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こんばんは。 たーせるです。
本日は、で友達のレポートとちょっと差をつけたい人のために数式の小ネタをご紹介したいと思います。
突然ですが皆様は、『これなら分かる応用数学教室』という名著をご存知でしょうか。
この本は、内容もさることながら、数式の体裁にも細やかな拘りが随所にみられます。
たとえば、p.181 (数式 (5.138))には、以下の行列が登場します。
── お分かり頂けましたでしょうか。
なんと、(下の図からも明らかなとおり)スラッシュの位置がぴったり揃っており、非常に視認性に優れた体裁に仕上がっているのです。
単なる要素の右揃えではなく、3行2列目の「0」要素は中央揃えになっている点にも注目しましょう。
通常、行列を入力する場合、amsmath
パッケージのpmatrix
環境を利用して、以下のようにコーディングするかと思います。
\begin{equation}\bm{U}=\begin{pmatrix} 1 /\sqrt{3} & 1 /\sqrt{2} & -1 /\sqrt{6} \\ -1 /\sqrt{3} & 1 /\sqrt{2} & 1 /\sqrt{6} \\ 1 /\sqrt{3} & 0 & 2 /\sqrt{6}\end{pmatrix}\end{equation}
ただし、これではすべての要素が左右中央揃えになってしまうため、スラッシュの位置がガチャガチャと不揃いになってしまいます(下図参照)。
まぁこれでも読めないこともないですが、やはり揃っている方が遙かに読みやすく端正な印象を受けます。
スラッシュの位置を揃えたいときは、以下のように書きます。
\begin{equation}\bm{U}=\begin{pmatrix}\hphantom{-1}\llap{1} /\sqrt{3} & 1 /\sqrt{2} & -1 /\sqrt{6} \\ -1 /\sqrt{3} & 1 /\sqrt{2} &\hphantom{-1}\llap{1} /\sqrt{6} \\\hphantom{-1}\llap{1} /\sqrt{3} & 0 &\hphantom{-1}\llap{2} /\sqrt{6}\end{pmatrix}\end{equation}
ポイントは\hphantom
と\llap
です。
\hphantom{-1}
と書くと、まず「-1」という文字列と同じ幅の空白が確保されます。
さらに、\llap{1}
と書くと、先ほど確保した空白に対して右詰めで「1」という数字が出力されます。
\llap{2}
も同様の考え方で、先ほど確保した空白に対して右詰めで「2」という数字が出力されます。
同書 p.206 (数式 (6.34))には、以下のようなベクトルが出てきます。
こちらも小数点の位置が綺麗に揃っており、読み手へのやさしさを感じます。
ここではmathtools
パッケージを使い、pmatrix*
環境を利用しています。
\begin{equation}\bm{v}_{3}=\begin{pmatrix*}[l] -0.4083 \\ -0.4231 \\\hphantom{-0}\llap{0}.8088\end{pmatrix*}\end{equation}
簡易的には、全部右揃えにすればだいたい揃って見えるのですが(提出までに時間がない場合はその場しのぎでそうする)、小数点以下の有効桁数が要素ごとに異なるようなケースにおいては、上記のように一旦すべての要素を左揃えにして、左端の余白を\hpahtom
と\llap
で調整する方法が有効です。
やはり厳密に、端正に位置揃えが施された数式のレポートが出てくると、指導教員も『やべぇ…… コイツ…… できるッ!!』と思ってもらえるかもしれません。
まぁ実際問題として、理系の学生諸君はレポート作成の際にもっと他に時間をかけるべきところが山ほどあるため、こうした工夫はある意味で取るに足りない瑣事でありますが──。
Copyright (c) 2012 @tercel_s, @iTercel, @pi_cro_s.
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