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さちゅりこん2――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

町のそとに、大きな絞首台がたてられました。 そのまわりに、大ぜいの兵隊と、何万という人人が並びました。王様とお妃とは、裁判官と顧問官一同とむかいあった正面のりっぱな玉座につきました。 兵隊さんは、もう段の上に立ちました。ところが、いよいよ首…

はてなブックマーク - 魔法と現実

帥は任果てて、いとたひらかに四の君の来たるを、北の方、うれしと思したり。ことわりぞかし。かく栄えたまふを、よく見よとや神仏も思しけむ、とみにも死なで七十余までなむ、いましける。大殿の北の方「いといらく老いたまふめり。功徳を思はせ」と宣ひて…

はてなブックマーク - AIと感情

かくて左の大殿には、三日の夜のこと、今始めたるやうに設けたまへり。「人は、ただかしづきいたはるになむ、夫の志も、かかるものをと、いとほしきこと添はりて思ひなる。こまかにと口入れたまへ。ここにて事始めしたることなれば、おろかならむ、いとほし…

はてなブックマーク - 怨恨と学問

出雲守と対談していた万太郎は、やがて明るい顔をして、月江や金吾に何か言いおくと、飄然として奉行所の外へ出ました。 飄然です。まったく飄然です、彼は釘勘と共に、奉行所の前の石豆腐(差入れ茶屋)で軽い旅支度をすると共に、遠く江戸を離れたのです。…

はてなブックマーク - 文の鳴りと蛙

守、北の方、君達に、「かうかうなむ宣へる」と言へば、北の方、この家は、いと惜しかりつるに、いとうれしく宣へば、なほ、われはと領じ代へらるると見ると思ふに、いとねたければ、「落窪の君の、かくしたまふか。いで、あはうれしのことや」と言ふに、越…

はてなブックマーク - And your heart is breaking

国としての誇負、いづくにかある。人種としての尊大、何くにかある。民としての栄誉、何くにかある。適ま大声疾呼して、国を誇り民を負むものあれど、彼等は耳を閉ぢて之を聞かざるなり。彼等の中に一国としての共通の感情あらず。彼等の中に一民としての共…

はてなブックマーク - 湯屋の幽遠への対処について

清水高志氏の500頁を超えるやわらか鈍器『空の時代の『中論』について』がアマゾンから届いた。20年ほど前、坂口安吾の若書きの仏教論文に言及されていた「中論」の「去る者と去る働き」について触れなくちゃいけなくて、いい加減なことを書いてしまった…

はてなブックマーク - 去るものは去らず

長篇小説作家としての天外氏の力量、手腕、才幹に至ては、今更われわれが、かれこれ言ふ必要がない。その大手腕は、箇々の作品が證明してゐるところだし、夙に天下が認めてゐるところだ。殊に天外氏の作態度は、極めて良心的で、一行一句と雖も苟もしない。…

はてなブックマーク - 世界文学と伏せ字

千重は、暗い所の上り框にかけたまゝ、キョトンとして、虚空を見つめた。食欲はなかった。そして、手足がしびれるやうであった。見つめる虚空の中に、狂った養父の顔がうかび出た。焼けおちた火炎の中で、その顔が歪み笑って、千重を手招く風であった。千重…

はてなブックマーク - エンタメ世代論

「つらき者に思ひおきて、今まで知られたまはざりける。対面しぬるは、限りなくなむ心のびてうれしく」と宣へば、女君「ここには、さらにさ思ひきこえぬを、この君の、さいなみしをりを、おはしあひて聞きたまひて、なほ便なきものに思しおきたるなめかし。…

はてなブックマーク - 欲望は獣を欲望する

ダンテの三行詩節とジョイスの章句において起こることは要するに、美的効果の構造規定に照らせば類似した方法をもつ。つまり表示義と共示義の集合が物質的価値と融合し、有機的な形を形成するわけである。どちらの形も、その美学的観点から考察すれば、絶え…

はてなブックマーク - 開かれた因果への短絡

一枚の白い紙を掬い上げるように 向うの鏡の中に 美しい女は現われては来ない 漂流する飛行機の上で 故障した無電機から かすかな鋸の音を聞いているような 不安な影が ――上林猷夫「機械と女」 もはや、松本零士の四畳半の世界であるようだが、いまだって、…

はてなブックマーク - 可能性の抑圧について

「心配するな。ぼくだって、いま一生懸命なんだ。これが失敗したら、身の破滅さ。」 「フクスイの陣って、とこね。」 「フクスイ? バカ野郎、ハイスイ(背水)の陣だよ。」 「あら、そう?」 けろりとしている。田島は、いよいよ、にがにがしくなるばかり。…

はてなブックマーク - 罵倒を超えて

王さまはふたりを裁判所につれてこさせました。そこで、ふたりに罪がいいわたされました。 むすめのほうは森のなかにつれていかれ、おそろしいけもののために八つざきにされてしまいました。 魔法使いの女のほうは、火のなかへねかされて、みるもむざんに焼…

はてなブックマーク - 過去と現実

中納言殿に来て、おとどに「かうかうなむ宣へる」とて、この包める物を北の方に奉れば、「あやしう、覚えなう」とて引きあけて見るに、おのが箱なり。落窪の君に取らせしにこそあめれと見るに、いかなることならむと思ひ、肝心も騒ぐに、まして底に書けりけ…

