内閣支持率高止まりに見る高齢層の「認知の壁」と崩壊
いよいよ、腐敗トライアングルの崩壊が加速してきたようです。あれだけメディアが「高市総理は日中関係を悪化させている」、などと連日のように非難しているわりには、内閣支持率が下がっている兆候はないからです。読売・NNNや産経・FNNなどの週末の支持率調査では、高市内閣の支持率はびくともせず、高止まりしていることが示されたことには注目したいところです。 ※Xをやっています。当ウェブサイトでは触れきれない最新の話題にも言及していることがあるため、よろしければ「新宿会計士」をフォローしてください。 ※「ランキング」にも参加しています。もしこの記事を読んで「知的好奇心を刺激された」と思った方は、下記ランキングバナーをクリックしてください。 目次 当ウェブサイトでながらく、いわゆる「腐敗トライアングル」と呼び続けて来た構造があります。 それが、「官僚機構-メディア-特定議員」、です。 どうしてこれを「腐敗トライアングル」と呼ぶのかといえば、国民から選挙で選ばれたわけでもないくせに、実質上の権力を握り、この国をおかしな方向に誘導してきたのが、これら3つの勢力に代表される者たちだったからだ、と著者が考えているからです。 まず、官僚については、いうまでもなく、国家公務員試験に合格して官庁に採用された者たちではありますが、そもそも選挙で選ばれていません。 しかし、政府提出法案や政省令などを起草するのはたいていの場合、官僚ですし、徴税権や予算編成権、財源などをガッツリと握っている財務省を筆頭に、いつのまにか国会議員をも上回る莫大な実質的権力を握っている省庁が多いという特徴もあります。 同様に、メディア記者らも民間企業(あるいはNHKのように公的企業と民間企業の「良いところ取り」をしているような企業)から採用試験などを通じて選ばれた存在ですが、同様に、国民から選挙で選ばれたわけではありません。 しかし、報道を通じて「第四の権力」とも揶揄されるほどに大きな権力を握り、最盛期にはときの政権の生殺与奪の権を事実上持っていたほどですし、2009年にはメディアスクラムによる歪んだ報道を通じて、ついには自民党を下野させることにも成功しています。 なお、特定野党等の議員の場合は、選挙で選ばれてはいるものの、そもそも「野党」ですから、有権者から「政権与党」として選ばれたわけではありません。 ただ、最大野党ともなれば、慣例上、国会で与党を大きく上回る質問時間を確保できるほか、他の野党に対する質問時間の配分も可能です。ときの最大野党が気に入らない政党の質問時間を削るなどして国会運営上問題となる、といったこともあるなど、野党にはそれなりの権力があるのです。 これをまとめておきましょう。 国民から選挙で選ばれていない。しかし、政府提出法案や、政省令を起草したりすることを通じて法令解釈権を握っているほか、財務省を筆頭に、何らかの強大な利権をしっかりと握り、下手な国会議員すら凌ぐ実質的権力を持っていることもある 国民から選挙金で選ばれていない。しかし、少数の企業で記者クラブなどを通じて情報流通を独占し、「報道の自由」または「報道しない自由」を悪用することで、自分たちにとって意にそわない政治家を落選させようとしたり、自分たちにとって好都合な政治家を当選させようとしたりする 官僚、マスコミの両者にとって都合が良い議員。たいていの場合は特定野党の議員だが、まれに自民党非主流派議員のこともある。国民の意思で選ばれた与党などの足を引っ張ることが多い この「官僚機構-マスコミ-特定議員」というスクラムが政権与党による日本をより強い国にしようとする努力を妨害してきたのではないか、とするのが著者の長年の問題意識です。 いや、もちろん、政権与党でも、「石破自民」のようにおかしな動きをしていたという事例もありますし、著者自身としては故・安倍晋三総理大臣は偉大な宰相だったと考えているものの、消費税や社会保険料の増税を防げなかった、改憲まで至らなかったなど、やはり不満を覚える政策などもいくつかあります。 