Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

生れて初めて、JCB 商品券なるものを使わせていただく。 都民税の納税額から、貧困家庭というものが容易に割出せるのだろう。ある日東京都からの封書が届いた。諸物価高騰対策としての「臨時くらし応援事業」だという。金をくださるという。さすがに現金では…

はてなブックマーク - おありがとうござい

♬ 帰り道は遠かった 来たときよりも遠かった 雨が降ってたの 風が吹いてたの わたしの心のなかにだけ あなたは知らない それでいいの いいの (作詞:藤本義一、1968) チコとビーグルスのヒット曲だ。好きだった。 高校の図書館に、本多秋五『物語戦後文学…

はてなブックマーク - 帰り道の遠さは

用具箱の底に一年間眠った暖簾を出した。補充商品も倉庫に入荷した。 十一月二日から四日までの三日間は、日本大学藝術学部(西武池袋線「江古田」より徒歩二分)の大学祭「日芸祭」である。学生サークル古本屋研究会は、今年も「堂々堂」を開店する。一年に…

はてなブックマーク - 準備おさおさ

献立に迷いがあって、食卓の衣更えがなかなか進まない。 初夏のころまで、一日一パックの納豆を食卓に載せてきた。なん年にもわたる習慣だった。嗜好というよりも、健康法に近かった。が、猛暑に納豆でもあるまいと、この夏は冷奴に切換えた。すぐ癖となって…

はてなブックマーク - なめらかでない

香炉にには灰がすりきり一杯で、今にも溢れ出しそうだった。 仏壇は階上にあって、ひとさまに揚っていただくのは恐縮だ。階下には生前の父の仕事場があって、今は倉庫兼作業場となっている。その隅に粗末な祭壇をしつらえて、位牌と遺影とロウソク立てと香炉…

はてなブックマーク - 今日という日は

中江丑吉を古書肆に出す。書架にて隣に並んでいた鈴江言一も出す。ともにわが挫折の残骸である。 中江兆民の長男丑吉は満鉄(南満州鉄道、当時の国策最大企業)勤務を経て、北京に住んだ。日本が中国侵攻する以前からの、いわゆる老北京(ラオペーチン)であ…

はてなブックマーク - 不行届き

「戦後思想というと、民主主義だ民主主義だと、口を揃えて云うでしょ。でもね、戦後思想の重要な二本柱は、民主主義と平和主義ですよ。こっちを忘れちゃいけない。そうでしょ」 最晩年の小田実が、病床にカメラを持込ませて、ベッドにて語った姿が記憶に残っ…

はてなブックマーク - 向う岸の巨峰

階上の台所のガスレンジで、なにかが火を噴いた。 さかんに炎を挙げているものを火箸で挟んで、窓から放り出し、レンジの残り火を雑巾で叩いて消した。窓から覗くと、燃えているものは地上まで落下せず、一階の庇に留まってまだ炎を揺らめかせている。洗い桶…

はてなブックマーク - ぼくドラえもん

ご趣味は? と訊かれて「ゴミの分別です」と応えることがある。愚問でしたとばかりに、先方は笑顔で引下ってくださる。むろんなかば(半分)は冗談だ。が、なかば(もう半分)は本気である。 家事の面でこだわっていることは? と訊かれれば「ゴミ袋の重みで…

はてなブックマーク - なかば本気で

長谷川淳 画。本書より無断で切取らせていただいております(以下同)。 八百年生きる魔女だという。好きなところで年齢を止められるので、リナは三十五歳として生きてきた。母と妹とがあったが、世界各地どこへ身を移しても魔女狩りに遭うので、散りじりと…

はてなブックマーク - 魔女猫

正方形の和食弁当。きっと作法や決りがあるのだろうが、いずれが天地やら左右やら、わきまえのない私には見当がつかない。 温野菜と味飯を中心とした、なんとも上品な弁当だ。はしたないとは思ったが、いったいなん種類のおかずが詰合されてあるものか、箸の…

はてなブックマーク - 弁当の日

め~ぐる~、めぐる季節のなかで~。 松山千春についてではない。カボチャの噺だ。 暑い季節は毎日のように、胡瓜と若布の酢の物を作った。変化としては、もずく酢かオニオンスライスの酢味噌ぬた風くらいのものだった。体調維持のために腸内細菌の味方をし…

はてなブックマーク - 季節のなかで

十月十八日は、三日間にわたった鬼子母神さまお会式(おえしき)の最終日。最高潮の盛上りである。池上本門寺はたいそうな賑わいと聴くが、まだお詣りしたことがない。出向くとすれば、もっぱら雑司ヶ谷鬼子母神さまである。 お会式の元来はと申せば、日蓮宗…

はてなブックマーク - 二次情報

猛暑のころは、なにをする気も起らなかった。だれしもさようだったろう。急に涼しくなった。今日など小雨が降って、肌寒いくらいだ。こうなると、諸方からいろいろなものが送りつけられてくる。世も人も、にわかに動き出した気配だ。 衆議院議員選挙の投票券…

はてなブックマーク - 来たぞ来たぞいろいろ来たぞ

なん年もなん年も、同じことを考えている。片隅で。いっこうに進歩がない。 昨日、アンチ・テアトルの戯曲集を古書肆への荷物にしたら、対応する公演パンフに出し漏れがあるのではと気づいた。整理分類の方針に窮して、やむなく劇団ごとにまとめてきたのだっ…