はてなブックマーク - 人間と構造をめぐるエトセトラ

クラウゼヴィッツにとって、政治的国家はすでに「徹底砲撃を防げる非伝導体性ミリュー」だった。こうした定式のうちには軍事階級の野心の性格が完璧なまでに現れており、核状況が投射されている……。 「ボナパルト(将軍/国家元首)とともに、戦争は一分も無駄…

はてなブックマーク - あまりに機械的な

最も特色をなすのは、「日本的現實室」である。常連執筆者は一週最低五時間をこの室ですごさなければならない。ここには、尖端的な映寫設備と、立體音響設備と、各種の臭氣を發散する装置などがあり、中央に座蒲團が一つ置いてある。執筆者は義務として、そ…

はてなブックマーク - 鍛錬場と自意識の世界

戌の時ばかり渡りたまふ。車十して、儀式めでたし。おりて見たまへば、げに寝殿は皆しつらひたり。屏風、几帳立て、みな畳敷きたり。見たまふに、げにいかに思ふらむと、いとほしけれど、北の方ねたしと思ひ知れとなりけり。女君は、おとどの思すらむことを…

はてなブックマーク - 秘書は金剛インコである

衛門の督の殿には、渡りたまはむとて、女房に装束一具づつして賜へば、ほどなく今めかしう、うれしと思ひけり。中納言殿には、物をだに運び返しに人やりたまへど、「さらに入れだに入れず」など言へば、北の方、手を打ち、ねたがる。「いかばかりの仇敵にて…

はてなブックマーク - 死を抑圧しない大学

ひそかに推測してみると、人間の生存の根源的不安を課題にした『不安の概念』におけるキェルケゴールと、すべての不安神経症の根源を〈母胎〉から離れることへの不安〉 に還元したフロイトは、どちらもヘーゲルのこういった考察からたくさん負っているような…

はてなブックマーク - 生と死、あるいは脳と肛門

かかる物思ひに添へて、三条いとめでたく造り立てて、「六月に渡りなむ。ここにて、かくいみじき目を見るは、ここの悪しきかと、こころみむ」とて、御むすめども引き具していそぎたまふ。衛門聞きて、男君の臥したまへるほどに申す、「三条殿は、いとめでた…

はてなブックマーク - 純粋姫様の周辺

人は肉慾、慾情の露骨な暴露を厭ふ。然しながら、それが真実人によつて愛せられるものであるなら、厭ふべき理由はない。 我々は先づ遊ぶといふことが不健全なことでもなく、不真面目なことでもないといふことを身を以て考へてみる必要がある。私自身に就て云…

はてなブックマーク - 欲望について

よろしき人ならばこそ、もしやと言ひはべたらめ、ただ今の一の者、太政大臣も、この君にあへば、音もせぬ君ぞや。御妹、限りなく時めきたまふを持たまへり。わが御覚えばかりと思すらむ人、うちあふべくもあらず」など言ひて往ぬれば、かひなし。おりなむと…

はてなブックマーク - 情動・心・動物

たゞスターリンの人となり、スターリンの正体は、知れるものなら知りたいと思ふ。不思議な存在に対する好奇心のせゐか。彼は千八百七十九年に生れた筈である。私と同じ年である筈だ。同じだけの人の世を見て来た筈である。 ――正宗白鳥『読書雑記』 トランプ…

はてなブックマーク - ぐるっと線でそれを囲めば

よしと誉めし装束も、すぢかひ、あやしげにし出づれば、いとどかこつけて腹を立ちて、しかけたる衣どもも着で、「こは何わざしたるぞ。いとよく縫ひし人は、いづち往にしぞ」と腹立てば、三の君「男につきて往にしぞ」といらへたまへば、「なにの男につくべ…

はてなブックマーク - 反「復讐のリアリズム」

商人が栄えるのはただ若者の乱費のためだし、百姓が栄えるのはただ麦が高いためだし、建築家が栄えるのは家が倒れるため、裁判官が栄えるのは世に喧嘩訴訟がたえないためである。聖職者の名誉とお仕事だって、我々の死と不徳から生ずるのだ。「医者は健康が…

はてなブックマーク - imagination

同級生に憎まれながらやがて四年生の冬、京都高等学校の入学試験を受けて、苦もなく合格した。憎まれていただけの自尊心の満足はあった。けれども、高等学校へはいって将来どうしようという目的もなかった。寄宿舎へはいった晩、先輩に連れられて、円山公園…

はてなブックマーク - 歴史の終わりと言葉の絶滅

微風が北方からやつて來る。南方の海上には、海からいきなり立上つて固まつた感じのする御藏島の青い姿が見える。その島と、僕のゐる三宅島との間の海面には、潮流が皺になつて、波立つて、大きく廣々と流れてゐる。やがて、僕は身體の向きを變へて北方を眺…

はてなブックマーク - サザン音漏れ一安心

暮るれば、君おはしたり。「かの四の君のことこそ、しかじか言ひつれ。われと言ひて、人求めてあはせむ」と宣へば、女君「いとけしからず。否と思さば、おいらかにこそしたまはめ。本意なく、いかにいみじと思さむ」と宣ふ。少将「かの北の方に、いかでねた…

はてなブックマーク - 俯瞰とアナコンダ

典薬がいらへ「いとわりなき仰せなりや。その胸病みたまひし夜は、いみじう惑ひて、御あたりにも寄せたまはず、あこきも、つと添ひて、『御忌日なり。今宵過ぎして』と、正身も宣ひて、いみじく惑ひたまひしかば、やをらただ寄り臥しにき。のちの夜、責めそ…

はてなブックマーク - 中国からの逃避
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