売却査定を依頼する不動産会社・仲介業者を探すなら、SUUMO(スーモ)売却査定
マンションの売却は手順を踏まえ、正しい知識を持ってのぞむことが成功の鍵です。SUUMOでは、はじめてマンションを売却する人にも全体像がわかるよう、売却準備から確定申告まで、マンション売却の流れを8ステップに分けて詳しく解説。さらに、売却を成功させるためのコツや注意点、よくある質問までご紹介します。
【図解】不動産売却の流れ。7つのステップでわかる完全ガイド

マンション売却は、一般的に以下の8つのステップで進められます。
【ステップ1】マンションの売却準備
【ステップ2】相場を調べてマンション査定を依頼する
【ステップ3】信頼できる不動産会社を選ぶ
【ステップ4】不動産会社と媒介契約を結ぶ
【ステップ5】マンションの販売活動をする
【ステップ6】買主とマンションの売買契約を結ぶ
【ステップ7】残金決済とマンションの引き渡し
【ステップ8】確定申告をする
これらのステップを1つずつ詳しく見ていきましょう。
マンションの売却は、はじめにしっかりと準備を整えることが大事です。売却の目的を明確にし、スケジュールを立て、必要な書類や費用を把握しましょう。
マンション売却の目的の違いによって、売却を進める中での優先順位が変わります。
住み替えのため、相続のため、転勤のため、資産整理のため、ローン返済が難しいためなど、マンションを売却する目的はさまざまでしょう。
例えば、子どもの進学や転勤など、住み替えのタイミングが決まっている場合は、その時期から逆算してスケジュールを立てる必要があります。
時間はかかってもできるだけ高く売りたいのか、価格は下がってもできるだけ早く売りたいのかなど、目的に合わせて、スケジュールを立てていきましょう。
一般的なマンション売却にかかる期間の目安は、査定から引き渡し完了まで、目安としては5カ月から半年ほどですが、場合によってはそれ以上かかることもあります。
売却の目的やスケジュールの希望は不動産会社の担当者に伝え、余裕を持って販売計画を立てるようにしましょう。

マンション売却の手続きには多くの書類が必要になりますが、早めにそろえておくことで、その後の手続きなどがスムーズになります。
紛失していると新たに作成したり、取得しなければならない場合もあるので、不動産会社に早めに相談するのが安心です。
マンション売却でどのような費用がどの程度かかるのか、事前に把握しておくことで資金計画を立てやすくなります。主な費用としては、仲介手数料、税金、登記費用などがあります。
仲介手数料
不動産会社に支払う成功報酬で、売買契約が成約した時に発生します。法律で上限が決められていて、売買価格が400万円を超えた場合は、売買価格の3%+6万円(税別)が上限です。
印紙税
売買契約書に貼付する印紙の代金で、契約金額によって額は異なります。なお、契約金額が1000万円超5000万円以下の場合は1万円(軽減措置適用後の金額)です。
登記費用
住宅ローンがある場合は抵当権抹消登記が必要になり、登録免許税が不動産1個につき1000円かかります。マンションの場合は建物と土地は別の不動産とみなされるので、不動産2個で2000円です。また、司法書士に依頼する場合は司法書士への報酬も必要になります。
譲渡所得税
売却によって利益が出た場合に課税され、不動産の所有期間によって税率が異なり、さまざまな特例や控除があります。
なお、これらの費用以外にも、引越し費用のほか、ケースによってはハウスクリーニングやリフォーム費用などが発生することがあります。
不動産売却にかかる諸費用とは。仲介手数料、印紙税、登記費用など解説/不動産売却マニュアル#27
売却準備が整ったら、自分のマンションがいくらで売れそうか、相場を把握して、不動産会社に査定を依頼します。
マンション売却査定で高く査定される10のポイント|査定の流れ、事前準備、注意点も解説
不動産会社にマンションの査定を依頼する前に、ある程度相場観を持っておくと、査定額が妥当かどうかの判断がしやすくなります。
まず、現在売り出し中の同じようなマンションの価格を調べる方法としては、SUUMOなどの不動産ポータルサイトを活用するという方法があります。エリアや築年数、広さなどを指定して売り出し中の中古マンションを検索すれば価格を手軽に調べることができますが、この価格は成約価格ではなく、売出価格です。実際に成約した取引価格よりは高めに設定されていることに留意して、参考にするようにしましょう。
