ミドルシニアは「社外に出る」のが苦手? キャリアを守り育てる3つの考え方
ミドルシニアのためのプロアクティブ人材戦略①
おしえて日経転職版
写真はイメージ(PIXTA)
多くの企業が定年延長や再雇用制度を導入し、ミドルシニア層にとってキャリア形成は重要なテーマになっています。働き方や価値観が多様化する中で、40、50代のキャリアをどのように築いていけばいいのか。日本総合研究所のコンサルタントに、ミドルシニアのキャリア戦略の描き方について聞きました。「ミドルシニアのためのプロアクティブ人材戦略」と題して3回にわたって連載します。
第1回はキャリア開発に詳しい宮下太陽氏に、ミドルシニアがキャリアを切り開くために役立つ「プロアクティブ人材」という概念を解説してもらいました。自ら学びキャリアを育む「プロアクティブなミドルシニア」になるための考え方とは。

問われるキャリアを守り、育てる戦略
本連載においてミドルシニアとは、2025年現在、45歳から54歳の方々を指します。バブル崩壊後の失われた30年ともいわれる経済環境の中、就職氷河期を経験して社会人となり、社会人生活を送ってきた「ロスジェネ」ともいわれる世代です。
近年、従来の不況型リストラではなく、事業の構造改革を目的とした黒字リストラが顕在化している中で、この世代がリストラの対象となることも少なくありません。ミドルシニア世代は一般に給与水準が高い一方で、生成AI(人工知能)をはじめとした最新技術への適応力や生産性の面で若手との差が目立ちやすいのがその理由です。
上には終身雇用・年功序列の恩恵を享受した「逃げ切り世代」の先輩たちがおり、下にはAI技術をネーティブに扱う「AI世代」が台頭しています。ミドルシニア世代には自身のキャリアをどのように守り、育てていくかが問われています。そんなミドルシニア世代の今後の指針として示唆を与えてくれるのが「プロアクティブ人材」です。
プロアクティブ人材とは 4つの行動
プロアクティブ人材とは2000年代以降、欧米を中心に研究が進んだ概念です。プロアクティブは「先を見越した」などを意味し、「自分自身のキャリアや組織の環境に対し先見的で、未来志向・変革志向の行動を取れる人材」のことを指します。日本総研ではアカデミアの協力のもと、プロアクティブ人材というコンセプトを日本におけるビジネスの文脈で使えるように、4つの行動として整理しました。

何か新しいことに取り組む「革新行動」、社外から知見を得る「外部ネットワーク探索行動」、社内の協力者を巻き込む「組織内ネットワーク構築行動」があり、これらを推進していく基盤となるのが、自分自身のキャリアを自身で描き成長していく「キャリア開発行動」です。
人生100年時代において働く期間が長期化する中、今後も生成AIなどの新しい技術が働き方を変えていく可能性があることは想像に難くありません。そのような時代において、戦略的に学び、行動し続けていくことこそが、プロアクティブな人材であり続けるために必要不可欠な要素となっています。
「プロアクティブ度」が低いミドルシニア
では、どういう人が「プロアクティブ人材」なのでしょうか? 日本総研では、プロアクティブ人材を特徴づける4つの行動をベースとして、個人の「プロアクティブ度」をスコア化する調査を考案しました。
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