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アスリートとビジネスリーダー「共に越境する」学びの場 鳥谷敬さんの目標設定

「MASH UP! Humanity」第1回レポート

セミナーレポート
登壇した元プロ野球選手の鳥谷敬さん

登壇した元プロ野球選手の鳥谷敬さん

生成AI時代にこそ求められる「人間性・人間力」。「リアルな人間に向き合う力」「自ら考え、問いを立てる力」など人間力の最も強いエッセンスを持つトップアスリートと、ビジネス・アカデミアのリーダーが双方向で学び合う場が誕生した。9月10日、日経ビジネススクールとNIKKEIリスキリング共催の新講座「MASH UP! Humanity」が開幕した。

第1回は、阪神タイガースのスター選手として活躍した元プロ野球選手・鳥谷敬さんと、元LIXILグループ執行役副社長で、人材育成のプロフェッショナルの八木洋介さん。二人の「ダイアローグ」では、トップアスリートとビジネス界に共通する目標設定と「やり抜く力」について語られた。このレポートではその一部を紹介する。

〈目次〉
■「自分を知る」ことから始まる長期の目標設定
■「仕事」として野球に向き合う やり抜くための冷静さ
■ダイアローグからワークショップへ――学びを自分事化する時間
鳥谷さんと八木さんの「ダイアローグ」の一部をダイジェストとして、Podcast「聴くNIKKEIリスキリング」の特別編で配信しています。

「自分を知る」ことから始める長期の目標設定

10日午後3時、都内の会場には続々と大手企業の管理職やリーダー層など、学びへの意欲が高いビジネスパーソンが集まった。

「MASH UP! Humanity」は、トップアスリートの「アスリート思考」とビジネス・アカデミアのリーダーが交わることで、参加者全員の「人間力」を向上させることを目指す。トップアスリートとビジネス・アカデミアリーダーの対談である「ダイアローグ」、その対談を起点に参加者と講師が一緒になって取り組む「ワークショップ」、フラットなつながりによる共創を目指す「ネットワーキング」の三部構成で、参加者が主体的に学び、つながる場として設計されている。

第1回の講師は、阪神タイガースで活躍し、1939試合連続出場という記録をもつ鳥谷敬さん。ビジネスサイドからは、LIXILグループで執行役副社長を務め、世界で戦う人材育成に長年携わってきた八木洋介さんが参加した。トップアスリートの経験や考え方が、ビジネスシーンでどう活かせるのか。その問いを探る1時間のダイアローグが始まった。

ファシリテーターを務めたのは、元Jリーガーで「ミスター札幌コンサドーレ」として活躍し、NIKKEIリスキリングのコミュニティエディターの曽田雄志さん。曽田さん自身もアスリートからビジネスへ越境した経験を持ち、鳥谷さんと八木さんの対話を巧みに引き出していった。

元プロ野球選手の鳥谷敬さん(写真左)と people first代表の八木洋介さん(同右)が「世界で勝つための目標設定」などについて講義した

元プロ野球選手の鳥谷敬さん(写真左)と people first代表の八木洋介さん(同右)が「世界で勝つための目標設定」などについて講義した

冒頭、八木さんは世界で戦うビジネスリーダーが日本には少ないと指摘する。

「日本のスポーツ選手は世界で活躍している。それに比べて、ビジネスで世界レベルで戦って世界一だと言える日本のビジネスリーダーはどれくらいいるか」(八木さん)。

八木さんが指摘したのは、目標設定の違いだ。「日本のビジネスリーダーだって根っこには世界で勝てるものを持っているはず。なぜ世界で戦おうとしないのか」。多くの日本のビジネスリーダーは、目の前の四半期の売り上げや今期の目標に追われ、長期的で高い目標を設定していないのではないかという問いかけだ。

それを受け、鳥谷さんは阪神タイガース入団時に掲げた目標について語り始めた。それは「40歳でショートを守る」こと。プロ野球選手の平均引退年齢が29歳ほどといわれ、30代で引退する選手も少なくない。トップ選手でも40歳までやるのは難しく、特にショートのポジションは負担が大きい。それにも関わらず、大学卒業後のプロ入り時点で、はるか先の40歳という地点に目標を設定していた。

鳥谷さんは大学時代のトレーニングの経験から「目標設定をすると今やるべきことがわかる」ことを体得したと話す。プロ野球入団時にもこの経験を応用し、長期的な目標、中期的な目標、短期的な目標に分割して設定していったと話す。

プロ野球は年間143試合。打者は打率3割を打てば一流と言われる世界だ。「裏を返せば7割失敗している。その7割に目がいくと非常にマイナスイメージを持ちやすい」(鳥谷さん)。一試合一試合、もしくは一打席一打席、短期的に見たらマイナスに見える結果が続く時も多い。ただ1年間出場を続ける、40歳の時にも出場するという中期的、長期的な視点から見ると、その失敗も実はプラスに捉えられることも少なくないという。

目標設定をするにあたり、鳥谷さんが何度も強調したのは「自分を知る」ことの重要性だ。自分を知るとは、性格や得意不得意ということだけではない。「どういう状況の時に力を発揮できるのか、反対にどういう状況でマイナスのイメージを抱くのか、ひとつひとつを日常の中から知っていく作業が必要」だと語る。1年間試合を続ければ必ず調子の波が生まれる。調子が悪いときも、どうすればそこから脱することができるかを知るチャンスだと考えることもできる。