ただ、大きな枠組みで、「国民が選んだ政権与党」vs「国民が選んでいない腐敗トライアングル」という対決構造を想定すると、これまでの日本におけるだいたいの問題点が浮かび上がってくるのではないかと思います。 日本経済をダメにした財務省などによる増税原理主義にしたって、財務省系の御用学者を重用するなどし、財務省の立場に立った説明を繰り返すメディアが国民世論を強引に作り、個々の国民の不満の声、あるいは本当の金融財政専門家らの声を押し潰してきたこととは無関係ではありません。 その意味で、国民の信を得た自民党であっても、財務省や外務省、一部左翼系オールドメディア、一部左翼系野党などの声を無碍にすることはできず、一定の配慮が必要だったのです。 ところが、10月21日に就任した高市早苗総理大臣は、あくまでも著者が見たところ、とりわけ官僚やオールドメディア、そして特定野党の声をなかば無視し、「わが道」を歩んでいます。 そう考えられる根拠はいくつかあるのですが、典型例が、「中国問題」でしょう。 高市総理は今月7日、立憲民主党の岡田克也・衆議院議員の質問に答えるかたちで、台湾有事が存立危機事態に該当することが「あり得る」とする趣旨の回答を行ったのですが、これに対し、中国当局がなかば常軌を逸した反発を続けているのです。 たとえば、薛剣(せつけん)駐大阪総領事は8日、Xに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」とポストしましたし(該当するポストは削除済み)、また、ほかの中国の外交官も相次ぎ、日本を強い調子で批判し続けています。 極め付きは今月18日、日中定期協議で北京を訪れた金井正彰アジア大洋州局長の前で、劉勁松(りゅう・けいしょう)アジア局長がズボンのポッケに両手を突っ込み、偉そうにふんぞり返るなどした姿が報じられたことです。 どれも人間関係の世界でいうところの、いわゆる「マウントを取る行為」と解されます。 そして、こうした中国の姿勢を応援したのが日本のメディアかもしれません。 たとえば、中国が日本に対し、団体旅行の自粛を打ち出すなどしたことや、(あくまでも報道ベースですが)日本産の水産物の禁輸措置を講じるとの話が出て来たなかで、一部のテレビ局は「中国はカードをたくさんもっているが、日本はカードを持っていない」、などと報じたのです。 ちなみにこの局が挙げた「カード」には、「▼ビザ免除措置廃止、▼邦人拘束、▼レアアース輸出規制、▼税関での輸入遅延、▼軍事的威圧」―――などが含まれているそうですが、邦人拘束や輸出規制、輸入遅延、軍事的恫喝などが「カード」になるという認識も強烈すぎます。 これまでの日本であれば、中国がここまで強く日本政府を批判したら、あるいは日本のメディアや特定野党などがここまで強く政府を批判したら、少なくとも首相・閣僚らは発言の撤回に追い込まれていたのではないかと思えますし、下手したら短期政権として退陣を余儀なくされていたのではないでしょうか。 ところが、ここでひとつ、大変に興味深い話題が出て来ました。 いくつかのメディアの内閣支持率調査を見てみると、高市早苗内閣は発足直後の高支持率を維持しているばかりか、一部調査だと支持率がむしろ微増傾向を示しているのです(図表)。
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オールドメディアに配慮してきた歴代政権
官僚機構
マスコミ
特定議員
中国問題でメディア報道を無視して突っ走る高市総理
最新支持率調査の衝撃
図表 内閣支持率(2025年11月)
| メディアと調査日 | 支持率(前回比) | 不支持率(前回比) |
| JNN(11/1~2) | 82.0% | 14.3% |
| 朝日新聞(11/15~16) | 69.0%(+1.0) | 17.0%(▲2.0) |
| 共同通信(11/15~16) | 69.9%(+5.5) | 16.5%(▲6.7) |
| 時事通信(11/7~10) | 63.8% | 10.8% |
| 読売・NNN(11/21~23) | 72.0%(+1.0) | 17.0%(▲1.0) |
