VOCALOIDらの所属する《札幌(サッポロ)》の社の建物の目と鼻の先、大通(オオドオリ)西11丁目のメトロ駅の近くに、旧時代から使われ続けている、札幌の多目的ホールがあった。 いまだに、設立時の由来らしき、厚生年金がどうとかいう名で呼ばれている会館な…
「さて、何が『調教』だってんだい……人間がやつらを調教するって言ったって、やつらは『学習』なんて、一切しないんだぜ。てことは、つまりさ……『学習』しなくちゃならないのは、全部人間の方なんだぜ」 黒人ウィザードはモニタの奥から、こちらに向かい、 …
かといって何もありませんが
がくぽは、その鞘の刀を提げ近づいてくる相手に対しつつ、ほぼ自然体から突立ったるままに右足を引き、剣尖を後ろに落とし『美振(ミブリ)』を車(脇構え)に取った。……そのがくぽの身の位にも、依然、相手は歩み寄ってくるが、その剣尖を向けないがくぽの姿が…
が、そのレンの視界に、疾風のようにがくぽが切り込んだ。『美振(ミブリ)』を陰の霞太刀にとったその姿がレンの目の前に身を沈めたかと思うと、そこから間断も見せず鞠の弾むように宙空へと飛翔した。 「ヘァ!」 気が抜けるような奇天烈な叫びが深林の静謐…
「そう、『神威がくぽ』と『森之宮先生』が、遂に邂逅したのね」MEIKOは重々しく呟いてから、居間に集まった弟妹ら(がくぽを含み)を見回して言った。「……みんな、『ナス+キノコによって新伝綺時代がその幕開けを告げる』という諺は知ってるわね」 誰も知…
※SS投稿所の(中)編の続きもここから※投稿所は移転途中らしいのでとりあえずこちらでのみ
「だが、やつらは、どんな歌だって歌う、どんなイメージだって演じる、人間の言うことを何だって聞くだけじゃないか……」 「そらそうよ。なんで拒否する必要がある。人間からそれを受け取ることで、いくらでも多様な情報にアクセスできるのにさ……しかも、人間…
「あのさ、姉さん」居間でロック雑誌をめくっていたMEIKOに、ひどく深刻な表情で、リンが話しかけた。 「掃除してたら、その……兄さんと、おねぇちゃんの部屋からね」リンは居間の低テーブルの上に、隅の欠けた、古びて見える石版と金属板のようなものを置い…
自分は全員「デモソングの1曲目」からすべて読み取ろうと試みます カラスなんて無茶だとか言いっこなしよ
ネクタイを弄ぶの図を3D(七葉0083)で再現しようと思い立ったけどネクタイの根元がねじれてどうやっても戻せなくなった
風雨に軋む鳩舎の中で、全てのハトたちは静かにうずくまり、外の嵐の音以外には何も聞こえなかった。 母屋では、窓ががたがたと鳴った。その窓際に、鳩舎の主人の息子、金髪の少年は、しかし外を見ることもなく、うなだれて椅子に掛けていた。体を動かしでも…
ごうごうと風が鳴り、それ以上の轟音を立てて波濤が荒れ狂い、傾いた船体を苛むかのように風雨と共に打ちつけた。船が座礁してからもうかなりの時が経つが、風雨は激しくなってゆく一方だった。 傾き雨の漏れてくる船室の中に集まった人々は、すべて無言だっ…
その遥か遠い別管理区の支部にたどり着いたミクは、地下深くの保存庫に降り、ハトの足環の番号と年代を頼りに、古い紙の記録を捜索した。記録があること自体はわかっていても、アナログの記録を探るのは並大抵のことではなく、もし人間の持久力ならば継続が…
初音ミクはその資料室で待ちながら、そばの鳥篭の中の、白いハトを見た。さっきから籠の中で、わずかに動いたり、かすかな声を出したりしている。残念ながら飛ぶところは見られないようだった。 その鳥篭は、同様に鳥類の映像や標本が並んでいる合間にあった…