実際の成約価格については、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営する「レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS Market Information)」や国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で調べることができます。
不動産仲介業社向けの情報システムであるレインズ(REINS)は一般の人は閲覧することはできませんが、レインズ・マーケット・インフォメーションは、レインズに登録された情報をもとにしたデータを誰でも閲覧することができます。
また、国土交通省の不動産情報ライブラリは不動産取引価格のほか、地価公示、防災や都市計画、周辺施設などの情報も掲載しており、複数の情報を地図上で重ね合わせて確認することができます。 成約価格は実際に売却された価格ですが、個別の物件はさまざまな特徴の違いがあります。周辺の相場情報はあくまでも目安として捉えるようにしましょう。
マンションの査定は、不動産会社の担当者が査定を行う「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定(現地査定)」のほか、ネット上で気軽にできる「匿名査定」や「AI査定」などがあります。

マンション査定額と売却額の違いとは?売却時に損をしないための注意点とマンション売却の流れを解説
机上査定(簡易査定)は、マンションの情報や過去の取引事例、周辺の相場情報などを基に、不動産会社の担当者が現地訪問なしで査定額を算出する方法です。不動産会社のウェブサイトや不動産ポータルサイトなどから手軽に依頼できます。
ポータルサイトの一括査定サービスを利用すれば、複数の不動産会社にまとめて依頼でき、不動産会社の比較検討をすることが可能です。
訪問査定に比べると、比較的短時間で査定結果がわかるというメリットがある一方で、査定額は概算であり、訪問査定よりも精度は劣ります。
訪問査定は、不動産会社の担当者が現地を訪れ、物件の個別事情を詳細に確認した上で査定額を算出する方法です。担当者の訪問に対応する手間がかかり、査定結果が出るまで数日程度時間が必要ですが、住戸内の状況だけでなく、共用部や周辺環境なども直接確認するため、より実態に即した精度の高い査定額が期待できます。
本格的に売却を進める意思がある場合は、必ず訪問査定を依頼しましょう。
不動産会社と接点を持たずに気軽にできる査定方法として、匿名査定やAI査定があります。
匿名査定は個人情報を入力せずに、立地や広さ、築年数などのマンションの基本情報をインターネット上に入力するだけで、おおよその査定額がわかる査定方法です。AI査定はAI(人工知能)がデータを分析して査定額を算出する査定方法で、必ずしも匿名でできるとは限りませんが、入力したデータをAIが分析し、自動で査定額を算出してくれます。
これらの方法は手軽で便利な査定方法ですが、個別の事情などは加味されないため、不動産会社に依頼して行う査定と比べ、査定額の精度は劣ります。
| 机上査定 | 訪問査定 | 匿名査定・AI査定 | |
|---|---|---|---|
| 査定方法 | 基本的な情報をもとに不動産会社の担当者が簡易的に査定額を算出 | 不動産会社の担当者が実際に訪問して確認した情報をもとに査定額を算出 | インターネット上で入力した基本情報をもとにAIなどが査定額を算出 |
| メリット | 不動産会社の担当者に会う事なく、比較的短期間で査定額がわかる | 不動産会社の担当者と会って話ができ、精度の高い査定が期待できる | 不動産会社と接点を持たずに気軽にでき、結果もその場ですぐにわかる |
| デメリット | 実際の物件を見て査定する訪問査定に比べると、査定の精度は低い | ほかの査定よりも時間がかかり、訪問の日程調整が必要 | 査定額に個別の事情などは加味されないためほかの査定方法よりも精度が低い |
査定で失敗しないためには、複数社に依頼し、提示された査定額の根拠を確認することが重要です。
あらかじめ自身で相場情報を調べていても、1社だけの査定では、査定額の妥当性を判断するのは難しいものです。複数社に査定を依頼することで、各社の査定額を比較することができ、それぞれの販売戦略や担当者の対応力なども確認できます。
また、媒介契約を取りたいがために、査定では意図的に高い査定額を提示する業者も存在します。査定額が高くても、その価格で売れるとは限りません。査定額の根拠についても、きちんと確認するようにしましょう。
【基礎からわかる】不動産査定の流れや費用、相場の計算方法
家の査定の注意点とは?家を売りたい!依頼前の準備、流れ、査定方法などを伝授!
