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「残念なミドルシニア」との差は?企業から求められる人材に共通する3つの視点

ミドルシニアのためのプロアクティブ人材戦略②

おしえて日経転職版
写真はイメージ(PIXTA)

写真はイメージ(PIXTA)

高齢者雇用安定法改正の動きや恒常的な労働力不足を背景に、ミドルシニアが活躍できる環境整備に取り組む企業が増えています。しかし、企業が長く働いてほしいと思うのはどんな人材なのでしょうか。

日本総合研究所の研究員による連載「ミドルシニアのためのプロアクティブ人材戦略」の第2回は、書籍『定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図』(日経BP、日本経済新聞出版/宮島忠文・小島明子)に記された「なぜか働きつづけてほしい人の10の理由」を基に、企業に求められるミドルシニアになるために必要な3つのポイントを紹介します。 同書籍の著者の一人である日本総研の小島明子さんに聞きました。

小島明子(こじま・あきこ)氏 日本総合研究所創発戦略センタースペシャリスト。1976年生まれ。民間金融機関を経て、2001年に日本総研に入社。多様な働き方に関する調査研究に従事。東京都公益認定等審議会委員。主な著書に、『中高年男性の働き方の未来』(金融財政事情研究会)、『定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図』(日経BP、日本経済新聞出版)。

経験を「企業の価値」に変換する

何歳になっても企業に求められる人材には共通点があります。今回の記事では、ミドルシニア3人の事例を通じて、定年なき時代で長く働き続けるためのヒントを紹介します。

事例1
定年後に再雇用されたAさんは、営業職の経験が長く、顧客との関係構築が得意です。そのスキルを生かして、外回りが苦手な中堅メンバーの営業に積極的に同席しています。極力口は出さないようにしつつ、後輩社員の学びにつながるような質問を最後に顧客に投げかけています。上役の反応に一喜一憂しないことや、長期的な視点で顧客と取引することの重要さを助言します。営業が苦手な中堅の育成を支援しています。

まず、企業に求められるミドルシニアに必要な1つ目のポイントは、「経験をきちんと生かし、所属している組織に貢献する」ことです。

ミドルシニアの価値はなんといっても「経験」です。実務の中で培われた経験は、体験的な知見であり、様々な局面において次にどうなるのかを先読みし、必要な行動をとれるようにするための総合的な知識です。

ここではあえて「経験をきちんと生かす」と表現しました。企業に必要とされる人とそうでない人の分かれ目は、経験をどう生かすかにかかっています。経験を単に自分が役に立ちそうな仕事に携わるだけという次元にとどめず、組織が求める結果にコミットさせて、価値を創出するところまでもっていかなければいけません。

事例1のAさんは、自身の営業での経験を「営業人材の育成」という価値に変換して企業に貢献しています。

このように経験を価値に変換するためには、まず自身が何のプロであるのかを明確に定義する必要があります。自分の経験をきちんと理解し、自己理解を深める。企業のキャリア研修で、自分がやってきた仕事の棚卸しをすることもあると思います。でもそれだけでは十分ではありません。これまでどのように事業や組織に貢献して、組織に価値を提供してきたのか、定量的なデータも含めて具体的に語れるレベルまで明確にしておきたいところです。

さらに、社内外含めて「自分が何のプロとして活躍していく」のかの「領域」について突き詰めて考える必要があるでしょう。ミドルシニアが今後、生き残るためには、外部環境や役割の変化に柔軟に対応することも大切です。ここで領域を設定した後も、常に行動しながら補正をしていくことが求められます。

まずは自己理解を深め、プロフェッショナルとしての定義をした上で、行動と補正を繰り返す努力をすることが、「経験を『きちんと』生かす」ことで組織に貢献できる人材になれる第一歩です。 

「年齢を重ねることで有利になる力」を味方につける

2つ目のポイントは、「年齢を重ねることで有利になる力を生かす」ことです。一般的に、ミドルシニア世代は体力や記憶力などが衰えてきますが、年齢が上がることで経験値が増えたり、他者に与える印象が変化したりと、仕事をする上で有利に働くことも多々あります。

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