| 産経・FNN(11/22~23) | 75.2%(▲0.2) | 19.6%(+0.5) |
(【出所】各社報道)
とくに読売、産経などは自民党政権に比較的親和的なメディアである(※著者私見)ため、この点については若干の割引が必要かもしれません。
ただ、この点を加味したとしても、支持率が読売・NNNで70%を超えていること、産経・FNNだと4分の3(!)という圧倒的多数に達していることは印象的ですし、それ以上に調査の実施時期がこの週末であり、11月7日以降の「中国騒動」を有権者が評価するタイミングだった、という点は重要です。
要するに、中国が感情的に日本に強く反発したにもかかわらず、そしてこれを受け日本の一部メディアも政府批判のトーンをいっそう強めたにも関わらず、政権支持率が微動だにしていない、という点が、すべてを物語っているのではないでしょうか。
若年層ほど支持率が高いという現実
そう、腐敗権力の大崩壊が始まったのです。
このことがわかるのが、年代別に見た内閣支持率です。
たとえば産経・FNN調査だと、18歳以上の国民のうち、59歳までの年代でいずれも支持率が80%を大きく超えているのですが、これが60代になるととたんに70%台に、70代以上になると60%を割り込んでしまうのです。
年代別内閣支持率(産経・FNN)
- ~29…85.0%
- 30代…85.5%
- 40代…86・7%
- 50代…83・8%
- 60代…70・3%
- 70~…56・3%
また、読売・NNN調査だと、たとえば高市内閣の中国に対する姿勢を評価する割合を年代別に調べたところ、やはり18~59歳までの層は「評価する」がいずれも3分の2近くに達している一方、60歳以上は賛否がほぼ拮抗している状況です。
高市内閣の対中姿勢を評価するかどうか(読売・NNN)
- 18~39歳…評価する64%/評価しない18%
- 40~59歳…評価する64%/評価しない22%
- 60歳以上…評価する43%/評価しない42%
「認知の壁」は60~70代に存在か
このことから推察するに、おそらく「認知の壁」は60~70代あたりに存在するのでしょう。
つまり、ある一定年齢を超えるとネットの利用時間が極端に少なくなり、新聞、テレビなどのオールドメディアに接する時間が極端に長くなるなどし、政治・経済などの事象に対する認知が歪んでしまうのではないでしょうか。
そして、もうひとつの想像ですが、この「認知の壁」は年々上昇しており、早ければあと数年でほぼ消滅する可能性が高いです。
現在でもかたくなにインターネットを使用せず、新聞、テレビなどのオールドメディアに依存しているのは、おもに高齢層に限られていると考えられる反面、近年だと60代でもネット・ユーザーは急増しており、また、70代かそれ以上でもスマートフォンを使用する人は増えています。
この流れは不可逆なものです。
なぜなら、これに対し若年層がこれから新聞、テレビの報道に影響を受け始めるというのは考え辛いところだからです。今後、新聞、テレビの影響力が低下することはあっても高まることはないでしょうし、ネットの影響力が高まることはあっても低下することはないでしょう。
いずれにせよ、メディアが実施する支持率調査というものに全幅の信頼を置くべきではないとするのが著者自身の考え方ではあるものの、また、高市総理の政策のすべてが有権者に支持されるものであると考えるのは行きすぎではあるにせよ、少なくとも「チャイナショック」は乗り切ったと考えて良いと思います。
今後は中国当局、あるいは一部左派メディアなどから、「中国を怒らせたら日本が経済的に苦境に陥ることになる」、などとする絶叫にも近い警句が観察されることになろうかと思いますが、基本的には放置で良いのではないか、などと思う次第です。
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本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc)September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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- 引きこもり中年より:
