カルチャー
2024.03.16
【前回までのあらすじ】アトリエを持てる広い部屋に引っ越すことにした麻希とモリゾウ。賃貸ではなく購入で物件を探すと、日当たりの良い庭つきのマンション1階の部屋が。内見を待ちきれず、外からその部屋を見に行く。モリゾウに「社長」と呼ばれ、東京での苦しかった日々が報われたと思う麻希。溜め込んだ胆石が羽根になり、鳥になって飛び立つ姿を思い浮かべる。
連載:saita オリジナル連載小説『漂うわたし』
内見の日も晴れていた。行きは電車だったが、帰りは歩きたくなり、回り道してパティスリーで特別な日のシュークリームを買ってアパートに帰ると、住み慣れた部屋は何もかもが小さく古く見えた。
天井は低く、壁も床も薄く、壁紙はくすみ、早くここから引っ越したい気持ちが募る。パティスリーからは遠くなるが、新しい街でもきっとおいしいシュークリームに出会えるだろう。
シュークリームを食べながら、胆石が鳥に化けた話をすると、「チョキントリだ」とモリゾウは言った。
「そんな鳥がいるの?」
「子どもの頃、借金取りが家に来てさ」
モリゾウが昔語りを始めた。
家財道具や電化製品を持って行かれた。壁には穴が開き、割れ物は壊れたり欠けたりした。借金を作った当人の父親は何日も家に帰っていなかった。「旅行に行っている」と母親はモリゾウに説明していたが、借金取りには「あの人の行方は知りません」と言っていた。
借金取りたちが去った後、物は少なくなったが眺めはうるさくなった家の中で幼いモリゾウは立ち尽くしていた。悲しいとか腹立たしいとかいう感情は起きなかった。感情まで持って行かれた気がした。
「やられっぱなしじゃ終わらないよ。世の中は辻褄が合うようになってるんだから」
母親は何か言わないと泣いてしまいそうな充血した目をしていた。
「いつか取り返せるから大丈夫。借金取りの逆、貯金取りが来る。絶対」
そう言った何年か後、母親もいなくなり、モリゾウはひとりになった。
「免罪符だったのかな。お前をまた不運が襲うけど、後から天が埋め合わせするから心配するなって」
モリゾウはそう言ってから、「借金取りの逆は貯金取りじゃないよな」と呟き、小さく笑った。
その状況で貯金取りという言葉を思いついたモリゾウのお母さんは頭の回転の速い人だったのだろうと麻希は想像する。モリゾウの頭の良さはお母さん譲りなのかもしれない。
モリゾウは麻希がこれまで出会ったなかで一番頭のいい人だ。よく本を読んでいると感じさせて、知的なユーモアがあって、麻希の知らないことをたくさん知っている。
頭がいいなと特に感心するのは、押し出すときより受け止めるときのような気がする。
麻希が動揺してもモリゾウは揺るがない。こんなとき昔の人はどうしていたか、誰に何を聞けばいいか、サンプルや答えをたくさん持っているからなのだろう。水面を漂う薄い木の葉は小さなさざ波にもあおられてしまうけれど、船なら波をやり過ごして進んで行ける。知識と経験を蓄えた懐の深さがモリゾウの船の大きさだ。
「呪うより祝うほうがめでたいから」
麻希がインフルエンサーのケイティにひまわりバッグのデザインを盗まれ、何も手につかなくなったとき、雪だるまを固めながらモリゾウがかけてくれた言葉。あのとき、頭にはチョキントリのことがあったのかもしれない。奪われたのではなく与えたのだという発想の転換が、呪いたいことを祝いたいことに変えてくれる。
「そう言えば、マスターがよくテンペイって言ってる」
「テンペイ?」
「モリゾウは聞いたことない?」
麻希がモリゾウからバイトを引き継いだ新宿三丁目のカフェではペイ払いを導入していない。現金を持ち歩いていない客がどうしようとなると、マスターは「じゃあテンペイで」と人差し指を上に向ける。
