
葬儀の翌々日、さくらさんの携帯電話を解約しに行った。
もう何か月も使っていなかったので、ずっと前から早く手続きをしたいと思っていた。
ショップは時間がかかるイメージがあり、介護中に行く勇気がなかった。
オンラインでもできそうではあるが、家族割がなくなった後の、今後に合った良いプランを直接聞きたかったのだ。
いつもの所は予約が数日先まで埋まっていたため、すぐに予約が取れたイオン内のショップへ向かうことにした。
前回の機種変更の際、さくらさん本人が行かなければ、手続きが進まなかった。
だから、今後はさくらさんが行かなくても済むように、私の契約で使用者をさくらさんにして、さくらさんの携帯使用料も私が払っていた。
そのため、今回は私だけが手続きに行けばよく、スムーズに解約できた。
手続きの途中で、新しいスマホを勧められる。
即決できないので、とりあえず携帯の契約解除のみを済ませた。
新たなスマホにして、いろいろな機能を設定する心のゆとりがない。
もう少し落ち着いてからでいい。
帰りにそのままイオンで買い物。
棚を見ながら、ふと
「これ、さくらさんに良さそう」と思いかけて、はっとする。
「あっ、もう必要ないんだ」
その瞬間、胸の奥がきゅっとした。
少し歩いて、今度は
「次の買い物はいつにしよう」
……いや、
「ああ、もういつでも自由に出られるんだ」と思い直す。
買い物をしながら、そんな場面が何度も繰り返される。
さくらさんがいない、という事実が、じわじわと現実味を帯びてくる。
帰宅後は、さくらさんの口座から引き落とされていた各種支払い先への連絡。
医療と介護費以外は3つだけだったので、スムーズだった。
水道代:電話一本で契約者名の変更完了
口座引き落とし変更:書類待ち
NHK:ネットで完了
銀行口座は、まだ凍結されていない様子。
市役所のおくやみコーナーと、法務局での書類作成が終わってから、本格的に動く予定だ。
この日はさくらさんの下着類と、引き出しに眠っていた不要な紙類を整理。
小さな引き出し4つ分で、今日は終了。
一気にやると、寂しさがどーんと来そうなので、あえてセーブしている。
これは怠けではなく、自己防衛なのだ。
まだ、大きな寂しさは訪れていない。
きっと、これからやってくるのだろうな。
お正月辺りはやばいのかも……。
やることが一段落すると、時間を持て余す。
無理に起きている必要もなく、早めに布団に入り、今日を終える。
家族割りが消えてしまった。
買い物中の「もう必要ない」は堪える
事務手続きは焦らず
片づけは少しずつが正解
早く寝るのも、大事な選択
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。