毎度、ばかばかしいお話を。
オールドメディア:「高市早苗総理の支持が高止まりしているのは、勇ましい「台湾有事」発言に国民が騙されているからだ」
言いそうだな。
蛇足ですが、オールドメディアとしては、国民全体よりもコアな読者(支持者)の方が重要なのでしょうか。- 引きこもり中年より:
毎度、ばかばかしいお話を。
オールドメディア:「60代の70% 70代以上の56%も高市総理を支持しているのは、おかしい」
まさか。
蛇足ですが、70代以上を、もっと細かく分ければ、「多くの年代で、高市総理は支持されていない」との印象操作が出来るのでは。- 市井の人より:
その細かく分かれた多くの年代は、固定電話至上主義と一致するかもしれませんが
振り込め詐欺が注意喚起され続けている昨今 いつまで素直に答えてくれるんでしょうかw
- u-hogeより:
「そう、腐敗権力の大崩壊が始まったのです。」
中国って腐敗に抵抗ないからね。。。袖の下やキックバック?言い方あるけど、金で国益を売る輩はスパイ法で取り締まるべき。
でも、働きアリの法則で言うと2割は取り締まっても、必ずそう言う輩が発生するんだよw
いつの時代でも世界のどの国でも。
その考え方は数十年生きてきたが、歴史俯瞰しても合ってる気がするw恐るべし、働きアリの法則!
- ダイレクトはOLD-Mediaを駆逐するより:
G20で、あれだけ華やいだサナエの笑顔を見せられては誰しもが明るい未来が期待できると感じるし、来年1月にはメローニさんがやってくるとなると、ちょっとしたブームが沸き起こる予感がします。ここで、オールドメディアしか見てない人たちも瞬く間にサナエ推しに切り替わると思われます。すかさず、解散、、、?知らんけど。
- u-hogeより:
メローニさんは結構美人で映像見栄えするからねぇ。
メローニさんの戦略とか私の勉強不足かもしれんが、高市さんほどじゃないと思う。
でも今のイタリアには大切な存在。イタリアは移民で苦しんでて、今まで観光戦略がメインだったがボロボロなのよね。移民のスラムが大量発生とか。
どうなるのかなぁ。。。良い方向にはいって欲しいけどさ。
- 時代遅れseより:
高市内閣の対中姿勢と言っても、首脳会談で言うこと言って、国会で野党からの質問に答えただけ。付け込まれるような失敗はしてないからオールド陣営が高市総理を責めても空回りするばかり。
いまだに日経よく読む経営者は中国ビジネスに過度の期待をしてる人がいる(知っている)から60歳以上という年齢層に認識の違いがあるのはわかる気がする。長い時間を掛けて築き上げた認識はなかなか柔軟にというわけにいかないのか、オールドメディアに信を置いているからなのか、色々情報が入ってきてもすぐに元の認識に戻る。
多様な意見があるのは悪くないことではあるが、日本の経営者に柔軟な思考を維持してる人が多いことを願う。 - Skyより:
中国による台湾侵攻にあたっての必要条件の一つが日本が日和ることにより米軍との亀裂が入る事なのでしょう。
で、立憲の岡田を使って確認してやれ、と試したらケッチン喰らい、オマケに逆上して恫喝したらX民の餌食となり、G20や国連では白い目で見られ、民主主義国家の結束が強まる、ということに。
実にコスパのよい台湾侵攻防衛の機会となりました。
然しながら、中国製IT機器は日本を含むITインフラに深く浸透しているなど、決して楽観できる状態ではありません。これに慢心する事なく日本は総力を挙げてデカップリングを進めていって欲しいです。
自分の親をみていて思うのですが、視力聴力体力認知力といった身体機能が衰えしかも戦中派でもあり、TVの言いなりはどうしようもない気がします。あとはこの人達は投票しない事。これを望みたいです。投票所に行かないを実行してくれています。
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