はてなブックマーク - ほんの片隅ですが

サミュエル・ベケットが必須知識だった時代があった。社会革命を唱える政治的前衛よりは、芸術的前衛のほうに興味がある青年たちのあいだでである。 文学・演劇における二十世紀とはいかなる時代だったかというような、芸術史的思索をめぐらせようとすれば、…

はてなブックマーク - 西洋が遠くなった

深夜二時に近かった。さいわい風もないようだから、早朝向けに分別資源ゴミを出す。ボール紙類・ダンボール・牛乳パック、それにプラスチックゴミ類の日だ。 プラゴミの小袋をそのつど紐で括って密度を高め、日々放りこんできた大袋は、まだ底に少々溜ったて…

はてなブックマーク - 半端睡眠

弘法さん、また来やがったかと、おっしゃらんでください。今日は私事ではないんですから。けっしてレンズなど向けませぬから。とそこへ、銅像前の秋草に蝶が一羽飛来。蝶だけならよろしいでしょう、弘法さん。 友人が亡くなった。まだ還暦前で、私にとっては…

はてなブックマーク - 秋の蝶

地下鉄から岩波ホールへと登ってゆく崖。私にとっては、神保町への龍門である。 前回は疫病禍以前だったから、じつに久しぶりの神保町だ。しかも古本屋研究会の若者たちと歩く。古い知見に今なお役立つものがあれば、お伝えしたい。が、街はかなりの変化をと…

はてなブックマーク - 浦島状態

お二人とも、紳士的な批評家であられた。表面的には。 慶應義塾の池田彌三郎教授が、こんなふうにおっしゃったことがある。自分は生涯折口信夫の鞄持ちだった。そんな自分になにかオリジナルはあるかと問われても、あるはずがない。巨大な師が残した仕事をま…

はてなブックマーク - 巨匠旅発つ

タカセ珈琲サロンにて、最近定番のブランデーケーキ。ただし飲み物は、今季最初のホット珈琲。家を出るときには、立寄る気はなかったのだったが。 池袋北口方面のとある一画は、チャイナタウン化がいっそう進んだと聴く。かつては盛んに騒ぎ回ったあたりだ。…

はてなブックマーク - 気分直し

私ごときが感傷に耽るほど、か弱い連中ではない。 全株の彼岸花が完全に枯れ果てた。余分なエネルギーを使わせるにも及ぶまい。すべての茎を、球根に接続する部分から伐り放つ。 花はいずれも糸屑のようだ。が、茎はまだ青あおとしている。彼らにとっては後…

はてなブックマーク - 着々として

雨が続くと、草むしりができない。外出も面倒だ。断捨離が少し進む。 劇作家でもあった川島順平教授が、下級生の初級フランス語をご担当なさった教室に在籍したことがある。見事な白髪痩身で、スマートな老教授だった。外国語の習得には極端に不熱心だった落…

はてなブックマーク - 晴耕雨断

文芸批評がたしかに新たな局面に入った、という気がしたものだ。 『殉教の美学』が出現したとき、文学も芸術思想も左翼・右翼というような表面的仕分けで片づくはずのものではないと考えた、鋭敏な学生は少なくなかったろう。たとえば安部公房は左翼的、三島…

はてなブックマーク - 批評の奥行

拙宅玄関番のネズミモチを剪定した。紅葉したり落葉したりする樹種ではないから、本人の意向は窺い知れないけれども、当方としては、徒長枝が見苦しいというばかりではなく、冬越しを控えて身軽にしてやり、余計な水分・養分の手配を節約してやる善意の鋏で…

はてなブックマーク - 花終る

ロリンズとクリフォードに視おろされながら BLTサンドイッチ。うん。 出番は午後二時からだ。不案内の老人が会場まで間違いなくやって来るもんだろうか、主催者さまがご心配なさってはいけない。午前中に、一度顔見せだけしておかねば。担当者さまと同僚さま…

はてなブックマーク - 席に着く

動作も物言いも、慌てず騒がずといった風格だった。なにをなさっても、山が動くという形容がピッタリだった。 「第一次戦後派と云ったって、せんじ詰めれば野間宏と椎名麟三の二人だけだろう」 文芸界の名編集長のお一人である寺田博さんが、あるときおっし…

はてなブックマーク - 巨きな人

文芸批評家としての入江隆則に、注意を払っていた時期があった。 第一評論集『幻想のかなたに』に広津柳浪論の力篇が収録されてあったのに驚いた。かような入口から登場する批評家もあるのか、という感じだった。以後の批評文にも教えられた。『新井白石 闘…

はてなブックマーク - 貧知の自覚

行きつけの散髪屋さんだ。過去にいく度も撮った。憶えちゃいないが、似たような構図だったろう。 途中にはフラワー公園がある。シャッターを押す気になれなかった。夏最後というか秋最初というかの花壇は、花の盛りを過ぎてハゲチョロケになっている。あたり…

はてなブックマーク - 花はどこにでも

メンチカツ、ベーコンチーズ、ツナサラダ。カウントしているわけではないが、選択頻度一位・二位・五位くらいの組合せだ。まず三役揃い踏みといったところか。 外出予定がある。用件や買物がいくつも重なっている。時間が惜しい。どんなに簡単な食事で済ませ…

はてなブックマーク - 見舞い
検索

引用をストックしました

引用するにはまずログインしてください

引用をストックできませんでした。再度お試しください

限定公開記事のため引用できません。

読者です読者をやめる読者になる読者になる

[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp