
「考えすぎて眠れない……」
「頭の中で同じことを何度もぐるぐる考えてしまう」
そんな夜を過ごしていませんか。明日の仕事のこと、上司の一言、将来への不安――いったん考え始めると、止まらなくなるのが人の心です。スマホを見ても気はまぎれず、むしろ情報が増えて、ますます混乱してしまうこともあるでしょう。
頭のなかで渦巻いている考えや感情を、紙に書き出してみる。
ただそれだけで、心の中に少しだけ風が通るように、気持ちが軽くなるのを感じるはずです。
書くことは、心を整理し、思考を休ませるための小さなリセットボタンなのです。
人間関係のちょっとしたすれ違いが頭から離れなかったり、将来のことを考えると不安で眠れなかったり、考えても答えが出ないことを延々と考え続けてしまうことはありませんか。
現代の私たちは、膨大な情報の中で常に思考を働かせ、脳を休ませる時間がほとんどありません。その結果、頭の中はいつの間にか考えごとでいっぱいになってしまいます。
考えても仕方ないことはわかっていても、なかなかやめられない……。そんなときに効果を発揮するのが、書くという行為です。
書くことは単なるメモではなく思考の整理に役立ちます。思考を紙の上に出すことで、脳内メモリが解放され、ぐるぐると回っていた考えが整理されていくのです。
💡 書くことで見えること
「自分はいま何に悩んでいるのか」「どこまでが自分にできることなのか」が明確になります。
米国の心理学者ジェームス・W・ペネベイカー氏の研究によれば、心の内に秘めた感情を文字として書き出す行為には、セラピー効果――つまり感情を落ち着かせ、ストレスを軽減する働きがあり、結果的に心身の健康にも良い影響を与えることがわかっています。*1
また、厚生労働省のストレス対策ガイドでも、「思いや考えを整理し、可視化することがストレス対処の第一歩」と紹介されています。*2
つまり、書くという行為は、感情の整理とストレス軽減の両方に役立つ心のメンテナンスなのです。
頭のなかを紙に移すことで気持ちが落ち着き、考えがすっきりと整理され、前向きな思考を取り戻すことができます。
考えを書き出す方法はいくつかありますが、「ジャーナリング」と、厚生労働省が推奨する「感情の書き出し」を紹介します。

ジャーナリングとは、決まった時間の間、ずっと自分の思いや考えを紙に書き続けることで、今ここに集中し、心を整える「書く瞑想」です。
通常の瞑想では目を閉じて何もしませんが、「何もしない」というのは意外と難しいもの。
その点、書くことは手を動かしながら心を静めることができる、より実践しやすい方法です。ここでは、マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事 荻野淳也氏のやり方にならいます。*3
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① | あるテーマについて、決めた時間内に書き続ける |
| ② | 頭で考えず、手を止めずに書く |
| ③ | 集中できる静かな環境で行う |
| ④ | 事実や感情を脚色せずに書く |
| ⑤ | 誤字脱字は気にしない |
テーマは「自分をより深く知ることができる」内容が適しています。
例としては、「よりよい人間関係を築くためには」「私が怒りを感じるのは」「お金で買えない大事なものとは」など。
筆者は実際に「お金で買えない大事なものとは」をテーマに、5分間ジャーナリングを実施しました。

5分間書き続けるのは意外と難しく、考えている時間のほうが長く感じました。しかし集中している間は仕事や不安が頭から消え、心が静まる感覚がありました。
瞑想が続かなかった人でも、文字を書く方法なら楽しみながら続けられます。筆者も「瞑想より続けやすい」と感じました。

厚生労働省が提案する「感情の書き出し」は、決まったルールがなく、思いつくままに感情を書きなぐる方法です。文字でなく、イラストでも構いません。*2
🖋書き出しの2つの効果
ペネベイカー氏の研究によると、辛い体験やトラウマについて書くことで、ストレス軽減効果がより高まるとされています。*1
筆者も「感情の書き出し」を実践してみました。
現在転職活動中であり、就職先が決まるか漠然とした不安が続いているので、その不安な気持ちをノートへ素直に書き出したのです。

「疲れた」「休みたい」など思いつくままに書くうちに、気持ちが落ち着いていきました。
そして「自分だけが弱いのではない」「今できることをひとつずつやろう」と、前向きな気持ちが戻ってきたのです。
さらに不安の理由を言葉にすることで、解決策が自然と見えてきました。「面接の練習を増やそう」「筆記試験の対策を進めよう」といった具体的な行動を思い浮かべることができたと実感しています。
✨書き出すことで得られる変化
頭の中で考えているだけだと、不安ばかりが膨らみます。しかし文字として外に出すことで、感情の渦から一歩離れ、「次に何をすべきか」を冷静に考えられるようになるのです。

***
考えすぎて疲れてしまう方は、ぜひ紙に考えを書き出してみてください。本記事があなたの心を少しでも軽くし、これからのキャリアの励みになれば幸いです。
※引用の太字は編集部が施した
*1 James W. Pennebaker, Martha E. Francis (1992),“Putting Stress into Words: The Impact of Writing on Physiological, Absentee, and Self-Reported Emotional Well-Being Measures,”American Journal of Health Promotion, Vol.6, No.4, pp.280–287.
*2 厚生労働省|今の気持ちを書いてみる
*3 日本経済新聞|書く瞑想、ジャーナリング 集中力高め仕事効率を改善
大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。
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