ロンドンに着いてTubeの駅などでミュージカルの広告を見ているうちに「Cabaret」が急に気になってきたんです。
でも「Cabaret」はステージ上のテーブル席しか残っていなくて(5万円ぐらいだった気がする)、最後のLotteryも負けて、結果的に「Hamilton」を選びました。
ミュージカルのサントラでは一番多く聴いてる「Hamilton」。どの曲どのシーンでも本物だ!って気持ちがたかぶり、鳥肌が立ちっぱなしでした。
そして演出もキレッキレだった。
特に「Helpless」から「Satisfied」の流れは、私いま生でこれを見ている…という感動に打ち震えました。ピアノのエモーショナルな伴奏とともに時間の巻き戻しで盆が回る演出はYouTubeで見てたので知ってはいたんですけど、劇場で見ると一層天才的でした。抑えられない感情が溢れる様が美しく表現されていた…。アンジェリカ役のGeorgina Onuorahさんの歌も素晴らしかったです。
一応ストーリーを予習して臨んだんですけど、アレクサンダーとアーロン・バーの愛憎、嫉妬の話でもあってびっくりしました。そういう方向に行くと思ってなかった。
4作品目は絶対に見たかった「トトロ」。帰国前日の観劇で、今回の旅行の締めでもありました。
私が見た回は、二宮愛さんがシンガーとして、市川洋二郎さんがパペッターとして出演されていた!アジア系のキャストが多く、この作品がロンドンのど真ん中で上演される意義を実感しました。
サツキとメイはどう演じるんだろうと興味津々だったんですが、身体性と声の表現が素晴らしく、大人の俳優でも全く違和感なかったです。
メイはロンドンの街で見かける子どもと同じ歩き方だし話し方も幼くて、役者ってすごいなと…。まっくろくろすけを驚かせる「わーーー!!」や、トトロのお腹にのって叫ぶ「ぐお~~~!!」は映画の声そのままで思わず笑ってしまった。
サツキの賢さや大人っぽさは、言語が違っても話し方から感じられました。その隙間から不安がこぼれ落ちるような芝居が良くて、胸が何度も苦しくなった。病院でお母さんと先にハグするメイの後ろで順番待ちしている姿が健気でさあ…。
美術もさすがとしか言いようがなくて、転換して新しいセットがステージに出てくるたび思わず息をのみました。トトロの森はうっそうとした木々の奥行きの表現が見事で、舞台の奥に向かってどこまでも森が続いていくようでした。サツキとメイの家の屋根裏部屋でまっくろくろすけがワサーッと暴れるシーンは映画そのままでめちゃくちゃ笑いました。
バンドが乗っている台の背景が円形にくり抜かれていて、それが黄色に照らされると大きな満月のように、暗くなるとトトロの森の入口の穴のように見える演出が特に良かったです。楽器の編成もオペラグラスでじっくり見たんですけど、パーカッションの数がとんでもなく多い。トトロの世界にある不思議な音を鳴らすためには、あれだけの数が必要なんだろうな。
森の緑の深さや大地に根付く大木の生命力、夜のざわめきなどが作品全体から漂ってきて、世界トップレベルの大都市のど真ん中にいるはずなのに森羅万象とのつながりを意識させられました。演劇ってほんとに総合芸術だなあ。作品内で描かれる故郷への懐かしさとか日本的な風景への親しみは正直ない私でも、心が柔らかく、温かくなりました。
以下、トトロなどパペットについてしっかり触れるので、いつか自分の目で見るまで情報を入れたくない方はご注意ください。
観客みんなトトロが大好きでトトロのパペットが出てくるたびに客席の空気が明らかに和むの、めちゃくちゃ楽しかった。みんな童心に帰ってました。
小トトロと中トトロは一人が操るパペット。大トトロは、もふもふの毛が生えた気球サイズの風船をイメージしてもらえると近いと思います。立ち上がると6~7人ぐらいはパペッターがいたかな…。
大トトロですごいのが、目や口だけじゃなくひげ、舌、爪も動くんです!だからあくびをするとアニメーションと同じように舌がブルブル動き、ひげも震える。爪で体を掻くこともできる。歯がちゃんとジブリ作画なのも地味に感動しました。トトロたちはあの作画のまま3次元に存在してました。
ネコバスは光が透ける風船のような軽い素材のパペット。電線の上を風と一緒に走れるふわふわと浮遊感のある動きがよく表現されていました。
カーテンコールでは、キャストがどんなふうにパペットや道具を動かしていたかのネタバレがあって、これがすごく楽しかった。バスの運転手は肩車をしていたし、大トトロがジャンプするシーンは、手足を動かすパペッターとは別に本体をジャンプさせるキャストがいたり、最後まで見どころしかなかった。
実はこの日、機構トラブルで中断があったんですよね。サツキを乗せたネコバスがメイを迎えに行くシーンで幕が降り、15分ほど待機。かなり不安だったんですけど再開のアナウンス直後に拍手が起こるのはどこも同じで、ちょっとほっこりできました。無事に最後まで見られて良かった。
最後に劇場の話を。
ロンドンに着いてからブルータリズム建築をいくつか巡って建築萌えに目覚めた私。会場のバービカン劇場は内装まで圧巻のカッコよさで、写真を撮る手が止まりませんでした。
直線的なコンクリートの階段の人工物っぽさと、オレンジ色の照明の温かみの絶妙なバランスよ。居心地が異常に良く、冷たすぎず温かすぎずな雰囲気で集中できる劇場でした。日本でいうとシアタートラムとちょっと似てるかも。無機的な劇場で自然に根付いた「トトロ」を見るギャップも良い体験でした。
以上でロンドン旅行関連の記事は終わりです。お付き合いありがとうございました。
S席1.5~1.7万円が国内の大劇場の標準になってるから、今回のチケット代がもはや安く感じられて恐ろしい。
今年の2月にロンドンへ行ってきました!見たミュージカルの感想は別記事にする(つもりな)ので、この記事は旅行全体の記録です。
イギリスに行くのは今回で3回目。1回目はイギリスを周遊するパッケージツアーで、2回目と今回はロンドン滞在のみの一人旅です。
2024年のロンドン、円安を気にしなければめちゃくちゃ旅行しやすかったです。円安を気にしなければ(旅行中は1ポンド=186~188円)。
前回の渡英が8年前のため記憶がだいぶぼんやりしてますが、想定してたより清潔で安全で快適な環境で旅行することができました。
言語が英語なだけで、初めて訪れる国内の大都市を観光するのと利便性においてはほぼ変わらなかった気がする。帰国してから友達に話すプチトラブルネタがなくて困るぐらいには全てがスムーズでした、何もないに越したことはないですが!
準備編から書いていくので、日記部分を読みたい方は目次で飛んでください。
まず、寒くて日照時間が短い2月を旅行時期に選んだ理由について。
過去2回とも冬の旅行だったから他の季節と比較できないんですけど、冬のロンドンがとにかく大好きだからです!
