なんだよ、自己啓発本みたいじゃないか。
『偏差値30台からの逆襲』三好りょう著、あけび書房刊。
ビリギャルのヒットよ、もう一度か?

なんて、ちゃちゃ入れながら読み始めたら、
いやいや、、<クラス最下位から慶応>、なんてもんじゃなかった!
だってさぁ、
四国の”そこそこ高校”、そこ入るのさえ苦労した偏差値30台の空手バカが、せっかくもらったのに推薦でも神戸大落ちて、ならこう行くぜ、って、アメリカ留学・カリフォルニア州立大へ、おいおい大丈夫か、ついて行けんのか?なんて不安はなんのその、たどり着けばすぐに上を目指したがり、何を血迷ったか世界の最難関UCLA目指して、見事編入!めでたしめでたし一件落着、と思ったら、まただよ挑戦癖、狭き門の政治学部に強引に潜り込む、ええーっ!?
目標はくっきりすっきり外交官!そして、政治家!!
契機となったのは、あっちで言われ、こっちで馬鹿にされた「日本はアメリカの植民地」との日本ディスリの発言、あっ、今や日本でもこの認識は常識だけど、だったなんて、うーん、根っからの愛国主義者だな。勉強に次ぐ勉強を極真空手道場仲間の力を得つつ突破、持つべきものは友達!

おぉ、ハウツー本だぜ。
さらにアドバイスは各章で、趣味を大切に!とか、空気は読まない!とか、義理のお付き合いよりやりたいことを・・・と、なかなか役に立つぞ。
UCLA卒業すれば、次なる関門は国家公務員試験一級これはひたすら暗記、試験範囲の憲法、民法、行政法、国際法、商法、労働法、法律書を片っ端から、読書10回、丸暗記で突破、ウソだろ、読めば頭に入るのかよ!頭良すぎだぜ!
官僚になれりゃそれで上がり!なんかじゃない。なんせ、対米従属の日本を変えるためなんだから。目指せ外務省!
一次通って、面接試問、省内の常識は対米依存外交一辺倒?適当に試験官に合わせて誤魔化しちまえよ、入ってからの勝負でいいんだから、なぁんて世間知とはおよそ縁ないのがこの男。
面接官の「アメリカ追従こそ、日本の国益だ」との発言に「アメリカ人はぺこぺこする日本を対等に見てませんよ、軽蔑してます。それでいいんですか?」って逆難詰!
受かるわきゃないよ、で、当然、不採用、国税庁受けたらと諭される始末。もっと上手く立ち回れよ、時にゃ融通きかすのもありだぜ、人生は、なんて言うだけ野暮だった。
そんなら台湾の大学院行って、キャリアをつけよう!って、何よこの発想のユニークさ、行動の大胆不敵!外務省のブラックリスト入りとの情報も意に介せず、民間受けろの周囲からの助言も断固拒否!ヤバイぞ、UCLA卒の就職浪人てのは。
ならばと、現地勤務が主体の外務専門職に挑戦、「今回ダメなら死んでも悔いない、って気持ちで臨めば、案外頑張れるものです」、って、頑張れないって!それ以前に、死ぬ気で受験繰り返したりしないのよ、俺ら凡人は。
よしっ、入省、アメリカに赴任して対米外交を、なんてそうは上手くことは進まず、任地はロシア、がくっ!と落ち込んでばかりいないところが、三好りょう。
外務省ナンバーワンのロシア語使いになって日露首脳会談の通訳を務める、とすばやく目標転換、目指すはトップランクと切り替えて、朝から晩までのロシア語漬けの毎日、と思いきや、またかい?現地情報取得のために許される大学編入では、モスクワ大学政治学部?そんなありきたりに興味なし、上司の反対押し切ってモスクワ音楽院でピアノのお勉強!はぁぁぁぁ?空手、筋トレのトレーニングも欠かすことなし。
あれもこれもと忙しい趣味、鍛錬、そのためには勤務時間厳守、定時帰宅は譲れぬところ、残業を押し付ける上司に対しても頑として主張を貫き、ついには悪名高きパワハラ上司との対決にも勝利する。自分の主張ばかりか、同僚の不満さえ代弁して解決だって、垣間見えたぜリーダーの素質。
なっ、ここらが、並みの自己啓発なんてはるかに超えてるところだぜ。数ある伝説の一つを紹介するなら、仲間うちの飲み会に参加しないのはもちろん、課員と一緒のコンビニ弁当昼食も拒否、毎日きっちり食堂に通ったって。その理由、コンビニ弁当でせっかくの筋肉がダメになる!!!!!そこまでやるか!
ご勘弁を!ここまで自身の生活哲学を押し通せる人間って、もはや偉人、いや異人・怪人・物の怪の類か。
ついには、その本領発揮して、7年間の外務省官僚キャリアはさらりと捨てて、念願達成、いよいよ本道、政治の世界へ。来た、来た、大物の予感。議員秘書を楽々取得、様々な政党からのお誘いには目もくれず、狙いはれいわ新選組、山本太郎を直撃し、
「私を雇ってください。私は外務省を辞めました。れいわ新選組しかこの国を変えられないと確信しています。どうかここで働かせてください。」
れいわだよ、れいわ新選組!こりゃ光栄だ、楽しみだ。その先は?
続く!?なのかよ。
ならば、続編はおれが。
衆議院選、参議院選と落選するもものともせず、ついに、202X年菅義偉を破って衆議院選挙初当選、いよいよ、アメリカに物言う政治家の誕生!伊勢崎賢治議員とともに、日米地位協定改定交渉で力量発揮!長年自民党がやる気のなかった日米公平な日米同盟実現に大きな一歩を踏み出し・・・
って、まっ、読んだ者の感想はここまで行くよな、当たり前の帰結ってことで。
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。