2社に渡って評価制度に関わってきて、社員からの質問や制度に関わる人との情報交換なども含めてよく聞く話として、
あたりの整理ができず、社員の方々が誤解し、勘違いが発生するというのがよくあるようです。
例えば
みたいな話があります。
そこで、これらの関係性を整理したいと思います。
会社の目標を管理する手法、評価制度、報酬制度のそれぞれは会社によって多様です。
全てを網羅するような情報はまとめることができないので、ある程度一般的な部分や共通点として捉えられる内容としてまとめます。
また、成長に関する話が入ってくるため、前提として会社に所属する個人のうち「成長したい人」を前提にした話に絞ります。
個人の価値観や、ライフステージによって特に社員が成長を目指さないケース自体もありますし、そういった考えも受け入れられるのが良いと思ってます。ただ、この記事の話をシンプルにするためにこの成長を目指さないケースは省略します。
報酬について、通常は原資がからみます。一旦この記事の前提としては、事業が順調で原資が十分にあり、成長に報いる十分な昇給予算がある、ということにします。

会社の目標は、企業が長期的なVision, Mission を達成していくにあたって半期や四半期など期間を区切って設定する目標です。
会社の目標は大きく分けると2つに分かれます。
ここから各事業部、部門、グループ、個人へとつながりを保ったままそれぞれの目標へとブレイクダウンしていきます。
会社の目標につながりをもたせつつ、目標管理をする手法の典型が OKR です。
こんな感じ。
多くの企業は事業の成長を通して社会に貢献していくため、常に前期・前年よりも高い目標を設定して取り組んでいきます。
より高い成果を出すためには、業務のプロセスを改善していく必要があります。ということは、その業務のプロセスを作る個人や、より質の高い成果を生むための個々の知識・スキルも高まっていきやすい面があります。下記の中でいうところの A1 です。
ただし、あくまで軸は会社・事業・組織であるため、すべての個人の成長が必須というわけでもありません。
より高い成果を上げるための戦略をリーダーが練った結果、メンバーは新たに身につけるべきことはあまりないが、戦略の質が高いため、目標は達成できるという状態がありえます。
なんなら、以前よりつまらなく、スキルにならない業務が増えたけど事業上儲かるので目標は達成できる、ということもありえます。これは A2 の状態です。
そのため、会社の目標だけを中心に据えると個人の成長を置き去りにする可能性があります。
それは結果として長期的な組織力の停滞につながりますし、成長機会を失い続けた社員は退職しやすくなります。

成長の目標は、個人がその会社で活躍するのに必要なスキルやマインドを伸ばしていくための目標です。
一方で、社員には会社の方針とは別にそれぞれやっていきたいことがあります。そのため会社に所属して取り組む成長の目標は大きく分けると2つに分かれます。
本人目線でいうと、もう一つの目標がありえます。
ただ、これは会社組織内で設定するというよりは、個人が人生を通じて自分自身で設定して取り組むことなので今回は考慮外にします。
人は自分がやっていく動機を持っている対象の方が熱が入り、結果的に成長しやすくなります。
その意味で、目標はできるだけ B1 の範囲が大きくなるようにするのが好ましいでしょう。
では、前述の会社の目標で A1 を選択できていれば個人も伸びることができるのなら、 「B の成長の目標は不要なのでは?」という考えもあるかもしれません。
ただ、前提として個別の社員が伸ばしたほうが良い箇所はそれぞれ異なります。現時点での強みも弱みも異なります。
それを踏まえて目の前の事業や組織力を高めるための目標が必ずしも個々人のスキルやマインドをまんべんなく伸ばしやすい取り組み対象とは限りません。
そのため、直近の会社の目標を達成するためには最短ルートではないが、中長期的に所属する社員の能力を伸ばしていく意味での経験機会を作り出すような目標設定も必要になります。
その意味で、成長にフォーカスした目標も重要になります。この際に、どんなスキルやマインドを伸ばせばいいかをわかりやすくする意味で用意されるのが評価基準です。
評価基準は報酬で報いる基準を定める意味もありますが、成長の目安を用意する意味もあるわけです。

会社の目標からつながる個人の目標については、いわゆる成果に対する報酬であり、賞与として還元される場合が多いです。
成果は外的要因もあり、本当に安定して翌年以降も同じパフォーマンスを発揮できるかわからないため、短期的なものとして単発の賞与で報いる形です。
「会社が定める評価基準に応じた個人の成長に関する目標を達成した場合、達成そのものが即報酬につながる」というよりは、目標の達成をした結果、安定して成果を出せる能力や、振る舞いを身に着けたかどうかによってレベル感じ応じた給与報酬につながるという感じです。継続して成果を出せる力がついたのだから、長期的に継続する給与で報いる形です。
ただし、評価制度上のグレードが高くなればなるほど、事業や組織力への成果として能力を発揮できたかどうかの要素も増えてきて、単にマインドや能力が好ましいだけではなく、結果も出さないと評価されにくくなってきます。
多くの場合、人事制度・報酬制度において、大枠での役割の変化が発生するような単位での評価の差分として「グレード」が存在します。
典型的なものとしては
のようなものです。それぞれのグレードごとに広めの給与レンジが設定されます。
次に号数(号棒とも呼ばれる)です。
各グレード内での給与レンジの決定のために用意されるのが号数です。
号数は厳密な評価基準が用意されることは少なく、定性的に判断されるケースがおおいでしょう。
大体、今いるグレードでどのくらいの位置になったか、という感じの判断です。号数は給与を判断すうるためのものなので、給与決定に関わる変数も影響します。
例えば
などです。例えば、グレードの評価基準に照らし合わせると並クラスの働きをできている E さんと F さんがいたとします。
E さんは単純作業をする事務的な仕事をしていて、 F さんは専門スキルを用いる技術職をしていたとします。この場合、業務難度も職種の市場価値も異なるため、 F さんのほうがより高い給与になります。そのため給与レンジが広く用意されていても、職種によってはそのグレードにいる限りレンジの上の年収には届きにくい場合もあるでしょう。
なお、グレードと号数について、ゲームで例えると
という感じです。
会社の目標、成長の目標、報酬についてまとめました。
会社の目標と成長の目標は別々に存在するものの、実際に成長の目標で取り組む目標は単独で存在するわけではなく、会社の目標を通して取り組んで行くことになります。
その重なりが一見「同じ取り組みに2個目標を設定していて無駄」というような誤解を招くのでしょう。
例えば、RPGでいうと
みたいな感じです。
自分の内からでるモチベーション「内発的動機づけ」を支援するためのブログを開設しました。
sp.8a【ゲスト: tbpgr】楽しくない7次受けSIer引用をストックしました
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