寒さでピリッと引き締まった空気と曇天のロンドンって相性がすごく良いと思うんですよね。コートを着てマフラー巻いて、膨張した格好で出かけるのも好きだし、2月はオフシーズンで航空券とホテルが安いのもありがたい。なので、ざっくり1月下旬~3月頭頃を目安に半年ほど前から諸々の準備を始めました。
大きく3つ決めました。
舞台のオタクなのでロンドン=ウエストエンドです。
1月下旬~3月頭に何が上演されてるかは、TodayTixやLondon Theatreを参照しました。この時期で絶対に見たかったのは「ジェイミー」と「トトロ」。「ジェイミー」は大好きなミュージカルなのでいつかは原語で見たかった!「トトロ」は賞を獲ったからっていうミーハー心と、3月でいったんクローズしてしまうのでマストでした。
Twitterがなかったらこれは目的に入っていなかったと思います。イギリス旅行や海外ドラマのロケ地巡りの同人誌を出しているフォロイーがいて、その人の旅の楽しみ方に漠然と憧れていたところ、友達に勧められて見た「Good Omens」に見事にハマり、せっかくなので同作のロケ地を巡ることにしました。
「Good Omens」はロケ地情報がまとまったファン自作のGoogleマップが公開されているので、これを頼りに行けそうな場所を探しました。スポットがピン留めされてるだけでなく、何話のどのシーンだとか、撮影はセットで行われたけどこのエリアがモデルらしいだとか、細かい情報まで網羅されています。オタクの熱量は世界共通。
「赤と白とロイヤルブルー」、映画「レ・ミゼラブル」のロケ地にも行きました。
古着が大好きなので、お気に入りの一着を日本に持ち帰りたかった!一般的な古着屋はもちろん、マーケットとチャリティショップにも足を運びました。
人がどうやって長期旅行のスケジュールを決めるのか気になるので、まずは自分が書く。完全に自己流ですが、以下のような手順で旅程を組みました。
情報は全てGoogleマップとスプレッドシートにまとめて見やすく管理しました。
①時間的制限があるけど優先度の高い予定をリストアップ。
例えば月曜が休演日のミュージカル、土日限定開催の古着のマーケット、早くに売り切れてしまいそうなパン屋などを書き出します。
行きたいお店は、インスタ・YouTube・ブログで探しまくりました。イギリスはYMSがあるので日本人が発信してる情報も探しやすくてありがたいです。
②エリアが近くて同じ日にできそうなことを一日ごとにまとめる。
無計画に動くと移動時間が一日の大半を占めてしまうので、①で挙げた予定のうち近場でまとめて実行できそうなものを、同じ日にやる予定としてグルーピングします。
③どんなに細かいこと・一時的な思い付きでもいいから、やりたいことをひたすら書き出す。
例えば、ポストカードが欲しい・大きな本屋に行きたい・公園でサンドイッチが食べたい・マーケットで大きい塊のパンを買いたいなど。お土産リストもこの段階でどんどんメモしていきました。
④ ②で決めた大枠の予定に、エリアと体力を考慮して③の細かい予定を組み込んでいく。
こうしていくと、1日目はこのエリア、2日目はこのエリアという具合で、場所ごとに効率的に回る旅程が自然と出来上がる!時間が余ったらここも行く、最悪これは別日でOKなど、動かしてOKな予定も全部メモします。
パズルのように組み合わせると完全フリーの日が1日できたので、その日に何をするかは現地で考えることにして、旅程は完成しました。
ざっくり航空券20万円+ホテル10万円+その他20万円の、6泊8日で50万円が目安でした。
ロストバゲージが怖すぎて直行便一択で探しました。色々調べているうちに神便と噂のJL41便の存在を知り、スカイスキャナーで価格を見比べつつ押さえました。
深夜出発→早朝到着で初日の時間を有効に使えるだけでなく、機内食が一回少ない代わりにJALのラウンジで食事をとれるって、むしろメリットしかありませんけど大丈夫!?もうこの便しか使いたくないと思うぐらい、私には合ってました。
ホテル選びが一番悩んだかもしれません。エアビーも検討しましたが、1人利用だと割高かつ滞在エリアが微妙に不便で、ホテルに絞って探しました。
素泊まり6泊で10~13万円、バスタブ付き、虫の口コミがないのは必須。ミュージカルの夜公演観劇後は23時近くになるので、細い裏通りを歩かなくて済むかなど、周辺環境も考慮して選びました。Googleマップやホテル予約サイト、SNSなど掲載場所が違うと口コミの率直さも変わるので色々読んだし、日本語以外の言語の口コミも参考にしました。
自分のスーツケースを持っていないのでレンタルしました。予定に合わせてサイズを変えられるだけでなく、返却日を帰国翌日にすれば嫌でも荷解きせざるを得なくなり、片付けが早く済む(力技)というのはレンタルならではだと思います。
サムソナイトのシーライト94Lを9日間レンタルして6000円程度でした。
ネット環境はこれまで物理SIMしか使ったことなかったんですが、今回初めてeSIMにしてみました。大手のサービスでも国と地域によって繋がりやすさに差があるみたいな話を読んだので、ロンドンの口コミを見てUbigiを選びました。3GBか10GBかで迷って、500円しか変わらないので1500円の30日間10GBを選択。気にせずガンガン使って、帰国時に使用量を確認したら7GBぐらいでした。
あとはスリ対策で首からかけるスマホストラップと、タッチ決済ができるVISAのクレカを用意してあらかたの準備を終えました。タッチ決済クレカはロンドン旅行では必須だと思います。
深夜1時発の便で、ラウンジ使用が22時からだったので21時頃に羽田空港に到着。チェックインや保安検査を終えて、JALのラウンジで夜ご飯を食べました。一度間違えてファーストクラスのラウンジに入りかけて、出国前から大恥をかきました。
サラダバーの豆が大好きなのでたくさん盛る。写真にはないですがカレーもおいしかった!