麻希が20代の頃に働いていた映画製作プロダクションが同じビルの3階に入っていたが、マスターが指差しているのはもっと上だ。テンペイのテンは「天」のこと。
律儀に支払いに戻って来る人とテンペイに甘えたままの人の割合は半々で、中にはリピーターもいる。つけ込まれているのではと麻希が心配すると、マスターは「ええねん。これでまたテンペイが貯まる」と涼しい顔をして言う。
客がテンペイ払いをすると、マスターにテンペイが貯まる仕組みらしい。
「お天道様は見てるって、チョキントリと同じ発想だよね?」
「じゃあ俺とマキマキ、相当テンペイ溜まってない?」
踏んだり蹴ったりには、ふたりとも自信がある。利子もついているかもしれない。
「ひとり・ふたり・ことり」
舞台のタイトルみたいをそらんじるようにモリゾウがつぶやいた。
「ひとりがふたりになったらチョキントリが来るの?」
「てことはマキマキがチョキントリだ」
お互いがお互いのチョキントリってことだねとお酒も飲んでいないのにほろ酔い気分になり、食べかけのシュークリームとシュークリームを合わせて乾杯した。
浮かれていた。だから、その電話がかかってきたときも当然いい知らせだと思ったのだが、スピーカーフォンにしたスマホかた聞こえた若い男性の声は、住宅ローンの審査を通らなかったことを淡々と告げた。
担保になるものがないので生命保険への加入が必要だと言われたが、その余裕はない。
「命を担保にするのか」
電話を切ったモリゾウが低い天井を仰いだ。
考えてみたら、払い切る頃には70代だ。勤め人なら退職の年齢を超えている。大抵の人は退職金で完済するのだろう。
30年後はわからないが、今だってわからない。夫婦ともにフリーランスで、麻希に至っては収入ゼロの月が続いている。モリゾウの今の収入は翻訳業が中心だが、仕事が舞い込むのは不定期で、少しずつ減っている。生成AIが優秀になり、仕事を奪われている。
だからこそ家を買うのはいい考えだと思った。確かなものを手に入れたかった。なのにスタートラインにさえ立たせてもらえない。
夢や希望は萎みもするし砕けもする。そんなこと人一倍わかってる。だけど、膨らみきったところで割れる風船は痛い。
「思いつきの勢いで走り出してラストで失速する舞台みたいだ」
モリゾウがため息をついた。
電気が通っていれば幸せと言うこの人は欲の天井が低くて、今だって、この部屋で満足している。引っ越したいのは麻希のためだ。
だから、アトリエを持てなくても十分幸せだなんて伝えたところで慰めにはならない。アトリエを持たせたいと思ってくれたモリゾウの気持ちの値打ちが下がってしまう。あのとき喜んだのも嘘になってしまう。
夢を抱くときは足し算だが、夢が破れたときは引き算だ。アトリエを夢見ないふたりには戻れない。
チョキントリもテンペイも幻だ。まやかしだ。うまく行かない人生を誰かのせいにするのも、誰かに埋め合わせてもらおうと期待するのも、変わらない。手に負えない現実から逃げているだけだ。
何を言っても空しいし、何も言わないのも気がとがめる。こんなときバイトが入っているのは助かった。
「縁がなかったんやな」
マスターはあっさり言った。シュークリームが売り切れていた、ぐらいの軽さで。シュークリームは日をあらためれば買えるが、あの部屋は他の誰かのものになってしまう。
「物件なんか次から次に出てくる。建物の数だけ1階はあるんやし」
1階ならいいというものではない。あの立地が良かったのだ。陽当たりのいい庭に四季の花を植えよう。実のつくものも育ててみよう。そんなことまで考えていたのに。
今のアパートの更新時期が迫っていた。引っ越し先が見つからないと、更新料を取られ、値上げした家賃を払い続けることになる。住む気のなくなった部屋に。予算を何百万円下げれば手が届くのか。そもそも家を持つという夢を持つことすら許されないのか。