査定結果が出たら、次は売却活動を任せる不動産会社を選びます。
不動産会社選びの際は、その会社の特徴を把握して、自分に合った会社を選ぶことが大事です。
不動産会社には全国展開している大手、特定のエリアに強い中小、そして地元の情報に精通した地域密着型の業者などのタイプがあり、特徴が異なります。
大手不動産会社
全国のネットワークを活かし、広範囲の購入希望者にアプローチすることができる大手不動産会社は、独自のサポート体制などがある場合も多く、その組織力や安心感が魅力です。一方で、地方や郊外など、地域よっては対応が弱くなるケースもあり、また、担当者が多数在籍している分、対応力にはばらつきがあることも少なくありません。異動などもあるため、個別の事情に柔軟に対応することが難しい場合もあります。
メリット:広いネットワークがあり広範囲で買主を探しやすく、独自サービスや組織力がある
デメリット:地方や郊外など、エリアによっては取引への対応が弱く、異動などで担当者が変わる可能性がある
中小不動産会社
特定のエリアに複数の支店を構えているような中小不動産会社は、大手に比べると広範囲の集客は望めない可能性がありますが、地域の市場動向や情報に詳しいのが特徴で、大手よりもフットワークが軽く、柔軟なサービスが期待できます。
メリット:フットワークが軽く、柔軟な対応が期待できる
デメリット:大手ほど広範囲の集客が望めない可能性がある
地域密着型業者
支店などは持たず、会社のある限定された地域に深く根をはり営業することを得意とする地域密着型業社は、大手・中小にはない独自の顧客リストなどを基に、早期売却につながる可能性があります。大手・中小に比べると広範囲の集客は望めない可能性もありますが、そのエリアならではの情報網を活かした販売戦略が期待できます。
メリット:地域に密着した会社ならではの、独自の情報網を活かした販売戦略が期待できる
デメリット:大手・中小ほど広範囲の集客は望めない可能性がある
大手、中小、地元密着型のどれが良いとは一概には言えませんが、大切なのは自分のマンションの特性や売却方針に適しているかどうかということです。複数のタイプの不動産会社に話を聞いて、比較検討をしてみましょう。
不動産売却はどこがいい?大手・中小の特徴や判断基準を徹底解説
マンション売却を成功させるためには、マンションの価値を正しく評価し、それを販売戦略に活かせる知識と経験を持つ不動産会社をパートナーとして選びましょう。
まず、マンションの売却を依頼するということであれば、マンション売却の実績が豊富かどうかはポイントです。希望するエリアや類似物件の取引実績があるかに加え、会社の評判や口コミを確認するのも良いでしょう。ただし、口コミなどはあくまでも個人の意見なので、鵜呑みにしすぎないように注意が必要です。
さらに、その会社の担当者が信頼できるかどうかというのもポイントです。質問に対してわかりやすく答えてくれるか、専門知識が豊富か、こちらの希望を丁寧に聞いてくれるかなど、担当者とのコミュニケーションを通して見極めていきましょう。売却戦略や契約内容について、具体的に、納得できる説明をしてくれる担当者であれば、売却のパートナーとして貢献してくれる可能性も高いでしょう。
売却を依頼する不動産会社が決まったら、その不動産会社に売却活動を正式に依頼するための媒介契約を結びます。
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあり、契約の種類によって、同時に契約できる不動産会社の数、自己発見取引(※)の可否、レインズ(※※)への登録や売主への報告義務、契約の有効期間などに違いがあります。
※自己発見取引は、売主が不動産会社を介さずに自分で買主を見つけて直接契約をすること
※※レインズは不動産会社間で物件情報を共有するシステム
一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる媒介契約で、売主自身が買主を見つける、自己発見取引も可能です。
一般媒介契約のメリットは、複数の会社に依頼できるため、より広く情報を公開でき、不動産会社同士の競争原理も働く点です。一方で、不動産会社は必ずしも自社で成約できるとは限らないため、ほかの媒介契約の物件ほど、販売活動に対して積極的になってくれない可能性があります。また、売主への報告義務もないため、進捗状況を把握しにくいことがあり、複数の会社に依頼する場合は、その分手間も増えます。
「まずは複数社の様子を見たい」という場合や、自分で買主を見つける可能性がある場合、早期売却が見込めるような人気エリアの希少性の高いマンションの場合であれば、一般媒介契約を選択するのも良いでしょう。
専任媒介契約は売却を依頼できる不動産会社は1社のみですが、自己発見取引は可能です。不動産会社は、契約締結から7営業日以内にレインズに物件情報を登録する義務があり、2週間に1回以上、売主に販売状況を報告する義務があります。ほかの不動産会社に同時に依頼することはできないため、依頼する不動産会社や担当者の能力に売却結果が左右される可能性はありますが、定期的な報告を受けながら安心して売却を進められるのがメリットです。
専属専任媒介契約の場合は売却を依頼できる不動産会社は1社のみで、自己発見取引をすることはできません。
専属専任媒介契約になると、不動産会社にとっては最も成約の確実性が高いため、ほかの契約の場合よりも積極的に販売活動を行ってくれる可能性が高くなります。また、契約締結から5営業日以内に不動産会社はレインズに物件情報を登録し、1週間に1回以上売主に販売状況を報告する義務もあるため、最も手厚いサポートが期待できます。
デメリットとしては、自分で買い手をも見つけても、不動産会社を介す必要があるため、必ず仲介手数料が発生します。1社に任せ、きめ細かい報告や手厚サポートを期待する場合は向いている契約です。

どの媒介契約を選ぶかは、売主の状況や考え方によって異なります。それぞれの違いをよく理解した上で選択するようにしましょう。
不動産売買の媒介契約とは?一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の違いと選び方、メリットデメリットを解説
媒介契約を結んだら、不動産会社と協力しながら販売活動を進めていきます。
販売活動を始めるにあたり、まずは売出価格や販売方法について、不動産会社の担当者と打ち合わせを行います。
売出価格については、査定価格を参考にしながら、売主の希望も踏まえ価格を設定します。高すぎると売れ残ってしまう可能性がありますが、安すぎても損をしてしまうので慎重な判断が必要です。最初は高めに設定し、反響を見ながら調整するという方法を取るケースも少なくありません。
また、「どんな買主を探すのか」、「いつ頃までに売りたいのか」という点を明確にしておくことで、広告戦略なども変わります。特に目標とする売却タイミングについては希望を事前に不動産会社に伝え、しっかり確認しておきましょう。
不動産会社はレインズへの登録だけでなく、不動産ポータルサイトや自社のホームページなどを使って物件情報を発信し、購入希望者を探します。また、インターネット上の広告以外にも、チラシの配布やポスティング、顧客リストへ直接アプローチするなど、方法はさまざまです。
どのような広告戦略を取るのかは、広告の内容も含め、不動産会社に意見を伝えて進めていくと良いでしょう。
購入希望者から内覧の申し込みが入ったら、マンションを実際に見てもらいます。内覧ではできるだけ良い印象を与えられるよう、清潔で快適な空間を演出し、売主自身も信頼感を持ってもらえるような対応を心がけることが重要です。
まず、内覧前の準備として不可欠なのは清掃と整理整頓です。部屋の状態によっては、ハウスクリーニングなど、プロに任せる方法を検討するのも良いでしょう。室内は明るくして、換気もしておくことがおすすめです。また、室内だけでなく、マンション共用部分も確認して、エントランスや廊下などがきれいに保たれているか、確認しておくと安心です。
なお、内覧当日の対応は基本的に不動産会社の担当者に任せます。売主が立ち会う場合も不在の場合もありますが、立ち会う場合は、質問された場合には的確に答えられるよう準備をしておきましょう。もちろん、身だしなみの清潔感や基本的なマナーは心がけ、購入希望者がリラックスして見学できるよう配慮することが大切です。
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売買契約を結ぶ前に、売主は告知書(物件状況報告書)と付帯設備表を作成します。これらの書類は売買契約締結時に買主に提出するものです。
告知書(物件状況報告書)は隠れた瑕疵(欠陥)などについて告知するための書類で、付帯設備表は設備について引き渡すもの、撤去するもの、故障や不具合の有無などを明確にする書類です。どちらも不動産会社が雛形を用意してくれるので、正直に正確に作成しましょう。欠陥や不具合を把握しているにもかかわらず、きちんと記載しなかった場合は契約不適合責任を問われ、損害賠償を請求されたり、契約解除に至る可能性があります。
販売活動を成功させるために重要なのは、不動産会社と連携をうまく取り、柔軟な対応を心がけることです。
不動産会社には疑問や要望は遠慮なく伝え、販売状況を把握しながら、必要に応じて販売戦略の見直しも適宜していきましょう。
また、内覧についてはスケジュールなども柔軟に対応することで機会の損失を防ぐことができます。できるだけ柔軟に対応できるように、常に清掃や整理整頓は怠らないようにしましょう。
販売活動で買主が見つかれば、いよいよ売買契約です。売買契約は法的な拘束力を持つため、慎重に進める必要があります。
購入希望者からは売買価格や手付金、引き渡し時期や引き渡し条件の希望などが記載された購入申込書が提示され、売主はこの申込書の内容に合意できるかどうかを検討します。売買価格など、条件で折り合わない点があれば、不動産会社を通じて交渉を行うことになり、交渉がまとまれば売買契約の締結に向けて準備を進めます。
売買契約を締結する前に、宅地建物取引士から買主に対して重要事項説明書の説明が行われます。重要事項説明書は物件の法的事項などをまとめた書類で、買主保護のための非常に重要な手続きです。売主も内容を十分確認した上で契約に臨みましょう。
重要事項説明が終わると、売買契約書を取り交わします。売主・買主双方が確認し、署名捺印(実印)を行い、契約が正式に成立します。契約を締結すると、簡単に解除することはできません。解除する場合には違約金が発生することがあります。

売買契約締結時に、買主から売主へ手付金が支払われます。なお、手付金の金額は売買価格の5〜10%程度が目安ですが、金額については双方の合意で決定します。
売買契約は安易に解除することはできません。引き渡し日や付帯設備、契約不適合責任の範囲や特約事項などが明文化されているかを十分に確認し、納得した上で締結するようにしましょう。
売買契約が締結されたら、ついに残金決済と物件の引き渡しです。
残金決済と引き渡しは、一般的に買主の住宅ローンの実行と同時に行われるため、買主が利用する金融機関の応接室などで売主、買主、不動産会社の担当者、そして登記手続きを担当する司法書士が同席して行われます。
当日は、まず買主から売主へ売買代金の残額などが振り込まれ、登記申請の手続きを行います。そして、売主は振り込まれた残代金の中から諸費用を支払い、売主から買主へマンションの鍵と書類等一式を引き渡すという流れです。
買主から売主へは、売買代金のほかに、固定資産税や都市計画税の清算金も支払われるのが一般的です。
固定資産税や都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税され、売却後であってもその年の納税をするのは売主になります。そのため、引き渡し日以降の分を日割りした金額を買主は売主に支払います。
また、マンション売却の場合は管理費や修繕積立金なども同様に、引き渡し日で日割り清算されます。

決済のタイミングで行われる登記は所有権移転登記と住宅ローンがある場合は抵当権抹消登記です。これらの登記は本人が申請手続きを行うことも可能ですが、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士への報酬は売主、買主がそれぞれ負担することになり、通常、抵当権抹消登記については売主負担、所有権移転登記は買主負担になります。
買主から支払われた残代金の中から支払うのは、不動産会社への仲介手数料、司法書士への報酬、登録免許税の実費、そして、住宅ローンがある場合は一括返済手数料などです。
これらのすべての支払いを終えて、手元に残る金額が、このマンション売却による収入となります。
残代金の受け取り、登記の手続き、諸費用の支払いなど全てを終えてから、最後に売主から買主へマンションのすべての鍵と関係書類を引き渡します。買主が押印した鍵受領書や物件引渡確認書を売主が受領したら、取引は完了です。
このステップではさまざまな手続きを行うため、事前の準備をしっかりと行っておきましょう。必要書類などは早めにそろえて不備がないか確認し、当日は時間に余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です。
マンションを売却した翌年には、確定申告が必要になる場合があります。
マンションを売却して得た利益(譲渡所得)には、所得税や住民税が課税されます。譲渡所得がプラスになる場合は、必ずマンションを売却した翌年に確定申告をしなければなりません。
譲渡所得は譲渡価額(売却価格)から取得費と譲渡費用を差し引いたもので、取得費は売却したマンションの購入代金や購入時の諸費用などを合わせたもの、譲渡費用は売却時にかかった仲介手数料や登記費用などの費用です。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格)-(取得費+譲渡費用)
なお、売却したマンションが5年以上所有したものだった場合は長期譲渡所得となり、税率が優遇されます。また、そのマンションがマイホーム(居住用財産)だった場合は、最大3000万円まで非課税になる特例もあるので、譲渡所得の額によっては、税金が掛からなくなる可能性もあります。
譲渡所得がマイナスの場合、つまり、マンション売却によって損失がでた場合は、基本的には確定申告の必要はありません。しかし、一定の要件を満たす場合は、譲渡損失をほかの所得と損益通算したり、繰越控除したりできる特例があるので、これらの適用を受けるためには確定申告が必要です。
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売却の流れがつかめたら、売却を成功させるためのコツや注意点を見ていきましょう。
マンションをいつ売るかは売却価格や売却期間に大きく影響します。税制が変わるタイミングやライフイベントなどを見据えて売却時期を検討しましょう。
まず、気をつけたいのは税制が変わるタイミングです。税制特例には適用期限が設けられている場合があるため、制度変更の情報は正確に把握し、有利な制度を活用できるタイミングは逃さないようにしましょう。
また、子どもの進学や転勤など、ライフスタイルの変化に合わせて住み替えを検討する場合は、新生活のスタート時期から逆算して売却スケジュールを立てる必要があります。スケジュールに余裕がないと、妥協が生じやすくなり、相場より安く売ることになってしまったり、信頼できる不動産会社をきちんと選ぶことを怠ってしまったり、買主との交渉が不十分になったりと、複数のリスクが高まります。
有利に売却を進められるよう、さまざまな要素を総合的に考慮して見極めることが重要です。
不動産会社選びはマンション売却の成否を左右する重要な要素です。必ず査定は複数の不動産会社に依頼して、比較検討しましょう。複数の会社とやり取りをするのは時間も労力もかかりますが、査定は不動産会社の姿勢や担当者の能力などを判断する絶好の機会です。それぞれの会社とコミュニケーションをとることで、信頼できる最適なパートナーを見つけることができます。

不動産会社はマンション売却のプロフェッショナルですが、全てを丸投げにしてしまうのは避けましょう。
不動産会社はあくまで伴走者であり、最終的な意思決定は売主自身が行います。自分自身の判断基準を持って臨むことが大切です。自分自身でも情報収集を行い、ある程度の知識を持って主体的に関わることで、よりスムーズで満足のいく売却につながります。
最後に、マンション売却に関してよくある質問とその回答を紹介します。
住宅ローンが残っていてもマンションを売却することは可能です。ただし、売却代金が住宅ローンの残債を上回っていて(アンダーローン)、一括完済できれば問題ありませんが、売却代金がローン残債を下回ってしまう場合(オーバーローン)は、不足分を自己資金などで補填する必要があります。
自己資金で補填できない場合は、任意売却(※)や住み替えローン(※※)などの方法はありますが、いずれにせよ、不動産会社や金融機関に早めに相談するようにしましょう。
※任意売却はローンの支払いが困難になった場合に、金融機関の同意を得て売却する方法
※※住み替えローンは現在の住宅ローンの残債と、新居の購入資金を一緒に借り入れられるローン

売却前にリフォームをしたからといって、必ずしも高く売れるとは限りません。
リフォームをすることで売却したいマンションの印象が良くなり、早期売却や価格アップにつながる可能性はありますが、その分リフォームには費用がかかります。リフォームにかけた費用以上に売却価格が上がるとは限らず、購入後に自分好みにリフォームしたいと考えている買主も多いので、あえてリフォームをせずに価格を抑えて売り出すという戦略も有効でしょう。
売却前のリフォームを考えている場合は、費用対効果を考え、不動産会社とも相談しながら、どの程度のリフォームが効果的か検討するのが良いでしょう。
マンション売却は多くの人が住みながら行っています。
住みながらの売却活動であれば、仮住まいの費用がかからず、引越しのタイミングを売却の状況に合わせて調整しやすいというメリットがあります。
内覧の度に片付けや清掃、スケジュール調整などが必要になりますが、住みながらでも十分に売却活動は可能です。
マンション売却は多くの手続きや判断が必要となりますが、1つ1つのステップを丁寧に、そして計画的に進めていくことで、満足のいく結果につながるはずです。
記事でお伝えした、成功のためのコツなども実践しながら、納得できるマンション売却を実現させましょう。
構成・取材・文/島田美那子

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