機内ではアイマスクとイヤホンを着けて、できる限り寝て過ごしました。
バッグインバッグに歯ブラシやスキンケア類など小まめに使うものを詰め、座席前のポケットにごそっと突っ込むスタイルをSNSで見かけて真似したんですけど、革命的に便利でした。
あと、化粧水の染み込んだ拭き取りパッドは小さいビニール袋に入れれば1枚から持ち込めるし、顔がさっぱりするので機内スキンケアにおすすめです。有用そうな情報はこれぐらいしか提供できない。
ヒースロー空港に7時前に到着。まだ日の出直後ぐらいだったけど曇っていてい、外は暗かったです。eSIMが無事に繋がってひと安心。設定も簡単で、便利すぎて感動しました。
ヒースロー空港からロンドン市内まではCoachと呼ばれる高速バスを使うつもりだったので、乗り場まで行って券売機でチケットを購入しました。事前予約もできたんですが、飛行機が遅れる可能性を考慮して着いてから買いました。乗り場の待ち合い室で40分ほど待機。こういう時間さえも楽しい。
空港からロンドン市内への移動手段は、エリザベスラインもできたし地下鉄が一般的だと思います。私は旅行準備中に読んでいたロンドンに関する本に書いてあった「地下鉄移動は便利だけど、バスだと郊外からロンドン市内へ向けて景色の移り変わりが見れて楽しいよ」との教えに素直に従いました。
時間に余裕がある人にはバス移動おすすめしたいです!教会を中心に住宅街が広がってるのかなーとか、ここから急に現代的な建物が増えたなーとか考えつつ、GPSで現在地と道沿いの建物を見ながら窓の外を眺めていたらあっという間でした。バスを降りるときに運転手さんが手を振ってくれて嬉しかった。
バス停から10分ほど歩いてホテルに到着。スーツケースを預けて街へ繰り出します。
あまりお腹が空いてなかったので、まずは行きたかったホットチョコレートのお店へ。
チョコレートの割合を細かく選べて、私はDarkの54%にしました。濃厚でスパイスが利いてておいしかった。
窓から外をぼんやり眺めながらホットチョコレートを飲んで、到着後から上がりっぱなしだったテンションを落ち着かせました。
自分のお金で外国に来て、自分の口でコミュニケーションして欲しい物を買っている今の状況にやっと実感が湧いてきて、充実感と幸せがじわじわーっと広がりました。来て良かったなあ。
近くのBootsや本屋を眺めつつ、V&A博物館へ向かいます。
「赤と白とロイヤルブルー」でヘンリーとアレックスが宮殿から抜け出して深夜の博物館で踊る名場面のロケ地がV&A博物館なんですよね。ドラマと同じ画角で写真を撮っていたら同じことやってる観光客を発見。みんな考えることは同じなんだなとほっこりしました。
他の展示もゆっくり回って楽しみました。特にインドのボタニカル柄の刺繍やプリントの展示が可愛くときめきました。
このドレスの柄、プリントじゃなくて刺繍なんですよね。ものすごい仕事…。
館内には観光客以外にも、スケッチしている人やベンチに座って友達との時間を楽しんでいる人、中庭で走り回る子供など、自由な過ごし方をしている人が多く、すごく居心地が良かったです。芸術文化が日常に近いところにあるんだなー。
チェックインの時間が近づいてきたので、途中でチャリティショップやベーグル屋に寄りながらバスでホテルへ戻ります。
ベーグル屋のデリコーナーにあったファラフェルがおいしそうで思わず手が伸びました。ロンドンはファラフェルやフムスが簡単に手に入って羨ましい!
チェックインをして、部屋で簡単な食事と着替え、仮眠を済ませて観光&ソワレ観劇へ。
ライトアップされたNational Galleryが綺麗!
すぐ近くにある、「Good Omens」1話でクロウリーが駐禁を取られた例の場所にも行きました。実際に駐禁エリアなのかは分かりませんが、ここに車を止めたら相当目立つだろうなって場所で笑いました。
1本目の観劇は「SIX」。ブチ上げ系を見て景気よく旅をスタートさせたくて選びました。
最高~!な気分になりつつ、23時近いので周囲を警戒しながらササッと駅へ。電車の中は家族連れも多く、危ない空気は皆無でやや拍子抜けしましたが、気を抜かず移動して無事にホテルへ到着。
一人海外旅行の1日目の夜って、日本で生活する一日と情報量が違いすぎて3日分ぐらいに感じます。自分自身の生きる力で今日を乗り切った充実感に浸りました。
朝食にM&Sのホットクロスバンズといちご、ヨーグルトを食べました。バレンタインが終わってスーパーには早くもイースター商品が並んでいて、ホットクロスバンズが手軽に買えて嬉しいです。スパイスとレーズン入りのパンなんて一年中食べたい。
いちごは一粒が大きく、ちゃんと酸味もあっておいしかったです。果物は円換算しても日本より安い気がします。
午前中はPortobello Marketへ行きました。古着の出店が多いのが金曜日とのことで、この日の優先度高の予定でした。
ホテルから徒歩で行けそうな距離だったので、公園の脇を通って歩いて向かいました。早朝まで降っていた雨のおかげで草木や土の匂いが立ち込めていて、全身で自然を感じました。ノッティングヒルのカラフルな家々も堪能、映える!
途中、ノッティングヒルにある有名なCheeky Sconeに寄り道。プレーンとアップルクランブルのスコーンを購入しました。握りこぶしと同じ大きさで思わず比較。ホロッホロ系で好みとは違うタイプのスコーンだったけどおいしかったです。
ただ本来の目的だったマーケットは期待してた内容じゃなかった…!可愛いなと思った商品が少し歩いた先の別のお店でも売られているパターンが多くて、購買意欲が失せました。
さらに奥のPortobello Green Marketは掘り出し物がありそうな空気感だったけど、家のクローゼットからそのまま出してきたような状態の洋服が多かった(笑)。やっぱり日本はフリマでも古着のクオリティが高いんだなと思いました。ヴィンテージブローチは可愛いものもあったけど、決め手に欠けて見るだけになってしまった。
歩きすぎ&見すぎて疲れきってしまい、ランチはタイ料理の食べ放題へ。パプリカの辛い炒めものを何度もおかわりしてビタミンを補給。パッタイの麺がもちもちでおいしかったです。
国内旅行は食事が適当でもなんとかなるけど、海外だと五感で感じるもの全てが刺激的で全方位にアンテナを張り巡らすから体力の消耗が早い気がします。しっかりご飯を食べないと本当に行き倒れる…。
この辺りから、ただ移動のために歩くのではなくて、街並みや建築の良さを意識して歩くようになりました。
こういうブルータリズム建築の悪の組織っぽさにときめきます。中に入ったら捕まって二度と外に出てこられなさそう。
夜は観劇2本目の「ジェイミー」へ!好きなセリフを原語で聞けて幸せでした。日本でも再演してくれないかなあ。
インスタで見つけた行きたかったパン屋を目指し、朝からBorough Marketに行きました。土曜日で混みそうなので早い時間を狙ったつもりだったけど、すでに大混雑だった。
ムール貝のパエリアやいちごに液体状のチョコレートをだーっとかけたカップ、I'm donuts?的なドーナツなど、ロンドンのグルメ系SNSで見たことのあるあらゆる食べ物が集まってました。
お土産の紅茶とお皿、自分用に雑穀入りの大きな塊のパン、チョコレート入りのブリオッシュを購入。ブリオッシュつやつやです。
塊のパンを買ったのは、現地のマーケットで買ったパンでサンドイッチを作るという野望のためです。パンを切る用のナイフと薄いまな板も日本から持参しました。やるぜやるぜ俺は!
Borough Marketから徒歩で移動して、Flea Londonというヴィンテージマーケットへ向かいます。週末のみの開催でしたが、予定が合って行けて良かったです。規模は小さいけど好みのお店が多く、1店舗ずつじっくり回ることができました。
レザースカートを試着したくてお店の人に声をかけたら「試着室がないからトイレで着替えて!」と言われました。靴を片足ずつ脱ぎながらスカートを穿いたので、バランスゲームをしている緊張感でした(笑)。後日Shoreditchの古着屋に行って気づくけど、海外だと試着室でも靴は基本的に脱がないんですね…!
フリーマーケットを2つ巡って、日本とロンドンで人気のアイテムが違うんだろうなっていうのが分かって面白かったです。ロンドンはサッカーのユニフォームだったりモータースポーツのジャケットだったり、スポーツ系のアイテムが種類豊富に並んでいました。あととにかくレザーアイテムが多い。
電車に乗って、次の目的地のNational Theatre向かいます。
英国演劇の総本山や~!外観が見えるだけでテンション爆上がりでした。これも有名なブルータリズム建築だそうです。
簡単な手荷物検査を受けて中へ入ります。開演前のタイミングだったせいか、やや混んでいてカフェはほぼ満席でした。
3階のベンチに座ってぼーっと休憩していたら、近くのフリースペースで学生が芝居の稽古を始めてびっくりしました。日本だと外部の施設でやるならちゃんと借りないとダメですよね?国立劇場が稽古場の選択肢に入ってくる強さよ…。
立ち位置的には初台の新国立劇場と同じだと思うんですが、National Theatreは劇場という役割以上に地域と人に根付いてるんだなと思いました。
ショップでは「ジェイミー」の戯曲を買いました。上演作品の戯曲はもちろん、演技の教則法のような俳優向けの本も多く、見ているだけで楽しかったです。
夕方頃に「Good Omens」のアジラフェルの本屋があるエリアだと言われているSohoへ行きました。Soho、明らかに治安が微妙っていうか…歌舞伎町的な猥雑さがあって面白かったです。石やレンガでできた歌舞伎町って感じ。
歩き疲れたので有名なジェラート屋さんで休憩。ピスタチオとヘーゼルナッツチョコレートのダブル。生き返りました。
昨日Borough Marketで買ったパンで朝食にサンドイッチを作りました。やった~~これがやりたかった!
ハムやグリーンリーフはホテル近くのtescoで買いました。このペラペラのスモークチキンハムが期待以上においしかった。チーズを入れるつもりだったんですが、数日で使い切れる量のものがなかったので、塩けのあるものとして小さいパックのフムスをジャムのように塗りました。本当においしかった。幸せです。
お腹を満たし、この日はちょっと遠出してグリニッジへ向かいます。
まずは、映画「レ・ミゼラブル」のラマルク将軍の葬列シーンのロケ地になっているOld Royal Naval Collegeへ。
馬車の上に立つアーロン・トヴェイトの姿が見える…!「民衆の歌」が聴こえる…!
日曜日だったんですが、私以外に人がほぼいなくてこんな無人の写真が撮り放題でした。
この敷地内は入場無料ですが、Painted Hallというドーム状の屋根を持つ建物の中は有料です。私は事前にweb予約して、当日カウンターでバーコードを見せて入場しました。
上の写真にあるような外観だけで満足しそうになっちゃうんですが、Painted Hallこそものすごいので、絶対に行ってほしい。
ただただ圧倒されて、目の前の絵を人間が描いたというのが信じられなくて、天井を見ているだけで永遠にこの場にいられそうでした。
無料で借りられる音声ガイドが場所の歴史から描き込まれているモチーフまで細かく解説してくれたので、「すごい」で終わらない楽しみ方ができました。絵の中のウィリアム3世が、勝利の象徴としてフランス王ルイ14世を踏みつけているという話には笑いました。足グセの悪い王様だな。
解説員として場内にいたスタッフさんが、私が日本から来たと知ったらお寺が好きで京都に行ったことあるよーと話してくれました。私に京都に関する素養がなくてその話は盛り上がらなかった、無念。
ホールを後にして、グリニッジ公園を突っ切って丘の上まで登りました。坂道の傾斜がえぐいので歩きやすい靴で行ってください。景色が素晴らしかった!
テムズ川を渡ってCanary Wharfへ移動します。
人がいなくて道や建物の大きさを堪能できる休日のオフィス街を歩くのが好きなので、Canary Wharfにもそれを期待して行ったんですが、ショッピングモールがあるせいか日曜日でも混雑していました。お台場のような土地だった。
連日の疲れが溜まってきてたので、この日は早めにホテルへ戻りました。
この日はShoreditchで古着をとことん探す。春服があまり好きじゃなくて毎年着るものがないと嘆いてるので、「春が楽しみになる服を買う」を目標にしました。
インテリア小物も見たかったので、まずは現地の人がおすすめしていたOliverBonasとAnthropologieへ。
どちらも洗練されてるけど個性があって、好きな雰囲気のお店でした。OliverBonasの方が若干ポップかな。母からお土産にリクエストされてたマグカップをここで購入。
買い物欲が高まってきた〜!ので超有名な古着屋のAKITAへ行こうとしたら、そのやや手前にあるQuatrièmeという古着屋もセンスが良さそうなので寄り道。
ここ、かなり好きでした!一目惚れしたテニスウェアっぽいスウェットと、コーデュロイのワークジャケットを買いました。コーデュロイ大好き。
AKITAは日本の古着屋と同じにおいを感じました。(古着買う人にしか伝わらないだろうけど)BIGTIMEをイメージしてもらえるといいと思います。サイズもパンツなら25インチから品揃え豊富で、誰が行っても楽しめそうでした。
ここでパンツの試着をしようとしたら、周りの外国人たちが靴を履いたまま試着室に入っててビビる。地下と地上1階のお店なんだけど平面にもやたらと広くて、真面目に見たら2時間経ってしまった。
2店舗とも、円換算しても高すぎない価格帯でありがたかったです。購入品はスウェット8000円、ジャケット1万円、パンツ1万1000円の3着。
そのまま近くのBrick Lane Vintage Marketにも行きました。こっちは海外スナップ的なスタイルが好きな人は楽しいと思う。ラフォーレ原宿の地下エリアに入ったときのような、ちょっとコアな空気感にワクワクしました。あまりときめく品はなかったですが、観光気分でぶらぶらするのは楽しかった。
お昼もだいぶ過ぎてしまったので、Old Spitalfields Marketへ移動して、現地の日本人がおすすめしていたお店でフィッシュアンドチップスを食べました。買い物で減った体力ゲージを回復させる。衣サクサク身がふわふわでおいしい!ポテトは食べきれずに持ち帰りました。
この日、夜公演に何を見るか決めてなかったんですよね。「ハミルトン」か「キャバレー」で迷ってて、「キャバレー」のLotteryに外れまくりテーブル席のような特別席以外が完売してしまったので、tktsの窓口で「ハミルトン」の当日券を買いました。
パディントン先生にも挨拶。
「ハミルトン」はサントラを聴きまくっていたので、生オケで名曲たちを聴けるだけで感動…!アーロン・バーからハミルトンへの嫉妬や愛憎が重めで、そういう話だと思っていなかったので情緒がぐちゃぐちゃになりました。演出もめちゃくちゃカッコよかった。そりゃ賞獲りますね…。
やりたいことを一日でやり尽くせなかったので、再びShoreditchへ。2日間に分けて正解でした。
ホワイトチャペル駅で降りて、予約していた猫カフェへ徒歩で向かいます。駅周辺は違う国に来たかと思うほどイスラムワールドでびっくりした。香りも人の服装も売っている物も、昨日まで見ていたロンドンとは全く違う!パレスチナの国旗を掲げたお店や家も多くありました。
目的地の猫カフェは8年前にも訪れたお店です。当時はロンドン初の猫カフェだったけど、今は他にもいくつかあるみたい。そちらに行こうか迷ったけど、環境や雰囲気が信頼できる方が良かったので同じお店にしました。
朝イチの枠をオンラインで予約していたので、開店と同時に入りました。8年前に会った猫ちゃんたちがまだ元気にしていて嬉しかったです。
ここは猫が本当に自由気ままに生きていて、猫ファーストな感じがして良い。店員さんがフレンドリーで、この子はこのおもちゃが好きだよとか、ここを撫でられるのが好きだよとかたくさん教えてくれます。
猫カフェでは紅茶だけ注文して、お腹をすかせたまま超有名なベーグル屋のBrick Lane Beigel Bakeへ向かいます。前回の旅行でもお店の前までは行ったんですけど、出入り口付近に元気すぎるセントバーナード的な犬がいて怖くて入れなかったので、絶対リベンジしたかった。
注文のルールが分からず緊張してたんですが、とりあえず列に並んで他のお客さんをよく観察していればいけます。
ショーケースの前まで進むと「Next!」と店員さんに言われるので、注文したいものを伝えます。看板商品の「salt and beef!」と叫んで、並びながら決済を済ませる。商品受け取り時に「pickles and mustard?」と聞かれるので、「Yes, please!」と叫ぶとピクルスとマスタードを入れてサンドを作ってくれます。出来立てを受け取って完了です。
店内がザワザワしてるので、叫ぶぐらいの声のボリュームがちょうど良かったです。サンドを包む紙にマスタードがべったりついてたので(笑)、手や服を汚さないように気をつけて。
すぐに食べたかったので、近くの公園のベンチに座ってかぶりつきました。
これがめ~~ちゃめちゃおいしかった!お肉の塩加減がちょうどよく、見た目から想像つかないほど柔らかかったです。ベーグルもむぎゅっとした食感だけど不思議と歯切れが良い。ただマスタードが異常に辛くて涙が止まらず困りました。紙でこそげ落としながらなんとか完食しました。
夜の観劇まで時間があるので、HoxtonのMuseum of the Homeへ。時間つぶし程度の気持ちだったんですが、期待の何百倍も良かった!
1階は主にイギリスの住環境の変遷を実際の家具やリビングの再現と共にたどる展示。インテリアの流行りや家族のあり方の変化もよく分かりました。
(どの年代の展示だか忘れてしまいましたが)キャンドル台の裏に鏡を置くことで、光を写して実際の部屋よりも明るく、広く見せるという工夫が面白かったです。
家事道具の発展やメイドや主婦がこなす仕事内容の変化を通じたフェミニズム視点での問いかけもあって、当時の女性たちに思いを馳せました。
地下には、実際にイギリスで暮らす様々な人に「homeとは何か?」を問いかけたパネルの展示がありました。例えば、家賃が上昇してもう長くは住めなさそうだと話す人、何世代も受け継がれた家に住み続けている人、住む場所にこだわらず引っ越しを繰り返す人など…価値観も状況も様々。
パネルの写真はほぼ撮ってないんですけど、入口近くにあった「homeとhouseは違う」という説明は印象に残っています。公式サイトの「Home is more than a house. 」の文言も、直感的に分かる気がする。
自分が今homeだと感じる場所はどこなのか?一人暮らしの賃貸か、実家か?暮らしとは関係なく思い出のある場所かも?みたいなことをぐるぐる考えました。フラットな気持ちでhomeについて考えられたのは、日本から離れてイギリスに来たからこそだろうなあ。
この日最後の予定はソワレ観劇の「トトロ」。劇場のあるBarbican Centreはロンドン屈指のブルータリズム建築です。
早めに着いたので中を練り歩きたかったんですが、急に疲労を感じてきたのでカフェでレモンケーキと紅茶を注文して読書タイムに。集中とぼんやりを繰り返す贅沢な時間を過ごしました。
建物の外観だけでなく、劇場のロビーや中階段も本当にカッコよくて好きな世界観で、最高でした。
直線的な無骨さと、照明や客席の色の温かみ、所々に使われた木の柔らかさとのバランスがたまらない…。客席にいるだけでこんなにテンション上がる劇場は他にないです。
もちろん作品の「トトロ」も素晴らしく、余韻に浸りながらホテルへ戻りました。
最終日になってしまった。後回しにしていたお土産を買うために、ホテル徒歩圏内のBootsとWaitroseで午前中からたくさん買い物をしました。もうしばらく来れないと思うと、今買っとけ!精神が加速し財布の紐が緩みます。
チェックアウトして、バスでロンドンの街並みを眺めながらバタシー発電所へ。出発前は優先度が低かったけれど、ロンドンに来ていろいろな建物を見る中でやっぱり行きたい気持ちが強くなり、最終日に調整しました。
象徴的な2本の煙突は、発電所として使われていた頃からあったものらしいです。
中は普通のショッピングモールだけど、煉瓦造りの壁や鉄骨を残した内装がとても良かった。
ついでに、Battersea Parkの中にある「Good Omens」のロケ地へ。
シーズン1の3話で天使と悪魔が喧嘩してた場所です。道が十字に交差する不思議な空間で、なんだか静かで神聖な気持ちになりました。こんなところで喧嘩するなよ。
ホテルに戻り、預けていたスーツケースを引き取ってピカデリーラインでのろのろとヒースロー空港へ。いよいよ旅が終わる…。
チェックインや保安所をトラブルなく通り抜けると、どっと疲れが押し寄せてきました。そういえば前回の旅行で余った現金を持ってきていたのを思い出し、空港で使ってしまおうと思ったら「これは昔のコインだから使えないよ」と言われる。調べたら硬貨のデザインが2017年頃に変わったらしい。結局、現金は1ペンスも使いませんでした。
以上が2024年2月ロンドン一人旅の記録です。旅行しながら次来たときにやりたいことがいくつか見つかったので、次の海外も行き先はロンドンになりそうです。
旅行のことでご質問などあればマシュマロからどうぞ。
2023年は私にとって「Bリーグ観戦1年目」でした。
これまで通り元気に観劇オタクをやりつつ、1年で8試合現地観戦しました(日本代表戦含む)。配信で見た試合数はこれより少ないから、現場至上主義は演劇でもスポーツでも変わらないらしい。
せっかくだし、1年目の思い出や感じたことを振り返ってみました。新規目線でおかしなことを言ってるかもしれませんが、ご容赦ください。
これはずばり、映画「THE FIRSTSLAM DUNK」です。スラダンやばい!最高!バスケってやっぱり面白いなあ→プロリーグあるじゃん見に行こ!という単純すぎる流れでした。
〈映画初見からの時系列〉
2022年12月26日 「THE FIRSTSLAM DUNK」を見る
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2022年12月31日 「THE FIRSTSLAM DUNK」を見る(2回目)
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2023年1月16日 2月開催のBリーグのチケットを買う
見に行こ!の勢いで見に行ける場所で試合が行われているし、特別なコツがなくてもチケットは一般発売で普通に買えたし、価格も数千円~と手を出しやすく、敷居の低さも新規には魅力的でした。
あと個人的なところでは、学生時代バスケ部だったので、そもそも競技に親しみを持っていたのも大きい。プロリーグの存在は以前から知ってたんですけど、映画を見なかったら現地観戦するまでには至ってなかったと思う。ありがとうスラムダンク。
観戦デビューは普段よく行くエリアから一番近い会場を選びました。チームについては何も分からないので、対戦カードは気にしなかった。
公式の席種解説を読んで取ったアリーナベンチ反対側の席は、期待以上に選手と近く、迫力がものすごかった!応援のコールの音楽が試合中ずっと流れてて、私が想像してたスポーツ観戦のイメージが裏切られて楽しかったです。これはまだ声出し応援禁止だったのも大きいかな。
一番印象に残ってるのは、生で見る3Pシュートのカッコよさ。打った選手を真後ろから見られる位置だと、ボールの軌道とゴールが同一線上に綺麗に揃う瞬間があるんだけど、これが鳥肌ものだった。空間を切り裂いてゴールに真っすぐ向かうボールの弾道のカッコよさ、リングに触れずにシュートが決まった瞬間の爆発感は他では味わえないと思う。
そしてこの日、私が出会ってしまったのが、アルバルク東京のマスコットキャラクターのルーク。
かわいすぎる!!!!!!!!!!
ひと目見てメロメロになりました。モフモフの体毛に眠そうな目、踊ったり走ったりしづらそうな2頭身のずんぐりしたフォルム、指が分かれていないからピースサインやハートマークを作れないミトン型の手。利便性を追求しない、無駄や余白を大切にしたキャラクターデザインに心を掴まれました。最高。見た目に反して意外と素早く動けたり、かと思えば会場の椅子に沈み込むように座ってたり、うつらうつらしてたり…動きや仕草も天才的にかわいかった。連れて帰りたかった。
これは試合開始前に短い腕で大太鼓を必死に叩き、会場を盛り上げるルーク。
秋には、渋谷で開催されたルークのポップアップショップのイベントでツーショットを撮ってもらいました。隣に立ってくれたルークは大玉転がしの玉が2つ縦に重なったようなサイズ感で、でっかくて最高でした。
やっぱり今見るべき選手は河村勇輝でしょ!しかも神奈川ダービーはさらに盛り上がりそう!ってことで選んだ試合でしたが、当日行くと河村選手がいない…。
見間違いかなと混乱していたら、後ろのお客さんの会話が聞こえてきて、直前の試合で河村選手が負傷したことをここで知る。演劇界にも体調不良の降板はあるし、コロナ禍の当日中止に当たったりもしたけど、スポーツだとケガで突然離脱になるというのはカルチャーショックでした(後から知ったけど、試合に出ないだけでチームには帯同していたらしい)。ショックと言えば、フリースロー時の両チームブースターのブーイングの激しさには驚いた(笑)。
この日は川崎の藤井祐眞選手とニック・ファジーカス選手のインパクトが強烈だった。藤井選手は一人だけ終始元気、なんなら試合終盤になればなるほど元気。鬼気迫るディフェンスと野生本能的なボールへの執着、ここぞというタイミングで決める3Pシュートもあり、敵に回したくない選手だ~と素人ながらに思った。
ニック選手はマジでどこからシュートを打っても入る。3Pラインより内側でペイントエリアより外の、絶妙な位置からのシュートでもじゃんじゃん入れるから意味が分からなかったです…プロってすごい…。
河村選手が見たくて神奈川ダービーリベンジ。まだ本調子じゃなくプレー時間は限られていたけれど、やっと見れて嬉しかった!河村選手が出てない時間帯にキャプテンの森井健太選手がめちゃくちゃ気合の入ったプレーを見せていて、そのガッツにときめきました。
この日も藤井選手とニック選手は怖かったです。
審判の人、立ち姿が凛々しくてカッコいいな、オーラあるなと思っていたら加藤誉樹さんだったことを後で知る。
スロベニアのルカ・ドンチッチという選手がNBAのスーパースターらしい、というのだけ調べて知っていたんだけど、ウォーミングアップでドンチッチ選手がコートに入ってきたときの会場の爆沸きっぷりがすごかった。河村選手とドンチッチ選手のマッチアップに会場が騒然としたのも楽しかったな~。
ワールドカップが終わり、オフ中の移籍情報をわけが分からないなりに追いかけ、やっとシーズン開幕!ビーコルのホーム開幕戦に行きました。
河村選手がボールを持ったとき、会場の期待感がグッと高まるのを肌で体感して興奮した。何かやってくれる、次は何を見せてくれるんだろうって観客をワクワクさせてくれるのが河村勇輝なんだと思った。この日のビーコルは出場した選手みんなが活躍していて、見てて楽しかったです。
一番印象に残ったのは、バスケットライブの配信で見て以来気になっていたジェロード・ユトフ選手!小顔・脚長・腕長の骨格にモヒカンヘアも相まって、エヴァ初号機のフォルムと重ねてしまう…。実物は本当にエヴァ並みのスタイルの良さだし、淡々と3Pシュートを量産してて凄みがありました。かと思えば勝利インタビューの待機中、配信に映らないところで一人豪快に寝転がってストレッチをしていて、クールなイメージが崩れ去った(笑)。
アリーナについても少し。コート頭上に吊る4面モニターがない会場は初めてだったんだけど、あれがないと試合展開がパッと把握しづらいし見栄えしないなと…。本来はプールだからか照明の演出も最低限で、選手入場やスタメン紹介で盛り上がりきれなかった。来年完成する横浜BUNTAIに期待したいです。
それから、アリーナ入り口側の大型モニターに映し出される、相手チームのフリースローを妨害する映像のぶっ飛んだセンスにも触れなくてはいけない。
なんだこれ???
このクマ以外にも、妙にリアルな二足歩行のシカがダンスを踊っていたり、ウサギが高速で草を食べていたり…シュールすぎる!!川崎もアルバルクも映像は全部カッコいい感じで統一されていたから、古のニコニコ動画みたいなビーコルのセンスはどこから来ているんでしょうか。
YouTubeでたまたま見たこの動画に衝撃を受け、どうしてもこの空間を体感したくて群馬まで片道約3時間かけて行ってきました。オプアリはすごい。
〈オプアリのすごいところ〉
「群馬が3Pシュートとダンクを決めるとゴール裏から炎が上がる」のはバスケットライブの配信で知っていたけど、これ現地で見ると発想のヤバさが一層よく分かるから一度行って見てほしい。そこそんなに燃やしていいんだ?っていう…。スタンド席でも熱を感じたからコート上の選手たちも絶対熱いと思う。
最初に貼った動画「Winners Anthem」を立ち上がって歌う4Qのオフィシャルタイムアウトは最高~~にブチ上がった!!身長の3倍はありそうな巨大フラッグを掲げてアリーナを走り回るチアの男性に度肝を抜かれました。
とどろきも代々木第一も楽しかったけどオプアリは別格で、スポーツ観戦の概念が覆される体験でした。
コートへ続くドアを開けた瞬間、思わず「おお…!」と声が漏れたんですよね。「この会場だから行きたいな」と思わせるアリーナ、人を呼べる会場ってこういうのを言うんだろうな。気持ちが上がらない劇場ばかり新設される演劇界と比べて、ここがホームアリーナだったらさぞ誇らしいだろうと思わずにはいられなかったです。
試合内容は、ファウル絡みで選手同士がヒートアップする時間があり、退場になった群馬の選手がロッカールームへ帰ってしまったりして、そこで私も気持ちが萎えてしまったのは残念だった。真剣勝負だからとか以前に、身長2m近い選手がごろごろいる中で睨み合ったり肩を押したりするほど険悪な雰囲気になると恐怖を感じる。
冷めた気持ちになりつつ、最終的に名古屋ダイヤモンドドルフィンズをかなり好きになって帰ってきました。ハードなディフェンス→速い攻撃のバスケが一番好きかも!
名古屋の試合が見たくて取ったチケットだけど、ここ最近ビーコルの調子が右肩上がりで見てて楽しい試合をしてくれるようになってきていて、この日は名古屋6:ビーコル4ぐらいの気持ちの掛け方で臨みました。ただ残念なことに、現地で見たかった名古屋の齋藤拓実選手が脳しんとうにより欠場だった、お大事に…。
試合は4Q10秒きったところで名古屋が追いつく超劇的な展開で延長戦に。杉浦佑成選手とユトフ選手の3Pの確率がえぐくて恐怖だったし、普段は頼もしい森井選手のディフェンスも、いざ敵になると本当に嫌な存在だった。
最終的には83vs80でビーコルが勝利。現地で見てるとずーっと名古屋が押されてる感覚だったけど、帰宅してからバスケットライブの映像を見るとそうでもなかったんですよね。不思議だ。
これは現地に行き始めた頃から言ってるんだけど、バスライの実況を現地でも聞けるイヤホンガイドが欲しい。起きてることを理解しながら現地の雰囲気を楽しみたい。
以下は愚痴になるので読みたくない人は読み飛ばしてほしいんですけど、この日は席運が良くなかった…。隣の観客が爆音で応援&ヤジを飛ばす人で、しんどい気持ちがだいぶ強かったです。
Bリーグのブースターとして、スポーツチームのファンとしてこういう熱量の人が大切なのは分かる。熱心なファンが多いエリアの席だと分かっててチケットを買ったのは自分だし。ただ、顔スレスレで振られるクラップや、不満を発散するために何度も踏み鳴らす床の揺れだとか、こっちの環境に不快な要素が食い込んでくるのがキツかった。遠めのスタンド席でゆるく見るのが私には向いてるんだと思う。
やっとエンド側の席に初めて入れた~ずっと来たかったから嬉しい!ディフェンスの気迫と体のぶつかり合いが、コートサイドから見たときとは比べ物にならないぐらい剥き出しで伝わってきて圧倒されました。見づらいシーンも多いけど、コート内の選手との一体感がこれまで入ったどの席よりも抜群で、無理なく声を出して応援できた。「応援しなきゃ」って義務感ではなく、自然と声を出したくなる席でした。
この日のゲーム内容は色々ありすぎて、ハラハラして心臓が痛かった。名古屋は試合に出られない選手がただでさえ多いのに、顔から流血したり(すぐ止血して復帰してくれたけど)、足がつってケアしながら出場してたり…。一日も早くチームが万全な状態でプレーできますように。
そんな苦しい状況の中、満身創痍でも流れがなかなか来なくても、声を掛け合って自分たちのやるべきことに立ち向かう選手たちが普段より一層カッコよく見えた。生き様を感じました。
とどろきアリーナへ行くのは久しぶりだったけど、3回目ともなればグーグルマップとにらめっこせずたどり着けた。自分にとって「身近な場所」になっている気がして嬉しい。
それに演出がめちゃめちゃパワーアップしてませんか?昨シーズンよりも炎の特効が増えた気がする。あと、チアも新曲ができていたような。雷型のバルーンを持って踊る曲が特に好きだった!
チアもチームによって個性がありますよね。例えば、ビーコルはレディでクールビューティー、群馬はストリートなカッコよさ、川崎はキュートな親しみやすさって感じかな。しばらくベンチ向かい側に入ってなくてチアを存分に楽しめてないから、次どこかの試合に行くときはそっちの席で見たいな。
以上、今年の8試合を振り返りました。
初めて代々木で試合を見た頃と比べると、好きなチームができたし、自分なりの楽しみ方がだいぶ分かってきたと思う。
毎週2~3試合×2時間の試合が行われて、バスケットライブにアーカイブが上がって、チケ発がこまめにあって、新規グッズがどんどん出て…まともに追うと大変な世界だなというのもよく分かりました。ていうか「現地で何かを見る」ことが主軸になる趣味でラクして網羅的に追えるものなんてない。
観劇オタクとバランスを取りつつ、これからもマイペースに楽しんでいきたいです。とりあえずドルフィンズアリーナに行くことを来年の目標にする!
今年の夏に見た2作品の感想です。ちゃんと文章にして残したい気持ちはずっとあったんだけど、書いては寝かせを繰り返していたら冬になってしまった。
正直「千と千尋」で遠征することになるとは思ってなかった…。去年、帝国劇場で初演を見て、普通に面白いし良かったけどリピートするほどじゃないかなと思っていたのにこのザマ。「エリザベート」のトートダンサーで好きになった山野光くんがカオナシ役兼スウィングで出演するって聞いたら行く以外の選択肢がなかった。
カオナシ役、小㞍健太・森山開次からの山野光の衝撃といったら…ねえ!?小㞍さんといえばトートダンサーの振付かつロミジュリの死(&振付)だし、森山さんは「ダンス・オブ・ヴァンパイア」のヴァンパイアダンサーで、ダンスに疎い私でも知っているお二人。そんな人たちと山野くんがトリプルキャストで、情報解禁からずーっと楽しみにしてました。
が、台風7号上陸とスケジュールが丸かぶりになり…。当日御園座までたどり着けるのか、行けたとしても無事に帰ってこられるのか、天気予報と公演サイトとスマートEXの払い戻しページを行き来しながら不安な気持ちで見守り…結果、なんとかなりました。ありがとうJR東海。でも翌日は計画運休で大混乱だったので、今回は本当に運が良かったです。
山野くんのカオナシは素晴らしかった!セリフは大体「あ……」だし、顔も衣装に隠れてほとんど見えないのに、存在から動きからカオナシの感情の機微が伝わってきた。このために来て良かった~本当に~~。やっぱり山野くんの身体表現は美しさ、ダイナミックさに加えて、観客の心にストレートに届く純粋なエネルギーがある。
カオナシは青蛙をのみ込む前と後で形態が違って、のみ込む前、山野くん一人で演じるのが単体カオナシ、のみ込んだ後、複数人で演じる複数カオナシ(?)という具合に分かれていました。
単体カオナシで印象的だったのは、周りをじっと観察している間も手の指だけは微妙に動き続けていたり、全身がゆーっくり揺れたりしていたこと。指の動きはオペラグラスで見れば分かるんだけど、引きだと全身がわずかにうねっているように見えて不思議だった。これがまるで、肺の呼吸運動だったり心臓の鼓動のようで、カオナシの肉体がそこに存在しているんだというのを強く意識させられたんですよね。カオナシはそこにいて、生きている。
アニメ映画の単独カオナシはぬーっとそこに居るだけだから、私はこれまでそれを抽象的なものとして捉えていたんだけど、演劇では役者の身体性+前述の呼吸のような動きがあるおかげで、カオナシと客席の人間との間に「生」という共通点があったように思う。だから、カオナシに対して漠然とした恐怖や排除したい気持ち一辺倒にならず、同じ側に立つ生き物として捉えることができた。これはアニメ映画だけを見た私ではきっと得られない感覚だろうから、演劇で見て、それが山野くんのカオナシで良かったなあと思う。
複数カオナシはとにかく演じる役者たちのコンビネーションがすごい!最大何人で動かしてたんだろう、7人はいた気がする。意志を持った一つのカオナシとしてそこに存在していた。山野くんはその真ん中でカオナシのお面を持ち続けたり、前に突き出て表情で芝居したりもしてて、集合体の中心って立ち位置だった。運動量かなり多そう。
全体で一番好きだったのは1幕の、千尋がハクからおにぎりをもらったシーンの直後のダンス。全身がバラバラになりそうなほどの孤独感が波のように打ち寄せて増幅していく踊りで、圧巻だった。千尋は決意を新たに自分の足で立ち上がって前へ進んでいくのに、カオナシは自分と他者との境界が曖昧で不安定なままっていう、千尋とカオナシの心の立ち位置が対になっているんだと感じた。悲しみ、怒り、寂しさ、飢餓感を暴力的に撒き散らしてて怖いんだけど、私も身に覚えがある感覚で、見ているだけなのに頭と胸がずーんと重くなった。
カーテンコールでは上白石萌音ちゃんが山野くんを「カオナシデビューです」と紹介してくれて、端に立っていたら三浦宏規くんが真ん中まで引っ張ってきてくれて(事務所が同じだから勝手にエモくなった)、最後には萌音ちゃんに肩組まれて一緒に礼をして、この流れが幸せすぎた!!なんだか分からないけど泣けた。
トートダンサーで見ていたときは、山野くんは身体表現全般に特化した人なのかなと思ってたんだけど、サンリオ男子やコンボイ、今回のカオナシを見て、そもそも芝居が大好きな気持ちが伝わってきたんですよね。もっと言葉を使って表現する役も見てみたい。サンリオ男子の接触イベントが8月にあったんだけど、握手のときにカオナシ素晴らしかったと直接感謝を伝えることができて嬉しかった。
他のキャストについても少し書きます。
初演は橋本環奈ちゃんで見ていたから、萌音ちゃんの千尋はこれがはじめまして。上手かった!!生まれながらにしてぴったりな役というより、スキルに裏打ちされた役のハマり方だったと思う。舌っ足らずだけどきちんと聞き取れるセリフとか、どんくさそうな動きをするのが上手すぎるところに技術を感じた。
神様たちの世界に行く前の千尋と帰ってきたあとの千尋が、全く別人というほどにバッサリ変わってはいない塩梅の付け方がすごく好きだった。相変わらずビビりだけど少しだけ自信がついて、ふにゃふにゃした中に芯を持つことができたのだと分かる芝居だった。
三浦くんのハクは2回目。千尋に寄り添って励ます人間の体温を感じさせるシーンと、術を使ったり竜に変身する人ならざる者のシーンの差がめちゃくちゃ好き。あらゆる制限を飛び越え、神聖な佇まいを一瞬でまとって舞台上の空気をかっさらえる役者だよ…。「キングダム」で汗まみれ泥まみれになりながら剣ぶん回して戦ってた人と同一人物に見えない。ハッとさせる身体能力だけじゃなく表情と言葉の繊細さも魅力的で、これからも色々な役で見たいです。
そして先日、来年の全国+ロンドン公演のキャストが発表されました!山野くんのカオナシがまた見られる!嬉しい!!新キャストの人たちも新しい風を吹かせてくれそうで楽しみだな~。
楽しかった!!命をかけて戦うヒリヒリした試合もいいけど、スポーツって熱いよね、楽しいよねっていうキラキラした原体験が詰め込まれた夏の時間だった。テーマ曲の「ガムシャラ~エンジョイ!」が直球で最高でした。
D1の試合後、勝って喜ぶ青学の後ろで佐伯に頭を下げて謝る樹が目に入り、部活に全力投球したことがない私でも胸が押しつぶされた。多分、佐伯が樹のパフォーマンスに怒っていたり不満を持ってるわけじゃないことは樹自身も分かってるんだけど、パートナーを信頼して真剣に戦ったからこその処理できない罪悪感なんだろうな。謝るなよと言うように樹の肩を優しく叩く佐伯も良かった。でもベンチへ戻れば仲間がいて、最後にはまた前を向けるフィナーレでとにかく爽やかだったな〜。観劇後こんなに健やかな気持ちになれる作品なかなかない。
キャストの感想で言うと、ジロー役の横山賀山くんがシンプルにめちゃくちゃ上手かったです。ダンスが綺麗だし、歌に感情をのせるのが上手い。海宝くんと同じ事務所かつ元ヤングシンバだそうで色々と納得した。
そしてリョーマ役の今牧輝琉くん!彼の体現する越前リョーマに出会って「テニスの王子様」という作品の解像度が上がった。リョーマみたいな生意気で大胆不敵なキャラクターの良さがこれまであまり分からなかったんだけど、リョーマはこういうところが魅力的で、こういうところが「テニスの王子様」たる所以なんだっていう説得力が今牧リョーマにはあった。
もっと見たい!もっと見せて!と観客の熱を煽る求心力がすさまじい。人間ってこんなに輝きと万能感をまとえるのか。ダンスも他のキャラクターとは一味違うように見えて(元々の振付がそうなのか分からないけど)、頭をクイッと傾けたり、ラケットをクイッと持ち上げる、カッコよさと可愛さを兼ね備えたあの動きは何!?とんでもなかった…。何よりも、テニスを真っすぐに愛し、貪欲に成長していく眩しい姿はまさにYOU ARE THE PRINCE OF TENNISでした。
これは2.5次元と3次元と2次元を混ぜた話になっちゃうんだけど、映画スラムダンクがきっかけでバスケットボール(Bリーグ)を観戦するようになった私は「今牧リョーマは河村勇輝」説を提唱しておりまして…。
というのも、バスケを現地観戦してて目を引くのって、まさに今牧リョーマみたいな選手なんですよ。ボールを持つと会場の空気がギュッと彼一点に凝縮されて、彼なら何かすごいことをやってくれる!と期待してしまう選手。「その高貴な輝きに人は瞬きを忘れる 照れくさいほどの呼び名が似合う お前はまさしくバスケの王子様」と心の中で歌ってしまう。河村くんはそういうワクワクする気持ちを湧き上がらせてくれるし、競技への強い気持ちとか、チームでの存在感も含めてリョーマだなあと思わずにはいられなかった。
逆に河村くんを生で見たことにより、今牧リョーマのスポーツ選手としての魅力をリアルに実感することができた。今牧輝琉くんは役者だけど、今牧リョーマはテニスプレイヤーなんですよね。今牧リョーマと河村勇輝、両方を現地で観劇・観戦するのおすすめです。
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