髙石あかりは15分の朝ドラに改めてピッタリ! 『ばけばけ』で証明するリアクションの強み

江藤知事(佐野史郎)の娘・リヨ(北香那)により、新たな風が吹き抜ける第9週。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第43話では、トキ(髙石あかり)がリヨと錦織(吉沢亮)の間で、板挟みになってしまった。
リヨからヘブンとの仲を取り持つように協力を要請されたトキは、錦織からリヨとヘブンがくっつかないようにしてほしいと頼まれてしまう。どちらともとくに利害関係のないトキからすれば、どちらにも協力したいのが本心だろう。「オーマイガー」である。トキにとって面倒なピンチが訪れた展開だが、トキと錦織の軽妙なやり取りは相変わらず。微妙に噛み合わない会話の中で、ツッコミを入れる吉沢の間のとり方とセリフ回しの緩急が絶妙だ。

松野家では、ヘブンの奥様の有無、仲のよい女性の存在が話題にあがっていた。トキは、奥様がいるなら日本に連れてくるだろうという話から、異国と日本の生活習慣の違いについて話を続ける。部屋の中で履き物を履いて過ごす、畳もない。住宅事情の違いの一つひとつが刺激的だ。そんな異国文化への驚きを表現するのが、「これだからペリーは!」という言葉なのだろう。
文化の違いについては、勇ましく「これだからペリーは!」と吐き捨てた勘右衛門(小日向文世)であったが、40歳にもなって結婚もせずいい仲の女性がいることに苦言を呈する司之介(岡部たかし)にはまったく賛同しない。我関せずといった感じでしじみ汁をすするだけだ。なぜなら勘右衛門にも、いきなり春が訪れてしまったから……。勘右衛門あらためスキップ師匠は、朝食をそこそこにスキップ指導に向かってしまった。勘右衛門の笑顔は子どもたちに向けたものなのか、想い人・上野タツ(朝加真由美)に向けたものなのか。ヘブンとリヨの関係がどうなるかにも注目だが、勘右衛門の恋の行方も気になるところだ。
鳥の餌作りですりこぎ棒を吹っ飛ばしながら、ヘブン宅で女中の仕事をしていたトキのもとに、リヨが訪れる。「右に行きました! 先生右利きですし!!」とあたふたするトキと、協力できなくなったトキの事情を知らずに「味方でしょう。おトキさん!」と笑顔で圧をかけるリヨ。水と油のような2人だが、掛け合いの相性はバッチリだ。トキは、錦織との約束を無碍にできないとなんとか笑顔でごまかすが、結局八重垣神社に連れ出されてしまった。

トキは久しぶりに八重垣神社へ。リヨの前では「沈んで」と言いつつ、ブードゥー人形には「沈むなあ……!」と念をかけるトキ。トキが過去に行ったときは、ヘブンとの恋仲を思わせるように遠くで時間をかけて沈んだが、リヨの結果は果たして。
トキと錦織、トキとリヨ、トキとヘブンというように、組み合わせやそのときの状況が変化すると、ボケとツッコミの役割が転換していくのがなんとも面白い。なかでも、髙石がシチュエーションにあわせた表情や声色で相手にリアクションを返していることが、独特の見応えにつながっているように感じられる。
気が早いかもしれないが、何も考えずに観ることができるユニークな朝の15分を提供する『ばけばけ』を背負うべきヒロインだと言いたくなる。
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

ドラマが好きすぎて、聖地で結婚式を挙げたフリーライター。ドラマ・映画記事を中心に、キャリアや一次産業に関わるメディアで執筆中。
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