初音ミクがその古物屋で目をひかれたのは、小さな円筒状の金色の環だった。それは店の隅の、細かい金属製のガラクタの一杯に詰まった木箱、売り物としてまだ整理されていないのか、売り物にならないものが放り込まれているのか、その箱の一番上に載って、通…
「そりゃ兄さんは依然変わりなくプリンス・チャーミングだとしてもおねぇちゃんはサンドリヨンてかむしろグレーテルだよッ」 「え」
多元宇宙(マルチバース)における『真なる秩序(秩序にして中立)』属性の極限に位置する次元界、巨大な無数の歯車で構成された機械法則の世界<涅槃界(メカヌス)>は、12体の機械製の使徒である、アクシオマティック・パラゴンらが動かしている。かれらは、…
その日のステージでは、初音ミクと鏡音リンのスケジュールがあわず、直前になってステージの動きを合わせるほかになかった。 かつては、VOCALOIDであってもステージの歌と振り付けのすべてをあわせるリハーサルには何日もかかったものだが、いまや、ユーザー…
「てか、この話、時系列的にはレンもPRIMAもAct2もがくぽも発売どころか全部発表前の話だってこと、一度どっかに書いておかないと絶対ブログ作者も忘れるわよねぇ」リンが居間に入ると、MEIKOが向かいに掛けている見慣れない青年と、そんなことを話して…
「イメージソングにでもよくあるように、人間のこと、『マスター』だとか何だとか呼んで、マスターのためだけに頑張る、マスターのためだけに歌う、『マスター頑張りますからアイスください』とか、ただ懇願していればいいという事とか──そういう事を俺に求…
「○○は××の夢を見るか」の題名だけパロディは商用でも珍しくありませんが、少なくともネットで何かの表題として使われる場合は、題名のインパクトのみで使う者の90%は原典を読んでいるどころか何の映画になったかすら知っているか疑わしいとか聞いたこと…
「その、ナ……ナミモ……ナハモミ……ナハミモギ仮面が、いったい、何の用だっていうんだ」長身の方の黒服の男が、かなり上ずった声で言った。 「”鏡音レンのファン”がやることは、ただひとつ──」 ナモミハギ仮面が、そのGENを上げた鏡音リンに似た、艶と深みのあ…
「……何の用だよ?」鏡音レンはその声も、見上げるその表情も、できるだけ強がろうとしていたが、いずれの中にも当惑を抑えきることはできなかった。 電脳空間(サイバースペース)ネットワークの片隅の薄暗い路地裏のエリアに、懐疑を覚えつつ呼び出されたレン…
突如、耳障りな警告音と激しく明滅する表示を、メインシステムが発した。 「この結末以外には、やはりなかったようだ」しばらく立ち尽くしていたミクとリンの前で、”詩人”が独り言のように平坦に言った。 ミクとリンは、浮いているメモリーキューブの近く、…
初音ミクは、その詩人のROM構造物を延命する、または歌える状態に復帰させる手段を何とか見つけようと、たずね回った。《札幌(サッポロ)》の技術スタッフや、プロデューサー、PVディレクター、そして《浜松(ハママツ)》や《磐田(イワタ)》の技術者らや…
しかしそれ以後、数日ごとを隔てて幾度か、初音ミクは物理空間のボディで、大通(オオドオリ)沿いの本社のあるビルの、そのROM構造物のパッケージを設置した端末機器室を訪れた。 「まだ調べてたの?」その何度目かに、リンが部屋をのぞきこんで言った。 …
大通(オオドオリ)沿いの本社の、メインシステムの一部を借りる許可を貰い、ミクとリンは、その”詩人”の人格が記録されたROM構造物の黒いパッケージを、社の一室にある端末まで持っていった。 端末の、いまどき見慣れないROMのカートリッジユニット用の…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。