「待っててみ。今にドカンと来るで。テンペイキャッシュバック!」
「マスター、調子いいけど当たらない占い師みたいなこと言ってる」
「こんなん信じたもん勝ちや。あると思たらある! 運命の扉が今開く!」
そう言ってマスターが店の入口のドアに両手を向けると、それが合図のようにドアが開いた。見計らったようなタイミングに麻希は吹き出しそうになったが、吐きかけた息を思わず飲み込んだ。
真っ赤なチューリップがふたつ、目に飛び込んだ。
入ってきた女性ふたりが手にしていたのはmakimakimorizoのバッグだった。
「来たんとちゃうか。テンペイ」
背中でマスターが囁いた。
次回3月30日に佐藤千佳子(51)を公開予定です。
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著者
今井 雅子
脚本家。 テレビ作品に連続テレビ小説「てっぱん」、「昔話法廷」、「おじゃる丸」(以上NHK)。2022年「失恋めし」をamazon primeにて配信。「ミヤコが京都にやって来た!〜ふたりの夏〜」(ABCテレビ)を9月30日より3夜連続で、「束の間の一花」(日本テレビ)を10月期に放送。映画作品に「パコダテ人」、「子ぎつねヘレン」、「嘘八百」シリーズ(第3弾「嘘八百 なにわ夢の陣」2023年1月公開)。出版作品に「わにのだんす」、「ブレストガール!〜女子高生の戦略会議」、「産婆フジヤン〜明日を生きる力をくれる、93歳助産師一代記」、「来れば? ねこ占い屋」、「嘘八百」シリーズ。音声SNSのClubhouseで短編小説「膝枕」の朗読と二次創作をリレー中。故郷大阪府堺市の親善大使も務めている。
連載小説『漂うわたし』第182回 佐藤千佳子(62)「それぞれの空を見上げて」
連載小説『漂うわたし』第181回 佐藤千佳子(61)「シュークリーム即興劇」
連載小説『漂うわたし』 第180回 多賀麻希(60)「クリームのないシュークリーム」
連載小説『漂うわたし』 第179回 多賀麻希(59)「ドレスが目覚めるとき」
連載小説『漂うわたし』 第178回 伊澤直美(60)「魔法が解けた」
連載小説『漂うわたし』 第177回 伊澤直美(59)「『ある』がふえていく」
連載小説『漂うわたし』第176回 佐藤千佳子(60)「スカーフをふわりと広げて」
連載小説『漂うわたし』第175回 佐藤千佳子(59)「わたしたち同じページにいる」
連載小説『漂うわたし』 第174回 多賀麻希(58)「子ども服を着せたかもしれない過去」
連載小説『漂うわたし』 第173回 多賀麻希(57)「愛にハサミを入れられない」
連載小説『漂うわたし』 第172回 伊澤直美(58)「胎内記憶って本当にあるの?」
連載小説『漂うわたし』 第171回 伊澤直美(57)「生まれた日の記憶」
連載小説『漂うわたし』第170回 佐藤千佳子(58)「日と月と明るいほうへ」
連載小説『漂うわたし』第169回 佐藤千佳子(57)「太陽の引き立て役」
連載小説『漂うわたし』 第168回 多賀麻希(56)「特注のエコバッグ」
連載小説『漂うわたし』 第167回 多賀麻希(55)「その続きを読みたくて」
連載小説『漂うわたし』 第166回 伊澤直美(56)「やったねの種」
連載小説『漂うわたし』 第165回 伊澤直美(55)「おんなじ! おんなじ!」
連載小説『漂うわたし』第164回 佐藤千佳子(56)「種は飛びたがっている」
連載小説『漂うわたし』第163回 佐藤千佳子(55)「マルシェは一日で終わるけれど」
連載小説『漂うわたし』 第162回 多賀麻希(54)「不自由とダンスする」
連載小説『漂うわたし』 第161回 多賀麻希(53)「巻き込まれ上手になるには」