八木さんはこう指摘する。「鳥谷さんは『個人』として戦っている。組織の中の自分ではなく、『自分が何ができるか』と、常に主語が自分に置かれている。ビジネスパーソンが学ばなきゃいけないのはここだと思う。組織というものに甘えていないだろうか」

Point
・長期・中期・短期で分けて目標設定をすることで今することが見えてくる
・自分を客観的に知ることが精度の高い目標につながる
・ビジネスでもまず「個人として戦う」覚悟が重要

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「仕事」として野球に向き合う やり抜くための冷静さ

「もともと好きなスポーツはサッカー。得意なスポーツが野球です」

鳥谷さんは、父親が高校までサッカーをやっていたこともあり、幼少期はサッカーに夢中だったという。今でもサッカーの観戦によく行くそうだ。鳥谷さんは野球を完全に「仕事」として捉えていた。

鳥谷さんによればプロ野球選手は「野球が好きでプロになった人」と「仕事として割り切っている人」に分かれると語る。野球が好きでプロになった人は、監督が自分を使ってくれないなど、外的な要因があった時にパフォーマンスが落ちることがよくあるそうだ。一方で鳥谷さんは「そもそも仕事として割り切っていたので、好き嫌いではなくて、何をしなければいけないのかを考えられた」と話す。

打ち立てた目標を仕事としてやり抜くために何が必要か。鳥谷さんは現役時代のエピソードとともに具体的な考え方をいくつも紹介した。まずは成果ではなく成長に目を向けること。

「4打席連続で三振をした次の日の試合で、たとえまた4打席三振してしまっても、ファールを3回打つことができたとする。他の人から見たら同じ三振かもしれないが、自分からすると成長している。『昨日の自分よりちょっと成長してるな』と思えると、次に進んでいける」(鳥谷さん)

この視点の転換が、長いシーズンを戦い抜く上で必要不可欠だったと話す。

次に鳥谷さんは、自分を客観視するために、もう一人の自分が常に私を見てると考えるようにしていたと話す。

例えば、守備の場面。2アウト満塁で、自分がエラーしたら負けるという状況の時に、「『自分のところに飛んでくるな!』って思うようにする」と正直に語る。

多くの選手は「自分のところに飛んでこい」と考えるように指導されるが、鳥谷さんは自分の正直な本心を認めた上で、それを「日常」化させる方法を選んだ。「常に『自分のところに飛んでくるな』と思って練習する。ノックでも試合中でも、初回の一番バッターから、自分のところに飛んでくるな、飛んでくるなと考える」(同)。

普段から繰り返すことで、実際にエラーが絶対にできない場面が来た時に「自分のところに飛んでくるな」と思ってしまっても「いつもの通りだ」と思えるようになる。自分の弱さを認め、それを日常に組み込むことで克服していったという。

3つ目は変化をつけないようにすること。「日々に変化があるということは非常に疲れるんです」(同)。

鳥谷さんはあまりガッツポーズをしないようにしていたそうだ。活躍できたらガッツポーズをする。エラーをしたら落ち込む。その浮き沈みを繰り返すと疲れてしまう。長い期間一定のパフォーマンスを出すために、なるべく変化をつけないようにしていたのだと語る。

身近な成功者を徹底的にまねすることも重要だと鳥谷さんは語る。プロ入り当初、試合前のミーティングでは、対戦相手についてのデータなどの情報をびっしりノートに書き写していた。ただ活躍するベテランの選手をよく観察すると、ミーティングにギリギリに来てメモもとらずに試合に臨んでいる。

それを見て鳥谷さんもメモをとることをやめてみた。すると、与えられた情報の一つ一つに自分の解釈や考えをもつことができ、かえって試合中に思い出して活用できるようになった。

活躍した選手を試合後にインタビューするお立ち台でのパフォーマンスも同じ考えで臨んでいたそうで、喜びを爆発させるということもなく、淡々と受け答えをするのが鳥谷さんのスタイル。なぜなら「お立ち台で歌を歌って、長く活躍している人はあまりいない」(鳥谷さん)から。

ファンからは「つまらない」と言われながらも、「自分が成功する可能性を下げるようなことはしない」と決めていた。成功者を観察し、その共通点を見つけ出す。この徹底した観察眼が、鳥谷さんの長いキャリアを支えた。

Point
・短期的な結果に一喜一憂せず、成長に目を向ける
・どんなときも自分を客観視し受け入れる
・成功者を観察して同じ行動をしてみる

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フラットに学ぶ 学びを「自分ごと」化する時間

約1時間の「ダイアローグ」終了後、参加者は少人数のグループに分かれて「ワークショップ」に臨んだ。鳥谷さん、八木さんや、当日参加したほかのトップアスリートの面々とともにグループに加わり、参加者と共に議論を深めた。

「ネットワーク」の開始前に挨拶をする鳥谷さん

「ネットワーク」の開始前に挨拶をする鳥谷さん

最後に「ネットワーク」の時間では、アスリートと参加者のビジネスパーソンが活発に交流をした。鳥谷さん、八木さんを囲んで質問が飛び交い、フラットな場で、参加者同士のネットワーキングも盛んに行われ、異業種の学び合いが生まれる場となった。

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