著作物の二次利用が可能な範囲をライセンスで示すことができます。ライセンスが付与されていると、著作権者と著作物を利用したい人の双方にとって、どのように著作物が利用できるかが明確になり、円滑な二次利用につながります。
論文等の著作物を公開する際、第三者に対して認める当該著作物の二次利用の範囲や条件を、明示しておくことが望ましいと考えられます。
著作物の二次利用が可能な範囲を示すライセンスとして、CCライセンス(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)があります。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのウェブサイトでは、CCライセンスについて「インターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が『この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。』という意思表示をするためのツール」と説明しています。
CCライセンスで示すことのできる二次利用の条件は「表示」「非営利」「改変禁止」「継承」の4種類で、それぞれの意味は下記の通りです。
表示:作品のクレジットを表示すること
非営利:営利目的での利用をしないこと
改変禁止:元の作品を改変しないこと
継承:元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること
これら4つの条件を組み合わせてできるライセンスは、以下の6種類です。
CC BY(表示):原作者のクレジット(氏名やタイトルなど)を表示することを主な条件として、改変や営利目的での二次利用を許可
CC BY-SA(表示-継承):原作者のクレジットを表示し、改変した場合には元の作品と同じCCライセンスで公開することを主な条件として、営利目的での二次利用も許可
CC BY-ND(表示-改変禁止):原作者のクレジットを表示し、元の作品を改変しないことを主な条件として、営利目的での利用(転載、コピー、共有)を許可
CC BY-NC(表示-非営利):原作者のクレジットを表示し、非営利目的であることを主な条件として、改変や再配布を許可
CC BY-NC-SA(表示-非営利-継承):原作者のクレジットを表示し、非営利目的に限り、改変を行った際には元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開することを主な条件として、改変や再配布を許可
CC BY-NC-ND(表示-非営利-改変禁止):原作者のクレジットを表示し、非営利目的であり、元の作品を改変しないことを主な条件として、再配布を許可
長谷川世一「日本におけるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの実際」『情報管理』 vol.58, no.5, p.344
なお、論文中に他者の著作物の画像や図表を含む場合は、その著作物に付与されているCCライセンスや出典をキャプションとして明記し、自著のCCライセンスと明確に区別する必要があります。
研究データについても、著作権がない場合はCCライセンスを付与しても有効ではありませんが、著作権がある場合は自分の望む利用条件に合わせてライセンスを付与することができます。
※CCライセンスを一度付与すると、著作権者であっても取り消しができません。許可する二次利用の範囲、出版社や資金配分機関からのライセンスの指定をよく確認し、適切なライセンスを選択してください。
参考)
・クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのウェブサイト FAQ
・クリエイティブ・コモンズ LICENSE CHOOSER
許諾する二次利用の条件を選択していくと適切なライセンスをサジェストする機能があります。
研究ブーストセミナー「学術論文と研究データにまつわる権利―著作権とCCライセンス―」(2024年9月18日開催)
録画・資料・QAを公開しています。
https://www.ura.adm.u-tokyo.ac.jp/services/view/55c3f4d4-3657-4545-8838-757c4393d2a2
※学内者限定(UTokyo Accountでログインが必要)
(最終更新日:2025/03/10)