連載小説『漂うわたし』 第160回 伊澤直美(54)「プレゼンごっこだと思ってた」
連載小説『漂うわたし』 第159回 伊澤直美(53)「パンケーキ食べてる場合じゃない」
連載小説『漂うわたし』第158回 佐藤千佳子(54)「思い違いがくれたパワー」
連載小説『漂うわたし』第157回 佐藤千佳子(53)「推しが職場にやって来た」
連載小説『漂うわたし』 第156回 多賀麻希(52)「アドレスのないドレス」
連載小説『漂うわたし』 第155回 多賀麻希(51)「迷路の出口」
連載小説『漂うわたし』 第154回 伊澤直美(52)「配慮ってどうするんだっけ」
連載小説『漂うわたし』 第153回 伊澤直美(51)「思い出せそうで思い出せない人」
連載小説『漂うわたし』第152回 佐藤千佳子(52)「ウィンウィンの天才」
連載小説『漂うわたし』第151回 佐藤千佳子(51)「咲かない花と咲いた花」
連載小説『漂うわたし』第149回 多賀麻希(49)「やがて住む部屋の前で」
連載小説『漂うわたし』 第148回 伊澤直美(50)「大人は子どもで子どもは大人で」
連載小説『漂うわたし』 第147回 伊澤直美(49)「大人が試されている」
連載小説『漂うわたし』第146回 佐藤千佳子(50)「ペディキュアがはみ出すほど恋してる」
連載小説『漂うわたし』第145回 佐藤千佳子(49)「みんな春を待っている」
連載小説『漂うわたし』第144回 多賀麻希(48)「わたしを納めるうつわ」
連載小説『漂うわたし』第143回 多賀麻希(47)「引っ越したくないのは幸せだから」
連載小説『漂うわたし』 第142回 伊澤直美(48)「今この瞬間がプレゼント」
連載小説『漂うわたし』第141回 伊澤直美(47)「クリスマスはここ!」
連載小説『漂うわたし』第140回 佐藤千佳子(48)「わたしの賞味期限問題」
連載小説『漂うわたし』第139回 佐藤千佳子(47)「真夜中の逢い引き」
連載小説『漂うわたし』第138回 多賀麻希(46)「いつか誰かのねじを巻く」
連載小説『漂うわたし』第137回 多賀麻希(45)「祝福のサラダ」
連載小説『漂うわたし』 第136回 伊澤直美(46)「種が芽吹くとき」
連載小説『漂うわたし』 第135回 伊澤直美(45)「会える確率は1分の1」
連載小説『漂うわたし』第134回 佐藤千佳子(46)「たちまち色づいたモノクローム」
連載小説『漂うわたし』第133回 佐藤千佳子(45)「母親の旬は過ぎたのか」
連載小説『漂うわたし』第132回 多賀麻希(44)「オリジナルって言い切れる?」
連載小説『漂うわたし』第131回 多賀麻希(43)「棺に入る分だけ残しなさい」
連載小説『漂うわたし』 第130回 伊澤直美(44)「母娘の残像」
連載小説『漂うわたし』第129回 伊澤直美(43)「今がいちばん可愛い」
連載小説『漂うわたし』第128回 佐藤千佳子(44)「子ども服はタイムカプセル」
連載小説『漂うわたし』第127回 佐藤千佳子(43)「ハダカのひまわりとスキップ」
連載小説『漂うわたし』第126回 多賀麻希(42)「なんのお祝いだっていい」
連載小説『漂うわたし』第125回 多賀麻希(41)「父を待ちながら」
連載小説『漂うわたし』第124回 伊澤直美(42)「近づきすぎると影が落ちるから」
連載小説『漂うわたし』第123回 伊澤直美(41)「ベランダ通勤の頭の中」
連載小説『漂うわたし』第122回 佐藤千佳子(42)「宝探しのパンケーキ」
連載小説『漂うわたし』第121回 佐藤千佳子(41)「日曜日と月曜日の手ざわり」
連載小説『漂うわたし』第120回 多賀麻希(40)「20年ぶりに咲いたドレス」
連載小説『漂うわたし』第119回 多賀麻希(39)「ドレスに蒔いた種」
連載小説『漂うわたし』第118回 伊澤直美(40)「あの日の花をもう一度」
連載小説『漂うわたし』第117回 伊澤直美(39)「その手をつなぐために空けておく」
連載小説『漂うわたし』第116回 佐藤千佳子(40)「チューリップの赤がしみる」
連載小説『漂うわたし』第115回 佐藤千佳子(39)「ペンネーム十文字パセリ」
連載小説『漂うわたし』第114回 多賀麻希(38)「ウェディングドレスを上書きする」
連載小説『漂うわたし』第113回 多賀麻希(37)「ウェディングドレスを着ない未来」
連載小説『漂うわたし』第112回 伊澤直美(38)「そこに答えはないってわかってるのに」
連載小説『漂うわたし』第111回 伊澤直美(37)「四つ葉のクローバーに胸がざわつく」
連載小説『漂うわたし』第110回 佐藤千佳子(38)「埋蔵主婦の値段」
連載小説『漂うわたし』第109回 佐藤千佳子(37)「埋蔵主婦を卒業します」
連載小説『漂うわたし』第108回 多賀麻希(36)「わたしの顔を見に来た彼女」
連載小説『漂うわたし』第107回 多賀麻希(35)「見知らぬ誰かを待ちながら」
連載小説『漂うわたし』第106回 伊澤直美(36)「サレ妻の逆襲」
連載小説『漂うわたし』第105回 伊澤直美(35)「何を証明しようとしているの?」
連載小説『漂うわたし』第104回 佐藤千佳子(36)「せっかく生まれてきたんですから」
連載小説『漂うわたし』第103回 佐藤千佳子(35)「そのままのあなたでいいんです」
連載小説『漂うわたし』第102回 多賀麻希(34)「呪うより祝うほうがめでたいから」
連載小説『漂うわたし』第101回 多賀麻希(33)「エゴサしたって傷つくだけなのに」
連載小説『漂うわたし』第100回 伊澤直美(34)「自分の機嫌は自分で取る!」
連載小説『漂うわたし』第99回 伊澤直美(33)「めでたい日のおめでたい人」
連載小説『漂うわたし』第98回 佐藤千佳子(34)「ふたりで月日を重ねて」
連載小説『漂うわたし』第97回 佐藤千佳子(33)「あなたの物語を読みたい」
連載小説『漂うわたし』第96回 多賀麻希(32)「上書きされた過去」
連載小説『漂うわたし』第95回 多賀麻希(31)「これ以上わたしから何も盗らないで」
連載小説『漂うわたし』第93回 伊澤直美(31)「ひなたと日陰の間で」
連載小説『漂うわたし』第92回 佐藤千佳子(32)「焼きいもを分け合う誰かがいれば」
連載小説『漂うわたし』第91回 佐藤千佳子(31)「モブキャラに秋がしみる」
連載小説『漂うわたし』第90回 多賀麻希(30)「まわりまわってひまわりバッグ」
連載小説『漂うわたし』第89回 多賀麻希(29)「世渡り上手の駆け引き構文」
連載小説『漂うわたし』第88回 伊澤直美(30)「母とわたしと犬とレモン」
連載小説『漂うわたし』第87回 伊澤直美(29)「記憶の地層から浮かび上がった母」
連載小説『漂うわたし』第86回 佐藤千佳子(30)勝ったり負けたり人生じゃんけん
連載小説『漂うわたし』第85回 佐藤千佳子(29)「義母が転がり込んできた」
連載小説『漂うわたし』第84回 多賀麻希(28)「『嫉妬してくれてるの?』の魔法」
連載小説『漂うわたし』第83回 多賀麻希(27)「彼と彼女の不完全燃焼」
連載小説『漂うわたし』第82回 伊澤直美(28)「本人に聞けばいいのに」
連載小説『漂うわたし』第81回 伊澤直美(27)「創作って埋め合わせだから」
連載小説『漂うわたし』第80回 佐藤千佳子(28)「振り上げたこぶしの下ろし方」
連載小説『漂うわたし』第79回 佐藤千佳子(27)「砂の入ったアイスクリーム」
連載小説『漂うわたし』第78回 多賀麻希(26)「17歳のわたしの続き」
連載小説『漂うわたし』第77回 多賀麻希(25)「閉じていなかった物語」
連載小説『漂うわたし』第76回 伊澤直美(26)「これは満たされてますアピールなのか」
連載小説『漂うわたし』第75回 伊澤直美(25)「スポットライトの当たる場所が変わっただけ」
連載小説『漂うわたし』第74回 佐藤千佳子(26)「正解も正義もひとつじゃない」
連載小説『漂うわたし』第73回 佐藤千佳子(25)「同じ景色を見ていると思っていたのに」
連載小説『漂うわたし』第72回 多賀麻希(24)「愛せないヒロイン」
連載小説『漂うわたし』第71回 多賀麻希(23)「それからのルーズソックスのそれから」
連載小説『漂うわたし』第70回 伊澤直美(24)「めぐるいのちを母乳にのせて」
連載小説『漂うわたし』第69回 伊澤直美(23)「母乳神話のスッタモンダ」
連載小説『漂うわたし』第68回 佐藤千佳子(24)「透明人間にされたわたしたち」
連載小説『漂うわたし』第67回 佐藤千佳子(23)「この国の損失」
連載小説『漂うわたし』第66回 多賀麻希(22)「制服のシンデレラ」
連載小説『漂うわたし』第65回 多賀麻希(21)「彼の指が見つけたエンダツ」
連載小説『漂うわたし』第64回 伊澤直美(22)「名前は人生で最初のプレゼント」
連載小説『漂うわたし』第63回 伊澤直美(21)「消えた赤ちゃんと現れた母」
連載小説『漂うわたし』第62回 佐藤千佳子(22)「男女っていつから逆転するの?」
連載小説『漂うわたし』第61回 佐藤千佳子(21)「こぼれた大豆に哀しみを覚えた頃」
連載小説『漂うわたし』第60回 多賀麻希(20)「どこにも行かないでと彼が言った理由」
連載小説『漂うわたし』第59回 多賀麻希(19)「長い夜が明けるまで」
連載小説『漂うわたし』第58回 伊澤直美(20)「キスしてよ脳内モルヒネ出るから」
連載小説『漂うわたし』第57回 伊澤直美(19)「もうキスしないかもしれない」
連載小説『漂うわたし』第56回 佐藤千佳子(20)「ママ、娘よりも成長してない?」
連載小説『漂うわたし』第55回 佐藤千佳子(19)「母と娘のロウバイの季節」
連載小説『漂うわたし』第54回 多賀麻希(18)「回りくどい女が欲しかった一言」
連載小説『漂うわたし』第53回 多賀麻希(17)「彼を試す自己開示ギャンブル」
連載小説『漂うわたし』第52回 伊澤直美(18)「受精卵だった頃の名残」
連載小説『漂うわたし』第51回 伊澤直美(17)「男でも女でもない妊婦という性」
連載小説『漂うわたし』第50回 佐藤千佳子(18)「リボンを巻く人生と巻かない人生」
連載小説『漂うわたし』第49回 佐藤千佳子(17)「この出会いにリボンをかけたい」
連載小説『漂うわたし』第48回 多賀麻希(16)「30代最後の年に青春が始まった」
連載小説『漂うわたし』第47回 多賀麻希(15)「『鬱金香』って何の花?」
連載小説『漂うわたし』第46回 伊澤直美(16)「母親って『良かれ教』の教祖だから」
連載小説『漂うわたし』第45回 伊澤直美(15)「『良かれ教』の困った人たち」
連載小説『漂うわたし』第44回 佐藤千佳子(16)「においと音で描く地図」
連載小説『漂うわたし』第43回 佐藤千佳子(15)「自分の人生に振り落とされないようにしなくちゃ」
連載小説『漂うわたし』第42回 多賀麻希(14)「作家と呼んでくれた彼のシナリオ」
連載小説『漂うわたし』第41回 多賀麻希(13)「自分で自分に値段をつけるのって難しい」
連載小説『漂うわたし』第40回 伊澤直美(14)「お母さんの人生、返して」
連載小説『漂うわたし』第39回 伊澤直美(13)「一人目もまだなのに二人目ですかお義母さん」
連載小説『漂うわたし』第38回 佐藤千佳子(14)「かいじゅうが不安を食べた夜」
連載小説『漂うわたし』第37回 佐藤千佳子(13)「空っぽってわけじゃない夏」
連載小説『漂うわたし』第36回 多賀麻希(12)「あなたには嫌われたくない」
連載小説『漂うわたし』第35回 多賀麻希(11)「シュークリームが膨らむ予感」
連載小説『漂うわたし』第34回 伊澤直美(12)「夫の涙にもらい泣き」
連載小説『漂うわたし』第33回 伊澤直美(11)「妊娠検査薬の結果を待つ間に」
連載小説『漂うわたし』第32回 佐藤千佳子(12)「バズらせるってどうするの?」
連載小説『漂うわたし』第31回 佐藤千佳子(11)「わたしが主人公になった日」
連載小説『漂うわたし』第30回 多賀麻希(10)「今さら孫の顔が見られるわけでもないし」
連載小説『漂うわたし』第29回 多賀麻希(9)「結婚しましたハガキが重かった頃」
連載小説『漂うわたし』第28回 伊澤直美(10)「履歴書の職業欄に『母親業』と書いてやりたい」
連載小説『漂うわたし』第27回 伊澤直美(9)「あの嫁なんで旧姓使ってるんだ問題」
連載小説『漂うわたし』第26回 佐藤千佳子(10)「『奥様』でもなく『お母様』でもなく『私』を生きる」
連載小説『漂うわたし』第25回 佐藤千佳子(9)「夫婦なのに『ご主人様』『お母様』の謎」
連載小説『漂うわたし』第24回 多賀麻希(8)「いなくなっても同じなんて言わないで!」
連載小説『漂うわたし』第23回 多賀麻希(7)「最後の恋人によく似た彼」
連載小説『漂うわたし』第22回 伊澤直美(8)「子どもよりわたしを欲しがってよ」
連載小説『漂うわたし』第21回 伊澤直美(7)「先延ばしの呪いを解く方法」
連載小説『漂うわたし』第20回 佐藤千佳子(8)「真昼の逢い引き」
連載小説『漂うわたし』第19回 佐藤千佳子(7)「人妻だって恋をする」
連載小説『漂うわたし』第18回 多賀麻希(6)「幸せの合格ラインを下げる」
連載小説『漂うわたし』第17回 多賀麻希(5)「彼の寝息を聞きながら」
連載小説『漂うわたし』第16回 伊澤直美(6)「HAPPYが壊れた結婚4年目」
連載小説『漂うわたし』第15回 伊澤直美(5)「夫と恋人時代に戻って」
連載小説『漂うわたし』第14回 佐藤千佳子(6)「口紅のとびらを開けて」
連載小説『漂うわたし』第13回 佐藤千佳子(5)「ママと『きれい』は二択じゃない」
連載小説『漂うわたし』第12回 多賀麻希(4)「年下の男の子」
連載小説『漂うわたし』第11回 多賀麻希(3)「昔のあだ名で呼ばれてみたら」
連載小説『漂うわたし』第10回 伊澤直美(4)「産まないって決めたわけじゃないのに」
連載小説『漂うわたし』第9回 伊澤直美(3)「子育てより仕事のほうがラク!?」
連載小説『漂うわたし』第8回 佐藤千佳子(4)「パセリが主役になる日」
連載小説『漂うわたし』第7回 佐藤千佳子(3)「ママを引いたら何が残る?」
連載小説『漂うわたし』第6回 多賀麻希(2)「39歳の再就職活動」
連載小説『漂うわたし』第5回 多賀麻希(1)「派遣切りのたびに削られる」
連載小説『漂うわたし』第4回 伊澤直美(2)「どっちが産むか選べたらいいのに」
連載小説『漂うわたし』第3回 伊澤直美(1)「給料日にモヤモヤする理由」
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心と体
2025.03.14
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